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【ヤンデレ後日談】浩太と敬のしょうもない願望が露呈した件について

今回は浩太と敬のしょうもない願望の話です

浩太と敬の願望とは?

では、どうぞ

 俺の失言により始まったヤンデレ騒動。その騒動も昨日の美月で終了し、ようやく一息つける。嫌ではなかったが、何となく落ち着かなかった。それも昨日で終わり、俺の平凡な日常が戻ってきたのだが……


「お兄ちゃん……あれ……」

「言うな遊華。俺だって目を反らしたいんだ」

「でも、ゲッソリしてるけど無視していいの?遊」

「言うな香月。そういうのは見て見ぬふりをするのが優しさだぞ?」

「私や香月ちゃんは教室が、遊華ちゃん達は学校が違うからいいけど、遊ちゃんは学校も教室も同じなんだよ?さすがに無視し続けるって言うのは無理なんじゃないかな?」

「言うな美月。教室に入ってからならいざ知らず、登校中にあんなゲッソリした物体を見たと言う事実から必死に目を背けているんだから」

「遊さん、何事もチャレンジだと私は思うんですけど……人ってできる事とできない事がありますよね?」

「その通りだ由紀。俺はあんなゲッソリした物体に話し掛けるだなんて真似できない」

「遊くん……何があったら人間はあんなにゲッソリするのかな?」

「考えるな美優。多分、寄生虫か何かに寄生されたからあんな風になったんだ」


 ヤンデレ騒動が終わり、俺は再び平凡な日常に戻れる。そう思っていた。しかし、目の前のゲッソリした物体────もとい、ゲッソリした浩太と敬を見た瞬間、現実から目を背けたくなった。だって、運動のし過ぎとかそんなレベルじゃなくて魂を吸われたとかそんなレベルでゲッソリしてるし


「ゆ……遊……い、いたなら……こ、こえくらいかけろ……」

「そ、そうだよ……遊……ぼ、ぼくたち……ともだちじゃないか……」


 ゲッソリしている浩太と敬に何て声掛ければいいんだよ?気軽におはようってか?無理だっての!


「友達っていう点は認めるが、ゲッソリした奴になんて声掛ければいいんだよ?あれか?昨日はお楽しみでしたね!って言えばいいのか?」


 ゲッソリしている人間に対して何て言えばいいのかは学校じゃ教えてくれない。教えてもらっても困るんだけど


「遊ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!間違っても今の俺達にそんな昨日はお楽しみでしたね!なんて言うな!!いや、言わないでください!!お願いします!!」

「そ、そうだよ!僕達だって忘れたい事くらいあるんだよ!?と・く・に!昨日の事とか!昨日の事とか!!」

「わ、悪かった悪かった!っていうか、近い!近い!」


 浩太と敬は俺が昨日の話をするとものすごい勢いで近づいて来て昨日の話はするなと言ってきたが、昨日、この2人に何があったのだろうか?


「「わかればいいんだ!」」


 とりあえず、この2人の前で昨日の話をするのは止そう。地雷踏んでも嫌だし。なにより、女のめんどくさいのは未来と現在の遊華達で慣れているが、男のめんどくさいのは勘弁してほしいし


「お、おう、それはそうと、浩太達が彼女と一緒にいないのは珍しいな。何かあったのか?」


 浩太も敬も登下校は彼女と一緒だと記憶している。そんな浩太と敬が彼女を連れていないとは……何があったんだ?


「「………………………」」


 彼女の話題を出した途端に黙り込む2人。え?もしかして彼女の事も禁句だったか?


「どうした?2人とも黙り込んだりして?喧嘩でもしたのか?」

「「………………………」」


 さっきは黙り込んだだけだったが、今度は顔を真っ青にして固まる浩太と敬。彼女というワードを出しただけでここまで顔を真っ青にするとは……マジで昨日何があった?


「お兄ちゃんお兄ちゃん」


 遊華が服の袖をキュッと引っ張ってきた。


「何だ?」

「さっき明美さんと望海さんにメールしたんだけど……」

「ああ」

「明美さんは浩太さんと、望海さんは敬さんとそれぞれ同棲が決まったみたいだよ」

「へぇ~……って、はい?遊華、もう1回言ってくれ」


 俺の耳が悪くなってなければ浩太は明美さんと、敬は早川と同棲が決定した。そう聞こえた


「だから、明美さんと浩太さん、望海さんと敬さんは同棲が決定したんだって!」

「俺の聞き間違いじゃなかった……で、浩太と敬が彼女と同棲が決定したのは別にいいとして、どうしてゲッソリしているんだよ?あれか?浩太と敬は俺より早く大人の階段上っちゃった感じか?」


 友達2人が俺よりも先に大人の階段を上ってしまうのは寂しい気もするが、それは各カップルの方針なので俺がとやかく言う資格はない


「あー、それが……どうやら明美さんも望海さんも浩太さんと敬さんの部屋でエッチな本を見つけちゃったらしくて……それで……」

「それで?」

「一晩中説教した挙句、持ってたエッチな本を全部燃やしたらしいよ」

「……………………」


 浩太と敬がエロ本を持っていた事に対して咎めるつもりはない。エロ本と言ってもどうせ水着グラビア程度だろう。まぁ、彼女としては面白くはないんだろうけど。それよりも俺は明美さんと早川がそういう本を持っていた浩太と敬を一晩中説教したってのが意外だった。燃やした事に関しては何も言わん


「で、明美さんと望海さんの話を聞いて今度私達もお兄ちゃんの持ち物検査をしようと思うんだけど……どうかな?」


 どうかなって俺はそんな本は1冊も持ってないんだけど?親父ならいざ知らず


「どうかな?って言われても俺は浩太と敬とは違ってそんな本は1冊も持ってない!と言いたいが、親父が隠したのを俺のだと言われたら堪ったもんじゃない。部屋を掃除するついでにその手の本を探してくれっと助かる」


 下手に隠すから見つかって説教されるんだ。それに、今遊華達と暮らしている部屋は元々親父の緊急避難部屋だった。エロ本の1冊や2冊あってもおかしくない


「ユウサン、ワタシノヒニヒワイナモノハスベテショブンシタハズデスガ、マダアッタンデスカ?」


 振り向いた先には目から光を消した由紀が。確かに、由紀の日にギャルゲーの類はある程度売ったりした。が、それはあくまでも俺の持ち物だ。部屋を掃除する時に処分する予定なのは親父のエロ本達だ。だから、俺のものじゃない


「由紀の日に処分したのは俺の持ち物だ。部屋を掃除する時に処分するのは親父のエロ本達だ。俺のものじゃない。それに、日頃家事して学校行って、彼女達と過ごしている俺にエロ本を読む暇なんてない!」


 家事は俺が好きでやっている事、学校に行くのは学生だから当たり前。彼女達と過ごしているのは同棲してるんだから学校同様当たり前の事だ。で、そんな俺にエロ本を読む暇なんてない


「「「「「そうだよね!」」」」」

「当たり前だろ?それに、俺は彼女が嫌がる事はしない主義なんだよ」


 本当は浩太と敬みたい欲望に飲まれたりしない。って言いたかったが、その場に浩太と敬もいたのでそれは止めておいた。で、そんなしょうもない話をしながら学校へ向かい、教室へ着くなり敬は早川とイチャつき始め、俺と浩太はそれを見守るといういつもと同じ感じになった。で、HRを終え、午前の授業が終わって今は昼休み。


「「遊……」」

「浩太、敬……」


 屋上にて喧嘩をしたわけでも何でもないのに重苦しい空気が漂う。


「遊、ヤンデレ騒動は楽しめたかな?」


 気まずい空気の中、最初に口を開いたのは浩太だ。どこをどうしたらヤンデレ騒動を楽しめるんだ?


「楽しかったか否かで言うなら楽しくなかった。むしろ新たな問題が増えた」


 新たな問題……言うまでもないが、俺を兄と呼んだ女の存在と美優の蒸発した父親の事だ


「そうか。でも、彼女達の新たな一面が見れてよかっただろ?」


 彼女達の新たな一面が見れてよかったかと言われれば答えに困る。その新たな一面を見た事によって浮上した問題もあるくらいだし


「あー、それに関しては何とも言えない。遊華達の新しい一面を見れてよかったと思うし、新しい問題が浮上して面倒な事になりそうだと思う俺もいるし。そもそもがこの騒動の発端は俺の失言だしな」


 俺の不用意な一言から始まったヤンデレ騒動。それによって入院する事になるわ、その入院した先で見知らぬ女に兄と呼ばれるわ……美優の父親が蒸発した事を知るわで俺的にはよかったのか、悪かったのか……って感じだ


「遊的にはいいとも悪いとも言えない状態みたいだけど、遊華ちゃん達的にはよかったと思うよ?」

「マジで?敬、冗談だよな?」

「冗談じゃないよ。遊。遊華ちゃんの話しか僕は知らないけど、遊華ちゃん、久々に遊を呼び捨てで呼べたって喜んでたって望海ちゃんが言ってたし。あ、その望海ちゃんも遊華ちゃんからメールで聞いたって言ってた」


 どこからツッコめばいいのかわからないが、とりあえず、遊華って俺の事を呼び捨てで呼んだ事あったっけ?


「ツッコミたいところはいろいろあるが、とりあえず、遊華って俺の事呼び捨てで呼んだ事あるのか?」

「遊、覚えてないの?」

「ああ、悪いが、全くもって記憶にないな」

「「うわぁ……」


『ないわー』といった感じで俺を見る浩太と敬。覚えてないものは仕方ないと思うんだ俺は


「な、何だよ!覚えてないんだから仕方ないだろ!」

「遊……お前なぁ……」

「遊……さすがに今のは僕も擁護できないよ……」


 非難の視線を向けてくる浩太と敬。2人は遊華が俺の事をいつ呼び捨てで呼んだか知ってるのか?


「逆に聞くが、浩太と敬は遊華が俺を呼び捨てで呼んだ日を知ってるのか?」


 メル友である早川なら知っててもおかしくないだろうが、目の前にいる浩太と敬が知るわけがない。


「うん、僕は知っているよ」

「俺もだ」


 浩太と敬はどうして遊華が俺を呼び捨てで呼んだ日を知っているんだろうか?とは思ったが、敬は早川から、浩太は明美さんから聞いたとかそんなオチであろうことは少し考えたらわかった


「いつだよ?遊華が俺を呼び捨てで呼んだ日は?」


 浩太も敬も嘘を吐くような人間じゃない。しかし、万が一って事もある。確かめておいて損はない


「遊が香月さんと美月さんに初めて会った日だよね?浩太」

「ああ。確か酔いつぶれている一月さんを見た遊が遊華ちゃんを連れて部屋に戻って遊が遊華ちゃんの胸の感触を堪能している時だな」

「……………」


 浩太と敬の情報網は恐らく彼女である明美さんと早川なのだが、香月達と初めて会った日────いや、再会した日……確かに一月さんは酔いつぶれてぶっ倒れていた。あの時は親父に濡れ衣を着せて遊華と部屋に戻った。で、遊華が膝枕したいって言ったから……あ、あの時かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


「思い出したか?遊」

「顔真っ赤だよ?遊」


 浩太と敬はニヤつきながら俺を見る。確かに、遊華は俺を呼び捨てで呼んだ。うん、思い出したわ


「言わないでくれ……あれからいろいろあって忘れてたんだ……」


 思い出しただけでも恥ずかしくて死にたくなる。香月達と再会したあの日、確かに俺は遊華の胸に顔を埋めたし、中学生である遊華の夢と希望と男のロマンとメロンに少しだけときめいたりなんかもしたようなしなかったような気がしないでもない


「遊……」

「浩太……」


 恥ずかしさで顔が上げられない俺の肩に浩太が手を置く。コイツ、俺を慰めて────────


「俺も明美の夢と希望と男のロマンとメロンと俺の癒しに顔を埋めたいと常に思っている」


 くれなかった。むしろしょうもない願望を聞かされた。コイツは今度からおっぱい星人と呼ぼう


「お前のしょうもない願望は聞いてねぇ……」


 叫ぶ気力すらない俺はなけなしの力を振り絞りツッコんだよ。浩太って表は熱血少年、裏では文学少年じゃなかったっけ?


「遊、香月さん達との再会の日もそうだけど、今までいろいろあったもんね。お疲れ様」

「敬……」


 俺の肩に手を置くまでは浩太と同じだが、敬はちゃんと労いの言葉をかけてくれた。こういう部分は浩太にも見習ってほしいところではある


「遊華ちゃんもそうだけど、香月さん、美月さん、由紀ちゃん、美優ちゃんと彼女がいてその上、あの5人の大きなおっぱいは遊が独り占めできるんだし、日常的にそんな事をしているのなら遊が覚えてないのも無理はないよ。大丈夫、僕は遊の味方だよ」


 前言撤回。敬は浩太よりも酷かった。何が酷いって、俺への認識だ。いつの間に俺はおっぱい大好き人間になったんだ?あ?俺は今までそんな片鱗見せたか?


「敬、お前が浩太以上の変態であるのはよーくわかった。っていうか、敬は普段、早川の胸に顔を埋めているんだな」

「もちろん!っていうか、望海ちゃんがしないと不機嫌になるからね!!」


 敬……それと、早川……お前達は俺の知らない間に遠い所に行ってしまったんだな。告白する前の敬は奥手だったのに……それに、早川も近寄りがたい感じだったのに……いつの間にお前達は変態カップルになってしまったんだ……


「敬、お前は俺の知らないうちに遠い国へ行ってしまったんだな……」

「敬……いくら何でも俺だってそこまでしないぞ?」


 俺と浩太は敬に哀れみにも似た視線を送る


「遊と浩太が何言ってるかわからないけど、2人もお願いしてみたら?」

「「しねーよ!!お前と一緒にすんな!!」」

「え!?しないの!?」


 俺の失言から始まったヤンデレ騒動は新たな問題が2つ浮上するという意外な結末を迎え、その騒動の反省会にも似た友人達との対話は結局、友人2人のしょうもない願望を知り、その友人2人の内の1人と彼女の過ごし方を知るというリアクションに困る形で終わった。本当、何してんだ?俺は?

今回は浩太と敬のしょうもない願望の話でした。

最後は胸の話しかしてない遊達。普段はその手の話をしないので新鮮っちゃ新鮮なのかな?って事で、突然ですが、1年生編はこの話で終わりです。次回からは番外編です。今のところは文化祭、体育祭、卒業式の話をやる予定です。遊達の出会い等は2年生編のどこかで

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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