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【遊華ヤンデレ編3】俺が遊華と早退した件について

今回は遊華と早退する話です

いつも以上にヤバい状態の遊華を1人にするのは危険です

では、どうぞ

「ゆ、遊華?」


 俺は今までにないくらい動揺していた。ヤンデレだというのは知っていたが、まさか、高校の教室で他の女子を雌豚だなんて言うとは思ってなかったぞ……


「お兄ちゃんは渡さないお兄ちゃんは私のものだ誰にも渡さない……私からお兄ちゃんを奪う奴は誰であろうとぶっ殺してやる!!」


 いつもの遊華じゃない……


「お、おい、遊、アレはヤバくないか?」


 危険を察知したのか、浩太が小声で話し掛けてきた


「確かにヤバいな。目に光がないのはいつものヤンデレ遊華だが、今までなら他の女性を雌豚なんて言う事はなかった」

「ひょっとして俺が屋上で言った事は本当だったとかか?」

「どうやらそうらしいな」


 屋上で浩太が言った『遊華達は我慢しているようにも見える』ってのが本当になるとは思わなかった


「遊、クラスの連中も戸惑ってるみたいだし、先生には俺から説明しといてやるから早退しろ」


 クラスの連中を見てみると戸惑いの表情を浮かべている奴がチラホラいる。特に俺と親しい敬やその彼女の早川なんて驚き過ぎて言葉が出ないみたいだ。それ以外の奴も何かをヒソヒソと話している。ここは浩太の言う通り遊華を連れて早退した方がいいよな……遊華の学校には俺から連絡するとして


「お兄ちゃんを奪う奴は殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」


 殺すという言葉を呪詛のように唱える遊華。ヤバい!このままじゃ何をしでかすか……


「遊華、帰るぞ」


 傍から見れば精神が不安定だと思われても仕方ない遊華に俺の声が届くのか不安ではあるが、一応、声だけ掛けてみる。


「おにいちゃん?帰るの?」


 光のない目で俺を見る遊華。どうやら俺の声は届いていたみたいだ


「ああ。今の遊華を中学に帰すのは果てしなく不安だから早退する事にした」

「午後も授業があるんじゃないの?」


 しまった!授業の事を忘れていた……


「遊は腹が痛くて遊華ちゃんに看病してほしいみたいだよ?」


 遊華にどう言い訳するかを考えているところに浩太からの助け舟が出た。俺は至って健康だが、ここは浩太の嘘に乗っておくとするか


「浩太さん、さっきの話は本当ですか?」

「本当だよ。遊が教室にいなかった時があっただろ?アレは遊が保健室に行っていたからなんだよ」

「そうですか。それでお兄ちゃんがいなかったわけですね」

「うん。な?遊」

「あ、ああ。そうだ」


 浩太の嘘に乗っかると決めた俺は浩太の言う事をとりあえず肯定しておく。


「じゃあ、家に帰って看病しなきゃね」

「そうしてくれると助かる。そういうわけで俺帰るわ。浩太、先生とクラスの連中への説明よろしくな」

「ああ」


 クラスメイトの前だというのに文学少年の顔で返事をしてもいいのか?という事は後日改めて聞くとして、今は遊華をこの場から一刻も早く連れ出さなきゃな


「…………」

「…………」


 下校する道中、俺と遊華は無言だった。俺の方は浩太が上手く言っておいてくれるって言ってたし、遊華は遊華で俺の看病の為、早退すると担任に伝えたらアッサリ早退を認めてくれたらしい。で、現在、下校中なんだが、俺も遊華も教室での一件があったせいか無言になってしまった


「教室でお腹が痛いって言ったアレ嘘でしょ?」

「突然何だ?」

「お兄ちゃん、何年私がお兄ちゃんの妹をやってると思ってるの?お兄ちゃんが言った事が嘘かどうかくらい解るよ」

「そうか。まぁ、俺がここで何かを言っても無駄だろうから正直に言うが、遊華の言う通り、腹が痛いのは嘘だ」


 未来の遊華は今ほど酷くはなかったが、ヤンデレだった。声優というメディアに出る仕事をしていたせいもあってか派手な事はしてこなかったけど


「そう。ねぇ、何で嘘なんか吐いたの?」


 教室にいた時よりは落ち着いたようだが、俺が遊華に嘘を吐いた事に変わりはない。さて、なんて言ったものか……言い方を間違えれば教室にいた時よりも酷い事になるかもしれない


「遊華と一刻も早く2人きりになりたかったからだよ」


 教室で遊華が独占欲を丸出しにし、他の女子を雌豚と口汚く罵ったという事実を念頭に入れた結果、俺は遊華と早く2人きりになりたかった。こう言うしかなかった


「へぇ~、そんなに私と2人きりになりたかったんだ」


 いつもの遊華なら満面の笑みを浮かべて喜ぶが、今回の遊華はいつもとは違い、妖しげな笑みを浮かべていた


「ああ、こんな可愛い彼女が自分の通う高校に来ていたんだ。独占したいと思うのは彼氏としては当たり前の感情だと思うんだが?」


 今の遊華を下手に刺激すると何をしでかすかわかったもんじゃない。独占したいと言っておけばこの場で暴走する事はない


「それなら早く家に帰らなきゃね」

「そうだな」

「じゃあ!家までレッツゴー!」

「はいはい」


 俺の前を歩く遊華は少しだけ機嫌がよさそうだ。だけど、俺はそんな遊華の背中を見て浩太に言われた事を思い出さずにはいられなかった。それは遊華に限った事じゃない。香月達もそうだけど、本当は我慢してたんじゃないか?


「遊亜達が生まれている以上、俺はこの問題をどうにかして乗り越えてきたんだろうけど、俺はどんな方法を使ったんだ……?」


 遊華達と一緒に未来へ飛ばされた時、遊華達との間に子供がいた。つまり、俺は遊華達と結婚し、子を成した事になる。まぁ、俺が最初に飛ばされた未来じゃ母さんと一月さんが亡くなった事になってたから遊亜達がいる未来も1つの形だろうからそれが絶対って事でもないんだろうけど、遊亜のいる未来に2度も飛ばされたんじゃそれが正しい未来だとも捉えられる


「まぁ、遊華達の事はなるようにしかならないか」


 俺は前を歩く遊華を追いかけた。元々は俺の失言が原因だ。なるようにしかならない。遊華達に限って俺を殺すだなんて事は多分、ないと思うけど


「「ただいま」」


 誰もいない家、俺と遊華は『ただいま』と言うが、『おかえり』の返事はない。1人暮らしの人間が何となくしてしまう行為を俺と遊華もしてしまった。


「誰もいないのにただいまってのも変だな」

「そうだね……」


 苦笑いする遊華を見ていると教室にいた人間と同一人物だとは思えない。


「とりあえず着替えてくる」


 家に帰って来てまで制服でいたくない。そう思い、俺は部屋に着替えに行く。


「待って、お兄ちゃん」


 部屋に行こうとした俺の腕を遊華が掴む


「何だ?」

「お兄ちゃん、今日、私と別れた後、何人の女子と話した?」


 遊華と別れた後、俺は女子と話をしてない。話していないものを答えようがない


「0人だ。そもそも、俺の交友関係は浩太と敬しかいないし、話す女子って言っても浩太の彼女の明美さんか敬の彼女の早川しかいない」


 ボッチってわけじゃないが、俺の交友関係はあまり広くない。浩太と敬以外の男子とはまともに会話をした事なんてない。女子とは今日、遊華との関係を聞かれた以外の会話はしてない


「そう。じゃあ、私がお弁当を届けに行った時に話してたあの雌豚は女子じゃないの?お兄ちゃんは私に嘘を吐くの?」


 影が薄すぎて忘れてた。言われてみれば遊華の事を聞いてきたクラスメイトの女子がいた。


「嘘を吐いたつもりはない。ただ、遊華の事を聞いてきた女子は影が薄すぎて忘れていただけだ」

「ふ~ん、ねえ、お兄ちゃん」

「何だ?」

「こっち向いて」

「わかった」


 遊華は掴んでいた俺の腕を一旦離し、俺は遊華の方を向いた


「お兄ちゃん……ごめんね?」

「遊華、一体、何を───────」


 俺は得体の知れない痛みと共に意識を失った。意識を失う前に見たのは光のない目で俺を見つめている遊華だった。




 お兄ちゃんをスタンガンで気絶させた後、私はお兄ちゃんをリビングから寝室に移動させた。


「お兄ちゃんが悪いんだよ?私に嘘なんて吐くから」


 気絶しているお兄ちゃんを見下ろし、1人呟く。私以外で話していい女子は香月さん達だけ。それ以外の女子は必要ないし、お兄ちゃんが私達以外の女子と話しているところを想像しただけでムカつく……それはそうと、早く準備しなきゃ


「準備完了!」


 私はお兄ちゃんの制服を脱がせた後、パジャマに着替えさせてベッドに拘束した。目が覚めたお兄ちゃんは両手、両足を拘束されているから自由に動く事はできない。後は私のものだという証をお兄ちゃんに付けるだけ


「さて、お兄ちゃんの目が覚めるまで添い寝でもしよっかな」


 別にパンツ1枚でもよかったんだけど、風邪引いたら大変だから着替えさせたけど、抵抗するならパジャマを引き裂けばいいだけだしね!


「お兄ちゃんはずっと私のもの。誰にも渡さない。香月さん達とも付き合う事を許可したけどお兄ちゃんの1番は私だけのもの……香月達になんか渡すもんか」


 私は愛しのお兄ちゃんを抱きしめながら眠りに就いた。お兄ちゃん、香月達と付き合っていてもいい。結婚してもいい。子供を作ってもいい。全部許してあげる。だけど、お兄ちゃんの1番は私だけのものこれからずっとずっとずーっとね!




「こ、ここは……」


 遊華に何等かの方法で意識を刈り取られた俺は気が付けばベッドにいた。


「両手、両足の自由が利かない……今度はベッドに固定されたか」


 朝は両手、両足に手錠を掛けられていただけだから、自分で動こうと思えばやってやれない事はなかった。しかし、今回は両手、両足をベッドに拘束されていた。これをやったのは考えるまでもなく遊華だ。その遊華も今は隣りで気持ちよさそうに寝ているけど


「んぅ……お兄ちゃん……」


 寝ている遊華を強引に起こしてもいいが、今の俺は両手、両足を拘束されているので大声で叫ぶしかない。だが、叫んだところで遊華が必ず起きるという保証はない


「遊華が自分で起きるのを待つしかないか」


 必ず遊華が起きるという保証がない以上、遊華が自分で起きるまで待つしかない。遊華が起きた時、俺は一体どんな話をするんだろう?今の遊華に説教をするって事は逆切れしてるみたいで気が引ける。じゃあ、説得?それもないだろうな。こうなったら遊華の気が済むまで好きにさせるか








今回は遊華と早退する話でした

遊華が遊を物理的に気絶させるとは思いもしませんでした。ヤンデレならコレが普通なのかもしれませんね

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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