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【由紀ヤンデレ編3】俺が唐突に天ぷらを揚げる事を提案する件について

今回は遊が唐突に天ぷらを揚げる事を提案する話です

本当に唐突です。話の展開は考えてましたけど

では、どうぞ

 付き合っている異性の意外な一面を見た時、それを他の人間には見せたくない。そう思ってしまうのが人間だと思う。どうして俺がこんな話をしているかと言うと、俺の彼女である由紀が遊華から聞いた親父のデマでナース服を着てくれたからだ。そもそも、どうして平日の昼間に彼女と2人きりで家にいるかと言うと、俺が学校を休み、由紀も休んだからだ。彼女と家で2人きりとはいえ、暇なものは暇だ。


「なぁ、どこかに出かけないか?」


 学校を休んだ身でありながら俺は外出を提案する。俺の場合は高校の連中に、由紀の場合は中学の連中に見つかったらアウトだという事はもちろん解っている。だがしかし、ずっと家にいても暇なのも事実。それに退院したばかりだとはいえ、身体を動かしたい。そう思ってしまう


「遊さん、私達は学校を休んでいる身なんですよ?そんな人が遊びに行って見つかったら先生に怒られますよ?」


 由紀は駄々を捏ねる子供に言い聞かせるように言ってくる。確かに由紀の言う事は正論だ。学校を休んだ人間が遊び歩いていて見つかったら確実に怒られる。それは重々承知の上で俺は外へ行きたいのだ


「それは解っている。でも、俺は外に出たいんだよ。1日だけとはいえ、入院してたんだ。身体を動かしたいんだよ」


 昨日は病院の中を歩いたり、家まで歩いたりした。でも、結局は歩くしかしてない。歩くのも立派な運動ではあるけど、俺は激しい運動がしたい


「美月さんの話によると昨日は病院を歩いたり、家まで歩いて帰ってきたりしたそうじゃないですか。それで十分でしょ?」

「いや、それはそうだけど……」

「とにかく!外出は認めません!」


 何だろう?悪さして親に怒られた子供の気分だ。由紀の言う事は正論だから仕方ないんだけどな


「由紀の言ってる事は正論だし、今日は大人しく家にいるか……」

「そうしてください」


 ナース服を着ていても根は真面目なんだな。いや、ナース服を着ているからこそなのか?


「でも、家事も由紀が終わらせてくれたからやる事がない暇だ……」


 家事は全て由紀が終わらせてくれた。俺のやる事はない。忙しい時には喉から手が出るほど暇が欲しいと思うけど、逆に暇な時ほどやる事が欲しくなるから人間って不思議だ


「遊さんからしてみれば負担がなくなるのはいい事なんじゃないですか?」

「それはそうなんだけど、こうもやる事がないと暇なんだよ。さて、どうしたものか……」


 美月と2人ならゲームすればいい。遊華と2人ならゲームすればいい。香月と2人なら読書すればいい。美優と2人なら読書すればいい。こんな感じで由紀以外の奴だと意外と暇な時間を潰せる手段があるからいい。問題は由紀と2人きりになった時、どうやって暇な時間を潰すかだ。由紀はゲームをするタイプじゃないし……。読書と言っても由紀との読書は最終的にはスキンシップになるだろうし……あっ!久しぶりにアレを作るか!


「遊さん?何か暇を潰す方法を思いついたのですか?」

「ああ、俺の暇が潰せてそれでいて由紀も退屈しないとっておきの方法を思いついたぞ!」


 どうして俺はこんな簡単な事に気が付かなかったんだろうか?何も暇を潰すのは娯楽に頼るばかりが暇潰しじゃない。ゲームや読書しなくても暇は潰せるじゃないか!


「どんな方法ですか?」

「スッゲー久々だけど、これから天ぷらを揚げます!」

「はい?」

「いやだから、これから天ぷらを揚げるんだよ」

「は、はあ……天ぷらですか……」


 由紀は心底理解できないという表情を浮かべている。逆の立場で同じ事を言われたら俺だって理解できない


「ああ。念のために聞くが、由紀って好き嫌いとかアレルギーとかないよな?」


 遊華達の飯を用意しているのは俺だ。由紀の好き嫌いやアレルギーを把握してないわけがない。が、念のために聞いておく。今まで平気だったものが突然食えなくなったとかあるからな


「好き嫌いもアレルギーもありませんよ」

「それは何よりだ。さて、じゃあ、天ぷらで由紀の好きなものって何だ?」


 これは初めて聞く質問だ。未来じゃ遊華、由紀、美優の3人がした女子会の夜食に天ぷら蕎麦を作った事がある。だが、あの時の由紀達は20歳を超えていた。当然、味覚も今とは全く違うものになっている。未来の由紀が食べられたからと言って今の由紀が食べられるかといえばそうじゃない。成長して食べられるものだってある


「私の好きなものはイカとかエビとかですよ。後はかき揚げですね」


 イカ天とエビ天か……俺も好きだから作るには作るけど、その前に冷蔵庫に入ってるかな?


「俺もイカ天とエビ天は好きだけど、冷蔵庫にイカとエビあったかな?」

「本当に作るんですか?」

「当たり前だ。やる事がなくて暇だし、それに、今日の昼は俺と由紀しかいないんだ。豪勢に天ぷら蕎麦にしようじゃないか」


 遊華達が疎ましいわけじゃない。しかしだ。遊華達がいないからこそ豪勢に天ぷら蕎麦にしようだなんて発想が生まれる。それに、2人だけの秘密というのも悪くない。遊華達は台所に飲み物を取りに来る以外の用では入らないだろうし


「それは……そうですけど、遊華達にバレたら怒られませんかね?」


 由紀は遊華達にバレた時の心配をしているが、それは俺か由紀が遊華達に言わなければいいだけの事。何の問題もない


「俺達が黙っていれば平気だよ」

「ま、まあ、それならいいんですけど……」


 どこか納得してないようだが、俺は1度決めたらやり切る男だ。


「何はともあれまずは冷蔵庫の確認からだな」

「そうですね」


 俺達は冷蔵庫に天ぷらの材料があるかを確認しに行く。ついでだから天ぷら粉があるかも確認しておこう


「エビもイカも心もとないな」

「そうですか?私には十分だと思いますけど?」


 冷蔵庫の中にはエビもイカも2人で食べるには十分な量があった。しかし、遊華達が冷蔵庫を開けた時、エビとイカが大量に消えていたら気が付かれるだろうし、そこから俺達の昼飯の予想なんて簡単にされてしまう。


「この家に俺と由紀しかいないのならまだしも、遊華達だって住んでるんだ。冷蔵庫を開けた時にエビとイカが大量に消えていたら気が付くだろ?」

「それはそうかもしれませんが、遊華達が普段冷蔵庫を開けるのは飲み物を取る時だけで滅多な事じゃ開けないと思いますよ?」

「だとしても、万が一がある。買い足しといて損はないだろ」


 買い出しもするが、できれば買い出しのついでにどこかで遊びたい。これが本音だ。家にあるゲームだけじゃ飽きるしな


「それはそうですが、遊さん」

「ん?何だ?」

「もしかして買い出しのついでにどこかで遊ぼうとか考えてませんよね?」


 い、意外と鋭い……でも、ここでバレたら元も子もないし、天ぷらもできない


「そんなわけないじゃないか!買い物が終わったらすぐに家に帰ってくるさ!」

「そうですか。じゃあ、私が付いて行ってもいいですよね?」

「あ、いや、それは……」

「遊さんは病み上がりで大量の荷物を持って歩くのは大変でしょう?私も付いて行きますけどいいですよね?」

「いやー、どうなんだろうな?」

「い・い・で・す・よ・ね?」

「はい……」


 結局由紀の圧力に負け、買い物は2人ですることになった。元から由紀と2人で行こうとは思っていたが、こんな強引な方法で決められるとは思ってもみなかった


「じゃあ、着替えに行きましょうか?遊さんもその恰好で外に出るわけにはいかないでしょうし」

「そうだな」


 俺の格好は下がスエット、上はTシャツ。とてもじゃないが、買い物に行く恰好とは言えない。近くのコンビニに行くくらいならこの格好でもいいんだが、少し足を延ばしてスーパーまで行くならちゃんとした格好で行きたい


「じゃあ、着替えて玄関に集合ですね」

「ああ」


 俺と由紀は一旦別れ、それぞれの部屋へ着替えに行く。寝室は一緒だが、着替えとなるとやはり異性という事もあり、恥ずかしさはある。不思議なもので遊華は別に俺と同じ部屋で着替えても恥ずかしいとは言わない。これは付き合ってからの話なんだけどな。遊華と同じように香月と美月もそうだ。恥ずかしがっているのは美優と由紀だけだ。俺からしてみれば由紀達の反応が普通のような気がするが、遊華に至っては幼い頃に一緒に風呂に入ってたから恥ずかしさとかあんまないのか?


「できるだけ大人っぽい服装にするか。そっちの方が補導とかされないだろうし」


 大量の食材を持っている奴を補導する警察官はいないだろうし、そんな事をする奴は余程のバカしかいない。でも、世の中には万が一という事もある。用心するに越したことはない


「よしっ!準備できたし玄関に行ってるか」


 食材の買い出しに行くだけだからオシャレに気を遣う必要がない。例えば、髪をワックスで固めたりとかな。そんな事をするのはナルシストくらいのものだ


「遅い……いや、女子は準備に時間が掛かるものだ。気長に、気長に待とう……」


 俺が玄関で由紀を待つこと5分くらいが経過した。俺は男で特に化粧をする必要がない。だからこれは単純に俺の時間間隔が狂っているのかもしれないが、由紀を待っている間の時間が長く感じる。それはどうしてだ?いつもなら遊華もそうだが、待っている間の時間が長いとは感じない。それが今日に限ってどうしてだろうか?


「お、お待たせしました……」

「別に待ってない」


 親父から幼い頃に『女の子は準備に時間が掛かるものだからね。たとえ待たされたとしても待ってないって答えるんだよ』なんて言われた事がある。その時の俺は幼いって事もあってか親父が何を言ってるのか理解できなかった。それが今になって理解できるとは……


「そ、そうですか……ところで遊さん、今の私、どこか変化がありませんか?」


 そう言って由紀は一回りして見せる。


「変化?あー、服はよく似合ってるし、ナチュラルメイクしているってとこと髪形以外の変化はなさそうだけど、シャンプーでも替えたのか?」

「…………いえ、何でもありません」

「そうか?何でもない割には顔が赤いぞ?」

「バカ……」


 顔を真っ赤にして俯く由紀の表情は窺えないが、ナース服じゃ表を歩けないだろうし服を変えるのは当たり前だ。しかし、どうしてナチュラルメイク?ちょっと買い出しに行くだけなのに……まぁ、何はともあれ由紀を怒らせなくてよかった






今回は遊が唐突に天ぷらを揚げる事を提案する話でした

この話の展開は考えてましたが、遊は時々唐突に何かをしようと言い出します。あ、それは前からか・・・・

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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