第9話「男のツンデレはいらないです」
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!
すみませんでしたぁ!!
どうやら投稿ボタンを押して最終確認画面に移った後、投稿実行ボタンを押し忘れていたみたいです
本当に申し訳ない……
第9話「男のツンデレはいらないです」
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今日も、一日が始まる。
ボクは速やかに起床後の準備を済ませる。これは小さい頃から徹底している。
その後は同室で寝ているリンネを先輩と一緒に起こし、食堂へ行く。
寮を出て二分もたたないうちに校舎へと着く。
今日は、実技の授業だ。この授業は主に学生同士の直接戦を行い、それによってクラス内のランクが変動する。
ボクの順位は――最下位だ。
おかしい、どうしてこうなったんだろう。
◆◆◆◆◆
国立グラニド魔導学園。
ボクの住んでいたレイキ領のずっと北西にある王都キリン。そこの中心部に程近く位置する巨大な学園。僕は在学中はその寮に住むことになる。というより、殆どの学生がそうだ。皆がみんな王都周辺に住んでいるわけがない。
入学式当日、まぁこれは過去の中学、高校とそんなに変わりはないものだった。
テキトーに先生の話を聞き流して突っ立っているだけ。問題はその後だった。
最初の授業がいきなり実習で、まずは実力を測ろう、というやつだ。
取り敢えず近くの人とペアを組むことに――リンネは早々に別の男子がかっさらっていった。……え?バルジ?残念なことにバルジは騎士志望で学科が違うんだよなぁ……。
リンネとペアを組み損ねたボクはすぐ近くにいた長身の男と組むことになった。目の細くてつり上がっているあたりからキツい印象がただよってくる。
内容はペアと戦うことだった。
学園から支給される魔導具の力で競技場内では怪我を負わないようになっているらしい。
そこでペアを取っ替え引っ替えして戦っていく。途中でリンネとも戦えた。
全敗だった。
ボクは確かに適性が高くて習得は早かったけど肝心の出力が低かったんだよね。炎を出すことは簡単だったけど大きさを大きくはできなかった。ポートが広がっていないのが原因、らしいけれど、お父さん曰く「魔法を日常的に使っていればぁそのうちポートも広がってくるよ」とのことだ。
でもその時点でボクのポートは広がっていなかった。同じ魔法を使えば出力負けしてしまうのだ。いや、使ってたのは電気だったんだけれども、そもそも純粋な水は電気を殆ど通さないし土も論外、炎までもが僕の放った電気の弾を炙って霧散させてしまう。
ならば家での試験のときに見せた魔術を魔法で使えばあれは物理攻撃だしいけるんじゃないか……と思ったけれどまだ魔法を使いなれていない僕では金属と電気両方を扱うことはできなかった。
レールと弾を生成してから電気を通すようにすれば理論上は使えるけど流石にボクの細腕では反動に耐えきれずに吹っ飛ぶ、いや、吹っ飛んだ。その時のことは言うまい。
直接レールガンの魔術を唱えようにもあんな長い術式を多少短くなったとは言え飛んでくるものを避けながらなんて唱えられない。
◆◆◆◆◆
と、そんな具合だったわけ。あ、座学は別で、そっちのランクは一番だった。まぁ異世界から数学の知識なんかを引き継いでるからね。ちなみにリンネは両方とも上から三番だ。炎を纏ったり爆発を起こしたりする戦い方はすごく綺麗だった。勉強もボクが教えるのをするする飲み込んでいく。
しっかし、困ったなぁ。どうやって勝とうか。電気じゃ無理だし、レールガンも支えられないし……ん?
金属飛ばせばいいんじゃない?
あ、いや、レールガンじゃなくて。
金属片を直接金属操作で動かして飛ばすって方法。よくよく考えれば何人かそんなことを試合の時にやってた。
これならいけるかも。
そう思い立ったボクは早速放課後、学園に備え付けられている修練場へ、ボクは空中に金属片を生成し、高速で移動させる……が、思っていたより速い速度で動かない。こんなんじゃ何発撃っても避けられる。どうすれば……。
ボクは望みも消え途方にくれていた。
そんなボクに追い打ちをかける声がひとつ。
「フン、修練場に誰か愚図がいると思えばお前か。可哀想に、金属片一つ満足に飛ばせないのだからな」
ハハハハ!とボクを笑ったその声の持ち主はあの目尻のつりあがった男だった。名前は確か――、
「ゲルドだ、愚図よ」
そう、ゲルドだ。ん?なんで考えが分かったし。
「阿呆みたいな面に全て書いてあるわ!」
う、そうだったのか。ちょっとショック。
で、いったいボクに何の用があるというんだろう。
「どうやら金属の操作に慣れていないようだからな、この俺様が少しコツを教えてやろう」
おお!それはありがたい!
そう、彼は一見ただの偉そうで嫌味なキャラに見えるがことあるごとにボクに助言をくれたりするツンデレキャラだったのだ!
……そんな便利な人なのになんで名前を忘れたかって?察せ。
こうしてボクは彼に金属操作を学ぶことになった。五分で終わった。
「そ、そんな馬鹿な……」
まぁやり方が分からなかったから出来てなかっただけで方法さえわかればね、うん。
金属を飛ばす方法は一瞬だけ力を込めて高速で動かし、途中で操作をやめるだけだった。ボールを投げるような感じだね。
よし、これで勝てる!
◆◆◆◆◆
「そぉい!」
ボクは金属片を飛ばす。が、
「うおっ!?っあぶねぇな!!」
ギリギリのところで避けられる。とはいえ、相手も避けるのに必死で飛んでくる火球の数は減った。だけどこっちも追い打ちをかける余裕はない。
結局この試合は最終的に膝から力が抜けたボクが肩に火球をもらって終わった。
◆◆◆◆◆
「フハハハ!残念であったな!惜しいところまでいっておきながら膝が笑うとはな!」
試合後ゲルドが笑ってくるけど、
「あ、惜しいところまでいったのは認めてくれてるんだ」
「ふぐっ!?な、なんのことだ!!」
そう、確かにボクは勝つことはできなかったけれど前回よりは格段にマシになった。
これなら、次は。
ボクは少しづつ自信を取り戻していった。