第16話「壊滅的だぁ……」
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間違って僕のまま投稿してたり、大陸名が空いているという失態を揉み消し揉み消し……
第16話「壊滅的だぁ……」
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窓の外からはじとじとと土の濡れる音が聞こえ、寮には生乾きの香りが仄かに漂う……。
なんて、それっぽい言葉で表現してみたけど要するに「湿度が高くてイライラする」ってこと。
コイルガンを完成させてから数週間ほど経った今の季節は――梅雨。
この世界は大体三つくらいの大陸と無数の島から成り立っていて、各大陸や島で天候が異なるという特徴がある。
大抵は地球の各地と同じような気候が広がるんだけど、過酷なものだと常に雹や落雷が吹き荒ぶ島があるらしい。
ボクがいるこのアーリル大陸は日本と同じく四季がある穏やかな気候だ。
前に住んでいた環境で過ごしやすいけど、じめじめとする梅雨まで――この世界では梅雨なんて風流な言葉は使われずに雨季と呼ばれる――再現されているのはあまり嬉しくない……。
まあこの雨で湿度と不快指数がうなぎのぼりする季節を過ぎれば学期末大会が始まることになる。それが終われば夏休みだ。
雨がしとしとと常に降っている状態のため、野外修練場が使えず、室内の修練場に人がごった返すことになる。そうなるとトラブルが続出するためこの時期は日付で修練場を使用できる学年やクラスが決められている。
そんなわけで修練場を使えない現状だと常に室内にこもることになる。
寮の部屋でベッドにくるまりボクは、――フィギュアを作っていた。
フィギュア。人形。日本では数多のアニメキャラクターがポリ塩化ビニルで三次元に投影されていた、あのフィギュアである。
もっとも、そんな高尚な材料はこの世界には無く、ボクは金属魔法で形成している。
自分の知識にある金属なら魔法で作り出せるから軽量で錆びても綺麗なアルミニウムを使っている。(よくアルミは錆びないなんて言われるけど錆がすごく綺麗なので皆錆だと思っていないだけだ。)
日をまたいだ作業になるから形成中の金属塊とは四六時中魔力で繋がって、どこにいても作業ができる状態だ。
これは趣味だけで作ってるわけじゃなくて、魔力の細かい制御を覚えるためにやっている。どうせ制御の訓練をするなら好きなことで練習しようって魂胆ことだ。モチベーションも下がらないしね。
「……よし、完成!」
記念すべき三体目ができあがった。
「何これ、珊瑚の模型?」
夕方、食事の誘いに来たリンネの言葉が心に突き刺さった。