スライムの娘達は新しい拠点を探していく
緋氷の首飾り
緋色に光る炎が魔女リュカの氷魔法によってできた結晶の首飾り。
触るとほのかに熱を感じる。
生命力の底上げが出来る。
新居探しは中々に困難を極め、3日が経とうとしています。
私達は、高原で一休みしています。
本日は生憎の曇り空。
微かに雨の匂いが混じった灰色の空が一面に広がってます。
デプリタとミツネは、カロスと話をしていました。
「アテがないのが困るな...」
「いっその事、地下ダンジョンに身を置くかい?」
デプリタとミツネがそう言いながら頭を捻っていると
カロスが少しの間を置いて言いました。
「...この大陸を離れてみてはいかがでしょう?」
その言葉にデプリタは言います。
「ふむ、やはりそう来るか。
だがな、カロス。お前やミツネはいいが、ワシやこいつらはいざと言う時役に立たん。
ましてやその大陸のモンスター達がワシらを受け入れてくれるかどうかだ
それに海を渡るすべがない」
それを聞いてカロスはハッとします。
「すみません。軽率な発言をしました」
そして再び3人は考え始めました。
そんな様子を私とミタマは見ています。
「決まらないね」
私がそう言うと、ミタマは小さなため息をひとつこぼすのでした。
何も決まらず、只々時間が過ぎて行きました。
そしてポツポツと、雨が降り始めてきます。
私達は雨宿りをする為に
空洞を探しに歩き始めます。
....。
本格的に雨が降り出す頃、私達は二キネア村に来ていました。
村の人は私たちを見ても驚きも怖がる様子もありません。
すると1人の老婆が私達の方に歩みよってきました。
「ようこそ二キネアへおいで下さいました。
さて、あなた方はどのようなご要件で?」
老婆が足を広げ姿勢を低くしてなにやら構えました。
「別にとって食いはしない
雨宿りできる場所を探しているだけだ」
デプリタがそう言いながら老婆の方に歩み寄ります。
その瞬間。物凄い突風が私達を襲います。
顔を背け、目も開けられません。
突風はすぐに止み、私達は目を再び開きました。
そこには地面に倒れているデプリタがいます。
私達は慌ててデプリタの元へ駆け寄りました。
そんなに私達を見て老婆が微笑みを含んだ声で言うのでした。
「安心しなさい。峰打ちでございますよ」
「みねうち...?」
「....」
老婆を見ますが、そこにいるのは普通の老婆であって
武人ではありません。
「ご要件はわかりました。さあ、こちらへどうぞ」
老婆はそう言うと
私達を村の中へと誘うのでした。
.....。
「...はっ!?」
デプリタ1人寂しく目を覚ますのでした。
私たちは老婆の家にいます。
「早速ですが、あなたは....?」
カロスさんが老婆に問いかけました。
それに老婆は言います。
「おやおや、随分と直球で来るんだねぇ〜。
だけど、物事には順番とタイミングがあるんだよ。
まず他人の名を知りたい時は自分から名乗るのが礼儀さ。それが人としての....
いや、あんた達は人ではないか...。
私はこの村のしがない老婆さ」
確かに見る限りどこにでも居そうな物腰のやわらかそうな老婆です。
そんな老婆をカロスはじっと見ています。
「なんだい、私にモテ期が来たのかねぇ〜?」
そんな老婆の言葉にカロスは我に返りました。
「失礼致しました。
あらぬ誤解を招いた様で...」
そんなカロスの言葉に、老婆は心底ガッカリするのでした。
天使の銀弾
不死の存在を貫く弾丸。触れるものを傷つけず、触れれない者を殺す。
天使も時に残酷なのである