スライムさんがゆく
上位スライムは普通に難敵である。
あれから私は
取り敢えずその場をそそくさと逃げてきました。
拾った命は大きいのです。
しかしながら、私は一体どこへ行けばいいのでしょうか?
あの単眼鬼の女の子も見つからず、
見つからないから
私の右手は戻ってきません。
あ、そう言えば
なんと!私、二足歩行で歩けます!!
感動しました!
元の姿だと地面を這いつくばってる感じです。
それが今、地に足をつけて歩いてるんです!
凄くないですかっ!?
...私は誰に向かって感動を伝えているのでしょう?
しかし、歩く度に
この二つのボールが跳ねて邪魔です。
人間というのは
こんな邪魔なものがあるのですね。
そう言えば、前に友人のスライムから聞いたことがあります。
『ぷるぷるぷる...。ぷるるんぷるぷる』
訳※人間の世界では二つのボールが大きい女性が好かれるらしいZE!
なるほど。
人間というのはこのボールが大好きなんですね。
私はそう思いながら
ただ真っ直ぐに、ひたすら前に歩いていきます。
すると茂みがガサガサと揺れます。
何かが飛び出してきました。
出てきたのは低級ゴブリンです。
ゴブリンは私を見て言います。
「やべえやべぇ!マジやべえ!
裸の女が森の中にいるぜ!
おい、女!!俺のペットになれ!」
「うぁ~...うぅ~?」
ゴブリンはそう言いながら
指をクネクネ動かしながら私に近づいてきます。
あ、そう言えばお腹がすきました。
私達スライムは、雑食なので
どんなものでも食べるんです。
丁度そこに味はえげつないくらい不味いけど
お腹の足しにはなるゴブリンが1匹。
私との距離はほんの僅か。射程範囲です。
「な~う~っ!!」
いただきます♪
私は口を大きく開けると
そこのゴブリンを丸のみにします。
「え、ちょっ、お前...モン....」
この世は弱肉強食の世界。
私の空腹にゴブリンは負けたのです。
お腹を満たしたのはいいものの
困り事が私にはありました。
ただ一つ、弱点があるとすれば
こういった大物を捕食した時は
消化を促すためその場から動けない事です。
なので普段は
葉っぱとか、微生物を食してることが多い私達。
太陽は傾き始め
インプ達が目を覚ます頃。
ゴブリンの消化もだいぶ終わってきました。
そんな時、また茂みが揺れます。
エンカウント率高いのです。
勇者とか、また違うモンスターなのでしょうか?
マズイ....。非常にマズイです!!
食うか食われるかより
食われるだけしかないです!
でも、そのフラグは見事折れました。
出てきたのは
単眼鬼のあの女の子でした。
「あ、...いた」
女の子のその手には
私の右手が持たれていました。
女の子はモジモジしながら言います。
「あ、あの...さっきは逃げて、ごめんなさい。
それと...右手...、持っていってごめんなさい...」
そう言いながら
女の子は右手を私に返してくれます。
合体!!超合金!!!
そう叫びたくなるように
私の右手は右手首にくっつきました。
合体はわかるけど
超合金ってなんだろう?
「そう言えば、自己紹介がまだだったね。
私は和式単眼鬼のミタマ。
あなたは?」
「うぅーあぅ~!!」
(...言葉を教えないといけないのかな?)