魔笛を奏でる
魔法2
元からある魔法、人が真似た魔法。
それとは別の魔法が存在する。
大きく分けると二つ。
属魔法と特異魔法である。
属魔法とは、属性固定や眷属、種族魔法。
カロスの持つ闇または夜魔法がこれになる。
アラウラネも属性固定なので実はこっち。
左右から攻撃が繰り返し来ています。
ミツネの魔法班は多く倒されていました。
「やっぱり、この子達じゃ荷が重いか...
爆炎よ纏え!フレアウォール!」
私は城内でミタマと待機しています。
「あれ....お母さん。笛は?」
ミツネは高い魔力を保持しています。
横笛の音色に乗せて
各魔法を操る魔法というものを無視した変わった魔法使いです。
でも、今ミツネは普通に言葉紡で魔法を発動させてます。
ミタマはバッと立ち上がり
勢いよく走り出しました。
「お母さんの笛を探してくるね!!」
ミタマが凄く心配なので
私は、ミタマを追いかけます。
森の中へと入ったカロスはハイエルフィンを探し始めます。
索敵はもう既に済んでるので
そう時間はかからないはずです。が。
「...流石に森の守護者。という事はありますか...。
撒かれましたね...」
その一瞬、カロスは油断しました。
背後から矢が飛んできてカロスを貫きます。
カロスは振り返ると同時に
力なくその場に倒れてしまいました。
デプリタ率いる
近接班も苦戦を強いられています。
ゴブリンは全滅。
レッサーマミーも全滅。
コボルトも多くがやられていました。
「くそ...一方的にやられたんじゃ意味が無いな。
動けるやつは場内に後退するぞ!」
「なるほど...城外にいるのは私だけってことかい。
つくづく脳筋だねぇ〜」
数名、城内に入っていきます。
ミツネは一人
激しい矢の雨を防いでいます。
私とミタマは笛を探しに城内にいます。
「どこだろう?」
ミタマは壺や引き出しを漁ります。
が、全く見つかる気配がありません。
探していると何やら外が騒がしいです。
私とミタマは互いに目を合わせると
そっと扉を少しだけ開いて様子を伺います。
そこにはデプリタが後退しながら交戦をしています。
出ようとするミタマを私は抑えます。
「離して!お父さんが危ない!!」
「待って、このまま行ってもただやられるだけ。
私が行く。この姿はまだモンスター達にしか知られてないから」
私はゆっくりと静かに
ハイエルフィンを追いかけ始めます。
確認出来て三人。
多分、もう少しいるでしょう。
飛び出したのはいいものの、これからどうしましょうか?
という感じです。
一人捕食したところで、動けなくなるので即座に討伐されるでしょう。
「何かいい方法ないかなあ~」
ミタマは笛を探しに最奥の部屋に来ました。
デプリタとミツネが居ないと
ここは静かで淋しい、ただ広いだけの空間です。
「なんで中級入門クラスのダンジョンがこんなに広いのよ....。あれ?」
ぶつくさと文句を垂れながら歩いてたミタマは
ふと、床に何かが落ちているのを見つけます。
「....あったし」
ミタマはそれを拾い、少し呆れながら言うのでした。
「でも、これで...!」
ミタマはその笛をぎゅっと握りしめて
ミツネの元へと走っていきます。
倒れたカロスにハイエルフィンが近寄ってきます。
目の前に来るとしゃがみ込み、一本の短刀を手に取り、心臓がある場所へと突き刺しました。
「これで終わりよ。さようなら」
そう言い残すと、彼女は立ち上がり去ろうとします。
しかし、振り返ったそこに
殺した相手が平然と立っているのでした。
「な、なんでっ!?貴方は私が...!」
ハイエルフィンは驚きを隠せないでいました。
それにカロスは口を開きます。
「そう、相手を倒したと思った時こそ油断が生じるのです。
貴女が使った阻害スキルは見事なもので、
私の索敵より上をいってました。
なので、貴女の攻撃に...」
「冗談じゃないわ!!そんなのチートよチート!!」
慌てふためくハイエルフィンをカロスは静かに、そしてとてつもなく冷たい目で見ています。
カロスはゆっくりと一歩。
彼女に近づいてみました。
ハイエルフィンはビクンッ!と体が跳ね、
恐怖で顔が青ざめていきます。
「や、やめ...っ。おね..おね....お願い...。
なんでもするから...。許しっ」
彼女は震えた声で必死に懇願しますが
カロスは聞く耳持たぬ感じで、ゆっくりと彼女に歩み寄ります。
その表情は冷たく、まるで氷のようです。
「いや....。
いやあああっ!!!! 」
さて、私ですが本当にどうしましょうか?
このままでは全滅不可避ですね。
「えっと、なにか特技あるかな...」
今更ですが私はリトルグリーンスライムです。
そこまで特技がある訳では無いですが...。
「はぁ~捕食って特技に入るんですねぇ〜」
捕食の他に分裂、液状化がありました。
「...本当に何も無い」
がっくりと落ち込む私。
ですが、気付きます。
「...もしかしたら」
ミタマはミツネがいる場所へと走っていました。
「あと少し!...お願い、間に合って!」
その頃、ミツネは激しい攻撃を
必死に耐えていました。
しかし、流石に無傷とはいきません。
身体中に数本の矢が刺さっています。
「ああ、....なんで笛を忘れちゃったんだろう?
そろそろ限界なんだけど...」
「お母さん、これっ!!」
大きな声が聞こえてミツネは振り向きました。
そこにはミタマがミツネに向かって笛を投げてます。
ミツネはその目を大きく開き、
我が元へ飛んでくる笛に手を伸ばしました。
指先まで笛が来たあたりで一本の矢がミツネの身体を貫きました。
「お母さん!!」
ミツネは倒れません。
倒れるのをぐっと抑えました。
そして伸ばした手の中には笛が握られています。
沢山の矢はミツネを貫き続けます。
ミツネの顔が苦痛で歪みましたが、ミツネは気力を振り絞り、笛を吹くのです。
「...今までのお礼を、たっぷりしてあげる。
絶望に恐怖するといいわ...」
ミツネは横笛を吹き始める。
あらゆる魔法陣が浮かび上がり、音色に合わせて発動していく。
それを人は魔笛と言った。
特異魔法はミツネのように
ものを使って発動させたりと、色々とチートな部分がある魔法。
人の中にもたまにいて
受けて覚えると見て覚えるなどがある