【美月ヤンデレ編5】罰ゲームの内容がいつの間にか変更していた件について
今回は罰ゲームの続きなのですが、いつの間にか内容が変更していた話です
前回の話で罰ゲームの内容が『遊華達が帰ってくるまで抱きしめている』でしたが、どんな内容になっているのか?
では、どうぞ
よく小説なんかだと“どうしてこうなった?”なんて言葉を目にする。アニメだと主人公が口にする言葉だと思う。まぁ、大抵がラブコメ等で使われる事が多い。あくまでもこれは俺の独断と偏見だから必ずしもそうだとは言えない。それはいいとしてだ。俺はこの言葉を一生口にする事はないと思っていた。しかし、あえて言わせてもらおう。どうしてこうなった?
「あら?遊は恋人の私に押し倒されているのが不満かしら?」
「いや、不満はない。ただ、罰ゲームは遊華達が帰ってくるまで抱きしめるだったはずがどうしてこうなったんだろうと思ってな」
俺は美月とのゲームで負け、その罰として遊華達が帰ってくるまで抱きしめている。それが俺の罰ゲームだったはずなんだけど、いつから美月に押し倒されても抵抗しないに変わったんだ?
「別にいいじゃない。抱きしめるのも押し倒されるのも大して変わらないのだし」
「いや、大分違うだろ」
世界中探しても抱きしめる事と押し倒される事を一緒にする奴なんて美月くらいしか……いや、遊華達も同じ事を言うか。
「そうかしら?まぁいいわ。それより、ベッドに行きましょう?リビングだと背中を痛めるだろうし」
「あ、ああ、そうだな」
言葉だけ聞いてるとこれからいけない事をするような感じに聞こえなくもない。だが、誤解のないように言っておくけど、俺は責任取れないうちから恋人達と肉体関係を持つ気はサラサラない。別に彼女達に魅力がないと言ってるんじゃない。ただ、身体の事や世間体、後の事を考えると困るのは女性だ。クズの考えになってしまうが、男の方はいくらでも逃げ道がある。だからと言って俺は美月達が妊娠したとしても逃げないし、子供が生まれても子育ての手伝いはする。が、学生のうちから妊娠したとなると美月達に迷惑が掛かるのは火を見るよりも明らかだ
「懐かしいでしょ?」
寝室に来た途端に懐かしいと言われても反応に困る。何が懐かしいんだ?
「いきなり懐かしいだろって言われても何に対して懐かしいと言ってるのかわからないから反応に困るんだけど?」
「それもそうね。じゃあ、こう言った方がいいわね。遊、久々に家のベッドだけど、懐かしいでしょ?」
「久々って言われても俺が家にいなかったのは1日程度だ。懐かしいも何もあるかよ」
何か月も家を離れていたら懐かしさも少しは感じると思う。だが、俺が入院していたのは1日程度。それくらいで懐かしさを感じているようなら未来に飛ばされた時点で俺は壊れていたかもしれない
「あら?1日家を離れただけでダメになってしまう人もいるのよ?知らなかったかしら?」
「それは知っている。それに、ダメになるかどうかはその人次第だろ?で、そんな話はいいとして、罰ゲームの続き、するんだろ?」
人の価値観についての話し合いをすると時間がいくらあっても足りない。そう思った俺は価値観の話から罰ゲームの続きに話題を切り替えた。
「ええ、するわよ」
「じゃあ、早くやろうぜ」
「そうね。ぼんやりしているうちに遊華ちゃん達が帰ってきてしまうものね」
「ああ。今日は美月の日だって事を遊華達も理解してないわけじゃないとは思うが、嫉妬が原因で無駄な争いが起こらないとも限らない」
俺のこの言葉をキッカケに美月はゆっくりと俺の上に馬乗りになった。俺が病み上がりじゃなかったらこの状態は非常によろしくないものだ。美月には悪いが、そう考えずにはいられない俺がいる。
「ねぇ、遊」
「何だ?」
「病み上がりじゃなかったらこの状況はよくないものだって考えたでしょ?」
「何の事だ?それじゃまるで俺が美月に押し倒されることに対して嫌悪感を持っているようじゃないか」
美月に押し倒される事について嫌悪感は持っていない。それでも病んでる状態の美月に押し倒されるなんて事はなかったから新鮮ではあると感じている
「違うの?」
「違う。そもそも、俺はそんな事一言も言ってないだろ?」
「ええ、言ってないわ。でも、考えた」
美月、お前はエスパーか?確かに考えはしたけど、それは悪い意味でじゃない。俺だって男だ。学生のうちから肉体関係を持つ事は危険だと常日頃から言っている身ではあるが、魔が差すという事だってある。その場の雰囲気でついなんて事だってある。俺は彼女達を大切にしたいから安易な気持ちで手を出さないだけだ
「…………」
「黙るって事は考えたのよね?」
「…………」
「遊、質問に答えて」
黙り込む俺を光のない目で見つめる美月。頭では美月を大切にしたいから手を出さないという結論が出てはいる。しかし、その思いを伝えるのに言葉選びを間違えたら大変なことになる。ここは慎重にいかなければ
「そうだな、確かに病み上がりじゃなきゃこの状況はよくないものだと考えた。だけど、それは美月に女としての魅力がないとかそういう意味じゃない」
「そう、じゃあ、どういう意味なのかしら?」
「美月は魅力的な女の子だ。襲おうかと考えたこともある。けどな、責任も取れないのに肉体関係を持つような事はしたくない。そういう意味だ。美月だって俺が施設に放り込まれた事知ってるだろ?」
「ええ、知ってるわ。一緒にその施設に行ったじゃない」
恋人に馬乗りにされた状態で話をするって人が見たらツッコミが入りそうだが、幸いな事に今は俺と美月しかいない
「だな。そこで思ったんだよ。育てられもしない子を妊娠させたり、産ませるような真似はしたくないってな」
借金をするのは勝手だ。ローンを組むのだって借金の1つだしな。俺の本当の母はどんな理由で借金をしたのかは知らない。車のローンかもしれないし、家のローンかもしれない。ひょっとしたらギャンブルが原因で借金をしたのかもしれない。考え出したらキリがない。だが、生まれてきた子供を施設に入れるような真似だけはしてほしくなかった。それが俺の本心だ。置き去りにされるよりかはマシだけど
「そう。遊がそう思うのも無理はないわね。物心つく前には既に母親は華さん、父親は遊斗さんだったわけだし。それに、今更になって進級したら迎えに行くって都合のいい手紙に病院では謎の女性に兄呼ばわりされる。遊が子育てに対して不安を持つのはよく理解できるわ。でもね、遊」
「何だ?」
俺に近づいてきた美月は笑みを浮かべてはいたが、その目に光は宿っていなかった
「何も心配しなくていいのよ。辛い事や苦しい事があったら私が全て受け止めてあげる。遊を苦しめる人がいたら私が全力で排除してあげる。遊の望む事なら何でもしてあげるわ。だから、遊は何も考えなくていいのよ?ただ、私の───────いや、私達のそばにずっといてくれればそれでいいの。私達の事だけを見てくれればそれでいいの」
「あ、ああ、わかった」
美月の言っている事は俺にとっては都合のいい事にしか聞こえない。その提案をいつもなら否定し、却下するが、今日の俺は精神的に不安定らしい。その提案を受け入れてしまった。まぁ、たまにはいいか。誰かに甘えても
「いつもは自分の事は自分でするような事を言ってるのに珍しいわね。遊が自分から甘えるような提案を受け入れるだなんて」
「俺だって彼女に甘えたいと思う時だってある。それに、兄呼ばわりする謎の女だって出てきたんだ。本当の母の事だって本格的に考えなきゃいけないだろ?」
今までは大したことないだろうと考えていた。しかしだ、入院中に見知らぬ女性から兄呼ばわりされ、聞いた話によると人違いでも何でもない。そうなると本気で考えないわけにはいかない
「確かにそうね。私を差し置いて遊をお兄ちゃん呼ばわりとは許せないわね……それこそ、殺したいくらい妬ましいわ」
美月さん?殺意が漏れてるのもありますけど、あなた、俺を兄と呼びたいんですか?
「美月、殺意漏れてるからな」
「あら、うっかり」
美月が俺を兄と呼びたいかどうかはあえてスルーし、殺意が漏れている事だけを伝える。兄の件について話すとこれまた時間が掛かりそうだ。それにしても、恋人であんまり傷つけるような発言はしないようにしようと思ってたんだが、さすがに馬乗り状態が長く続くのは俺としては好ましくない。
「それはそうと、眠い……」
俺はあえて重いとは言わず、眠いと言って何とか美月が俺の上から退くように仕向けてみた。さすがに眠いと言えば美月だって退くだろ
「それじゃあ、私が一緒に寝てあげましょうか?」
「ああ、頼むわ」
美月は俺の上から退き、隣に寝転んだ。
「こうして遊と2人きりで寝る事ってあんまりないわよね」
「いきなり何だ?」
「いつもは遊華ちゃんを始めとする他の子がいるじゃない?だから2人きりで寝る事ってあんまりないなと思ったのよ」
「言われてみればそうだな。恋人達を贔屓しないためにいつもはみんなで寝てるな」
俺としては別に曜日毎に一緒に寝る相手を変えてもいいんじゃないかとは思う。実際、ベッドが小さかった頃に考えなかったわけじゃない。今となっては親父と美月と家具屋の店員に買わされたベッドがある。それも2人で寝るには大きすぎるやつがな。それを考えると別に2人きりに拘る事なんてないのかとも思う
「遊が私達を平等に扱ってくれるのは嬉しいけれど、たまには2人きりで寝たいわ」
頬を紅潮させ、俺を見つめる美月は普段の天然キャラからは想像できないくらい大人っぽい。普段のイメージが可愛いで今のイメージが美しいって感じだ
「そうだな、俺も美月と2人きりで寝たいな。ま、それは遊華達にも言える事だけどな」
美月と2人きりでいる時にほかの女の名前を出すのは世間一般的にはアウトなんだろうけど、5人の彼女がいる俺的には気が引けるところも有りはするが、普通の事だと思う
「私と2人でいるときに他の女の名前を出すのはどうなの?と問いただしたいところだけど、同じ恋人だから許してあげる。その代わり、遊、やる事はわかっているわよね?」
「あ、ああ」
俺は美月を抱き寄せ、腕の中に収める。恋人である遊華達の名前を出してようやく許されたんだ。これが恋人でも何でもない女の名前を出したらと思うとゾッとする。
「遊、これからもずっと側にいてね。私、あなたがいないと生きていけないから……」
「心配しなくても俺の居場所なんて美月達の側以外にない」
恋人からの重すぎる愛。最初の未来じゃ義理の姉だった美月。そんな女の子が今じゃ俺の恋人。人生ってどう転んだらこうなるのか?と聞かれれば俺は迷わず未来に飛ばされたらこうなると答えるけど、未来に飛ばされるだなんて奇特な体験をしている人間なんて世界中探してもそうはいないよなぁ……何はともあれ、今は恋人と2人の時間を楽しみますか
今回は罰ゲームの続きなのですが、いつの間にか内容が変更していた話でした
さすがに『遊華達が帰ってくるまで抱きしめている』のはいくら何でも不可能なんじゃないかな?
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました