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【美月ヤンデレ編2】俺が検査を受ける件について

今回は遊が検査を受ける話です

遊の身体に異変は見つかるのか?

では、どうぞ

 検査までの時間、俺と美月は売店でとりあえず暇を潰そうとした。が、しかし、売店に行くとそこには俺を兄呼ばわりしてきた見知らぬ女性がいた。昨日、どうして兄呼ばわりするかを聞いたら後に解ると言われ謎が深まった。それはいいとして、昨日会った女性と売店でばったり出会い、再び兄呼ばわり。美月と一緒にいるところでそんな事をされたらどうなるか?答えは簡単だ。美月が暴走する。まぁ、それは説明したら解ってくれたからいいけど。それはそれとして、謎は深まるばかりだ


「時間潰す為に売店に行こうとして謎が増えるとは思わなかったな」

「そうね」

「それでだ、どうして美月は俺の膝の上にしかも、俺と向かい合う形で座っているんだ?」


 俺がベッドに入り、美月が用意されている椅子に座っているのならまだいい。だが、美月は俺の膝の上に座っている。それも百歩譲って納得する。しかし、向かい合って座っているのには納得いかない


「どうしてって、遊が他の女性に目を向けない為に私達のものだって事を遊に自覚させる為よ」


 おいおい……。恋人が5人もいて全員がヤンデレ。美月達が肉食動物だとしたら俺は肉食動物の檻に放り込まれた草食動物。つまり、浮気する度胸なんて俺にはない。いつ肉食動物達に捕食されるかわかったものじゃないからな!


「いやいや、俺は美月達のものだぞ?」

「遊、口先だけなら何とでも言えるのよ。現に遊は私のクラスの女子から人気あるんだし」

「俺が?ないない。俺が人気者だったら敬とか浩太とかどうなるんだよ?男の目線から見ても俺よりもあの2人の方がいいと思うんだけど?」


 浩太は表じゃ熱血系だけど裏では文学少年。そのギャップを知った女子は惚れるだろう。敬はどことなく母性本能を刺激する性格してるから年上女性から見れば弟系男子って事で人気は出てくるだろう。それに比べて俺は普通を絵に描いたようなどこにでもいる普通の高校生だ


「はぁ~。自覚ないだけ質が悪いわね。遊、貴方は家事全般できるじゃない」

「それはそうだけど、そんなの日頃からやっていれば誰だってできるだろ?」

「遊、女子からしてみれば家事ができる男子ってのはポイント高いのよ?」

「そうなの?」

「そうなの」


 女子の採点基準は置いといて、どうして俺が家事してる事が美月の学年の女子に知られたんだろうか?


「遊を狙った女子は私が全員黙らせたけど」

「あ、そう」


 いつも外では天然な美月がどうやって他の女子を黙らせたんだ?いや、その前にどうして俺が家で家事してるのを知ってるかを聞くのが先か


「安心して。遊を狙っている女子はまとめて黙らせたから」

「それは別にいいとして、どうして俺が家で家事してる事を他の女子が知っているんだよ」

「秘密よ」


 俺の質問に即答で答える美月だが、俺には心当たりがある。遊華達や香月にも当てはまるが、俺は遊華達や香月の弁当を作っている。当然、美月にも弁当を作っている。遊華達や香月にもそれぞれ友達がいるだろうから多分、そこから漏れたんだろうな


「秘密ね……まぁ、どうせ美月が教室で弁当食べてる時に友達にうっかり漏らしたとかそんなだろ?」

「うっ……!」

「図星か……」


 クールで俺の考えてる事を読んでくる美月だが、俺だってどうやったら恋人以外の人間が自分の家での過ごし方を知るかって事を考える。っていうか、それくらい考えなくてもある程度は予想できる


「だ、だって!仕方ないじゃない!彼氏が作ったお弁当を友達に自慢したかったんだから!」


 クールになっても子供っぽいところは変わってないな


「自慢するのは構わないが、それで美月達が言うところのライバルが増えちゃ元も子もないと思うのは気のせい?」

「うるさいわね。それよりも遊が私達のだって証を付けないといけないわね」


 証を付けると言われましても?ここは病院ですし?そんな……ねぇ?病院で流血沙汰になるような真似しませんよね?


「証を付けるって言ってもナイフで切りつけるとか、名前を彫るとかは勘弁してくれよ?ここは病院なんだし、病院でケガしましたとか笑えないから」

「言われなくてもそんな事しないわよ。それに、私と遊は今、向かい合って座ってるわよね?」

「そうだな」

「じゃあ、する事は言わなくても解るわね?」

「解っております……」


 俺と美月は向かい合って座っている。これだけで美月が何をしようとしているのか解ってしまうのが怖い


「じゃあ、遠慮なく……」


 美月は俺の首元に顔を埋めた。美月からは女性特有のいい匂いがする。俺は美月も含めて恋人達の匂いは嫌いじゃない。俺がいい匂いに酔いしれていると美月が俺の首筋を吸ったのだろうか、チクッとした。


「美月……」


 傍から見れば俺と美月は抱き合っている状態だが、実際は美月が俺にキスマークを付けている。それはいいとして、やられているだけじゃ負けた気がするので俺は美月の頭をそっと撫でる


「遊……愛してるわよ。今までもそして、これからも……離れたり黙っていなくなったら許さない。未来の子供とか遊華ちゃん達の事なんて関係なく遊を殺して私も死ぬわ」


 美月からの重すぎる告白。遊亜達が未来で立派に育っているところを見ると俺は美月達から離れたりしてないって事になるんだろうけど、どうしてだろうか?今、美月の目を直視したらいけないと思っている俺がいる。もちろん、怖いからとかじゃなく、俺の理性が持たない的な意味でだ


「俺の居場所なんて美月達の側以外にない。だから、離れたり黙っていなくなったりなんてしないさ」

「そう?それならいいんだけど……それにしても、さっき売店で会った遊を兄呼ばわりしてくる女は邪魔ね。闇討ちでもしようかしら?」


 俺の首元に顔を埋めたまま美月が物騒な事を呟く。止めて!闇討ちとか言わないで!


「止めてくれ。あの女性は多分、俺が高2に進級した時に正体がわかるから!それまで我慢して!」


 後にわかるって言葉と俺を兄呼ばわりした事を総合すると答えは自ずと出てくる。しかし、確証がないから結局は俺が高2に進級した時にならないと真実はわからない。


「遊がそういうなら今は止めておくけど、高2に進級した時、遊は失踪するのでしょ?」

「遊亜の話じゃそうなるな。まぁ、失踪したって感じるのは俺達が今生活している部屋の秘密を知らない奴だけで美月達からしてみればただ隣りの部屋に移る。それだけの認識だろ?それに、その部屋への道順は前に教えたし」

「ええ、道順どころか部屋の中を案内してくれたから覚えているわ」


 俺達が普段生活している部屋の隣りに造りも物の配置も全く同じ部屋がある。初見の人間なら戸惑う光景だ。美月達も戸惑ってたし。しかし、見慣れてしまえばどうという事はない


「ならいい。と言っても風呂場の隠し扉を開けるだけだから道順も何もないんだけどな」


 そう。ただ風呂場の隠し扉を開けるだけだから道順とか細かい事は気にしなくてもいい。


「そうね」


 美月と他愛のない話をしながら俺は看護師が呼びに来るまでの時間を過ごした。さすがに看護師が呼びに来るであろう5分前くらいには俺はベッドに入り、美月はその側に置いてあった椅子に座り何事もなかったかのように振る舞っていた。そして、俺は検査の時間になり、美月に寄り添われながら呼びに来た看護師に案内され、レントゲン室へと向かった


「検査って言っても何するんだ?」


 看護師に言われるままレントゲン室に入った俺はどこを検査するのか、何の検査をするのかわからない。昨日、俺は香月のストーカーの先輩に椅子で殴られ、保健室の前まで行ったが、そこで倒れた。そう考えると脳に異常がないかを調べるんだろうが、昨日から検査に至る今まで特に体調に変化は感じない


「検査する人か医者に聞くか」


 どんな検査をするかだなんて事を自問自答してするよりもレントゲン技師か医者に聞いた方が詳しい事がわかる


「藤堂遊さんですね?」

「はい」


 検査室に入ると30代くらいの男性がいた。この人が俺の検査をしてくれる人か。この人に聞くか


「じゃあ、早速ですが、こちらの台に寝てください」

「わかりました。ところで、これは何の検査なんですか?」


 検査台に寝る前に俺は検査担当の人に何の検査か聞くだけ聞いてみる。バリウムを飲まされるなんてなかったから胃の検査じゃない事は明らかだ。しかし、それでも検査するとは聞かされていてもその検査が何の検査かわからない以上、若干の不安はある


「藤堂さんの場合は椅子で運ばれる前に椅子で殴られ倒れたという事で骨に異常がないか、脳に異常がないかの検査になります」

「そうですか。でも、そういうのって運ばれたその日に検査するもんじゃないんですか?」


 普通なら怪我して運ばれたその日に検査してもいいようなものだが、どうして運ばれてきた次の日に検査する必要があるんだ?


「昨日も一応、検査しましたが、昨日と今日とでは体調に変化があったりします。言わばこの検査は経過観察みたいなものです」

「そうだったんですか」

「はい」


 経過観察なら通院で十分だろという本音を隠しつつ俺は検査台に上がった。医者の言う事にはとりあえず従っておいて損はない


「宜しくお願いします」

「はい。では、始めます」


 骨に異常がないかと脳に異常がないかの検査と聞いて時間が掛かるものだと思っていたが、意外と早く終わり、後は結果を待つのみとなった。


「どこにも異常ないといいわね」

「そうだな」


 検査が終わり、待ってた美月と合流した俺は結果発表を待つ間、俺達はただ異常がない事だけを祈った。入院するのは構わない。しかし、長い間家を空けるとなると遊華達がきちんと家事をしているかとか心配事は尽きない。それに、出席日数の心配もある。未来に飛ばされた時もそうだが、どれくらいの間家に帰れないのか、どれくらいの間俺は欠席しないといけないのかとかを考えなきゃいけない。まぁ、入院となると期間が決められているから楽っちゃ楽なんだがな。気持ち的に


「安心して。遊が入院しても私達がしっかり看病してあげるから。なんなら下の方もしっかり世話してあげるわよ?」


 美月さん?下の世話ってアレですよね?排泄物の処理を言ってるんですよね?性的な方じゃないですよね?


「看病してくれるのは嬉しいが、下の方の世話は遠慮しておくわ。なんか悪目立ちしそうだし」

「そう……遊が望むなら性の方の世話もしてあげようと思ったのに」


 やっぱりか……。しかし、そんな心配は無用だ。別に浮気してるとかじゃないけど、俺の日常は問題だらけで性欲を貯める暇もない


「それなら困ってないから大丈夫だ」

「あら?私達というものがありながら浮気かしら?もし、そうなら……監禁する事も辞さないわよ?」


 そう言って俺を見る美月の目は光はなく、濁りきっていた。美月も美月で学習能力がないな。


「浮気なんてしねーって。ただ、俺の日常は問題だらけだからな。性欲を貯めてる暇なんてないってだけだ」


 遊華に告白し、香月や美月、美優や由紀と出会ってから俺の日常はいい意味でも悪い意味でも変化した。今まで彼女どころか異性と触れ合う機会すらなかった俺にいきなり5人の彼女ができた。夏休みにはその彼女達と未来に飛ばされ、肝試しをしに夜の学校に忍び込んだ時には本当の母を名乗る人物からの手紙を見つけた。そして、俺がいたという施設で引き取られた経緯を聞いた。そんな俺に性欲を貯める暇なんてなかった


「5人も彼女がいて欲情しないの?」

「欲情するかしないかで聞かれるとしないとは言い切れない。しかしだ。俺の日常には問題が多すぎる。それが解決してから美月達にその欲求をぶつける。それじゃダメか?」


 今俺の欲求をぶつけるのは簡単だ。寝込みを襲うなり、入院している間に美月を唆せばいい。だが、問題が山積みの今、それをして本当に幸せなのかって聞かれればそうじゃない。


「ダメじゃないわ。生まれてくる子達を迎える時には何も問題がない状態で迎えたいもの」


 妊娠する前提で話を勧めないでほしいとは思うが、美月も女の子だ。好きな人との間に子供がほしいと思うのは当たり前だ。俺がそうだからな。何はともあれ検査結果を待つとしよう

今回は遊が検査を受ける話でした

検査結果は次回に持越しになります。未来で息子が生まれている時点で答えは決まりきっている気もしますが……

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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