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【美月ヤンデレ編4】俺が美月と賭けをした件について

今回は美月と賭けをする話です

さて、遊と美月は何を賭けるのでしょうか?金かな?

では、どうぞ

 家に帰ってくるのが随分と久しぶりに感じる。病室が1人部屋だったとはいえ、やはり心のどこかでは窮屈だと思っていた証拠だ。そりゃそうだよな……家じゃある程度の自由は──────ない場合もあるが、ここはある事を前提で話を進めよう。ある程度の自由がある自分の家とは違い、病院だと決まりがある。例えば、消灯時間とか、一昔前だったら喫煙スペースとか。そんな窮屈な生活よりもある程度の自由が約束された生活の方が楽に決まっている。それはいいとして、現在俺は誰も遊華達がいない家で美月と2人きりでいる。遊華達が学校に行っているのだから当たり前っちゃ当たり前か


「暇ね。特に面白い番組もやってないし」

「そりゃ、平日の昼間なんだからワイドショーか通販番組しかやってないだろし、それを見て面白いと思う10代はそうはいないだろ」


 さっきはワイドショーか通販番組しかやってないだろうとは言ったが、実はドラマの再放送もやってたりする。だが、俺達のような若者が見て面白いかと聞かれたら必ずしもそうだとは言えない。人の感性ってそれぞれだし、それを見て面白いと思う人もいれば詰まらないと思う人もいる


「こんな時、世間の主婦の方々はどんな事をして暇を潰しているのかしら?」


 世の専業主婦の方々がどんな事をして暇を潰しているか?だなんて俺が知るはずもない。だって、俺は平日の昼は学校に行ってるわけだしな


「さぁ?ママ友とお茶したり、ワイドショー見たりしてんじゃないのか?まぁ、若い人だとゲームをしてるってこともあるだろうけどな」

「はぁ……結局、時間の使い方なんて人それぞれってわけね」

「そういう事だ」


 結局俺達は暇を潰す方法が見つからず、リビングにて緑茶を啜るという熟年夫婦のような昼を過ごしている。が、それだって飽きる


「本当に暇ね……」


 確かに、美月の言う通り暇だ。忙しい人は暇な時間が欲しいと言う。だが、今の俺達にとっては暇な時間よりも何か作業する時間が欲しい。心の底からそう思う


「家にいても退屈だし、今からでも学校に行くか?」

「遊にしては珍しい提案だけど、ダメよ。遊は今日1日安静にしてないと」


 美月の言う通り俺にしては珍しい提案だし、今日1日は安静にしてなきゃいけないってのも間違っていない。身体は元気なんだが、それでも何かあったら大変だ


「と、なると、本格的に暇だな」

「そうね。ねぇ、遊?」

「なんだ美月?何か暇を潰せるいい案でも浮かんだのか?」


 美月は暇を潰せるいい案が浮かんだのか?だが、ちょっと待て、男同士なら対戦ゲームをして時間を潰す事も考えられるだろう。しかし、美月は女であり、俺の彼女だ。いくら今まで彼女どころか異性に縁のなかった俺でも彼女と2人きりであるこの状況で対戦ゲームをするだなんて事はしないぞ?まぁ、美月に暇を潰せるいい案があるのならそれに乗っかろう。


「ええ。遊華ちゃん達が帰ってくるまで対戦ゲームでもして時間を潰そうと思うのだけど」


 ええぇぇぇぇ!?ま、まさかの対戦ゲームぅぅぅぅ!?いや、最初に飛ばされた未来でも美月と行った場所はゲーセンだったけどよぉ……あくまでもそれは20歳過ぎた美月とであって今の美月じゃない


「お、俺はそれでもいいが、美月はいいのか?恋人と2人きりの今、対戦ゲームなんかで時間を潰して」


 対戦ゲームなんかって言うと作っている人達に申し訳ない。しかし、恋人っぽくないと思う俺もいる。まぁ、対戦ゲームが好きなカップルもいるだろうから一概に悪いとは言い切れないんだけどな


「ええ。私は構わないわ。それに、ただ対戦ゲームをやるのも味気ないから何か賭けない?」

「何かって何だよ?生憎今の俺の手持ちはあんまないからプレゼントは無理だぞ?」


 自慢じゃないが、今の俺には手持ちがない。高校生でバイトもしてないから当然と言えば当然だ。仮にバイトしてても彼女が5人もいたらデート代ですぐに吹っ飛ぶと思う。遊華達がプレゼントを強請るような奴らじゃないってのは知ってるが、俺だって男だ。頼まれてなくてもプレゼントしたり、奢ったりとかはしたい。男のプライドにかけて!


「大丈夫よ。賭けるのはお金じゃなくて私達自身。解りやすく言うのであれば勝った方が負けた方の言う事を聞く。これじゃダメかしら?」


 金を賭けるよりは幾分かマシだ。金の切れ目が縁の切れ目って言うしな。でも、それでも不安は残る。美月は勝って俺に何をさせるつもりなんだ?う~ん、思いつかん!!


「金が掛からないのであれば俺は何でもいいが、美月は俺に何をさせるつもりなんだ?」

「内緒よ。それより、遊は私に何をさせるつもりなのかしら?」

「勝った時に考える」


 突如決まった罰ゲームありのゲーム対決。しかし、俺は美月に対してもそうだが、特にこれといってしてほしい事なんてない。家事は俺が好きでやってるし、手料理を食いたいか?と聞かれれば別にしたい時にしてくれればいい程度にしか考えてなかった。つまり、俺という人間には欲というものがあまりない。ハーレムも俺が強く望んだわけじゃないが、叶ってるしな


「そう。ま、今はいいわ。私は遊に勝った時に何をしてもらうかはもう決めてあるから」


 俺にさせたい事をいつ決めたんだ?なんて野暮な事は聞かない。しかしだ。美月は勝って俺に何をさせるつもりなんだ?


「そ、そうか……あんまり無茶なことはさせないでくれよ?退院したばっかなんだからな」

「ええ。無茶な事はさせないわ」

「それなら安心だ。さて、対戦なんだが、格ゲーか?それとも、レースか?」


 対戦すると一言で言っても格闘ゲームかレースゲームか。ここが勝敗の分かれ目だ。格闘ゲームが得意でもレースゲームが苦手って人いるし


「レースゲームでお願い」

「はいよ」


 俺はゲーム機を起動させ、レースゲームのソフトを入れた。最初に飛ばされた未来じゃレースゲームに関して言えば俺が全勝してたような気がする。しかし、それはあくまでも未来での話だ。未来の美月は30歳に近い方の20代だった。反射神経で言えば15歳の俺の方が反射神経がいいのは当たり前だ。しかし、今の美月は俺と同じ10代だ。反射神経で言うと五分五分。と、なると、残るは経験がものを言う。あとはステージを知っているかどうかとかな


「遊、負けても文句言わないでよ?」

「そっちこそ」


 俺と美月はゲームが始まる前に『負けても文句は言わない』という約束を交わした。その後、画面はタイトル画面に切り替わった。そして、対戦スタート。俺はこの時『最初に飛ばされた未来じゃ俺が全勝してたんだから今回も俺が全勝するに決まっている』心のどこかでそう思っていた。が、現実は違った。


「ま、負けた……」

「よしっ、勝った」


 レース結果は俺が2位で美月が1位。油断した……最初に飛ばされた未来の美月との対戦で全勝したからと高をくくっていたのが裏目に出た……


「……………」

「さぁ、私が勝ったのだから言う事を聞いてもらうわよ?遊」

「はい……」

「あら?随分と潔いのね」

「どんな理由であれ負けは負けだ。ここで再戦を挑む方が無様だ」

「そう」


 どんな理由であれ負けは負け。これは嘘ではない。ここで再戦を挑んだ方が無様だってのも嘘じゃない。だが、俺は1つだけ美月に言ってない事がある。美月には失礼な話だが、相手が本当の母だったら本気でやってたし、イカサマだってしてたという事だ


「さぁ、さっさと罰ゲームを言ってくれ」


 相手が誰であろうと罰ゲームは嫌だ。だけど、最初に約束してしまった以上、俺は甘んじて罰ゲームを受けなきゃならない。寸前になって嫌だというのは筋が通らない。俺は筋が通らない事はしたくない。特に自分の彼女の前ではな


「そうね。長引かせて不安になっている遊で遊ぶ趣味は私にはないし、それに、遊は早く済ませたいのでしょ?」

「早く済ませたいわけじゃないけど、遊華達に見られたら困ると思って言っただけだ」


 これは俺の予想だが、美月の罰ゲームは遊華達の前では言えない事。年齢制限に引っかかるようなものではないけど、人に見られたくないものだと俺は考える。じゃなかったら美月が罰ゲームだなんて言うはずがない


「遊華ちゃん達に見られたら恥ずかしいものではあるわね」

「だろ?だから、早く言ってくれ」

「じゃあ、言うわね」

「ああ」


 俺は固唾を飲んで美月を見つめる。金の掛からない罰ゲームだとはいえ、どんなものが来るかは予測不可能だ。緊張するものはする。まして相手はヤンデレだ。


「遊への罰ゲームは遊華ちゃん達が帰ってくるまでの間、私を抱きしめていなさい。トイレに行く時とやむを得ず動かなければいけない時以外はずっとよ」

「あ、ああ、わかった」


 美月からの罰ゲームは遊華達が帰ってくるまでの間、ずっと抱きしめている事。ただし、トイレに行く時とどうしても動かなければいけない時は除く。というルールだ。遊華達が帰ってくるのは夕方。で、今は昼過ぎ。中学校、高校は基本的に5時間授業だ。週1か週2の割合で6時間授業がある。しかし、部活、委員会等を考慮すると帰りは夜になる。遊華達から部活の話は出てないから部活に入っているだなんて事はないと思うが、それでも、遊華達が帰ってくるまで美月を抱きしめているというのは身体的な意味でキツイな。


「ほら、早く抱きしめなさい」

「はいはい。ところで、前から抱きしめた方がいいのか?それとも、後ろからか?」

「前からに決まっているでしょ。それに“はい”は1回」

「はい」


 前からに決まっているってのは初耳だとか、お前は俺の母親か?とかいろいろツッコミたいところはある。しかし、美月は勝者で俺は敗者だ。負けてしまった以上は勝者に従わなきゃいけない。俺はツッコミたいのをグッと堪え、美月を前から抱きしめた


「遊……貴方が倒れたと聞いて心配したわ。それこそ死んでしまうんじゃないかと思ったわ」


 抱きしめたと途端、美月がふと呟いた。未来で息子である遊亜がいるから俺は高1で死ぬ事はない。そう思っている。しかし、遊亜達がいるからと言って未来が変わらないなんて事はない。それは俺がよく知っている事だ。母さんと一月さんが生きているのがその証拠だ。それに、浩太と敬に彼女がいる事や俺が遊華達と付き合っている事もそうだ。最初に飛ばされた未来から少しずつ変化してきている。もしかしたら遊亜達が生まれてこない未来もあるかもしれない。俺はそれを忘れていたのかもしれない


「ごめん……未来に遊亜達がいるから油断してた」

「本当に心配したのよ?私もそうだけど、遊華ちゃん達は泣いていたわ」


 美月に心配掛けた事、遊華達を泣かせてしまった事。これらを想像しただけで心が痛い


「ごめん……」

「いいのよ。今回の事は遊が悪いわけではないんだから。もちろん、香月もね」


 俺が体調管理を怠ったせいで今の事態を招いたとなれば責められるのは俺だ。しかし、今回は香月に執着するストーカーとも取れる先輩のせいでこうなった。ドⅯじゃないが、責められた方がまだ楽だった。


「美月……」

「でも、遊が少しでも悪いと思っているのなら頭を撫でてくれないかしら?」

「ああ」


 美月に言われた通り、俺は美月の頭を優しく撫でた。


「遊……少ししたらいつもの私に戻るから……だから、少しだけ胸を借りるわね」

「好きにしろ。今の俺は勝者である美月の言う事には逆らえないしな」

「ええ、そうね」


 美月は俺の胸に美月は顔を埋め、静かに泣き始めた。人前じゃ天然キャラ。俺の前じゃクールキャラ。そんな2つの顔を使い分ける美月の事だ。遊華達の前でどっちのキャラでいたのかは知らない。これは俺の想像になってしまうけど、きっと美月は俺が倒れて病院に運ばれたと聞いても泣くのを我慢したんだろう。今は抱き着いているが、美月は俺よりも年上で恋人たちの中じゃ香月の次に年上だ。だからと言って泣かないというわけじゃない


「美月、ごめんな……」


 俺の謝罪の言葉は美月が泣きつかれて眠ってしまったせいで誰に届くでもなく、ただ静かな部屋に響いただけとなった。あんま泣かせたくなかったんだけど、上手くいかないな……きっと、俺はこれからも美月を─────いや、美月達をたくさん泣かせてしまうんだろうな


今回は美月と賭けをする話でした

遊と美月が賭けていたものは金ではなく、罰ゲームでした。金の切れ目が縁の切れ目と言いますし、恋人といえど金を賭ける事はしないみたいです。それ以前に遊が半分専業主婦になりかけているからか

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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