堕天と勇者
バルチカの城で盛大に宴が行われ
気分よく出てくる堕天が2人。
グニルとデュルールである。
「ちょーオモロかったわ〜☆誘ってくれてありり〜☆」
デュルールは上機嫌にグ二ルに礼を言う。
「こっちこそありがとな。最高にスカッとしたよ」
二人の肌は異様な程ツヤツヤしている。
そんな二人の前に勇者は静かに現れる。
「あっ...」
静かな時間が3人の間に流れる。
そして最初に口を開いたのはデュルールであった。
「こいつも食べちゃおっか☆」
.....。
レテルト王国の国王ナ=カダシ=オチン=ポウは酷くご乱心である。
「ぬうう....何だ!!何故だ!!!?
何故モンスター一匹狩ってこれんのだ!?」
「落ち着いて下さい国王!」
「これが落ち着いていられるか!?いや無理だろ!?
最初は白銀の騎士、次に腕ある冒険家送り込んでからのめっちゃ美女部隊!
そして聖領域!!
一報もなければ、戻っても来ない。しまいには死んだ報告まで...
呼んだはずの英雄王の息子さえ来ない始末。
....本当に、一体何なのだ?」
そう言って国王は深く考え始める。
バルチカの廃城入口前では
勇者が交戦していた。
「いやいやいやちょっと待てって!
なんでここに堕天が居るんだよ!?」
勇者は迫り来る攻撃の嵐を剣で防ぎながらそう言っている。
「しかも2対1って酷くない?フェアじゃないじゃん!!」
「敵ですからァ〜☆」
デュルールは攻撃の手を止めない。
「ほらほらぁ〜防いでるだけじゃ負けちゃうよ☆」
「...じゃあ、一撃だけ撃つぞ」
勇者はそう言うと息を大きく吸って呼吸を整える。
二人は一気に周りの空気が変わったことに気づく。
「ヤバっ!離れろデュルール!!!」
「鬼撃ち!!」
勇者の攻撃をデュルールは間一髪で防ぐ。
防いだ左腕が少し焼けてるのをデュルールは静かに見ている。
デュルールは感心に近い気持ちで勇者の方をゆっくりと見る。
勇者はそんなデュルールを見て心底驚いている様子だ。
「まじかよ...。これで倒しきれないって...」
「デュルール!大丈夫か!?」
グ二ルは急いでデュルールの元へ向かった。
「ねえ、見て....これ」
そう言ってデュルールは少し焼けた左腕をグニルに見せる。
デュルールは再び勇者の方を向き、勇者に話しかける。
「おにーさんやるじゃぁ〜ん☆ちょぉっちぃびっくりした〜☆」
デュルールはまたきゃるんきゃるんした感じで喋るのであった。
「きゃるんきゃるんは死語じゃないか?」
.....。
三者がそうしている中、国王ナ=カダシ=オチン=ポウは決断する。
自ら保管庫に足を赴き、ひとつの剣を手に取る。
「ワシがなんの努力もせずに王になったと思うなよ魔物め。
ワシはこの国の為に数々の戦果を挙げてきたのだ。
....。また、この剣を使うとは思わなかったわい。
この国の宝で平和の象徴にしようと思ったのにのぉ〜」
国王はソレを持ち、玉座へと戻り言うのである。
「ワシがこの国の第5国王ナ=カダシ=オチン=ポウである!!!
先代より認められこの国の王になった!
聞け、同士よ!
ワシはこれから戦場を駆ける!!
最大戦力を持って魔物共を一匹残らず駆逐する!
同士よ!ワシに続け!!ワシと共に魔を滅する刃となってこの国を守ろうぞ!!」
「我が剣は滅する為に!我が盾は思想の為に!!」
兵士たちは剣や槍をかがげ叫ぶ。