第13話「杞憂」
第13話「杞憂」
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あばばばば
やってしまった。
王国の最新鋭の技術をぶち抜いてしまった。
先生の許可を得て正しい使い方をしたのだけれど結果は壊れてしまっている。
賠償責任はどうなるのだろうか。やはり弁償させられるのだろうか。それとも請求は先生の元へいくのだろうか。後者であることを願う。
取り敢えずボクは撃った後の赤熱したレールを魔力に戻してから吸収壁の囲いへと入っていく。
深々と突き刺さった「それ」はレールと同じく焼けていてとても触れそうには見えない。レールはまだボクの制御下にあったから魔力に還元できたけどこの弾丸はより速く強く飛ばすために制御を切ってあるから冷やすこともできない。
やっべぇ、どうしよう
焦りに焦ったボクはゲルドに意見を求めて顔を向ける。ゲルドはボクの動きに合わせて首を捻り、目を合わせようとしない。
「我輩は何も見ておらぬ」
そう言い張る横顔は冷や汗でびしょびしょだった。
更に追い打ちをかける出来事が起こる。
がららら
そう、この特別実習室はボクたちしか使う人がいないわけではない。それこそブースの数だけ使う人はいる。たまたまボクたちが入ってきたときには他に使用者がいなかっただけで。更に運の悪いのは、
「おーう、調子はどうだぁ」
などと能天気な声を発してこちらのブースを覗いたその人こそボクたちの担任、アマギ先生だったことだ。
幸いまだ先生は壁に刺さった弾丸に気づいていない。今なら誤魔化して帰ってもらえる。寧ろそれしかない。
ボクがゲルドに視線を送ると、彼もそれに気づき軽く頷いた。どうやら意思の疎通はできたらしい。
「先生、実はエリーゼさんが……」
などと思ったのも束の間、ゲルドはさっくりと真実を吐き始めた。
意思の疎通なんて出来てなかった。
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「はぁ?そんなことあるわけないでしょうに」
エリーゼさんが超圧力吸収壁に弾を突き刺したんです!というゲルドの話を聞き終えた先生の放った言葉はボクにとって有利なものだった。しかし先生もゲルドの神妙な面持ちに何か感じたようで、
「わかった、わーかった。じゃあそこまで言うんなら証拠をみせてくれ」
ボクの冷や汗はもはや滝のようだ。
尚、ボクはゲルドが話している間、その「証拠」の前にずっと陣取っていた。ゲルドがこちらを見る。「あいつの後ろに証拠があります」と目が語っている。先生もこちらを向いたらいよいよボクは退くしかない。
ああ、国の技術を詰め込んだものを壊したんだ。弁償させられるとしたらいったいいくらかかるんだろう……
けれどどうやら空回りな心配だったようで、火砲の爆裂にも耐えられる絶対の防護壁に金属が突き刺さっている光景を目にした先生はこう言い放った。
「はえ〜、こりゃあすごいな!この情報を国研に送ったら調査団がすっ飛んでくるぞ!ひぇー、こんな火力を個人で出せるもんなんだな、いや、弾はそんなに大きいわけじゃないし圧力の問題か?」
ひえ?