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俺が明美さんと対面する件について

今回は遊が明美と対面する話です

未来で遊は明美と対面しましたが、元の時代の明美はどうなっているのか?

では、どうぞ

 香月に友達の明美さんを紹介してもらえるという約束を取り付けた俺は今、喫茶店で遊華達と共に明美さんと会っていた。ヤンキーだと聞いて俺は情けない事にビビッてしまった。未来で遊華の友達のストーカーを退治した。その過程でソイツはナイフを取り出し、俺に向かって来たが……不思議なものでナイフを持った男よりもヤンキーの女性の方が俺は怖い。日曜の休日にどうしてこんな怖い思いしてるんだ?俺は


「で、ウチに何の用?」


 目の前の明美さんは俺が未来で出会った人物と同じとは思えなかった。未来では寝坊助の浩太を叱ったり、空腹で屍のようになっていた人物と同じだとは思えない


「きょ、今日はか、彼氏候補を紹介しようかと……」

「は?彼氏?初対面のアンタにそんな心配されなくても自分の好きな人くらい自分で見つけるし」


 そりゃそうだ。俺だって彼女を紹介してやると言われれば断るが、少なくともこんなに威圧的な態度はとらない。


「お兄ちゃん、明美さんにも未来の事話した方がいいんじゃない?」


 黙っていた遊華がここで口を開いた。たしかに遊華の言う通り明美さんにも未来の事を話した方がいいな。だが────


「は?未来?何言ってんのアンタら」


 この態度で話せるものも話せない。さて、どうしたものかな?


「明美、そんな態度だと話せるものも話せないから一旦落ち着いて」


 香月が何とか宥めようとする。香月、俺といる時は甘えん坊だが、今の香月はものすごく頼もしく見えるぞ


「香月、アンタに呼ばれて来てみたけど、何なの?コイツ?いきなり彼氏を紹介してやるだなんて言い出すし」

「私の恋人」

「え?」


 明美さんは驚いた顔をしている。香月に恋人がいる事がそんなにおかしいか?


「だから、私の恋人だよ。遊は」

「ええぇぇぇぇぇ!?」


 明美さんはビックリして大声を上げた。そんなに驚く事か?香月だって女の子なんだし、恋人がいてもおかしくないだろ。ちなみに俺と遊華は耳を塞いでいたがな


「明美、私に恋人がいるのが意外?」

「そ、そりゃ、意外だよ!学校じゃお姉さまって渾名があって男子の告白を全部断っているアンタが男と付き合うだなんて」


 なるほど、驚いてたのはそういう事か。明美さんと香月が学校でどういった関係かは知らない。だが、明美さんがビックリしていた理由それは、多分こうだ。香月に告白する男子はたくさんいる。おそらく、女子に人気がある男子もだ。だが、香月は誰とも付き合わなかった。それが俺と付き合うだなんて驚くだろうな


「遊は私が好きになった唯一の人だから付き合った。それだけだよ」


 香月の表情は女神とも言える慈悲深いものだった。って、見とれてる場合か!俺が未来に飛ばされた事を話すの忘れるところだった


「あの~そろそろいいでしょうか?」


 このままだと言い合いになりそうだ。何となくだが俺はそう思う。それに、明美さんは俺が未来に飛ばされたって話を簡単には信じそうになさそうだし


「あ、ゴメン。アンタの事すっかり忘れてた」

「…………」


 目の前にいて忘れられる俺って……俺帰っていいかな?浩太に紹介するのとかどうでもよくなってきた


「お兄ちゃんよしよし」


 俺に優しくしてくれるのは遊華だけだよ……。はぁ……


「遊華、今夜はたっぷり愛し合おうな」

「え!?本当に!?」

「ああ……忘れられた俺を慰めてくれ」


 明美さんに忘れられたショックを遊華に慰めてもらおう……この時代の明美さん怖いし、香月と話していて俺の事を忘れてるし


「遊!!」

「はっ!?」


 香月に呼ばれて我に返る。忘れられたショックで俺はとんでもない事を口走っていたらしい


「ちっ!あと少しだったのに……」


 遊華は遊華で俺が口走った戯言を利用して何しようとしてたんだ?


「遊、明美にあの写真を見せてあげて」


 香月の言うあの写真とは俺が未来の世界で旅行に行った時に撮ったプリクラの事だ。俺に関わりのあった人に未来の事を伝える時に証拠としていつも持ち歩いている


「わかった」


 懐から未来で買った携帯を取り出し、その裏面に貼ってあるプリクラを明美さんに見せる


「な、何?これ?え?これって香月?」


 未来で撮ったプリクラを見た明美さんは驚愕する。そりゃそうだろ。現在は旅行の季節には程遠い時期だ。だが、見せられたプリクラは浴衣姿であり、そこに書かれているラクガキには2028年というワードと夏というワード、そして今と全く同じ姿の俺と大人になった香月達が写っている


「そうですよ。これは俺が未来の世界で香月達と撮ったものです。と言ってもそこに写っているのは2028年の香月ですが」


 証拠としては弱い。香月達のそっくりさんだと言われれば俺は反論できないだろう。できればこれで信じてくれればいいが……


「ふぅ、いいよ。アンタの話を信じるよ。それで?改めて聞くけど、ウチに何の用?」


 よかった……信じてくれたみたいだ。どうしてかはわからないが……


「単刀直入に言いますが、俺の友達と会ってくれませんか?」


 明美さんに信じてもらえた以上、無駄な世間話は必要ない。ここはストレートに言った方がいいだろう


「君の友達?何でウチが君の友達と会わなきゃいけないの?」


 やっぱりそうなるよな……まぁ、俺が未来に飛ばされた事は信じてもらえても友達に会ってくれって言われたらこうなるのが当たり前か


「会ってもらうのは貴女の未来の旦那になる人なんですけど?」

「え?」


 明美さんがポカンとして固まった。これも当たり前だな。いきなり会うのは未来の旦那だって言われれば誰だってポカンとする


「気持ちはわかります。なので、順を追って説明します」

「え?あ、うん、お願い」


 順を追って説明するなんて言ったけど、明美さんと浩太の馴れ初めなんて俺は知らないぞ……


「説明するなんていいましたが、俺は未来で明美さんとその旦那の馴れ初めを全く聞いていません。なので、明美さんと旦那の10年後の生活について説明しますね」


 浩太の……いや、友達の惚気話なんて聞きたいものじゃないから聞いていなかった。だが、生活状況ぐらいなら話せる


「うん、お願い。ウチの旦那がどんな人かも含めてちゃんと話して」


 最初とは一変し、真剣な表情の明美さん。未来の旦那との生活が気になるのか?


「わかりました。まず、明美さんの旦那ですが、未来でも今の時代でも熱い奴ですよ。友情にも多分、恋愛にもね。で、明美さんの10年後の生活ですが、旦那とマンションで2人幸せそうに暮らしていましたよ。まぁ、旦那の寝坊癖に手を焼いてるみたいでしたが……」

「そ、そう……幸せなんだ。未来のウチは……」


 ものの見事に明美さんは寝坊癖に手を焼いてるってところはスル―し、幸せな結婚生活を送っているというところを聞いて顔を赤くしているみたいだが、寝坊癖を忘れてますよ?明美さん?


「明美さん?忘れているようですが、旦那の寝坊癖のところは……」

「忘れてないよ。ウチがソイツの寝坊癖を治してやる!遊、アンタのその友達紹介しな」


 ヤンキーって聞いてたけど、これじゃ母親だ。ヤンキーの女性っていうのはみんな母性が強いのだろうか?


「わ、わかりました。ちょっとその友達と電話してきますので待っててください」

「わかった」


 俺は席を立ち、店の外へ出たところで電話を取り出す。浩太の奴、今から呼び出して来てくれるかな?


「まぁ、紹介したい女性がいるって言ったらすぐに飛んでくるだろ」


 敬と俺に彼女がいて浩太にはいない。女に飢えてはいなさそうだけどな。問題は電話に出てくれるかどうかだ


 1コール────


 2コール────────


 3コール───────────


『もしもし?どうした?遊』


 3コール目でようやく浩太が電話に出た。まぁ、浩太にもスケジュールがある。すぐに出ない事だってある


「今から出て来れるか?」

『あ、ああ、問題ないが……どうした?』

「お前に会いたいっていう女性がいるんだが……」

『え!?マジで!?行く!すぐ行く!』

「そうか、あれ?お前今日部活は?」


 浩太は部活をやっている。放課後や休日は部活があるはずなんだが……3コールで電話に出る事自体が珍しい


『今日は部活は休みだぞ?』


 それなら最初から浩太を呼んでおくべきだった。どっち道未来に説明するのには変わらないけど


「そうか、じゃあ、駅前の喫茶店にすぐに来てくれ」

『おう!わかった!』


 浩太に来る場所を指定して電話を切った。あとは来るのを待つだけだ。さて、戻りますか


「ただいま帰りました」

「おかえり、遊」


 雑談している遊華達の元へ戻ったが、明美さんと遊華は俺がいないうちに打ち解けていた。この短時間で仲良くなり、今は話に夢中みたいだ。香月は俺が帰って来た事に気が付いて反応してくれたが……


「ただいま、香月。で、遊華と明美さんは何を話しているんだ?」


 女子の会話を聞くのは無粋だと思う。話しの掴みとしては悪くないと思うが……


「正しい彼氏の束縛の仕方について」


 聞いといてアレだが、聞かなきゃよかった。っていうか、遊華の奴、付き合う相手が違ってもヤンデレの仲間を増やす気か……


「遊!来たぞ!」


 数分後、浩太が来た。来て紹介するのはいいが、敬と早川みたいにすぐ告白して恋人同士になるのはこの2人じゃ難しいだろうな……


「おう、よく来てくれたな。浩太」


 さて、浩太が来たところでお前には未来の妻との初対面してもらうぞ


「で、遊!俺に会わせたいって女性は?」


 コイツ……女の事で呼び出した俺も俺だが、そればかりだな……


「ああ、こちらの女性だ」


 俺は明美さんを指した。このままじゃ遊華や香月をターゲットにしそうだし、女に見境がないわけじゃないが、ここで拗れて結婚しないなんて未来になっても困る


「ん?こちらの女性って……ヤンキー?」


 素直な奴は好きだが、本人を目の前にしてそれはないと思うぞ?浩太


「そうだが?見た目こそヤンキーだが、この人は面倒見がすごくいいぞ」

「え?マジで?」

「ああ、それにお前こういうヤンキーで面倒見のいい女性好きだろ?」

「え?俺はそんな事言ってな────」


 俺は浩太の口を塞ぐ。余計な事を言って明美さんを怒らせない為に。そして、俺は遊華達を適当に言いくるめて一旦、浩太を連れ出した。


「何だよ?遊?」


 いきなり連れ出されて不機嫌そうな浩太。だが、浩太にハッキリ言っておかなきゃいけない事がある


「浩太、あのヤンキーの女性はお前の未来の妻だぞ」

「え?うそ?マジで?」


 叫び声を上げる事ことなくポカンとする浩太。これで少しはやりやすくなっただろう


「だたいま戻りました」


 浩太との話を終えて浩太と2人で遊華達の元へ戻る


「遅いよ。何してたのアンタら」


 不機嫌そうな明美さん。本当に10年後の未来でクールになった人間とは思えないぞ……


「いや、浩太とちょっと打ち合わせを……」


 打ち合わせをしていたのは本当だ。だが、それは悪口じゃなく、未来でどうなったかを教えていただけだ。じゃあ、未来のご夫婦の対面といきますか





今回は遊が明美と対面する話でした

未来じゃ香月と同じクールな明美でしたが、元の時代ではヤンキーの明美

同一人物とは思えない・・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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