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【遊華ヤンデレ編2】遊華が俺の教室まで来た件について

今回はヤンデレ遊華第2弾です!

教室まで来た遊華の目的とは?

では、どうぞ

 HRの間、遊華から鬼のようにメールが来て担任に怪しまれた。しかし、放置したら後で面倒な事になりそうなのでサイレントモードにして目立たないようにはしたんだが、遊華のヤツ、HR中だけじゃなく、授業中にもメールしてくるもんだから参ったよ……そして、今は昼休み


「遊華でこれだ。香月達もおそらく同じ事をするよなぁ~」


 俺は現在、机に突っ伏してグッタリしていた。遊華達のヤンデレには慣れた。しかし、慣れたからと言って疲れないわけじゃない。俺は疲れた……主にヤンデレの怒涛のメールに


「お疲れのようだな!遊!」


 今回に限りウザいくらいハイテンションな浩太が俺の元へやって来た。できれば文学少年の方で話し掛けて来てほしかったんだけどなぁ……


「ああ、朝からケチャップ塗れの朝飯を食わされた挙句、HRから今に至るまでの間に来る怒涛のヤンデレメール。そして、今日に限ってウザいくらいハイテンションな浩太に話し掛けられて疲れないわけがない」


 俺は簡潔に自分の現状を浩太に説明する。直接は言わないが、遠回しにテンションを下げろと言ってみるが……


「そうか!それは済まなかったな!はっはっはっ!」


 伝わってはいるんだろうが、それを改善するつもりは全くない浩太。表の顔だけ知っている人間なら空気の読めないバカにしか見えないが、裏の顔を知っている俺からしてみれば俺の言いたい事が伝わっているのにそれを改善するつもりは毛頭ないように見えて何となく腹立つな


「俺の言いたい事は伝わってるよな?」

「ああ!テンションを下げろって言いたいんだろ?だが、それは無理だ!」

「はぁ……」


 俺の言いたい事がバッチリ伝わっているのに無理だと言ってのける浩太。文学少年からしてみればこれって黒歴史になるんじゃ……まぁ、いいや。とりあえず教室を出るか


「お?どこか行くのか?」


 突っ伏していた俺は立ち上がった。正直、俺は今、教室にいたくない


「気分転換に屋上にな」


 クラスの雰囲気が悪いわけじゃない。しかし、俺は教室にいたくないから出て行く


「ならば俺も行こう!」

「好きにしろ」


 ハイテンションの浩太が付いて来ると言った。俺はそれを拒む気はないし、屋上に行けば浩太の方から何か話があるはずだ。なくてもハイテンションじゃなくなると期待している


「それで?どうしてグッタリしていたんだ?まぁ、聞かなくても何となく想像はできるけどな」


 屋上に着いた瞬間、浩太はハイテンションからクールな文学少年の顔になった。俺の周りには表と裏の顔を使い分ける奴が浩太の他にもう1人いるから驚きはしないが、こんな生き方して疲れないのかと疑問に思う


「そうか。浩太は俺が遊華達にした失言によって朝食はケチャップ塗れのものを食わせられ、HRから昼休みまで遊華から鬼のようにヤンデレメールが来ていたって言うのは言わなくても知っているのか……」


 浩太が何でも知っているとは言わない。俺が何も言わなくても俺の置かれている状況を把握しているとは思えない


「そ、そんな事になっていたとは予想外だった……」


 意外にも驚きの表情を見せた浩太。コイツは一体どんな事を予想してたんだ?


「お前は一体どんな予想をしてたんだよ……」

「遊がHR中から昼休みになるまで遊華ちゃん達の誰かから鬼のようにメールが来ているんじゃないかとは思っていた」

「半分は当たっていたな。まぁ、朝食の事と俺の失言は予想外だったってところか」

「ああ」

「遊の失言って俺が聞いてもいいものか?」

「敬にも話したから構わない」


 俺は敬に話した事と同じ事を浩太に話した。話してどうなるものかは知らないが、話さないよりかはマシだろ


「そんな事があったのか……」

「ああ。敬には俺が悪いって言われたし、人から言われなくても俺が悪いと言うのは自覚している」


 俺は浩太にも敬と同じ事を言われる前に自分が悪い事を告げる。自分が発言ミスしたせいで今の状況になっているのは自覚している。


「そうだな。常にヤンデレでも構わないって言ったのは遊の失言だな。が、遊華ちゃん達が今まで我慢していたように見えるのもまた事実だ」


 浩太は敬とは違い、別の意見を出してきた。敬からは俺が悪いとしか言われなかったのに、浩太からは我慢していたように見えるという新しい意見が出てきた


「我慢……していた?どういう意味だ?」


 俺は浩太の言っている事の意味が理解できない。俺が知らず知らずのうちに遊華達に我慢を強いてきたというのか?


「言葉の通りだ。遊が我慢を強いてきたなんて言うつもりはない。しかし、遊華ちゃん達は我慢していただろうな。お前の人間関係を壊さないように、お前に迷惑を掛けないように。自分の想いを押し殺してな」


 俺が我慢を強いてきたわけじゃない。しかし、俺の学校生活を壊さないように、俺に迷惑を掛けないように我慢してきた。つまり、遊華達が自分の本能に従って過ごしていたら大変な事になっていた。そういう事か?


「浩太の言っている事が正しければ遊華達が本能のまま行動していたら……」

「俺や敬、早川や明美さんと話している分には問題ないと思う。だが、他の男子ならともかく、他の女子と話していたら大変な事になっていただろうな」


 幸い、俺は浩太、敬以外の男子とはあまり話さないし、遊華達と早川、明美さん以外の女子とはあまり話さない。身内以外とほとんど会話がなかったから特に何もなかった。そう、今までは目立たなかっただけで


「俺は浩太、敬以外の男子とはほとんど関わりなかったし、早川や明美さん以外の女子と話した事はないぞ?」


 コミュ障と言われればそれまでだ。逆を言えばクラスの連中や学年の連中にそれほど興味がないとも取れなくはない


「遊には可愛そうだが、今まではそれで助かっていた。しかし、これから俺達は文化祭や修学旅行がある。つまり、遊。お前は嫌でも他の男子、他の女子と話さなければならない事態が出てくる」

「そうだな。文化祭準備には段取りの確認の為に他の女子と話さなきゃいけなくなるだろうし、修学旅行の時には班行動があるだろうから女子との会話は避けて通れないだろう」


 今は文化祭の季節じゃない。後1か月ある。しかし、今のまま行けば俺は死ぬことはなくても無事じゃ済まないだろう


「それを理解しているならいい。ところで遊」

「何だ?」

「校内が騒がしくないか?」

「そう言えばそうだな」


 気にはしてなかったが、さっきから校内が騒がしい。何かに怯えているといった感じじゃない。言うなれば……そう、アイドルが来た時のような感じだ


「騒がしいのは苦手なんだが……戻るか」

「そうだな……」

「「はぁ~」」


 浩太は普段はハイテンションな熱血系少年を演じている。しかし、本当は騒がしいのは好きじゃない。俺と同じようにな。俺と浩太は本当の顔を隠している以外は似たもの同士だ。そんな俺達はため息しか出ない


「何か俺達の教室の前に人だかりができてるな」


 教室の前に辿り着くと教室の前には人だかりができていた。一体何の騒ぎだ?あんまり厄介な事には巻き込まれたくないんだが……はぁ、仕方ないか


「あ、お兄ちゃん♪」


 教室に入ると俺の席に座っていた遊華が俺の元へ駆け寄ってきた。教室の前にできていた人だかりの原因は遊華か……


「遊華、学校はどうした?」


 今は昼休みだ。それは遊華だって同じで学校がある。そんな遊華が昼休みに高校に何の用だ?


「あるよ?あるけど、これ渡すの忘れてたから先生に事情を説明して来ちゃった♡」


 遊華が俺に差し出したのは弁当だった。朝飯は遊華が作ってくれた。弁当を作った記憶は俺にはないし、弁当がないってのは昼休みが始まる前には知っていたから昼は購買でいいやと思っていた。しかし、遊華がわざわざ弁当を届けに来てくれるとはな


「そ、そうか、ありがとな」


 朝飯の一件がある。弁当もケチャップで真っ赤になっているに違いない。あくまで俺の憶測だが……


「うん!私は学校に戻るけど、全部食べてよね?」


 光のない目で俺を見つめる遊華。屋上で浩太とした話を考慮すると遊華は今まで我慢していたという事になる。しかし、俺はクラスメイトとの会話などほとんどない。前に1度遊華の同級生達と香月、美月の同級生の間じゃ俺は人気があるような話を聞いたが、俺の同級生に限ってそんな事はないと思う


「も、もちろんだ」


 彼女の手料理は嬉しいが、開けてみて弁当が真っ赤な光景を想像すると手放しに喜べない


「と、藤堂君……そ、その子は?」


 クラスメイトの女子が尋ねてきた。申し訳ないが、この子の名前を覚えていない。


「妹だけど?それがどうかしたのか?」


 本当は実の妹じゃないが、それを俺と全く関係のないこの子に言う必要はないだろう


「う、ううん、妹さんならいいの……!」

「そうか」


 遊華が妹だと知って安心したような表情を浮かべながら女子達の方へ戻って行った


「お兄ちゃん……」

「どうしたん───!?」


 遊華にネクタイを引っ張られ、強引に引き寄せられた


「どうして私が彼女だって言わないの?」


 耳元で囁かれるのはドキドキするが、今の遊華の声はいつも以上に冷たかった


「俺と遊華が実の兄妹じゃない事をわざわざ言いふらさなくてもいいと思ったからだ」


 俺はいつだってそうだった。1人で考え、1人で決めてきた。そりゃ相談くらいはするが、最後に決断するのはいつも1人でしてきた。今回と同じように


「は?それって私と付き合ってるのが恥ずかしくて周りに言えないって言ってるみたいじゃん」


 引き寄せていた俺を離し、下を向いてしまった遊華。付き合っていて恥ずかしくはない。だが、これが幼馴染とかなら説明するのは楽なんだが、血が繋がっていないとはいえ兄妹だ。説明が面倒になる


「いや、そんな事はないが、血が繋がってないとはいえ兄妹が付き合っているって知られたらいろいろ面倒だろ?」

「…………」


 下を向いて黙ったままの遊華。ひょっとして泣いたか?それはそれで面倒な事になる。っていうか、すでに面倒な事になっている。周囲からは『え?泣いちゃったの?』とか『藤堂マジかよ?妹泣かせてるよ』とかの発言がクラス内から聞こえる


「ゆ、遊華?」


 泣いてしまったと思い、俺は遊華に声を掛ける


「───さない」

「遊華?」

「────たさない」

「ど、どうしたんだ?遊華?」

「渡さない……お兄ちゃんは渡さない!!お兄ちゃんは私のものだ!!これからもずっとお兄ちゃんは私のものだ!!後から出てきた雌豚にお兄ちゃんは渡さない!!」


 普段の遊華なら決して口にしない暴言とも取れる言葉を口にし、独占欲を露わにする遊華。屋上で浩太に言われた『遊華達は我慢しているようにも見える』というのは間違いじゃなかったみたいだと俺はこの瞬間に確信した。

今回はヤンデレ遊華第2弾でした

遊華は弁当を届けに教室まで来ました。そして、他の生徒がいる前でいつもは口にしない言葉を口にする遊華。さて、次はどうなる?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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