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【遊華ヤンデレ編6】俺がキスマークを付けられた件について

今回はキスマークを付けられる話です

さすがに印を付けるのに刀傷沙汰にするのはどうかと思いました。キスマークなら道具は必要ないですし

では、どうぞ

 血が繋がってないとはいえ、俺と遊華は兄妹だ。何回も言ってしつこいと思うかもしれないが聞いてくれ。俺と遊華は兄妹なので恋人として付き合う上でどうしても避けて通れないのは周囲からの反発だ。親父達や浩太と敬は俺と遊華が兄妹じゃなく、赤の他人だっていう事を知っているが、他の奴はそうじゃない。俺のクラスメイト限定で言えば今日、浩太が俺と遊華の関係をバラしたからそうじゃなくなった。浩太は俺達の関係をクラスの連中が知っても問題ないようにはしてくれたが、一体何をしたんだ?


「不安すぎる……」

「どうしたの?お兄ちゃん?」


 俺と遊華は現在、寝室のベッドで洋画よろしく2人寄り添っている。何もなければ幸せな時間だが、浩太が電話口で言っていた『生まれてきた事を後悔させる』って事だ。俺と遊華の関係を詮索したり、余計な噂を流されたりしないのはいいんだが、引きこもりになるほどのトラウマを植え付けられても困る


「いや、浩太が俺と遊華の関係を詮索したり、余計な噂を流されないようにしてくれたのはいいんだけど、電話口で『生まれてきた事を後悔させる』って言ってた。もし、そうなったらどんな事をするのかなと思ってな」


 ただでさえ俺は進級を手放しで喜べない状況にあるんだ。せめて1年の間は平穏な学校生活を送りたいものだ。まぁ、彼女が5人もいる時点で人とは違う状況だってのは理解しているけどな


「お兄ちゃん、今は私と一緒なんだよ?」

「ああ、そうだな」

「私と一緒なのにどうして他の事を考えているのかな?」


 いつもは目に光がないだけの遊華だが、今回は光のない目の奥にドロッとした何かが見える。


「あ、いや、ほら、普通の家庭だったら遊華と付き合っている事は世間からしてみれば変だ。俺達は本当の兄妹じゃないから何の問題もない。しかし、世の中にはそんな関係に理解がある奴ばかりじゃない。遊華を守る為にも万が一の事が起きた時に浩太は何をするのか俺は知っておく必要があるんだ。何回もしつこいと思うが、これは遊華の為でもあるんだ」


 途中、何を言っているか自分でも理解不能だが、遊華の為と言っておけば遊華も納得するだろう。ヤンデレは要求を拒否したり、ソイツを拒絶したりするととんでもない事になるが、ソイツの為と言っておけばある程度は納得してくれるものだ。ま、俺の持論だがな


「お兄ちゃん、私の為にいろいろ考えてくれているのは嬉しいけど、私の為って言ったら私が何でも許すと思う?」

「…………」


 さすがに何回も同じ手を使っていたら学習するか……知ってはいたけどな!


「お兄ちゃんの悪いクセだよね。肝心な時に何も言わないのも、都合が悪くなったら黙るのも。そこが好きなんだけどさ、今は私の事だけ見て、私の事だけ考えて。じゃないとお兄ちゃんの事を殺しちゃいそうになるから」


 俺が死んだら遊亜達は生まれてこない。それに俺の本当の母にも会えない。殺される事だけは勘弁してしてほしい


「わ、悪かった。そうだよな、今は遊華と一緒なんだから遊華の事だけ見て遊華の事だけ考えていればいいんだよな!」

「そうだよ。私さえいれば他に何もいらないでしょ?」


 遊華さん?それは頭に今はって付きますよね?大丈夫だよね?


「そ、そうだな……」


 ヤンデレは怒らすと予測不可能な行動に出る。ここで遊華を怒らせるのは俺としても本位ではない


「だよね!お兄ちゃんには私さえいれば他に何も必要ないよね!」

「あ、ああ、そうだな……」


 生きていく上で必要最低限のものは必要なんだけど……その事は今は黙っておこう。


「お兄ちゃん……ううん、遊、愛してるよ」

「あ、ああ、俺もだ」


 最初に飛ばされた未来で遊華から呼び捨てで呼ばれた事はあった。しかし、この時代の遊華から呼び捨てで呼ばれる事なんてなかった。内心ではビックリ半分、新鮮さ半分ってところだ。まぁ、恋人に名前を呼ばれるのは嬉しいものだな。しかも、遊華は最初の恋人だし


「遊……嫌……だったかな……?」

「ビックリしただけで嫌だって事はない。ただ、こっちの遊華から呼び捨てで名前を呼ばれる事がなかったから本当にビックリしただけだ」


 俺はこっちの遊華から名前を呼び捨てで呼ばれるなんて事は1度もない


「こっち?こっちってどういう事かな?」


 未来に飛ばされた話はしたが、最初に飛ばされた未来で俺は遊華から呼び捨てで呼ばれた話をしてなかったな


「俺が最初に飛ばされた未来の遊華には呼び捨てで呼ばれた事があったんだよ」

「ふ~ん。未来の私には呼び捨てで呼ばれた事あったんだ……」


 なぜか頬を膨らませている遊華。だが、遊華。香月はともかくとして、恋人以外の女じゃなく、未来の世界の自分に嫉妬なんてしても意味なんてないぞ?


「ああ。まぁ、未来の世界での話だ。この世界で遊華達以外にだと母さんしか俺を呼び捨てで呼ばせてないから安心しろ」

「浩太さんと敬さんは呼び捨てで呼んでたけど?」

「男はノーカンだ」


 男までカウントしていたらキリがないし、敬はともかく、浩太から『遊君』なんて呼ばれたら気持ち悪い事この上ない


「むぅ~」


 男もダメなんですかね?


「遊華」

「何?」

「想像してみろ。敬はともかく、浩太が俺を『遊君』って呼んでたらどうだ?」

「う~ん……オエッ、気持ち悪ッ!」


 おそらく熱血少年の浩太が俺を君付けで呼んでいる姿を想像したのだろうか、割と本気で吐きそうになっている遊華


「だろ?初対面ならともかく、浩太のキャラを知ってる今更になって君付けとか気持ち悪いだけだろ?」

「うん。私が間違っていたよ」

「わかってもらえればいい」


 遊華、これでまた一歩成長したな。ある程度知った仲で呼び方が定着した状態で呼び方を変えるってのはいろいろと大変なんだ。それに加えてソイツのキャラもある。君付けで呼ばれて何の違和感もない奴もいれば君付けで呼ばれたら違和感しかない奴もいる


「私も『遊』って呼んだけど、今まで『お兄ちゃん』って呼んでたから呼び捨てで呼ぶと香月さんとキャラ被るし、酷く違和感を感じるよ」


 俺の恋人の中で呼び捨てで呼んでるのは香月だけだ。美月も表の顔じゃ『遊ちゃん』呼びだし、美優は『遊くん』で由紀は『遊さん』だ。1人くらい『お兄ちゃん』って呼んでもいいと俺的には思う


「だろうな。それに、香月はともかく、遊華や美月達からはたまに呼び捨てで呼ばれるからグッとくるんだよ」

「そうなの?」

「ああ。男ってのはギャップに弱いんだ」


 ギャップと言ってもいろいろあるけど、遊華や美月達に関して言うならば普段の呼び方とは別の呼び方をされるって事だな


「男の人って単純なんだね」

「まぁな」


 俺は遊華の頭を撫でながら同意しておく。無駄な説明とかすると墓穴を掘る羽目になるから多くは語らないがな


「で、お兄ちゃん」

「何だ?」

「私はこれから我慢しなくてもいいの?」

「ああ」

「私、嫉妬深いよ?香月さん達以外の女と一緒にいると今日みたいになるよ?」


 “今日みたいになる”って言うのは俺のクラスでの事を言っているんだろうが、それを承知で付き合ったんだ。それくらいドンと来いだ


「別にいいよ。犯罪に発展さえしなければな」

「お兄ちゃん、自分で言っといてなんだけど、こういうのってもうちょっと強く止めるべきなんじゃないの?」

「本当なら強く止めた方がいいんだろうけど、遊華に我慢させるのも悪いしな。犯罪に発展さえしなければ多少の暴走くらい目を瞑るさ」


 本当なら無用な争いは避けたいものなんだが、恋人でもない女に独占欲を出されても迷惑なだけだ。特に恋人がいる俺の立場からすればな


「お兄ちゃん、優しいね」


 優しい……か。俺は優しくなんかない。ただのめんどくさがりだ。迷惑な女を遊華達に排除させようとしてるんだからな


「俺は優しくなんてない。ただのめんどくさがりだ」

「ううん、お兄ちゃんは優しいよ。今も昔もね」


 遊華、一時期の俺達は会話すらしてなかっただろ?


「そうかい」

「うん」


 遊華が俺を優しいと言うならそうなんだろう。俺は自分じゃ優しい人間とは思ってないしな


「さて、早退したから時間は腐るほどあるが、何かやりたい事はあるか?」

「やりたい事?何でもいいの?」

「性行為以外ならな」


 再三言ってる事ではある。しかし、何でもいいだなんて言ったら最後、何を要求されるか……遊華達はそんなんじゃないと信じている。しかし、人間の欲望なんていうのはいつ、どこで、どんな形で爆発するかはわからないからな。釘を刺しておいて損はない


「解ってるよ!私だってまだ子供を作る気なんてないよ!お兄ちゃんは私を何だと思ってるの!?」

「可愛い俺の彼女だが、暴走したら手が付けられなくなる奴」

「そうだよ!」


 今日の俺は疲れているらしい。遊華からのツッコミが何もない


「可愛いも暴走したら手が付けられなくなる奴っていうのも否定しないんだな……」


 いやね?否定してほしいわけじゃないんだよ?だけどさ、謙遜したり、暴走したら手が付けられないって部分は否定してもいいんじゃないか?


「手が付けられないってのはともかく、お兄ちゃんは私が可愛くないの?」


 上目遣いで俺を見つめる遊華。彼女ができて俺も変わったな……自分の彼女なら全員可愛く見えるようになったんだからな


「可愛いに決まっているだろ」

「でしょ?私、可愛いでしょ?」

「ああ」

「じゃあ、する事あるんじゃないの?」


 そう言って遊華は目を閉じ唇を突き出してくる。


「キスしたいなら素直にそう言えばいいのに……」


 俺は悪態をつきながらも遊華の唇に自分の唇を重ねた。


「お兄ちゃん……」


 遊華はキスが終わり、余韻に浸っていた俺の首元に顔を埋めてきた。


「どうした?遊華?」

「名前を彫るのは最終手段に取っておくとして、今はこれで許してあげる」

「なっ────────!?」


 俺の首元に感じる痛みとその後に伝わる遊華の舌の感触。お前はドラキュラか?


「お兄ちゃんの身体に名前を彫るのは最後の手段にしておくとして、今はキスマークだけで勘弁してあげるね?」

「あ、ああ……」


 艶やかな表情で俺を見る遊華は可愛いと言うよりも美しかった。思わず見とれてしまう程に

今回はキスマークを付けられた話でした

キスマークならこれといった道具は必要ないのでいつでも付けられます。まぁ、見つかったら恥ずかしいものがありますが……

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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