宴の会場はそちら
お鍋の蓋
そこら辺にあるごく普通の蓋。
なくてもいいけど
あった方っが気持ち的にマシになりそうという考え。
持って行った多くの勇者は後日怒られている。
森エリア4-セラの泉-
グニルはメガネーズを引き連れ水浴びをしに来た。
なんの躊躇もなく脱ぐグ二ルに
メガネーズは前屈みになってしまっている。
「お、....おっふ、....おっふ」
「心頭滅却心頭滅却....」
「んー、なんだぁ。別に恥ずかしがるものでもないだろ?」
グニルは遠くにいるメガネーズに大きな声で言っている。
「こここ、これはいけないでふ!!
悪魔の罠でふ!!!」
そう言ってるメガネーズに少し悪戯心を燃やすグ二ル。
グニルは湖に入ると同時に魔法陣を描いた。
「私の意思を、仲間に飛ばせ!コーリング!」
それは物の数秒で聞こえてくる。
『グ二ルじゃぁ〜ん。ナニナニどうしたの?』
「んー?面白い男女見つけたからさぁ〜、遊びに来ない?」
『え、それマ!?イケメン!?』
「臭いテキにはぁ〜、初モノ☆
イケメンじゃないのが残念だけどぉ〜、壊しガイはあるぅ〜的な?」
和気藹々(わきあいあい)と話すグ二ルを覗き込むメガネーズ。
「な、何を話しているでござろう?」
「わからないでふ、でも、きっと、俺たちを殺す計画でふ」
「臆するなでござる、ディック!我らは聖領域!
闇になんか負けない最強の部隊で御座るよ!」
「ぶひぃ。そ、そうでふよね。我らは屈しない最強の部隊、聖領域!」
『そういえば、どんなやつなの?相手するの』
グニルはニマッっとしながら言う。
「聖領域....」
その顔は赤らんで
いかにも発情した雌の顔をしていた。
『えっ、マ!?それマっ!?
ぎゃっはは!チョーウケる!!!わかった!んじゃ後でねえ!!』
「はいはーい。後でぇ〜☆」
通話魔法を切り、メガネーズの方を向くグニル。
「なんだ?もっと近くで見てもいいんだぞ?」
両手を広げ誘うグ二ルにメガネーズはさらに距離を取ろうとする。
「こ、断るでござる!!
そんな見え透いた誘いにはかからんでござるよ!!」
「ははぁ〜ん。さてはドーテーだな?」
グニルはニヤニヤして言っている。
「なんなら、触ってもいいんだぞ?」
「おおおおおおお、おっふぅぅうっ!!!?
....あ、いやいやいや。ダメです!!
ダメダメ....ふっふぅ〜」
二人の反応を堪能したグニルは水浴びを終え、服を着始める。
メガネーズは心臓が張り裂けそうになりながらも
欲に勝った喜びと、欲に負けれなかった後悔を胸に抱くのであった。
それを横目にグニルはボソッと
「まぁ、楽しみはこれからだよ☆」
と、呟くのであった。
同時刻。
月灯の城。
「....絶対道草食ってる」
アスキュラエルは見事正解していた。
水浴びを終えたグニルは城の入口で待つ女性に声をかけた。
「よっ、戻ったぜ!」
「遅い。いつまで待たせる気?」
彼女は酷くご立腹のようだ。
「あんた達もいつまでそっちに居るの?」
「ぶ、ぶひぃ〜!」
「はいでござる〜っ!」
慌てて戻るメガネーズを見て
グニルは思っている事をぐっと我慢する。
「...。さて、初めましてだな。
私はグニル。あんた達は?」
それを聞いて彼ら彼女らはポーズを取り出す。
「神に誓い!」
「神に従い!」
「神と共にある!!」
「潔癖の教えの元!」
「我らには領域が存在する!!」
「そう、我が!我らこそが!!」
-聖領域!!-
グニルはつまらなそうな顔でそれを眺めていた。
やがてグニルはため息を吐きながら入口の方に歩みよる。
そんなグ二ルに無視されてご立腹の彼女は怒鳴る。
「ちょっと貴女!!さっきから一体何なのよ!!?」
「...はぁ、うるさい。ちょっと黙って待ってろ」
そう言い残すとグニルは入口の奥へと消えていった。
中に気配はなく、龍脈がかすかに流れてるくらいだ。
グニルは一角を目指して歩き出す。
...。
グニルの目の前に大きな宝箱がある。
グニルはそっと手を乗せ、話しかけた。
「皆はどこ行ったんだ?」
『グニルじゃんか!おうおう元気してたかよ?』
「ああ、元気だ。んで、皆は?」
『この城を出て行ったよ
あいつらはオイラたちの希望さ。ここでくたばっちゃいけねえ』
「そか、...じゃあ。私の宴に使っても構わないな?」
『宴....?うたげぇ〜...おいおい。やめてくれよ。オイラたちの思い出が汚れっちまう』
「ムリムリ。客人来てるし、ダチも呼んじまったし」
....。
外で律儀に待つ聖領域。
しかし、彼女は待たされ続け、怒りは頂点に達しようとしている。
「遅い!!なんなのよあいつ!?
おいブタ共!」
「ぶひぃいいい!?」
「私を楽しませなさい」
「...めんごぉ〜。待たせt...なにやってんの?」
入口から出てきたグ二ルに、彼女の矛先はグ二ルに向かう。
「貴女ねぇ、いつまで待たせれば気が済むのよ!!」
そんな彼女を無視してグニルは入口へと入るように促す。
その目は先程までのおちゃらけた感じでは無い鋭さがあり、
従わなければ容赦なく殺しにかかる覇気を帯びていた。
彼女ら全員が入った事を確認したグニルは森全体を軽く見渡す。
どこまでも静かな森である。
グニルは一瞬微笑んだ後、城の中へと姿を消したのだった。
手にしっくりくる頑丈の木の棒
たまに道端に落ちている伝説の剣(笑)
それを手にした時、その者は勇者になる資格が与えられた