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【由紀ヤンデレ編6】由紀が変な件について

今回は由紀が普段しないような事をします

由紀が普段しないような事で遊が変だと思う事って何でしょうか?

では、どうぞ

「遊さん、ずっと一緒ですよ……」

「あ、ああ……」


 由紀に見つかったギャルゲーは売る事で片が付き、ようやく正座から解放され、本当の意味での休む事ができる。そう思ったのもつかの間、今度は由紀がいきなり俺を抱きしめてきた。彼氏としては嬉しいの一言に尽きるのだが、如何せん、目に光がないのが気になる。と、言う事で、とりあえず、由紀の言う事に同意してみました!だって、ヤンデレにも慣れてきたとはいえ、抱き着かれた挙句、こんな事をいきなり言われても困るだろ!?


「遊さん……」

「な、何だ?」


 とりあえず同意したのがバレたか?


「私は本当に遊さんとずっと一緒にいたいと思っています」


 いきなり何を言い出すんだ?未来じゃ俺との間に子供までいるんだ。少なくとも結婚はするだろ


「あ、ああ。俺も由紀とずっと一緒にいたいと思っているぞ」


 いきなりすぎて思考が追い付いて行かない。しかし、ずっと一緒にいたいと言う部分には俺も同意だ


「未来では私達は結婚し、子供もいます。ですが、足りないんです……」


 そう言って顔を上げ、俺を見つめる由紀の目は光がないどころに話じゃない。完全に濁っていた。それこそ、ヘドロが綺麗に見えるくらいに


「な、何が足りないんだ?金か?2人で過ごす時間か?」


 金が足りないのは仕事をしていないから仕方ないとして、時間は……俺の工夫が下手だから足りない。もっと由紀達1人1人と過ごす時間を増やしたいが、学校があるから簡単に時間を取れるわけじゃない


「いいえ、愛情デスヨ?」


 学校に家事。それと、本当の母。まぁ、本当の母の事は進級した時に考えるとしてもだ。学校と家事の両立で由紀達と過ごす時間がなく、愛情が足りないと言われてもそれは仕方のない事だった


「…………」


 愛情が足りないと言われ、言い返すことのできない俺は黙るしかなかった。反論の余地なんてない


「どうしました?いつもみたいに反論してこないんですか?」

「まぁ、由紀達1人1人と過ごす時間を作れなかったのは事実だし、作れたとしても俺が無意識のうちに由紀達に我慢を強いていたとしたら愛情が足りないと言われても仕方のない事だ。反論するだけ無駄だろ?」


 反論しようと思ったらいくらでもできる。しかし、将来結婚し、今みたいな状況で反論なんかしたら悪くて離婚、よくて家庭内別居間違いなしだ。俺は無駄な争いはしない主義だからな!くだらない反論なんてしないさ


「別にいいんですよ?反論してくれても。何なら学校と家事があるから仕方ないじゃないか!くらい言ってくださって構いませんよ?」


 目を濁らせて俺を煽ってくる由紀。しかし、俺は高校生で由紀は中学生だ。年上の俺が年下である由紀の煽りに簡単に乗るわけないだろ


「随分と煽るな。だがな、今から家事と学校を言い訳にしていたら将来仕事に就いた時に仕事を言い訳にするような気がするから反論なんてしない」


 よく仕事と私、どっちが大事なの!?なんて場面をドラマとかで見る。俺がそんな質問を彼女達からされたら迷わず仕事を取る。仕事をしなきゃ生活していけないからな


「反論、しないんですね……」

「まぁな。っていうか、いつもなら喧嘩を売るような真似なんてしない由紀が今日に限って珍しいな」


 いつもは喧嘩なんて吹っ掛けてこない由紀が喧嘩を吹っ掛けてくる。もしや!これが反抗期ってやつか!?


「遊さんはいつもそうです……」

「何がだよ」

「どうして怒らないんですか?」

「はい?」


 喧嘩を吹っ掛けてきたと思ったら今度はどうして怒らないのか?と来たもんだ。由紀は何がしたいんだか……


「遊さんが本当のお母さんの事を聞きに行った時の事です。あの時、私も話を聞いていましたが、正直、腸が煮えくり返る思いでした。ですが、遊さんはいつもと同じように平気そうな顔をしていました。どうして怒らないんですか?」


 由紀の言う通り、俺は手が付けられない程に怒り狂った事はない。その場のノリとかで怒ったりはするがな


「どうしてって、本当の母に限定して言うなら俺が覚えてないから。で、他の事に関して言えば別に怒り狂うほどの事でもないからかな」


 これで答えになっているかってのは不安だ。でも、紛れもない俺の本心でもある


「でも、そうやって怒りをスルーしていたらいずれ遊さんは壊れてしまいますよ?」


 怒りのため込み過ぎはよくないのは確かだ。でも、こう言ったらなんだが、取るに足らない事で怒っていても仕方ない


「由紀が心配してくれるのは嬉しい。でもな、取るに足らない事で目くじら立てていても仕方ないだろ?怒っているよりも楽しい事を考えていた方がいいしな」

「で、ですが……」

「それにだ。怒り過ぎたら血圧上がりそうだから怒らないんだよ」


 別に俺は心が広い方じゃない。自分が楽しみに取っていた食いモンを勝手に食われたら数日は不機嫌になる自信があるし、遊華にデタラメ吹き込んでくれた親父にはキッチリガッツリ仕返ししてやらないと気が済まない。それを考えると俺って心が狭いな


「遊さん……」

「何だ?」

「今から血圧の心配ですか?遊さん何歳でしたっけ?」


 ごもっともな質問をありがとう!由紀。だがな、最初と2回目は仕方ないとして、最近じゃ家に友達を呼ぶような感覚で未来に飛ばされてるんだぞ?そろそろ身体に異常があってもいいと思い始めてるんだぞ?


「16歳だけど?でも、若いうちから健康に気を使っておいて損はないだろ?人間、健康である事が1番いいんだし」


 最初の未来じゃ激痛でぶっ倒れて病院に運ばれた。2度目の未来じゃ滞在期間が短かったのもあってか俺を含めた全員の身体に異常はなかった。で、その後も俺は事ある事に遊亜によって未来に呼ばれるわけで、そんな生活をして身体にガタが来ないわけがない


「遊さん、ジジ臭いです」


 由紀さん?彼氏に向かってジジ臭いは酷すぎやしませんかね?俺だって花の高校生ですよ?まだオジサンと呼ばれる年齢じゃないんですよ?


「由紀、俺ってそんなに老けて見えるか?」


 由紀が見た目の話をしているんじゃないってのは理解している。でも、真面目な由紀をからかっても罰は当たらないだろ?


「い、いえ、遊さんは老けてなんかいません!考え方がジジ臭いって言っているんです!まだ10代なのに!」


 健康思考に年齢は関係ないんじゃないのかな?と思うのは俺だけだろうか?


「俺にも思うところがあるんだよ。由紀は夏休みに行った海でそれを体験しただろ?」


 あえて俺と一緒に未来へ飛ばされただろ?と言わないのは余計な事を言ってボロが出たら話がこじれるからだ


「は、はぁ、そりゃそうですけど……」


 俺が何も言わなくても由紀は解っていたみたいだ。さすがに夏休みと海ってパワーワードを出したら嫌でも言わんとしていることが解るか


「ま、それを考えたうえでの健康思考なんだ。ジジ臭いのは許してくれ」

「遊さんがそう言うなら私は何も言いませんが……」


 由紀は完全に納得してはいないだろう。思うところもあるかもしれない。それに、由紀には血圧が上がるから怒らないようにしているとは言ったものの、本当の母が目の前に現れた時、場合によっては怒り狂うかもしれない


「悪いな」

「いえ、私は遊さんの彼女ですから。彼氏である遊さんがそうしたいのであれば危険な事とかじゃない限りは止めませんよ」


 由紀の言い分だと俺の行動に制限がないように聞こえるだろう。しかし、実際は違う。他の女の影が少しでもチラついたら暴走する。由紀が言っているのは『恋人以外か浩太と敬の彼女以外の女が絡んでなく、俺に危険が及ばない事なら無理に止める事はしない』という事だ。そう考えると由紀は寛大なのかどうかが疑わしくなる


「危険な事なんてしないから安心しろ」


 少なくとも俺がそんな事をする場面が今のところないと言った方が正しいのかもしれない。いや、最近じゃ先輩に椅子で殴られたっけ?


「ほう、じゃあ、先日香月さんの日にどうして遊さんは見ず知らずの先輩に椅子で殴られたんですか?」

「うっ……それは……」


 中々に痛いところを突かれた。あの時は俺が先輩を煽った結果、椅子で殴られた。教室に怒鳴り込んできた時点で先生を呼ぶとか方法は沢山あったのに


「それは?それは何ですか?」

「そ、それは、クラスの連中に危険が及ばないようにしようとした結果でありまして……」

「そうですか。でもそれなら他に方法はいろいろありましたよね?例えば、先輩が怒鳴り込んできた時点で先生を呼ぶとか」

「あ、いや、はい、そうですね……」

「ですよね?それをできたのにどうしてしなかったんだすか?」

「あ、いや、何でだろうな~……」


 由紀の容赦のない尋問に冷や汗が止まらない。浮気した夫とかの気分じゃない。警察の取り調べを受けているような気分だ


「何でなんですか?遊さんなら答えられますよね?ね?」

「あ、あの時は先生を呼ぶっていう考えに至らなかったといいますか、余裕がなかったと言いますか……はい、そんな感じです」


 あの時は先生を呼ぶだなんて考えに至らなかったし、そんな事を考えている余裕なんてなかったから嘘は吐いていない


「へぇ~……」


 由紀のジト目は俺の弱点と言っても過言じゃない。遊華のジト目も怖いが、由紀のジト目は怖いに加えて鋭さがある。その射貫かれているような感じが苦手だ


「わ、悪かったよ……」

「別にいいですよ。遊さんが病院に運ばれたって聞いて私達が一晩泣いただけでし、香月さんも帰ってきてから泣き崩れていただけなので」

「うっ……」


 自分のせいで由紀達が一晩中泣いていたという事実と香月が帰ってきてから泣き崩れていたという事実に尋常じゃないくらいの罪悪感に支配される。マジで埋め合わせしないといけないな


「どうしました?遊さんは何も悪い事はしてませんよね?言葉に詰まる事なんてないんですよ?」


 悪い事をしたとか、してないとかの問題じゃない。肝心なのは由紀達がどれだけ不安に思い、どれだけ心配したかだ。


「悪かったなんて一言で済ませる気はない。何らかの形で埋め合わせはする」

「それっていつですか?いつしてくれるんですか?」

「い、いつって……時間ができた時?」

「じゃあ、私には今してください」

「それは構わないが、由紀は俺に何してほしいんだ?」


 心配を掛けたのは俺だ。何でも言う事を聞くくらいする


「私がいいと言うまで抱きしめていてください」


 由紀の要求は何て言うか、俺の中ではお約束だった。何かあるとハグ。安直だが、相手がいる事を確認するには1番手っ取り早い方法だと俺は思うし、何て言うか、人のぬくもりってのは落ち着く


「そんな事でいいなら……」


 俺は由紀をそっと抱きしめ、由紀はそれに応えるようにして俺の背中に腕を回す。


「怖かったです」

「ごめん……」

「心配しました……」

「それも……ごめん……」

「一晩中泣きました」

「ああ……」

「泣いたのは私だけじゃありません」

「済まない……」


 由紀の声が徐々に涙声になってきているのを感じた俺はそっと頭を撫でた。由紀はそれに対して何か言うわけでもなかった。ただ、由紀の抱き着く力が強くなった。


「遊さんは学習能力がありません。とんでもない大バカです」

「返す言葉もない」

「そんなバカな人に惹かれた私も大概ですけど……」

「惚れた弱みってやつか?」

「ですね……ねぇ、遊さん」

「何だ?」

「少し泣かせてください……」

「ああ」


 由紀は声を殺して静かに泣き始めた。俺はそんな由紀を見て自分が悪いって事と先輩がどれだけバカなのかを再認識した。本当に学習能力がないな……俺って


「遊さん……」

「何だ?」

「遊さんって騙されやすいですよね?」


 先程まで声を殺して泣いていたと思われる由紀から言われた唐突な一言に俺は意味が理解できなかった


「い、いきなり何だよ?」

「遊さん、私が本気で泣いてると思います?」


 由紀が何を言っているのか本気で理解できない


「どういう意味だ?」

「どういう意味も何もそのままの意味ですよ。さっきも言ったと思いますけど、遊さんが病院に運ばれた日の夜、私もそうですけど、遊華も美優も一晩中泣いてました」

「ああ、それはさっきも聞いた」

「で、遊さんが帰ってきた日も泣きました」

「何が言いたい?」

「遊さんって女の子のウソ泣きに滅法弱いんですね♡」


 顔を上げた由紀からは泣いた形跡がない。むしろ妖艶な笑みを浮かべていた。


「だ、騙したのか……」

「はい♡心配させられた仕返しです♡」


 俺はこの年下彼女に一杯食わされたと言うわけか……心配掛けてしまった手前、怒るに怒れないのが痛いが、怒ったところでって感じはある。それにしても、由紀が嘘を吐くとは……今日は奇妙な日だな……


今回は由紀が普段しないような事をしました

普段の由紀は遊を挑発したり、遊に嘘を吐いたりなんて事はしないのですが、今回は由紀が挑発し、嘘を吐く話でした。普段嘘を吐かない人が嘘を吐くっていうのはとても珍しいのかもしれません

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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