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【遊華ヤンデレ編4】遊華が情緒不安定な件について

今回は遊が目覚めた後からのスタートです

今回、少しだけ明かされる遊と遊華の過去ですが、どんなものでしょうか?

では、どうぞ

 教室で衝撃的な発言をした遊華と共に早退してきた俺は帰って来て着替えようとしたら遊華に気絶させられてしまった。それはいいとして、俺の隣りで幸せそうに寝ている遊華。ベッドに拘束されてなきゃ遊華を抱きしめてたが、今、両手、両足を拘束されてるから無理だけどな


「はぁ……今のところ危害がないからいいとして、これからどうしたらいいんだよ……」


 遊華1人だけならまだしも、5人もヤンデレがいたら頭が痛い。そもそも、どうして遊華達はヤンデレになったんだ?屋上で浩太に『遊華達は我慢している』と言われた。それはいいとして、そもそもの話、遊華達はどうしてヤンデレなんだ?最初に飛ばされた未来の遊華なら解る。


「お兄ちゃん……」


 さっきまで幸せそうに寝ていた遊華は苦しそうな顔をしていた。うなされている様子はないが、いい夢を見ているとも思えない


「遊華……」


 両手、両足を拘束されてなきゃ抱きしめてたんだけどなぁ……


「いか……ないで……おにいちゃん……」


 俺がどこかに行く夢を見てるんだろうけど、俺がどこに行くと言うんだ?


「遊華、起きろ!」


 うなされているってわけじゃないが、これ以上はマズいと思い、遊華を起こす事にした。


「んぅ……あれ?お兄ちゃん?」

「おう、おはよう。遊華」


 さっきまで苦しそうに寝ていたとは思えない程の寝ぼけっぷりだな。


「私、寝ちゃってたんだ……」

「ああ、しっかりと爆睡してたぞ?」


 苦しそうにしていた事はあえて伏せて寝ていた事実だけを伝える。余計な事を言って不安を煽っても仕方ないからな


「そっか……ところで、寝ている私は変なこと言ってなかった?」

「言ってなかったな」


 俺に『行かないで』と言っていた事は黙っておこう。それよりもしてもらいたい事があるし


「よかった……」


 安心した様子の遊華。安心してるのはいいが、俺の拘束を解いてほしい……


「安心しているところ悪いが、俺の拘束を解いてくれないか?このままじゃ逆に疲れる」


 寝ている状態だとはいえ、両手、両足を繋がれたままじゃ疲れるのもまた事実だ


「は?何言ってんの?解くわけないじゃん」


 さっきまで寝ぼけていたと思ったが、俺が『拘束を解け』と言った瞬間、遊華の目から光が消えた


「寝ている状態だとはいえさすがにこの状態だと疲れるんだが?」

「そうだね。でも、手錠は外さないよ?当たり前じゃん!」


 何が当たり前なのかサッパリ解らない。


「何が当たり前かサッパリ解らないんだけど?」

「じゃあ、聞くけど、手錠を外した後、お兄ちゃんは何をするつもりなの?」

「何をって普通に飯作ったりするつもりだ。それ以外に何がある?」


 いつもしている事をそのまま答える。っていうか、俺には勉強を除いてそれ以外やる事がない


「嘘……嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘だ!!お兄ちゃんは私を置いて他の女のところに行くんだ!!そうやってまた私を置いてどこかに行くんだ!!そんなの嫌!!そんな事になるならお兄ちゃんから自由を奪って私が管理する……2度と置いて行かれないように!!」


 俺は遊華を置いてどこかに行った覚えなんてない。そりゃ浩太と敬と遊ぶ時は別だが、それ以外で遊華を置いてどこかに行くなんて事をした覚えはない


「遊華?」


 遊華の豹変は今に始まった事じゃない。しかし、遊華が言った『2度と置いて行かれないように』という言葉が気になっていた。


「嫌……お兄ちゃんに置いて行かれるのは嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


 苦しそうに寝ていたところを見ると遊華は情緒不安定みたいだ。最初に飛ばされた未来でもこんな事なかったぞ……


「遊華!!」


 叫び狂う遊華を落ち着かせる為、あえて大声を出す。


「あっ……お、お兄ちゃん……?」


 俺の声で叫び狂っていた遊華は落ち着きを取り戻したようだが、さっき遊華が言った『2度と置いて行かれないように』っていうのが気になる。


「俺はどこにも行かないから手錠を外せ」

「いや……」

「そうか。どうしても嫌か?」

「いや……」

「わかった。手錠は外さなくていい。その代わり、『2度と置いて行かれないように』って言葉の意味を教えてくれないか?」


『外せ』『嫌』の押し問答をしていても仕方ない。せめて『2度と置いて行かれないように』という言葉の真意を教えてもらおう。


「覚えてないの?」

「ああ、悪いが何の事だかサッパリだ」

「そう……覚えてないんだ……」


 覚えてないという俺に安心したようなガッカリしたような表情の遊華


「ああ。悪いが覚えてない」


 遊華に告白する前、俺達の関係は冷え切ったものだった。俺がそう思っているだけかもしれないが


「そっか、覚えてないんだ……私達がまだ小さかった頃、お兄ちゃんが私を置いて遊びに行った事があったのに……」


 俺の幼い頃か……そういえば俺は幼い頃、どんな子供だったかな?


「俺が?」

「うん。覚えてないの?」

「ああ。悪いが覚えてない」

「そっか……」


 幼い頃の記憶なんて余程衝撃的な出来事じゃない限りは覚えてないだろう。俺の言葉で傷ついた遊華には申し訳ないとは思うが


「幼い頃の俺が言った事で傷ついた遊華には申し訳ないが、幼い頃の記憶なんて余程衝撃的な事じゃない限りは覚えてないぞ?」

「覚えてないんだ……私はあんなに傷ついたのに……」


 幼い頃の俺は遊華になんて言ったんだ?


「ごめん……できれば教えてくれると助かる」


 遊華のトラウマを今更蒸し返す事はしたくない。しかし、遊華がヤンデレになった原因が幼い頃の俺にあるみたいだから聞いておいて損はないだろう。これからの為にもな


「いいよ。教えてあげる。私達がまだ小学生だった頃の話なんだけど、幼い頃の私はお兄ちゃんっ子だったの。それこそ、毎日お兄ちゃんと遊んでた。それは覚えてるよね?」

「ああ」


 俺達がまだ小学生だった頃、俺は遊華と毎日一緒に遊んでた。それは覚えている。そんな毎日の中で遊華が情緒不安定になるほどの事がいつあったんだ?


「それで、私が小3、お兄ちゃんが小5の時の事なんだけど、お兄ちゃんは町はずれにある廃ビルに遊びに行ったんだ」

「町はずれの廃ビルって今もあるアレか?」

「うん……」


 町はずれの廃ビル。俺達が幼稚園の頃から今に至るまでずっとあるビルだ。長い間、取り壊されないんでそのうち妙な噂が立った。実際に面白半分で入るバカやテレビの取材なんかもあったが、結局は何も起こらずってオチで今はあそこに近寄る人間なんてほぼいないだろう


「町はずれの廃ビルか……」


 俺が小学生の頃、面白半分であのビルに入った事がある。思い出した……


「思い出した?」

「な、何となく……」


 町はずれに廃ビルがあるのは思い出した。が、その廃ビルに入る時に俺は遊華になんて言ったかを思い出せないでいた。俺は小学生の頃、どんな連中と一緒にいた?浩太と敬は中学からの付き合いだから場外するとして、小学生の頃か……小学生、遊華……いや、妹……そういえば、ふざけて妹がいる連中と『妹大好き同盟』なんて作ったっけ……


「そう……何となく……」

「でも、もう少し話してくれたら何か思い出せそうだ」


 遊華の話をもう少し聞けば何かを思い出す。それは間違いない


「じゃあ、もう少しだけ話すね?」

「頼む」

「お兄ちゃんはその廃ビルに行くって言って私も一緒に行くって言ったらお兄ちゃんは『邪魔だ!!付いて来るな!!』って言ったんだけど……覚えてない?」


 廃ビルに行くために遊華を拒絶した。毎日一緒に遊んでた妹を拒絶……小学5年……小学5年くらいになると唐突にしたの兄妹がうっとおしく思えたりする。親父から拝借して読んだ本にそんな事が書いてあった。そうじゃない子もいるだろうから明確な判断材料にはならないと思う。そういえば、『妹大好き同盟』の条項に『危険な場所への妹同伴禁止』ってのがあった。町はずれの廃ビルは安全とは言えない。そうか……


「いや、今ので思い出した」

「ほんと……?」

「ああ。本当だ」


 俺は全てを思い出した。思い出したのはいいが、今更こんな事を言っても言い訳にもならない


「じゃあ、どうしてあの時、私を拒絶したのか聞いてもいいかな?」

「言い訳にもならないが、俺は小学5年の時、妹がいる友達何人かと『妹大好き同盟』なんて組織を組んだ。小学生ながら組織の決まりも考えた」

「うん……」

「その中の決まりに『危険な場所への妹同伴禁止』っていうのがあったんだ」

「うん……」

「町はずれの廃ビルは誰がどう見ても危険な場所だ。そんな場所に妹を連れて行くわけにはいかないって事で妹を連れて行かずに俺達だけで行こうって話になったんだ」

「うん……それで?」

「それで、廃ビルに入る前、俺達は『妹が付いて来たいって言ったら何としても拒絶しよう』って話になったんだ」


『妹大好き同盟』なんて名前の組織が生まれた理由は覚えてない。しかし、廃ビルに入る前の事は思い出した。妹を危険な場所に連れて行くわけにはいかないから拒絶した。ただ、それだけの話だった


「そんな……そんな事の為に……」

「ごめん……」


 我ながらバカだったと思う。廃ビルとはいえ持ち主がいる建物に勝手に入るだなんて……


「謝っても許さない……」


 許す許さないを決めるのは遊華であって俺じゃない


「許す許さないを決めるのは俺じゃなくて遊華だ。俺が許せないのなら好きにしろ。俺に文句を言う権利はない」


 俺が遊華を傷つけてしまったのは事実だ。そんな俺がどうこう言う権利はない。ならば遊華の好きにさせるのが1番いい


「じゃあ、好きにさせてもらうね?」

「ああ。好きにしろ。今回ばかりは身体に名前を彫られても文句は言えないしな」


 正直に言うと名前を彫るのは勘弁してほしいが、情緒不安定になるまで遊華を追いつめた俺に拒否権はない。まぁ、今はうつ伏せじゃないから名前を彫る場所は限られてると思うがな

今回遊が目覚めた後からのスタートでした

今回は遊と遊華の小学生時代を少しだけ公開しましてみました。次回は謝った後の話にしたいと思います

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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