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【美優ヤンデレ編2】ヤンデレ美優にゲンナリした俺が1人で昼飯を食う件について

今回は遊が少々疲れ気味の話です。

今までは遊華達のヤンデレを寛大(?)な心で受け止めてきましたが、そんな遊にも疲れが?

では、どうぞ

 HR前に美優から狂気を感じるラブメールがすごかった。何がすごいってメールの量だ。1分毎にじゃなく、秒単位でメールが届き、俺の携帯のメールボックスは美優からの着信で埋め尽くされていた。当然だが、HR中に携帯が鳴った事は先生からも注意され、その場でバイブレーションをオフにした。で、そのHRも終わり今に至る


「途中からバイブオフにしたから着信があった事すら知らないが……多分あるんだろうなぁ……」


 携帯が鳴らないので着信があっても気が付かないのは当たり前の事だ。しかし、メールや電話は携帯が鳴ろうが鳴らなかろうが関係ない。来るものは来る


「携帯、見たくねぇ……」


 HR前の一件で俺は携帯を見るのに若干の躊躇いがある。ヤンデレに慣れてきたとは言ったものの、ヤンデレメールだけは何年経とうが慣れる気がしない。なんて言っててもいずれは見る事になる。嫌な事は早めに済ませるに限る。俺は意を決して携帯のメール受信ボックスを開いた


「う、うわぁ……」


 受信ボックスは美優からのメールで埋め尽くされており、そのメールの内容のほとんどが『嫌いにならないで』って事と『浮気しないで』って事、極めつけには題名も本文も『愛してる』のメールだった。


「美優に何があったんだよ……」


 今日の美優は全体的におかしい。朝起きた時にはいなかった事から始まり今に至るまでの全てがおかしい。どんな鈍くたってそれくらいの事は解る。だが、考え方を変えれば美優は精神的に不安定なんじゃないかとも考えられる


「俺の彼女はどうなってるんですかねぇ……」


 一般的には異常とも取れる美優の行動に頭を悩ませている俺だが、美優の事ばかり考えているわけにもいかない。俺だって学生なわけだから当然、勉強しなきゃいけない。


「美優の事も大事だが、勉強もしないとな」


 俺は一旦、美優の事を頭の片隅に追いやり、授業の準備に取り掛かった。幸いだったのは今日の授業の中にペアを組まされる可能性のあるものがなかったことくらいだ。


「美優……か……」


 授業中は考えないよようにしていても考えてしまう。今日の美優は昨日の由紀よりも変だ


「理由を聞かなきゃいけないんだよな……」


 そもそも、美優はどうして情緒不安定な状態になった?ヤンデレだから相手を病的にまで愛してしまうのは理解できる。ま、心理学的にはヤンデレの定義はハッキリ証明されてない的な事がネットの記事なんかにはあった。だが、今日の美優はヤンデレのそれか?う~ん……


「美優が病んだ理由か……」


 最近の事で言えば俺は由紀から指摘があったように俺は入院したことで心配を掛けた。倒れて救急車で運ばれ、その結果、入院なんてしたら心配するだろうけど、美優がそうなった原因ってもしかしなくてもそれか?それなのか?


「ダメだ、サッパリわからん」


 俺は考えるのを止め、目の前の授業に集中した。美優がどうして奇怪な行動に出たかは知らない。それを知ったところで俺は美優を捨てるなんてしないし、するつもりもない。



 あれこれ考えているうちに午前中の授業が全て終了し、昼休み


「そういえば、昼飯持ってきてなかったな……」


 弁当を作ろうと思えば作れる時間に起きた。しかし、今日に限って弁当を作る気は起きず、結果、俺は昼飯を買いに行かなきゃいけない。


「まぁ、今日くらいはいいか」


 いつもいつも昼飯を買っているわけじゃないから今日くらいは購買で昼飯を買って屋上で食うのも悪くない。そう思った俺は購買へと向かった。美優からのメール?それは屋上についてから確認するさ


「飯の調達もできたし、屋上行くか」


 購買で総菜パン2つを買い、俺は屋上に向かう。秋という事でこの時期に屋上で飯を食うのは少しきついものがあるが、屋上なら誰にも見られずに美優からのメールを確認できる。問題なのは飯を食う前に確認するか、それとも、食った後で確認するかだ


「誰もいないか……」


 屋上ならば浩太か敬がいると思ったが、さすがにこの季節じゃ浩太も敬もいないか……まぁ、それはいいとしてだ。飯を食うかメールの確認をするか……


「どっちみちメールは確認しなきゃいけない。ならば飯を食う前にメールを確認し、後顧の憂いなく飯を食うか」


 飯の後でメールを確認すると胃もたれを起こしそうなので飯を食う前にメールを確認する事にした。


「げっ……」


 携帯を取り出し、メールを確認した結果、受信は全て美優からでしかも、99件を超えていた。こんなにメールを出してて美優はちゃんと授業を受けているんだろうかと心配になる


「これじゃ携帯の容量パンクしちまうぞ……」


 サイレントマナーにしているから授業中に携帯が鳴るなんて事はない。しかし、メールだけで携帯の容量がいっぱいになってしまう


「しかも、相変わらず『浮気しないで』と『捨てないで』のオンパレード……後はまぁまぁ『何でもするから嫌いにならないで』って内容か……んな事言われなくても捨ても嫌いになりもしないんだが……」


 自慢じゃないが、ヤンデレと化した美優達とまともに付き合えるのは俺しかいないと自負している。何回も言うようでアレだが、5人も彼女がいて浮気する気なんてサラサラないし、彼女達を捨てる気もない。何でもするから嫌いにならないでとか言われても特にしてほしい事なんてない。


「美優の奴、どうしちまったんだ……」


 美優達が朝いなかったのも気になるが、美優の依存心が今日に限って強いのが気になる。遊華の日に浩太が言っていた『遊華達は自分の想いを押し殺している』ってのが本当なら美優の押し殺している想いというのは何だ?


「遊華の時にも鬼のようなヤンデレメールが来たが、美優はそれ以上だぞ……」


 遊華の時よりも多いヤンデレメールに頭を悩ませているとまた美優からメールが届いた


『私はどうもしないよ。ただ、遊くんが好きなだけ。できる事なら遊くんをずっと独占していたい。私達からずっと離れないようにしていたい。じゃないと遊くんがどこかに行ってしまう気がするから……ねぇ、遊くん。遊くんはずっと私達の側にいてくれるんだよね?そうだよね?』


「……………どうして俺の独り言の内容がわかるんだ?」


 美優からヤンデレメールが届くのはいい。だが、それとは別に俺の独り言の内容がわかるのはおかしい。考えてみれば今朝の女子との会話もそうだ。事務的な会話をしただけなのに美優は喋った事を知っていた。会話をした事から容姿までな。この時点で気づかなかった俺も間抜けだが、美優はどこかで俺の声を聞いている。そして、俺の様子を見ている。しかし、どこで?


「思い出せ……俺はいつもと何が違う?俺の周りで違った事は何だ?」


 俺はいつもとは何かが違う。そして、俺の周りで違った事。これさえ解れば自ずと答えも出てくる。いや、すでに答えは出ている。しかし、今までこんな事はなかったから戸惑っているのかもしれない。


「認めたくはないが、このお守りに盗聴器と隠しカメラが仕掛けられているのか……」


 俺が起きた時に美優達がいなかった事は後で本人達に聞く。浩太と敬が話しかけてこなかったのも何か事情があるだろうから暇な時に聞くとして、俺はお守りを持たされた。しかし、本来ならばこのお守りは持っている必要がないものだ。最初は置いて行こうとしたが、美優からメールを貰い仕方なく持って行く事にした


「少し考えれば解るだろ……俺のバカ……」


 そう、少し考えれば解る事だ。何故それをしなかったのか?言い訳をするつもりは毛頭ないが、いつもいる人間がまとめていなかった事、いつも教室に入ると必ずと言っていいほど声を掛けてくる人間が今日に限って声を掛けてこなかった事。そっちにばかり気を取られていてお守りに隠しカメラと盗聴器が仕掛けられているだなんて考えに至らなかった。それ以上に美優が心配だったってのもある


「美優達がまとめていない事や浩太と敬が声を掛けてこない事よりも未来に飛ばされる事の方が普通じゃないってのに……俺も価値観が狂い始めてるな」


 美優達がまとめていない事や浩太と敬に声を掛けられない事よりも未来に飛ばされる事の方が普通じゃない。だというのに、俺は美優達がいない事や浩太と敬が声を掛けてくれなかった事に動揺しすぎた。それだけこの日常が気に入っているって事だな。


「………………………そうか」


 いろいろな事を少し考え、妙案が浮かぶ。美優がお守りに隠しカメラと盗聴器を仕掛けた。お守りをちゃんと確認したわけじゃないから何とも言えないが、俺の独り言に反応してメールを寄こすタイミングの良さを考慮するとほぼ間違いないだろう。


「なんか今すぐ美優に会いたくなってきた……なんつーか、こう、無性に抱きしめたくなってきたってのか?そんな感じだ」


 俺の独り言を聞いているか?美優。聞いているのならすぐにメールを寄こしてこい!


「抱きしめたいとか言ってみたが、そんな都合よく美優がメールを寄こしてくるはずなんてないか……」


 今の言葉はもちろん、本心じゃない。美優は絶対にすぐにメールを寄こしてくる。しかし、サイレントマナーを解除する時間は欲しい。だから、俺はあえて美優を煽る事を言った。


「おっ!来た来た!」


 サイレントマナーを解除した途端、携帯が震えた。


『私もすぐに抱きしめてほしいよ!今から行くから待っててね?遊くん!』


 このメールで俺はお守りに盗聴器が仕掛けられているのを確信した。隠しカメラが仕掛けられているかどうかは美優が本当に俺が今いる屋上に来たらわかる。俺は浩太にも敬にも居場所を告げていないのだから。迷わずにここに辿りついたら隠しカメラの線は灰色に近い白から黒に変わる


「さて、気長に待ちますか……」


 風が少し冷たい気がするが、俺は眠気には勝てず、そのまま夢の世界に意識を堕とした。どうせ今日はボッチで過ごすんだ。少しくらい寝ててもいいだろ……







今回は遊が少々疲れ気味の話でした

前書きにも書きましたが、今まで寛大な心で遊華達のヤンデレを受け止めてきた遊ですが、何でしょうね・・・・そんな遊にも疲れが出てきたようで。今までが何も言わなかったりとか、リアクションが薄かったのかな?

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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