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【香月ヤンデレ編1】香月の料理意外にも美味かった件について

今回から香月ヤンデレ編です。

遊華は束縛系のヤンデレですが、香月は何系のヤンデレになるのでしょうか?

では、どうぞ

 昨日、遊華がいつもと違うヤンデレを見せた。遊華を諭すのもよかったが、1人ずつ諭すとなると時間が掛かる。別に命に関わる病気を患っているというわけじゃないが、どうしても時間の問題がある。よって、俺は一先ずヤンデレとなった遊華達1人1人と過ごし、最後の1人との1日が終わった次の日あたりに全員を集めて俺が思っている事を話そう。


「昨日は遊華だったが、今日は誰になるのやら……」


 昨日は結局、晩飯は出前を取った。これは俺の案じゃなく、俺と少しでも長く過ごしたいという遊華の要望によるものだった。夕飯を済ませた後は何だかんだでイチャイチャしながら過ごし、そのまま寝た。それはいいとして、今日は誰と過ごすのかだ。


「朝起きて今日は誰と過ごすのかを考えるだなんて今まで考えた事なかった……」


 普通の高校生なら家族がいて友達がいて恋人がいる人なら恋人がいる。その人達と過ごすのが普通の日常なんだろうけど、俺の日常は未来に飛ばされた事をキッカケに普通の日常とはかけ離れたものとなった。そんな俺が5人の彼女を持ち、全員がヤンデレだ。今日はどんな過ごし方をしようかを考えるのは仕方のない事だ


「おはよう、遊。今日は私だよ」


 昨日の遊華同様に俺の朝食が乗ったトレイを持って入ってきたのは香月だった。どうやら今日は香月の日らしい


「今日は香月か……」

「うん。よろしくね?」

「あ、ああ……ところでそれは朝飯だと思うんだが……」

「うん、そうだよ?これは遊の朝食だよ」


 俺は最初に飛ばされた未来で香月に作ってもらった味噌汁を思い出していた。あの時の味噌汁はものすっごい塩分濃度が高かった。それこそ、当分はしょっぱいものを控えようと思う程だ


「そ、そうか……そ、それは香月が1人で作ったのか・?」

「うん、そうだけど、それがどうかしたの?」


 香月が1人で作ったという事実を聞いた途端、俺はあの日のトラウマのせいなのか、冷や汗が止まらない。本音から言うと今すぐにでも逃げ出したい気分だ


「い、いや、何でもないぞ」

「そう?何かもの凄い汗だけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫だ」


 俺がピンチなのに隣りで能天気に寝ている遊華達が羨ましいが、昨日と同じなら睡眠薬を服用して寝ているから俺がどんなに泣き叫ぼうと起きる事は多分ないだろう


「でも遊、汗の量すごいよ?」


 俺を心底心配そうに見つめる香月。俺が最初に飛ばされた未来の香月と今の香月は違うと頭では理解している。しかし、あくまでもそれは俺と出会ったのが早いか遅いかの違いであり、香月の料理がしょっぱくないという保証はない


「大丈夫だよ。それより朝飯にしようぜ?ここで時間を取られるわけにもいかないだろ?」

「うん。そうだね」


 考えても仕方ない。初めて飛ばされた未来じゃ香月は20歳を超えていた。20歳で飲酒喫煙が可能になる。まぁ、声優の香月が喫煙をするとは考えづらい。だが、酒は飲むだろうっていうか、実際に酔った遊華達に絡まれたから酒は間違いなく飲んでる。話が長くなったが、酒のつまみには比較的しょっぱいものが多い。その影響でもしかしたら味覚も変化したのかもしれない。しかし、未成年である今ならばそんなにしょっぱいものは出てこないだろう


「香月って料理は得意な方だっけ?」

「う~ん、可もなく不可もなくってところかな」

「それなら安心だな」

「安心?何が?」

「いや、何でもない」


 俺の考えすぎだよな。きっとそうだ


「早く食べないと冷めちゃうよ?」

「そ、そうだな!冷めないうちに食べるか!」

「うん」

「「いただきます」」


 俺達は朝食にありつく事にした。香月も食べることだししょっぱいなんて事はないと思うが、不安は拭えない。何はともあれ俺は味噌汁から頂く事にした


「う、美味い……」

「本当?」

「あ、ああ」

「よかった……」


 俺のトラウマとも言える香月の味噌汁だが、最初に飛ばされた未来じゃものすごくしょっぱかった。しかし、この味噌汁は文句なしで美味い。と、いう事は最初に飛ばされた未来で飲んだ香月の味噌汁は酒を飲んだ事によって味覚が変化したからバカみたいにしょっぱっかったのか?酒を悪く言うわけじゃないが、そう思っても仕方ない


「俺もよかったと思うよ。見た目も味もな」

「そっか……」


 昨日は遊華が朝食を作ってくれたが、ケチャップが多すぎて真っ赤だったし、味なんて食材本来の味ではなく、ケチャップの味しかしなかった。料理が美味いか不味いかの問題じゃない。ヤンデレとはいえケチャップの味しかしなかったから判別できなかった。それしか言えない


「ところで香月は遊華みたいにはならないよな?」

「ん?なんの事?」

「あ、いや────────」


 俺は昨日あった事を香月に話した。昨日の朝食が真っ赤だった事や俺の教室へ来た遊華がクラスメイトの女子を口汚く罵った事など全て


「そんな事があったんだ……遊華ちゃんの気持ちも解るけど、私はそんな事しないよ。そんな事したら遊に迷惑が掛かるでしょ?」


 確かに俺のクラスメイトを口汚く罵ったとなればその時はいいが、俺のその後の学校生活に関わる。しかしだ、遊華限定で言えば俺は遊華と向き合ってこなかった報いだと思っている。遊華の心に付いた傷に比べれば俺の学校生活の気まずさなんて安いものだ


「別にいい。遊華限定で言えば俺が招いた事だ。俺が遊華の心に深い傷を付けたからアイツは暴走した。確かに妹がクラスメイトを罵ったとなれば俺の学校生活に支障は出るが、遊華の心の傷に比べればそれくらい安いものだ」

「遊が遊華ちゃんに付けた心の傷は深いものだろうけど、遊が傷ついたりクラスメイトと気まずくなるのを遊華ちゃんは望んでないと思うよ?」

「そうかもな。だけど、俺は遊華に余計な事を気にしてほしくないんだよ」


 遊華、美優、由紀は今年受験生だ。余計な事を気にして受験に支障が出たら元も子もない。ストレスを感じない人間はいないが、それでも、ストレスは少ない方がいい


「遊、遊が遊華ちゃんの事を思っているように遊華ちゃんも……ううん、遊華ちゃんだけじゃない。私も美月も美優ちゃんや由紀ちゃんもみんな遊の事を大切だと思ってる。だから、自分を犠牲にするような事はしないでほしいな」


 モテるアピールをするわけじゃないが、俺には5人の彼女がいる。俺が精神的にしろ、物理的にしろ傷つくという事は彼女達も少なからず傷つく事になると思う。心に付いた傷は目に見えない。しかし、身体に付いた傷は目に見えてしまうため、最悪の場合それがトラウマになる可能性がある


「それはなるべくしない方向で考えてるよ」

「絶対にしないとは言わないんだね」

「ああ、俺はできない約束はしない主義なんだよ」


 約束をする時にできない約束はしない。その約束に対する期待が大きければ大きいだけ裏切った時の消失感や失望がデカいからな


「遊って最初に飛ばされた未来でもそうだったの?」

「ああ。最初に飛ばされた未来でもっていうか、俺は未来に飛ばされる前からできない約束はしない主義なんだよ」

「そうなんだ……」

「ああ」


 香月と話していてもいいが、ゆっくりしていると遅刻してしまうので朝食を早々に済ませ、登校の準備をした。


「準備できたし行こうか?」

「あ、ああ、でも……」

「遊華ちゃん達が心配?」

「ああ、遊華達が遅刻しないか心配だ」


 俺は香月といつもと同じ時間に家を出て学校に行く。しかし、遊華達は俺達が着替えている間も爆睡してたのでいつ起きていつ学校に行くのかが疑問だ


「それなら大丈夫だよ。本当の事を言うと遊華ちゃん達は私達が朝ごはんを食べている時にはすでに起きているし」


 何それ?俺、初耳なんだけど?え?つまり、アレか?遊華達は俺達が朝飯を食ってる時の会話を聞いてたって事か?


「じゃ、じゃあ、今頃は……」

「うん、軽く朝ごはん食べて登校する準備を進めているだろうね。って事で遊!」

「あ、はい」

「早く行こうか?」

「はい」


 いろいろな意味で衝撃的な事を聞いた俺は香月に手を引かれ、登校した。俺は帰ったら遊華達にどんな顔して会えばいいんだよ……


「はぁ……」

「溜息なんて吐いてどうしたの?」

「いや、帰ってからどんな顔して遊華達と会えばいいのかと思ってな」

「私達は遊の事大好きだからいつも通りでいいんだよ」

「そう言われてもなぁ……」


 大好きだと言われても恥ずかしいものは恥ずかしい


「遊は堂々としていればいいんだよ」

「そんなもんかなぁ」

「そんなものだよ」


 学校への道中、俺達はバカップルよろしくアホみたいな会話を続けた。遊華ともこんな感じの会話をしたが、相手が違うと内容やその場に流れる空気も違う。彼女が5人もいるって大変な事だけど、こういう違った雰囲気を味わえるという部分では5人でよかったと思う


「さて、学校に着いたが……」

「教室に行くのは気まずい?」

「ああ。遊華が罵倒した事もそうだが、俺と遊華が本当の兄妹じゃないって知られてしまったからな。浩太が対策してくれているとはいえ行きたくない」


 対策してくれているとはいえ、行きたくないものは行きたくない


「遊、途中まで私も一緒に行くから頑張ろうよ」

「そうだなぁ……」


 今日はまだ始まったばかりだが、俺は登校してから情けない姿しか見せてないと思う。クラスメイトと気まずくなるとか、真実を知られ教室に入りたくないからって彼女同伴だなんて情けない事この上ない


「遊はいつも自分で決めて自分で解決しているけど、たまには頼ってもいいんだよ?」

「か、香月……」


 俺を見つめる香月の目には光がない。俺は最近、ヤンデレがわからないよ……何で香月はそんな光のない目で俺を見つめてくるの?


「大丈夫だよ。遊。どんな事があっても私が守ってあげるから」


 香月はアレか?甘やかし系のヤンデレなのか?


「あ、ああ、期待しているよ」


 できれば香月が出てくるだなんて事態は避けたいものだ。遊華で学習したが、暴走されたら何をしでかすか……。今日1日は何もない事を祈ろう

今回から香月ヤンデレ編でした。

遊華は束縛系のヤンデレでした。香月は過保護系のヤンデレでした。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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