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【由紀ヤンデレ編2】俺の言い方が誤解を生む件について

今回は遊の失言で誤解が発生してしまう話です

遊はどんな言い方で誤解を生んでしまうのでしょうか?

では、どうぞ

 ネットで恋愛関係の記事で女性にモテる男の条件の中に“行動力がある人”という項目を目にする事がある。確かにその通りだ。俺も同じ男として行動力のある人は憧れる部分がある。まぁ、他にもいろいろとモテる秘訣というのはあると思う。例えば、自分の趣味に全力で取り組める人とか。おっと、今はモテる秘訣の話は置いといてだ。俺は彼女よりも行動力がない。そう実感させられていた。


「由紀、さすがにこれは……」


 遊華達を送り出した後、俺達は互いの学校に欠席の連絡を入れた。それはいい。休む時に連絡を入れるのは当たり前の事だ。しかし、欠席の連絡を入れた後の由紀の行動力には目を見張るものがあった。最初に由紀は俺の目の前にあった朝食を()()あーんで食べさせた。それが終わった後、全ての食器を洗い終え、その他の家事をあっという間に終わらせてしまった。そして、現在、由紀はナースのコスプレで俺に膝枕をしてくれている


「嫌……でしたか……?」

「嫌ってわけじゃないけど、なんでナース服?」


 2人きりのリビングで彼女からの膝枕。彼氏である俺にとっては彼女にしてほしい事のトップ3に入るシチュエーションだ。拒否する理由なんてない。ただ、ナース服である1点を除けば


「前に遊華から遊さんはナース服で膝枕すると喜ぶと聞いたものですから思い切ってやってみました!」


 頭が痛いとはまさにこの事だ。俺は遊華に1度たりともナース服が好きだとは言った事がない。第一、俺は遊華と好きなコスプレについての話をした事がない。よって遊華の情報はデマって事になる。しかし、一体誰が遊華にそんなデマを……いや、何となく想像は付く


「そうか。よく似合っている」

「本当ですか!?」

「ああ。普段は真面目な由紀だからこそ最高に可愛いと思うぞ」

「ありがとうございます!」


 そう言う由紀は目を輝かせ、満面の笑みを浮かべる。彼女がっていうか女子だな。服装や髪形を変えたりしたらまずは褒める。俺の中での常識だ


「似合ってるついでに俺がナース服が好きだって遊華から聞いたって言ってたが、その遊華は誰から俺がナース服が好きか聞いたか言ってたか?」


 俺が遊華に直接ナース服が好きだとは言った覚えがない以上、そのデマを流した黒幕がいるはずだ。別に大した事じゃないが、当事者である俺には知る権利がある


「遊華は遊斗さんに聞いたって言ってましたけど、遊さん、本当はナース服が嫌いですか?」


 さっきとは違い、一気に暗くなる由紀。ナース服が嫌いってわけじゃない。ただ、言った覚えのない事をベラベラ喋られるのが気に入らないだけで


「ナース服は嫌いじゃない。だけどな、特別好きだってわけでもないんだ。ただ、遊華が吹き込まれたデマの出どころが知りたかっただけなんだ」


 別に由紀のナース服姿が嫌いだとは言ってない。ただ、デマの出どころが知りたかっただけで


「そうだったんですか……私はてっきり遊さんが本当はナース服が嫌いなのかと思いました」

「別にナース服が好きなんじゃなくて彼女のコスプレが好きなんだよ」


 何かスゲー気持ち悪い事言ってるが、そこはこの際気にしない。そんな事を気にしていたら俺は彼女達の行動を常に気にしなければならなくなる。それこそ、ストレスで剥げてしまうかもしれない


「あう……そ、そうですか……」


 顔をこれでもかと紅潮させる由紀は普段とのギャップからなのか、本当に可愛く見える。別に普段が可愛くないと言っているわけじゃない。普段から可愛いけど、今は普段とは違う可愛さがあるってだけで


「ああ、最高に可愛いよ。それに、収穫もあったし」

「収穫?何ですか?」

「普段とは違う由紀の表情を見れた事」

「そ、それはよかったです……」


 さっきと同じように顔を紅潮させる由紀に『本当は由紀の普段とは違う表情を見れた事と遊華にデマを吹き込んだ犯人が親父だった事』だなんて言えない。言えるはずがない


「ああ、普段とは違う由紀が見れたところで頼みがある」

「何ですか?耳かきですか?添い寝ですか?」


 頼みと聞いてどうして耳かきと添い寝が真っ先に出てくるのかは置いといてだ。俺の頼みたい事は別にある


「それは後でのお楽しみにとっておくよ。頼みたい事ってのは俺の電話取ってくれないか?って事だ」

「遊さん、私がいるのに他の女に電話するのですか?」

「は?」


 由紀は目に涙を溜め、不安そうな表情で俺を見つめる。他の女というのは間違ってはいない。間違ってはいないが、電話をするのは自分の母親だ。母親に電話するのが浮気だって言うなら世の中の彼女がいる男性諸君は浮気常習犯になってしまう


「私といるの退屈でしたか?」

「いや、そんな事ないぞ」

「だったらッ!どうして他の女に電話掛けるんですかッ!!遊さんには私がいるじゃないですかッ!!私が──────いや、私達がいるのにどうして浮気なんてするんですかッ!!答えてくださいッ!!」


 膝枕されながら怒鳴られるって経験はそうできるものじゃない。いらない経験だけどな!それに、由紀は完全に勘違いしているみたいだ


「由紀は何か勘違いしているみたいだけどな、俺が電話するのは自分の母親だ。My motherだ。OK?」

「はい?今、何て?」

「だーかーら、俺が電話する相手は自分の母親!由紀からしてみれば他の女になるとは思うが、浮気じゃない!母親に用があるから電話するんだよ!」

「そ、そうだったんですか……っていう事は遊さんの浮気はもしかして……」

「由紀の勘違いだ」


 俺が勘違いを宣告した途端、由紀は顔をこれでもかと真っ赤にし、顔を背けてしまった。母親を他の女と言った俺の言い方も悪かったと思う。しかし、由紀からしてみれば母さんだって他の女だ。間違ってはいない


「あー、恥ずかしがってるとこ悪いけど、電話取ってくれると嬉しいんだけど?」


 恥ずかしがっているところも可愛いんだけど、俺は母親に用がある。別に急ぎの用事ってわけじゃないが、用があるのには変わりない


「は、はい……すぐに持ってきますね」


 由紀は一旦俺から離れ、寝室へと駆けて行った。その間、1人になった俺はさっきのやり取りを思い返してふと思う。『今度から母親であっても他の女って言い方は止そう』と。


「母さんに電話するのなんて夏以来か?」


 俺が母さんに電話するのは夏の海以来だ。それ以降、今日に至るまで母さんもそうだが、親父にだって電話した記憶がない。単にしょうもない内容だったから忘れているだけかもしれないが……


「遊さん、戻りました」


 由紀が俺の電話を持って戻ってきた。まぁ、ベッドの脇に充電器に差したまま置きっぱだったから見つけるのは簡単だから探すのに大した時間は掛からないので早く戻ってくるのは当たり前の事だ。


「お帰り。戻ってきて早々悪いけど、母さんに電話掛けてもらっていいか?」

「え、ええ、構いませんけど、いいんですか?」

「何が?」

「いえ、彼女であろうと電話の中身を見られるのは嫌じゃないんですか?」


 彼女であろうと電話の中身を見られるのが嫌な人はいる。が、俺は疚しい事をしてないから別にいい。


「別に疚しい事はしてないし、それに、由紀だって1度は信用して見せたものの、心のどこかで俺が浮気しているんじゃないかと疑い続けたくはないだろ?それを考えると別に電話帳の1つや2つ見られても構わない」


 人間なんて100パーセント信じられるかと言われればそうじゃない。どんなに好きな人でも信じきれない部分ってのはある。特に、1回でも疑惑を持ってしまった時がそうだ。じゃあ、その疑惑をどうやって晴らすか?証拠が残りそうなものの中身を自分で確かめたらいい


「わかるんですね……私が少しでも遊さんの浮気を疑っていた事……」

「まぁな。だが、元はと言えば俺が自分で蒔いた種だ。由紀が気にする事じゃない。それより、母さんに電話してくれ。あ、スピーカーにするのを忘れるなよ」

「わ、わかってますよ!」


 由紀は俺を再び膝枕し、俺の携帯から母に電話を掛けた


『もしも~し、どうしたの?』


 3コールの後で電話に出た母さんの声は心なしか気怠そうだった。ひょっとして昨日飲んでたのか?


「あー、大した用じゃないんだけどな。親父から昨日メールで母さんを襲いたいんだけど、どうしたらいい?って聞かれたから電話した」

『嘘!?』


 電話越しにでもハッキリ解るくらいに嬉しそうな声を上げる母さん。今言った事はもちろん嘘だ。本当は親父からそんなメールは来てない。それにだ、親父が息子にそんな相談をすると思うか?


「本当だ。親父の奴、最近母さんが愛しすぎて頭が狂ったのか、母さんを襲うにはどうしたらいいって相談してきて困ってるんだ。何とかしてくれ」

『今からでも迫ってみるわ!!じゃあね!!』


 鬼気迫る母は俺の返事を待たずに電話を切った。


「遊さん……」


 通話終了後、頭上から由紀の呆れるような視線が刺さる。だが、俺は後悔はしていない。遊華にデマを吹き込み、遊華から由紀に伝染した。由紀のナース服姿を見られたのは俺にとって役得ではあったが、それとこれとは話が別だ。やられたらキッチリやり返すのが俺の流儀だ


「由紀、人を傷つける嘘を吐くのは悪い事だ。だがな、今回の嘘で誰も傷ついてない。あって精々親父が消耗するだけだ。何がとは言わないが。親父の何かが消耗するだけでみんなが幸せになれるなら安い犠牲だ」

「はぁ……呆れた……」


 年下の彼女に呆れらてしまった。俺も同じ立場なら呆れる。が、親父1人が吸い尽くされるだけでみんなが幸せになれるんだ。良しとしようじゃないか


「そう言うな。親父1人が吸い尽くされるだけで母さんも遊華も由紀も幸せになれるんだ。いいじゃないか」

「何がいいんですか?全く……」

「何がって親父と母さんは夫婦円満で過ごせるし、俺は遊華と由紀のナース服を拝めるし、遊華と由紀は後何回かしかできないコスプレができる。これのどこに不満があるんだ?」


 本当はコスプレに年齢制限なんてない。しかし、考えてみてほしい。否定するわけじゃないが、年齢によってはコスプレがキツイ年齢だってある。それを考えるとコスプレは若いうちにやっておいた方がいいに決まっている


「はぁ、遊さんが言ってくれたらコスプレくらいいくらでもしますよ」


 ため息を吐きつつも嬉しそうな表情を浮かべる由紀の姿を見て和むところなんだろうけど、言い回しは俺がコスプレマニアのような言い回しだ。言っとくが、俺はコスプレマニアじゃない。


「そう言ってくれるのは嬉しいが、俺はコスプレマニアじゃない。それに、毎度毎度リクエストしていると催促しているようで嫌なんだ。そういうのは年に1回くらいがちょうどいいんだよ」


 あくまでも俺の個人的な価値観になってしまうが、コスプレは何回も見ていると飽きてくる。だから、年に1回くらいがちょうどいい。俺はそう思う





今回は遊の失言で誤解が発生してしまう話です

遊が母を他の女と言わなければ発生しなかった誤解でした。個人的にも母を他の女と言うのはおススメしません。遊以上の修羅場になりますから

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました


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