香月達と同棲が決定した件について
今回は香月達と同棲が決定した話です
香月達と同棲が決定した・・・・遊斗が無理やり決めた感が否めない
では、どうぞ
香月達と打ち解けて親父達が生気を吸い取られたような姿を見たのが今日の朝の事である。そして、何事もなく学校に登校し、未来に行く前と何ら変わらない授業を受けた。そして、現在は放課後である。さすがに今日は泊まりはない。俺は思っていた。だが、それは一瞬でぶち壊された。なぜなら……
「遊、今日から僕達は羽月達の家へ住む。代わりに香月ちゃん達をこの家に住まわすからよろしく」
「はい?」
親父の突然の発言によって俺はいつもと同じ日常から一変し、両親が恋人?と住まいを交換するなんて暴挙に出たからだ
「聞こえなかった?なら、もう1度言おうか?」
「いや、聞こえたけど、どうして香月達と住まなきゃいけないんだ?」
理解が追い付かない。遊華とは未来から帰ってきた日に恋人同士になった。だが、香月達とは何だ?恋人なのか?
「いや、付き合ってる男女が一緒に住むのは当たり前でしょ?」
「え?俺って香月達と付き合ってるのか?」
昨日の夜に妙な芳香剤のせいで遊華にキスされ、香月達にもキスされたが……
「お兄ちゃん……」
「どうした?遊華?」
ウルウルとした目で俺を見つめる遊華。何か泣かせるような事したかな?
「お兄ちゃんは私と恋人同士だけど、香月さん達とも恋人同士になったんだよ?」
「え?」
意味のわからない事を言い出す遊華。俺の彼女として俺が他の女と付き合うのはいいのか?
「聞こえなかった?お兄ちゃんは私達3人と恋人同士になったんだよ!」
マジですか?遊華さん……その前に1つだけ確認しておこう
「遊華はいいのか?俺が遊華以外の女性と付き合っても」
「お兄ちゃん……私は嬉しいんだよ?」
嬉しい?どういう事だ?言い方を変えれば俺は浮気するんだぞ?
「嬉しい?どうして?」
「どうして?そんなの決まってるじゃん……私と同類が増えたんだもん……嬉しいに決まってるよ」
遊華の目には光がない。有り体に言えばハイライトオフだ。そういえばさっきから親父が静かだな。どこ行ったんだ?
『遊、僕と華は羽月達の家に行くから遊は香月ちゃん達と幸せにね』
「あの野郎……」
親父はふざけた書置きと共に姿を眩ませていた。後で覚えとけよ
「遊……」
「遊ちゃん……」
「お兄ちゃん……」
いつの間にかいた香月と美月、それに遊華もだが、目に光はない。10年後の未来で1度体験している事だ。全くではないが怖くない
「いや、落ち着け!」
とりあえず落ち着かせよう。ここへ住むとして、香月達の私物はどうなる?着替えは?
「お兄ちゃん、私達は落ち着いてるよ?」
落ち着いてる人間はハイライトを目に宿しているんだが……
「いや、落ち着いてる人間はそんなヤンデレみたいな目をしないぞ?」
「お兄ちゃん、私達は落ち着いてるよ?」
「そうだよ。私達は落ち着いてるよ」
「落ち着いた方がいいのは遊ちゃんだよ?」
いや、どう見ても落ち着いてないのは遊華達だが……俺は未来に飛ばされた時に学習した。こうなった時の遊華達からは逃れられない事を。そして、今は俺が遊華達を拒絶する意味が俺にはない事を知っている
「だな、俺が取り乱してた悪いな」
恋人になった今、俺が遊華達を拒絶する意味はない。むしろヤンデレ3人まとめて相手してやる!
「お兄ちゃんいきなりどうしたの?」
「ん?何が?」
「いつもなら私を拒絶するのに」
その事か……聞くまでもないし、拒絶されてると思われてたんだなんて心外……
「拒絶されてると思われてるのは心外だ。それに、俺は遊華達の求愛行動に文句点ける意味がないなと思っただけだ」
今までなら妹だから、義理とはいえ家族だから、恋人同士じゃないからと何だかんだ理由を付けて拒絶してきたが、その理由もなくなった。
「お兄ちゃん、いいの?思いっきり甘えても……」
そうしてやりたいのは山々だが、ここでは困るな。
「甘えるなら部屋に行ってからな」
ここは昨日までは家族共同のリビングだった場所だ。理由はそれだけじゃないが、部屋の方が安全だ
「じゃあ、お部屋にれっつご~」
美月の掛け声と共に俺達は部屋へと向かった。甘えられるにしても甘えるにしてもいつもの部屋じゃないと落ち着かない
「着いたね。お兄ちゃん♡」
「やっとだね。遊♡」
「私達を精一杯可愛がってね。遊ちゃん♡」
どうやら俺は恋人達のお願いに弱いらしい。遊華達にこれだけは言っておこう。
「3人とも聞いてくれ」
「「「何?」」」
「未来じゃ一夫多妻制になってるらしいぞ」
「「「え?」」」
遊華は同類────俺を愛する仲間が増えて嬉しいと言っていたが、それでも争いが起こらないとも限らない。そうなる前に手を打っておく。それが俺だ
「まぁ、そういう事だ」
恋人とは言ったが、遊華と付き合っているという自覚はある。だが、香月と美月と付き合ってる自覚はあるか?と言われたら、実感が湧かないから何とも言えないと答えるだろう。しかし、俺は遊華もそうだが、香月と美月を悲しませたくない。そう思う
「あ、待ってよ!お兄ちゃん!」
「そうだよ!待ってよ!遊!」
「置いてかないで~!」
慌てて追いかけてくる。こんな3人の姿を見て愛おしいと思う俺……惚れた弱みか……
「はぁ……こりゃダメだな」
言いたかないが、俺は完全に遊華達にホの字だ。道理でヤンデレも受け入れられるわけだ。
「遊ちゃん、何がダメなの?」
「いや、完全に3人に惚れてるなと思ってな」
「「「なっ!?」」」
ビックリした顔の遊華達。いや、君達ビックリしてるけど、こんな事言ってる俺が1番ビックリしてるからな?
部屋に着いた俺達は適当にくつろいで各々が勉強したり、読書したりして過ごした。最初は甘えてくるのかな~?って思っていたが、遊華達は俺と同棲した雰囲気を楽しみたかったらしい
「それにしても、父さんは香月達の家に移り住んでしまったしなぁ……」
恋人同士が同棲する練習と言ってもアパートやマンションの一室じゃない。家を丸ごとだ。さすがに広すぎる。
「そうだね、お兄ちゃん。これからどうしようっか?」
「そうだな……どうするかはこれから考えるとして、先に香月に頼みがあるんだけど」
家の事はこれから考えればいい。だが、その前に俺の周囲の人間関係を10年後に近づけておこう
「何?遊?私に頼みって」
「ああ、香月の友達に明美さんっているか?」
「うん、いるけど?それがどうかしたの?」
「いや、紹介してほしなと思って」
明美さんを紹介してもらって浩太と付き合わせる。これで浩太も彼女持ちになり、将来的にはその明美さんと結婚する。未来ではいつ出会っていつ結婚したかは聞いていない。付き合い始めがいつになろうと関係ないだろ
「お兄ちゃん……その明美さんも狙いなの……?」
目に光がない遊華が俺に迫ってくる。だが、勘違いしないでほしい。俺が狙うわけじゃない。狙うのは浩太だ
「俺じゃなくて狙うのは浩太……俺の友達だよ」
「え?」
「そういや話してなかったか?」
「聞いてないよ!お兄ちゃん!」
「遊!私もだよ!」
「遊ちゃん!私も!」
遊華達には話してなかったっけ?いい機会だ。浩太の恋愛成就を協力してもらおう。俺と敬に恋人ができたのに自分は1人身でヘソ曲げかねない
「香月に紹介してもらう明美さんは未来で俺の友達の奥さんだ。いつ付き合いだしたとかは聞いてないけどな」
こんな事なら10年後の世界でちゃんと聞いておけばよかった……出会った経緯とかも含めて
「え?明美って結婚するの?」
香月が意外そうな顔をしているが、え?明美さんが結婚するって事がそんなに意外なのか?
「あ、ああ、俺の友達と結婚するけど。それがどうかしたのか?」
「し、信じられない……」
香月に信じられないと言わせる今の明美さんは一体どんな人物なんだろうか?
「今の明美さんはどんな人物なんだ?」
「ヤンキー」
「え?」
「だから、ヤンキーだよ」
未来ではクール系の女性でとてもじゃないけど、ヤンキーに見えなかったのに……え?この時代の明美さんってヤンキーなの?
「浩太頑張れ!遊華達愛してる!」
浩太に頑張れという祈りを送った。俺は恋人がいるから後は頑張れ!
「お、おおおおお兄ちゃん!」
「ゆ、遊……」
「遊ちゃん……」
気か付けば顔を真っ赤にした遊華達。俺なんか言ったっけ?
「どうした?」
「どうした?じゃないよ!シレッと何言ってるの!?お兄ちゃん!」
「そ、そうだよ!遊!あ、愛してるだなんて……」
「ゆ、遊ちゃん……」
あー、テンション上って浩太の応援する時にそんな事言ったなぁ……
「紛れもない俺の本心だ」
未来の世界みたいに誤魔化しやその場凌ぎで言ってるわけでもないし、家族としてじゃなく恋人としての愛を伝えてるだけだから遊華達に怒られる心配もないだろう
「「「…………」」」
はい、真っ赤になって気絶しました。この世界の遊華達にはまだ耐性がなかったの忘れてたわ
「2人きりの時は愛の言葉を嬉しいなんて言うくせに集団だと途端にオーバーヒートするところは……これから何とかしていくしかないか……」
これ以上は増えないよな……遊華もそうだが、香月と美月もヤンデレだ。慣れているとはいえ、ヤンデレを複数相手にするのはさすがに骨が折れる。
「ま、なるようになるか……」
今は遊華達といる時間を大事にしよう。諸々考えるのは後だ。ここは未来の世界じゃない。俺にも遊華達にも時間があるし、突然の別れがいつ来るかなんて心配をする必要はない。
今回は香月達と同棲が決定した話でした
香月達と同棲が決定した。いや、遊斗が無理やり同棲させたと言った方が正しいかもしれませんね
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました