第18話「異世界でゲームは産廃」
第18話「異世界でゲームは産廃」
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あれからボクは試験で使えそうなものを探しに地球での記憶を探っていた。けど、そんなに披露できそうなものって無いんだよね……。
ロボットはゴーレムがいるしテレビやカメラは記録結晶がある。漫画、アニメはそもそもそういった文化が無いからあまり受けが良くない。フィギュアもかなり精巧に作れるようになったけど理解を示したのはゲルドくらいだった。ゲームも正直産廃状態だ。なんでかって?
生身で空を易々と飛べる時代にわざわざ画面の中で空を飛びたい人はいない。パズルゲームはゲームでは再現不可能なほど難解なパズルが既にある。戦略ゲームがしたければ戦争中の国に仕官してこい!
……といった具合でゲームでできることはおおよそ現実で再現可能どころか、現実の方がゲームの上をいく状態なのだ。某イカの色水入り水鉄砲を打ち合うゲームは既にスポーツとして密かに人気を誇っているぐらい。
トドメにこの世界の人々は結構体を鍛える傾向にあるので、筋肉を衰えさせるだけのものは拒絶されるだろう。
どうにもこうにも手詰まりだ。もういっそのこと地球レベルの銃器でも作ってやろうか、なんて考えが浮かぶくらいまで脳みそを酷使していてもう頭が痛い……。疲れて意識を手放そうとした時、物凄いアイデアを閃いた。
「そうだ、ビーム撃とう」
天啓である。そうだよ、なんでこれまで思いつかなかったんだ。電子を加速しまくってビームを撃つんだ!そうだ、ビームは漢の夢なんだ!
素晴らしい案が閃いてボクは思わず笑いをこぼしてしまう。
「うわっ、なんか一人で笑ってるわよ。大丈夫かしら……」
「完全に手遅れであるな……」
精神的疲労のあまりイかれた案を出し、あまつさえ現在の性別すらも忘却して高笑いをあげる姿を目撃した二人がそっと踵を返したことをボクは知らない。
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「DE☆KI☆TA……」
都合よく空いていた演習室を半ば独占する形で吸収壁に試作魔法を撃ち込むこと凡そ三時間、これでおそらく理想的な粒子砲を撃てるはずだ。
ごくごく小さな金属の粒子を生成、円を描きながら雷魔法で加速させていく。光速に達しようかという速さの粒子は曲がる際に白い光を発するので側から見れば綺麗な白い真円が出来上がっているに違いない。
あとはそれをタイミングよく放つ、ただそれだけの話だ。
「っ!!」
純白の帯が音もなく新路上の全てを喰らっていく。間違いなく規制待ったなしな一撃を放つと同時にボクは鼻から血を垂らしながら意識も手放していった。
『緊急警報っ!結界破損、外部からの襲撃の可能性があります。学生は直ちにシェルターへ避難してください!繰り返します……』
意識を手放す直前にそんな感じの警報が聞こえてきたような気がしないでもない。
実際は襲撃どころか内側から学生にぶち抜かれているのだが、当の本人は自覚なく魔力欠乏で倒れ伏しているのであった。
レールガンを超える射撃精度
コイルガンを超える破壊力
デメリットもあるとは言え、これは禁術待った無しですわ……