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【美優ヤンデレ編6】美優の意外な過去を知った件について

今回は意外な美優の過去の話です

美優の意外な過去とは?

では、どうぞ

 昼寝ると夜眠れなくなる。幼い頃にそんな話を聞いた事がある。実際、昼寝のし過ぎで夜眠れなくなった事もある。だが、俺だったバカじゃないし、家の事だってあるから寝ると言っても15分くらい目を閉じるくらいに留めておいた。そんな話はさておき、美優を抱き枕にして15分程度寝た俺は美優を起こさないようにベッドを抜け出し、現在、夕飯の支度に勤しんでいた


「遊華達が買い物してきてくれるとはいえ、さすがに何もしないわけにはいかないよな……」


 時間が流れるのは早いもので、時刻は現在、午後5時を回っていた。さすがに夕飯の支度を始めておかないと遊華達が帰ってきた時に間に合わない。美優との時間を優先させたいが、それと家事をしない事は別問題だ


「夕飯の支度する前に美優を起こした方がよかったかな?」


 起きた時に美優を起こそうかと考えたが、結局はそのまま寝かせておく事にしたが、果たしてそれでよかったのか?と思う。そう思う反面、気持ちよさそうに寝ている美優を起こすのは可哀そうだと思う自分もいる。


「気持ちよさそうに寝ているし、外出するわけじゃないから別に起こさなくてもいいのかもしれないな」


 俺の右手には美優と書かれており、それは今も残っている。手袋をしない限り俺は買い物にすら行けない状態なので外出は不可能だ。


「独占欲の強い彼女を5人も持つと苦労するな……」


 独占欲が強いのは美優だけではなく、遊華、香月、美月、由紀もそうだ。彼女達は独占欲が強い。普通なら独占欲が強すぎる彼女を持つと浮気する傾向にあるらしい。しかし、何度も言ってるが、彼女が5人もいて浮気する気力はない。


「遊くん!!」


 勢いよくドアが開き、慌てた表情の美優が入ってきた。ヤンデレであるのは諦めたとしてもだ。ドアくらい静かに開けてほしいものだ


「ど、どうした?そんなに慌てて?」


 美優の慌てようは尋常じゃなかった


「どうしたじゃないよ!!急にいなくなったら心配するでしょ!!」


 急にいなくなったって、俺はただ夕飯の準備してただけなんだけどなぁ……


「急にいなくなるも何も俺は夕飯の準備してただけなんだけど?」


 俺の中では外出する時は一声掛けて行かなきゃいけないと思うが、寝室からリビングに移動するだけなのに声掛けていく必要がどこにある?と思う


「それでもッ!一声掛けて行ってほしかった!!遊くんに解る!?起きた時に好きな人がいなくなってたらどれだけ不安か!!あったはずのぬくもりがなくなってた時の寂しさが!!ねぇ!!」


 夕飯の準備をしていただけなのにどうしてここまで言われてるんだ?俺?え?何か過去にあったのか?


「わ、悪かった……本当は起こそうと思ったんだが、あまりにも気持ちよさそうに寝ていたもんで……」


 美優が何に怒っているのかは知らないがここは一先ず謝っておこう


「私は謝れって言ってない!!」


 確かに謝れとは言われてない。じゃあ、どうしろってんだよ……なんて聞くと拗れそうだ。そう思いながら俺は準備を一旦止め、美優に近づいた


「悪かった。不安にさせて」


 美優をそっと抱きしめ、頭を撫でる。ワンパターンと笑いたければ笑えばいい。が、自分がここにいるって証明するのに手っ取り早いのが手を握るか抱きしめるかのどっちかなんだ。文句は言わせん


「ほんとだよ!!起きた時に遊くんいなくてすっごく不安だった!!怖かった!!」


 腕の中にいる美優は俺の服をガッチリ掴んでる。何でかは知らないが『絶対に離さない』。そう言われているみたいだ


「ごめんな……」

「突然いなくなったりしないって約束するなら許す……」


 毎度毎度の事であり、美優含む恋人達と似たり寄ったりの約束をしていると今更感が拭えなかったりする。しかし、今の美優は遊華達とはどこか違う何かを感じる。言うならば遊華達以上の依存心……で、リビングに入ってきた時のあの慌てよう……


「ああ、これからは突然いなくなったりしない。寝てたら書置きくらいしていくよにする」

「絶対だよ?もうあんな思いは嫌だから……あんな……大好きな人が突然いなくなる悲しい思いはしたくない……」


 大好きな人が突然いなくなる。それを考慮してのあの慌てようとあの怒りよう……で、美優が寝ている間に抜けたとしても書置きさえあればいいような事を言っていた。ここから導き出せる答えってなると死別か?それとも、蒸発か?どちらにしろ誰がって話なんだがな


「大丈夫だよ。死ぬ事に関しちゃ約束できないが、少なくとも蒸発はしねーから」

「え……?私、遊くんにお父さんが余所で女作って蒸発したって話したっけ?」

「え……?そうだったの?初耳なんだけど?」

「「え……?」」


 リビングにてポカンとする俺と美優。きっとアホみたいな顔してるに違いないんだろうなぁ……


「え?遊くんは私のお父さんが余所で女作って蒸発したって話を遊華ちゃんか由紀ちゃんに聞いてたんだよね?だから、蒸発なんかしないって言ったんだよね?」

「違うよ?俺はただ、美優の慌てようと怒りよう、『大好きな人が突然いなくなる』って言葉から美優は過去に死別か蒸発のどちらかを体験したんじゃないかって思って言ってみただけで、美優の過去に何があったかは聞いてない」


 当てずっぽうでものを言ってしまうのは俺の悪い癖だ。しかし、外れる事よりも当たってしまう事の方が多いから困る


「そ、そうなんだ……でも、すごいね、遊くん。私の仕草や言葉だけで過去に何があったかまで読めるなんて……」


 感心している美優には悪いが、俺は美優の過去に何があったかなんて読んじゃいない。ただ、美優が会話の中でヒントをぶちまけてくれた。それだけの話だ


「別に俺は読んだわけじゃない。ただ、適当に言っただけだ。」

「そっか……ねぇ、遊くん」

「何だよ?」

「私の過去について何も聞かないの?」

「美優が話たいなら話せばいいし、言いたくないのなら無理して言わなくていい」


 無理に話す必要なんてない。とは言ったものの、実際のところ俺は過去の事に対してあまり興味がなかっただけだったりする。親父が蒸発?勝手にしろよって感じだし


「うん……でも、いつか話すよ」

「ああ……」


 俺と美優の共通点……それは過去に親と何かあった事。だけど、物心ついてる分、美優の方が精神的なダメージがデカいと思う。それがこれからの事にどう関係していくのかなんて俺にはわからない。しかし、俺の本当の母も美優の蒸発した父親も避けては通れない事。それだけは理解できる。俺に関しちゃ進級した時にって手紙に書いてあったし


「さて!遊華ちゃん達が帰ってくる前に晩御飯の用意しよう!」

「だな……ちなみに、今日の夕飯はハンバーグだぞ」


 なぜだかは知らないが、今日に限って無性にハンバーグを食いたくなった。遊華達の事はもちろん考慮するが、晩飯くらい俺の好きにしてもいいだろうと思う。


「いいと思うよ?遊華ちゃん達だって文句言わないだろうし」

「本当に美優達は好き嫌いとかないから夕飯の献立を考えるのが楽で助かるよ」


 好き嫌いが多いと夕飯の献立1つ考えるのも大変だ。その点、美優達は好き嫌いが少ないから助かる。


「遊くんのお料理って美味しいから好き嫌いする余地がないんだよ」


 料理を作る側としては褒められて悪い気はしない。が、時々彼女の()()()()()()手料理が恋しくなる時が出てくる。本当に時々な


「自分の作った料理を上手いと言ってくれるのは素直に嬉しいぞ」


 未来に飛ばされてなきゃ俺は家事なんてする事はなかった。休みの日は部屋に籠ってゲームか読書ばかりしていただろうし、浩太と敬に彼女が出来たら俺は多分、自然消滅を装ってアイツ等から離れた。でもまぁ、初めて未来に飛ばされて俺は義妹と友人から大切に思われているんだなって実感したんだけど。


「うん!遊くんのお料理は美味しいよ!私が女としての自信を無くす程ね……」


 褒められているのに居たたまれないのはなんでだろう?


「あー……今度一緒に作るか?」


 遊華の料理は真っ赤で、香月の料理は今と未来じゃギャップがあり過ぎてコメントに困る。美月は……あれ?俺って美月の手料理を食べた事がないぞ?で、由紀は俺と一緒に料理する事はあっても由紀単体で料理してるところを見た事がない。美優も多分、できはするけど、あんまりしないタイプだ


「うん!あっ、でも、私、生のお魚は触れないからね?食べるのは平気だけど」

「え?それってアレか?切り身もダメなの?」

「あ、それは平気。でも、生きた状態の魚は触れないの」


 とりあえず、何からツッコめばいいか……


「美優、スーパーには稀に生きた魚とかが売ってる場合があるが、大抵の場合はすでに切り身になってるし、仮に生きてたとしても捌くのは頼めば店の人がやってくれるから俺達がやる必要なんてないんだぞ?」

「うん。でも、一応、言っておかないとね!」


 前もって言ってくれるのは嬉しいが、そんなあるかないかの事を言われましても……


「そうか。他にこれはダメだってのはないか?」


 できれば今度はあるかないかのレベルじゃなく、実際にありそうな事で頼むぞ……


「うーん……ない!」


 どうやら美優は生きた魚以外に苦手なものがないようだ。まぁ、今は余程の事がない限り生きた魚に触れる機会なんてないだろうけど


「ないならいい。それより、遊華達が帰ってくる前にさっさと用意しちゃいますかね」

「だね。怒りはしないと思うけど、後が怖いし」


 後が怖いって発言について詳しく聞きたかったが、本能が聞いたら最後だと告げていたような気がするのでその辺は聞かない事にした。誰だって命は惜しいだろ?




 遊華達が寝静まった深夜。俺は寝付けずキッチンで水を飲んでいた。遊華から始まり、美優で終わったヤンデレ騒動も今日で終わりだと思うとホッとする。が、美優の蒸発した父親の存在が気になる。話によると余所で女作って蒸発したって話だが、この話には少しだけ無理がある。仕事をしている人間が行き先も告げずに蒸発する?そんな事ができるのか?美優の母親が会社に問い合わせればすぐにでも見つかるはずだ。でも、美優は『父親は蒸発した』と言っている。


「美優関係で一波乱ありそうだな……」


 美優関係で一波乱ありそうなのは間違いない。だが、俺がそれを考えたところで何かができるというわけではない。俺はただの高校生に過ぎない。そんな俺に何ができるってんだ?


「俺の問題もあるってのに人の心配してる場合じゃないよなぁ……」


 俺の失言から始まったヤンデレ騒動は美優の意外な過去を知るという形で幕が下りた。が、俺の母親問題に加え、美優の父親問題まで浮上した。さっきも言った通り俺はただの高校生だ。他人の家庭の問題をどうこうできるほど大人じゃない。


「結局、俺は話を聞く事はできてもそれを何とかするのは大人なんだよなぁ……」


 本当の母にしても結局最後は俺じゃなく、大人が何とかする。しかし、手紙には俺を迎えに行くと書いてあった。問題はそこだ。ま、今考えても仕方ない。来た時に考えるか



今回は意外な美優の過去の話でした

この話では美優の過去について少し触れただけですが、それが後にどんな事になるのやら

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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