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【本当の母襲来編未来渡航3】探しものが意外と簡単に見つかった件について

ビックリするほど簡単に探しものが見つかりました

 はい、どうも藤堂遊です。この自己紹介も久しぶりな気がしてなりません。実際久々です。さて、人は変わるってお話をしたと思いますが、遊華の変わり様ったらもう……ね。良くも悪くも彼女が変わったということはどういうことかと言いますと……


「遊ちゃ~ん……二度と離さないからねぇ~」

「遊、勝手にいなくなるのは許さない」


 美月と香月も変わるということで……俺は今、香月、美月、遊華の手によってリビングの椅子に拘束されている


「もう好きにしろ」


 こう言うしかあるまいて。ヤンデレに拘束を解けって言ったところで聞く耳は持つまいて。ヤンデレなんだから。事の始まりはシンプル。遊華が帰宅した香月と美月を出迎えに行くだろ?俺がいるのがバレるだろ?有無を言わさず部屋から引きずり出されるだろ?拘束される。ほら、簡単だろ?だから俺は好きにしろしか言えないんだ


「当然だよ……今まで寂しい思いをさせられてきた分、キッチリ埋め合わせさせてやるんだから……カクゴシテヨネ?」

「遊、ここから出られると……オモワナイデネ?」

「遊ちゃ~ん、私達とずっと一緒にイヨウネ?」


 遊華達の目から光が消える。見慣れた目なのに懐かしさを感じるのはどうしてだろう?


「はいはい、埋め合わせはするし、ここから出られるとも思ってない。ずっと一緒にいる」

「「「本当?」」」

「本当だ。この時代じゃ俺に行く当ても帰る場所もない。埋め合わせは追々考える。ずっと一緒にってのはお前らの仕事の都合もあるだろうから無理だけどな」


 この時代で俺に行く当ても帰る場所もない。ここから出られないのではなく、出かけたとしてもここへ戻って来るしかないと言った方が正しいのだが、言ったところで状況は変わらないだろう。黙っておいた方が得策だ


「お兄ちゃん?」

「遊ちゃん?」

「遊?」


 どうして睨む?慣れてるとは言っても光のない目で睨まれるのはキツイものがあるんだぞ?


「悪かった。俺の居場所はここだ。遊華達さえよければずっといさせてほしい」

「「「よろしい」」」


 よろしいって言ってるのに何で目に光が戻らないんだよ……


「よ、よろしいのなら目に光を戻してくれると助かるんだが……」

「それは無理だよ……」

「これから私達遊を監禁するから……」

「目に光を戻すのはできないよね~」


 不気味な笑みを浮かべながらにじり寄る遊華達は傍から見れば変質者だ。これから監禁するって……この女共はこの時代じゃ俺に行く当ても帰る場所もないって理解してんのか?


「行く当ても帰る場所もないって言ったはずなんだがなぁ……」


 人の話を全く聞いてないだろうヤンデレ3人娘に溜息すら出ず、天井を見上げるしかできなかった。こういうの何て言ったかな……えーっと……某不幸体質な少年の言葉を借りるなら不幸だってところか?





「で、結局こうなるのか……」


 椅子から解放された俺は遊華達の部屋へ連れ込まれ……てなどなく、未だリビングにいた。のだが……人間目の前にエサがあれば恐ろしいほど行動が早いもので……ソファーに座らされ、右側を香月、左側を美月、膝上を遊華に陣取られている。俗に言うハーレム状態ってやつだ


「私達にとっては10年ぶりのお兄ちゃんなんだからこれくらいいいでしょ。それとも、私のお尻を直に触りたい?私は別にいいよ?」

「遊、私のも触っていいんだよ?」

「遊ちゃんにならお尻どころか全部直に触ってほしいな~」


 ハーレム状態なのにちっとも嬉しくない。遊華だけじゃなく、香月と美月もかよ……男子高校生の理性を爆弾で吹っ飛ばそうとするの止めてもらえませんかねぇ……


「それは後でのお楽しみにしとく。遊華達が魅力的すぎて誰から手を付けたらいいか迷うしな」


 ヤンデレと付き合いたい願望のある諸君。覚えておくといい。手を出したらヤバいって時はストレートに断るんじゃなく、かと言って相手を煽るのでもなく、相手を褒めつつやんわり断る。これが藤堂遊式ヤンデレから誘惑された時の正しい躱し方だ


「お兄ちゃん♡」

「遊♡」

「遊ちゃん♡」


 恍惚の表情で俺を見る遊華達の目にハートが見えるのは気のせいとして、どうやら上手く躱せたらしい


「その……なんだ……遊華達が魅力的だってのは嘘じゃないからな」


 傍から見ればヤバ気な表情だが、こんな表情でも愛おしく感じてしまう辺り俺も相当毒されてるみたいだ。俺達は何もせず、しばらくこの状態のまま過ごした






 翌日。俺は爽やかな朝の日差し……ではなく、遊華の柔らかな胸の感触で目が覚めた。昨日は結局リビングで雑魚寝する事になったのだが────


「一日で元の時代に戻れるわけないかよな……というか────」

「おにいちゃん……あかちゃんみたいでかわいい……」

「ゆう……そこでしたいの?いいよ……」

「ゆうちゃん……わたしはおかあさんじゃないよ~」


 上に遊華、右に香月、左に美月と最初に飛ばされた未来と全く同じ配置なのは慣れっ子だが……どんな夢見てるのやら……寝言が恐ろしすぎる。主に俺の貞操的な意味で


「寝言さえまともだったら最高の朝だったんだがなぁ……」


 ラノベにおいてヒロインが極度の変人だってのは王道中の王道。主人公もだが、創作上の人物は奇人、変人じゃなきゃキャラが立たない。普通の男子高校生と豪語しても実は何かしらスゴイ特技がありましたとか、過去を持ってましたは当たり前。陰キャボッチだけどハイスペックとかもそうだ。リアルじゃ奇人、変人だったら嫌煙されるし、ハイスペックな奴なんてそうはいない。現実って非常だ。結論を言おう。彼女達の寝言は俺の精神および心臓にはとても悪い。誰が俺をこの未来に呼んだのかわからない上に調べようにもここから出られそうにない。詰んだ……


「おにいちゃん……そんなに私の胸吸いたいの?いいよ……」

「ゆう……本当に甘えん坊なんだから……」

「ゆうちゃん……そんなに力いっぱい抱きしめなくても逃げないよ~」

「打ち合わせでもしたのか……?」


 言ってる事は本当に俺の精神衛生上よろしくない。人に聞かれたら誤解されそうだ。なんて思っていると────


「オニイチャンハナサナイ……」

「ユウニゲタラユルサナイ……」

「ユウチャンハナレチャヤダヨ?」


 さっきまで比較的平和な寝言だったのが一気に物騒になったなぁ……なぁ……これ、穏やかな寝顔で言ってるんだぜ?信じられないだろ


「全く、コイツらは……」


 穏やかな寝顔で物騒な事を言う遊華達を俺はそっと抱きしめると目を閉じた。どうせこの部屋から出られないんだ、二度寝しても罰は当たるまい







「お兄ちゃん……一緒にいて……」

「遊……ずっと一緒にいたい……」

「遊ちゃん二度と離れないで……」


 二度寝から目を覚ますと遊華達が切なげな顔で俺を見つめていた。彼女達はどうしてこんな顔をしているんだろうか?それとも、10年前の事をまだ引きずっているのか?


「俺はどこにも行かないって昨日も言ったはずなんだがなぁ」


 余計なことは言わないが、俺はどこにも行かない。ここが未来だとか関係あるか。傍にいてほしいって言ってくれる奴らを悲しませるほど俺は人間腐ってない。ただ、自分をこの時代に呼んだ奴が誰なのかは調べたいところではある


「だって……お兄ちゃんは目を離すとすぐいなくなっちゃうでしょ?」

「せっかく呼んだのにすぐ離れ離れになるのなんて……」

「そんなの絶対に嫌だよぉ……」


 うん、今とんでもない発言聞こえたな。え?何?俺をこの時代に呼んだのって……


「えーっと……俺をこの未来に呼んだのってもしかして……」

「「「私達」」」

「マジ?」

「「「マジ」」」


 何だろう……出オチ感が拭えないんだが……


「冗談……じゃないんだよな?」

「「「もちろん」」」

「確認なんだが、俺を呼んだのは遊華、香月、美月の3人でいいんだよな?」

「「「うん」」」


 意外な収穫があった事を喜ぶべきなのか、とっとと元の時代に帰せと怒るべきなのか……こうアッサリ自白されると対応に困るのだが……昨日今日の反応を見る限りじゃ一筋縄ではいかなさそうだ。だったら彼女達の気が済むまでここにいるとしよう。まずは……


「聞きたいことは色々あるが、朝飯にするか」

「「「うん!」」」


 腹が減っては戦ができぬ。遊華達から話を聞くのは朝飯を食べた後でも遅くはない。親父達が仕出かしたことも聞きたいしな。それから、実母と婚約者がどうなったのかも。この時代で聞いた話が元の時代に帰った時役に立つのは間違いないだろう。彼女達がこれまでの人間関係を捨て去るくらいだ。多分、話がわかる相手じゃなさそうだしな

















今回も最後まで読んでいただきありがとうございます

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