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【香月ヤンデレ編5】俺が検査入院する件について

今回は目覚めた後の遊の話です

香月の日になっていますが、日をまたぐという事であの人が登場します

では、どうぞ

 いきなりだが、俺は高校生になってから病院に担ぎ込まれたのは今日で2回目だ。1回目は未来に飛ばされた時だ。2回目は言わずもがな今回だ。生きていれば病院に担ぎ込まれる事はあると思う。だが、俺は2回中、2回とも大切な人に心配を掛けていると思うと心が痛い


「香月、そろそろ離れてくれないか?」

「いや」

「と、トイレに行きたいんだが……」

「じゃあ、私もついて行く」


 目が覚めてかなり時間が経つが、香月はさっきからこの調子で俺から離れようとしない。俺が目が覚めてからは大変だった。まず、俺を椅子で殴った先輩が両親と謝罪に来た。意外だったのはその先輩の父親は大企業の社長で今回の事に関し、示談を持ちかけてきた。俺としても別に大事にする気はないので示談を快く受け入れた。しかし、条件として俺の言う事を何でも1つ聞くという条件を付き出した。香月に近寄るなという事は同じ学校に通っている以上難しいし、香月は俺に害を成さなければそれでいいって言うんだから肝っ玉が据わっていると思う。その後で担任がやって来たが、俺の現状と後は香月達を公欠扱いにするという事を言い残し去って行った。


「怪我しているとはいえ、女の子にトイレまで付いて来られるのはさすがに恥ずかしいんだが?」

「でも、心配だし……」


 俺が椅子で殴られるところはともかく、俺が倒れている姿を目の当たりにした香月の気持ちも解る。何せ香月に俺が意識を失った後の話を聞いても『遊が倒れていて目の前が真っ白になって覚えてない』と言ってたしな。俺も倒れた後の話は担任から聞いたし。それは置いといて、トイレに行きたい……


「じゃあ、トイレの前まで頼んでもいいか?」

「うん!!」


 ラブコメの主人公ならば病院に担ぎ込まれた後、トイレに行きたくなってヒロインがついて行くって言えば当然断わり、そこから押し問答となる。しかし、俺はラブコメの主人公じゃない。香月の心配はよく理解できるのでついて来てもらう事にする。俺は潔い男なのだ


「そう言えば、遊華達が来なかったけど、どうしてだ?」


 遊華達なら俺が倒れたと聞けば真っ先に飛んでくるだろうし、下手したら俺を椅子で殴った先輩を殺しはしなくてもボコボコにするくらいすると思うんだが……


「今日は私の日だから何があっても遊に干渉しない。していいのはその日の担当になった人だけっていうルールが私達の中ではあるんだよ。でも、メールで知らせた時、すごく心配してた」


 トイレに向かう途中でする話じゃないとは思う。が、遊華達にも心配掛けてたと思うと心が痛い。それが自分で撒いた種じゃないとしてもな


「帰ったら遊華達に謝らないとな」

「遊が謝る事ないよ。悪いのは私だし」

「それを言うなら悪いのは椅子で殴った先輩だろ?」

「そうだね」


 今回の事で誰が1番悪いかの話から始まった話が最終的には俺が帰ったら遊華達に何をされるかの話になり、その話しをしている最中にトイレの前まで来たのでそこで一旦香月と別れ、俺はトイレに入った


「はぁ、未来と現代で美優のストーカーに遭遇したと思えば今度は香月のストーカーとは……未来では美優以外のストーカーに遭遇しなかったが、やっぱ未来で遊華達は少なからずストーカー被害に遭ってたのかな……?」


 終わった話だが、未来じゃ美優はストーカー被害に遭っていた。それは現代に帰って来ても変わらなかった。唯一条件が違ったのは未来じゃ遊華達は声優という仕事をしていた。遊華達の人気がどれくらいあったかは知らないが、多分、ストーカーが付く程度には人気があったと思う。遊華、香月、美月はブラコンを公言していたからストーカーどころか男が寄ってこなかったが、由紀と美優は違った。由紀はともかく、美優はストーカーが付いてしまった。


「香月も美優もそうだが、今でさえあれなんだ。これから大変になるだろうなぁ……」


 香月に寄ってくるストーカーも美優に寄ってくるストーカーもハッキリ言って頭が狂ってるとしか言いようのない人間だった。きっと遊華、美月、由紀に寄ってくるストーカーも頭が狂っているに違いない。いや、まともな思考をしているのならストーカーなんてしないんだが。


「より一層警戒しなきゃな」


 遊華達に振られたのは俺のせいだとか変な言いがかりをつけてくる輩がいないとは限らない。遊華達本人もそうだが、俺も何らかの対策をしておく必要がある。はぁ、本当の母の問題もあるってのに……


「悩みの種が増えた……」


 本当の母問題にストーカー問題がプラスされた事に頭を悩ませつつも俺はトイレから出た。生きていく上で問題が発生するのは仕方のない事だとして、一介の高校生に降りかかるには重すぎる問題だ。俺の人生はハードモードですかチクショウ


「おかえり、遊」

「ああ、ただいま」


 トイレの前で律儀にも待っていた香月と合流し、俺達はそのまま病室に戻る事にした。言い忘れていたが、俺は検査のため一晩入院する事になっている。何ともないから早く帰りたいのだが、こればかりは仕方ない。後で異常が見つかったら手遅れになる可能性があるし、ここで俺が死にでもしたら遊亜達が生まれてこないからな。


「遊、言い忘れていたけど、これから美月が来るから」


 病室に戻って来て香月から発せられた第一声が美月が来るという唐突な知らせだった。


「え?何で?今日は香月の日だろ?」


 そう、今日は香月の日だ。それなのにどうして美月が来る事になるんだ?


「それは何事もなく家に帰ってたら私の日だから美月は何もしてこなかったけど、遊は検査のために一晩入院するでしょ?」

「ああ」

「一晩入院するって事は日をまたぐわけだから、明日は美月の日。それに備えてこれから美月が来るの。もちろん、私もいるから」

「そ、そうか……」


 何事もなければ俺は普通に家に帰り、香月と過ごす事ができた。しかし、先輩に椅子で殴られ、倒れてしまったため、俺は検査入院をするハメになった。当たり前だが、日をまたぐ。そのため、香月の日から美月の日に移ってしまう。という事になるわけだから美月が来るのは当然と言えるだろう。自分で言うのもなんだが、理解の早い俺は結構好きだ


「うん」


 香月と2人きりの時間をもう少しだけ楽しみたかったが、そこへタイミングよく美月がやって来た。病院側には香月と美月が泊まる事はすでに伝えてあるらしく、香月達のベッドまで用意されていた。聞いた話によるとこの病院は偶然にも親父の知り合いが院長をしており、話がすんなり通ったらしい。


「遊ちゃん!痛いところない!?」


 さっきから美月はこの調子で5分おきくらいに痛いところはないかを聞いてくる。


「特別痛いところはないが、強いて言うなら椅子で殴られた部分が痛いな」


 5分おきくらいに痛いところはないかと聞かれればさすがに慣れてくるもので、椅子で殴られたところが痛いと言っておけばいいと言う事を学習した。最初は大騒ぎだったが、俺と香月が全力で止めて事なきを得た。まぁ、今は大騒ぎする事もないんだけどな


「じゃあ、撫でてあげるね!」

「わ、私も!」

「いや、いい。撫でてもらうほど痛くないし」


 年上彼女に撫でられて嬉しくないわけじゃないが、何回も続くと恥ずかしい。


「「嫌……なの?」」


 こういう時の上目遣いってズルくないか?


「嫌じゃないけど、撫でてもらうほど痛いってわけじゃないから。それに、香月も美月も心配なのは解るけど、俺は痛みでどうにかなるほどヤワじゃないし、自分の子供達の顔を見るまで死ぬつもりもないから安心しろ」

「「うん……」」


 自分の子供の顔を見るまで死ぬつもりはないとは言ったが、夏休みに飛ばされた未来で遊亜達がいるって事はここで俺は死なないと言う事だ。


「さて、夕飯まで大分時間があるが、何をしようか?」


 椅子で殴られたところに痛みは感じるものの、身体は元気だ。立ちくらみとかもない。香月と美月がいるとはいえ俺は暇を持て余している。家じゃないからイチャつくわけにもいかない。これでゲームか本があれば暇を潰すには最高なんだが……


「一応、遊ちゃんのゲームと本は持ってきたよ!」


 美月は鞄からゲーム機と本を取り出した。入院生活で暇を持て余しているだろうと思って持ってきてくれたらしい


「俺は美月が持ってきてくれた本を読むか、ゲームをやるかすればいいと思うが、香月達はどうするんだ?何もしてないのは暇じゃないか?」


 俺は美月が持ってきてくれた本を読むか、ゲームをすればいいが、香月達はどうやって時間を潰すつもりなんだ?


「大丈夫!ゲームは3人でできるものを持ってきたし、私達が読む本もちゃんと持ってきたから!」

「さいですか」


 美月さん、用意いいですね。あれ?俺の持っているゲームに複数でできるゲームなんてあったっけ?


「美月、遊が持っているゲームって1人用が主じゃなかったっけ?」

「うん!だけど、遊ちゃんの部屋で前に偶然これを見つけてみんなでやってみたいと思って持ってきたんだよ~」


 そう言って美月が取り出したのは人生ゲームのソフトだった。しかも、未開封の。そういえば、買ったはいいけど、やらずにしまってあったゲームがあったな


「美月、よく見つけたな。しかも、それは引き出しの奥の方にしまってあったのに」

「うん!遊ちゃんのエッチな本を探している時に偶然見つけたんだ~。結局なかったけど」


 俺の部屋に勝手に入ったという部分は彼女割で目を瞑る事にするとしてだ、俺の部屋にエロ本があるはずがない。だって、遊華達に見つかった日にゃ何をされるかわかったものじゃないし、燃やされる可能性もあるし。それに、ヌードモデルや漫画より俺の彼女達の方が魅力的だし


「当たり前だ。彼女が5人もいてエロ本なんて持っているわけないだろ?」


 見つかった日にゃ何をされるかわからないという部分と燃やされる可能性があるという事を伏せ、彼女がいるから必要ないとだけ言っておいた。


「遊、それってどういう意味?」

「どういう意味ってそのままの意味だけど?」

「遊ちゃん!ちゃんと答えて!」


 香月と美月は俺の答えに納得がいかず、俺を見つめてきた。正直、言うのはめっちゃ恥ずかしい


「言わなきゃダメか?」

「「もちろん!!」


 マジか


「めっちゃ恥ずかしいんだけど、それでも言わなきゃダメか?」

「「ダメ!!」」


 どうやらエロ本を持ってない理由を言わないと納得してもらえないようだ


「はぁ、1度しか言わないからよく聞けよ」

「「うん!!」」

「香月や美月、遊華達の方がヌードモデルや漫画より魅力的だから俺にはエロ本なんて必要ないんだよ」

「「…………」」


 俺がエロ本を持っていない理由を聞いた香月と美月は顔を真っ赤にした。もちろん、俺も顔が熱くなっている。先輩に椅子で殴られるわ、エロ本を持っていない理由を吐かされるわ、今日は俺にとって厄日らしい



今回は目覚めた後の遊の話でした

香月の日になっていますが、日をまたぐという事で美月が登場しました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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