再出発 装備を整えいざ草原へ
長いです。本当だったらここで草原へ行ってるはずなのに……
テスターとの戦闘を終え、再びスタトルの街に戻ってきた私たち。とりあえず装備の購入とアイテムの購入、そして手に入れたアイテム品の売買だ。
「ちょっと知り合いの生産職をあたってみよっか。とりあえずは布、皮、鉄の防具の三ヶ所回る?」
「そうだね〜。その後は武具屋をいくつか〜?」
さすがテスター、ゲーム内の知り合いを捕まえてプレイヤーメイド品をゲットしようとしてる。でも高そう……出してくれるらしいけど心苦しい。
「盾は武具に入るんですか?それとも防具ですか?」
「盾は武器と防具両方で扱うよ。一応武具屋で売ってるよ。攻撃力は低いけど耐久値と防御力が高いね。」
盾は武器扱いでもあるんだ。じゃあ杖はどうなのかな?アーツがあるから武器扱いなんだろうけど。
「杖も武器扱いなの?」
「杖は本来は補助武装だけど、メインでも使えるね。ただ、魔法で使うような杖はメイン武器には向かないかな。」
「どうして?私の杖とかダメージ凄そうだけど。」
「杖術のアーツに向いてるのが細めの頑丈な軽い杖なんだよ。普通の魔法補助の杖だと重すぎる。初期装備が魔法補助効果の宝石とかがないから問題ない感じ。」
あ、杖に宝石とかつけないとダメなんだ。魔法補助に使うなら確かにメイン武器にはしづらそう。
「っと、連絡ついた、ちょっと待ってて。」
どうやら生産職の友人に連絡が取れたらしい。良い物が欲しくない訳では無いのでワクワクする。
「鞭と草のドレスは売ってるかな〜?」
「どうでしょう?草のドレスは裁縫とかでしょうか?」
「というか草限定なの?」
「ん〜布までは大丈夫かな?まだ試してないからわからないけど〜。」
「鞭は流石にありそうですけどね。どういった素材なんですか?」
「んー、この鞭は皮の鞭っぽいかな〜?まあ、鞭がなくてもこの蔦で十分鞭がわりに出来るんだけど〜。」
足の代わりに蠢く蔦の内2本が持ち上がる。
うん、ちょっとキモイね。
「便利ですね、手みたいにもつかめるんですか?」
「うん、さっきの人たちを縛ったみたいなことくらいはできるみたい〜。」
蔦で握手してくるこひこひ、というか足代わりなら握足?
「おーい、場所教えて貰ったし行くぞー。あと、いらないものの買取もしてくれるって。」
「「「はーい」」」
表通りを5分、そこから路地裏を歩くこと15分、先頭を歩く音子が足を止める。
「ん、ここがそうっぽいね。」
「え、ここが?」
どう見ても一般の家である。NPCの家と区別がつかないんだけど……
「まあちょっと変わり者だよ。静かな所で、必要以上にプレイヤーと関わりたくないんだと。」
なぜそれで生産職を……というかゲームしてるの……
「こんな所にいるけど腕がいいから人気なんだよ。」
腕はいいんだ。まあ、良くなければ頼ったりしないよね。
「おーい、きたぞー。」
こんこんっとノックをし、声をかける音子。
「こひこひさんも知ってる方ですか?」
「多分知ってる〜。ディレスっていう人だと思う〜。皮、布、繊維系の生産してて、いろんなデザインも扱っててしかも高性能なんだよ〜。」
おお、それは期待できる。でも、皮とかばっかりなら梢の鎧とかどうなるんだろう?
「金属鎧は扱ってないんですか?」
「うん〜、金属は別の人が扱ってるわ〜。」
「金属鎧が欲しければカーティスを当たってくれ。ウチは布、皮、繊維しか扱ってないよ。」
不意に男性の低い声が聞こえてくる。声の方を向けば短く揃えた髪に無精髭の少し強面のおじさんが立っていた。
「カーティスのとこは後で行く、今はお前さんの防具を求めてるんだからさ。」
「ふんっ、防御力が必要なら金属を貼り付けてろってんだ。お前さんの仲間だから作ってやるんだ、感謝しろ。」
不機嫌そうにそういえば、顎をしゃくってついてこい、と示し、中へ入っていく。
「……な、なんだか、怖い人ですね……」
「いや〜、あれは照れてるんだよ〜。女の子苦手なんだよ〜。」
どんっと強くドアが叩かれる。
図星なの……かな?
とりあえず中に入ると、色々な洋服、皮鎧、糸玉や布が置いてあり、外観から出来る想像以上に広かった。
「わぁ……!すごーい、洋服屋さんみたい!」
「ほんとだね!この服とかすごく可愛い!」
梢と2人で服を見てはしゃいでしまう。ふと視線を感じれば、恋と音子、それからディレスさんに見られていた。
は、恥ずかしい……!
「あっ、す、すいません……」
梢も気づき、恥ずかしそうに頬を染めている。
「ん、まあとりあえずの依頼だけど。私はインナーと動きやすいズボン、靴下。で、皮の腕あて、皮の胸当て、皮のベルト、ブーツ。ブーツの底はガッチガチに固めてちょうだい。腕あては盾がわりにも使うから一部金属を使ってほしいんだけど。」
「ん、まあ、それくらいならいいが……金属鎧装備できないのか。」
「装備制限がかかってる。だから一部ならいけるかなって。」
「だったら魔物の甲殻を一部に使う方が軽く済む。」
「んじゃあそれで。」
メモを取りつつ音子と装備について詰めていくディレスさん。
スラスラと注文をする音子に驚きつつ、どうしようと少し考える私。
布の服と帯を装備すればいいから、他はいらないかな……?いや、気になってなかったけど私足に布しか巻いてない!これは靴が欲しい……
「付属の効果は腕にSTR強化、足にキック時ダメージ増加。胸はダメージ軽減、ベルトはアイテム効果プラス補正が欲しい。」
「やれるだけやってみる。無理な時は諦めろ。」
「あいよ。」
あ、追加効果なんてのも決めれるんだ。そのへんも考えないと……
「私は〜ドレスが欲しいな〜。植物素材を一部に使ってほしい。あ、見たらわかると思うけど上半身だけね〜?あ、鞭って作れる?できるなら作ってほしいな〜。」
「なら花びら系でワンポイントなにか刺繍を考えよう。デザインに案がなければ勝手に選ばせてもらう。鞭は作ったことがない、よそに頼め。」
「は〜い〜。それで効果は火属性ダメージ軽減があれば今はいいかな〜。」
「わかった、それなら問題ない。」
恋も決まっていたのかスラスラと注文していく。
梢と私はうーんとうなり考えてしまう。
「えっと、コーデリアの……そっちの角の生えてる子ね。鎧の中に着る動きやすい服をお願い。効果は特にいらないかな。というかコーデリアのメインは金属鎧だからそんなに悩まなくていいから。」
「あ、それもそうでした。」
そういえば梢は鎧装備だった……
となると私の装備はどうすれば……
「そっちのマミーは包帯でも巻けばいいのか?」
「いや私の扱いひどくないですか!?」
ディレスさんの一言に思わず大きな声を上げてしまう。
「冗談だ。ふむ……ローブは装備できるのか?」
「あ、はい、できます。あ、でも、布も包帯も一応防御力があるので、できればこの辺も……あ、あと靴が欲しいです。それで追加効果は、ローブには闇属性強化を、布と包帯は火属性ダメージ軽減が欲しいです。あ、あとMP強化が欲しいです!靴は移動速度が上がってほしいです。」
「ふむ……ただまいただけで防御力が……追加効果も問題ない。わかった、すぐに取り掛かる。2時間待ってろ。その間に金属鎧でも見てこい。」
え、2時間でできちゃうの?
「そんなに早くできるものなんですか?」
「サイズは見たらわかるしスキルの補助がある。ドレスと包帯、布は1から作らなければだがあとは流用できる。そんなにかからん。」
ほぁー、さすが生産職。いや、ディレスさんの腕話だし、ディレスさんだからの時間かな?
「おう、頼むわ。金はいくらだ?」
「とりあえず800Kだな。」
800けー?単位ってエールだよね?しかも仮に単位間違ってても800エールって安すぎじゃ……
「80万か、まあそんなもんか。ほい、前払いな。」
「確かに、受け取った。終わったら連絡はするが、まあ一時間経ったら戻ってこい。確実に終わらせておく。」
「頼むぞー、んじゃ、カーティスのとこ行ってくるわ。」
「ああ、よろしく言っといてくれ。」
ろ、800けーが80万?ど、どういう計算なの?さっぱりだ……
その後店を出て、話題のカーティスさんのところへ行く道すがら、音子から1K=1000、1M=100万、1G=10億、らしい。
うん、わからん。
ディレスさんのお店をさらに路地の奥へと進めば、カーティスさんとやらの店らしい。
「……ごついね……」
「その……と、とても鎧が好きなんですね。」
思わず梢と私が声に出してしまった。
カーティスさんのお店は、表に数十体の鎧騎士が並んでおり、開放されている入口から覗く店内にはこれでもかというほど鎧が並べられている。
「まだ序盤だから落ち着いてるね。」
「これでなの!?」
表の鎧騎士だけで十分じゃないの?
「店として出すならこの数倍は出してないと足りなくなるからね。まあ、まだ序盤で金がないんでしょ。βの時は家3軒分の店建ててやってたし。」
つまり進んでいけばもっと厳つい絵面の店になっていくと。濃すぎる……。
とりあえず中に入ると、鎧が所狭しと並んでおり、とてつもない圧迫感を感じる。
「ほほう、結構いいのあるね……ふんふん……」
音子は早速鎧を見始める。って、カーティスさんはいいのかな?
「お、来たか!待ってたぞーねねー!しっかしお前そんなちっさいと鎧着れないだろ!」
大きな声で音子に声をかけながら近寄ってくる大柄で髪を適当に縛った女性が目に入る。顔には煤か何かがついて黒く汚れている。
「こひこひも久しぶりだな!いやしかしお前樹人になったのか?鎧着れないだろうそれ。」
「うっさい、このサイズがリアルのサイズだ。でかいほうがいいけど種族的にあんま弄れなかったんだよ。あとうるさい。」
「ひさしぶり〜。今回私は花人のアルラウネになったんだよ〜。鎧はこっちのコーデリアっちが着るんだよ〜。」
示された梢が頭を下げる。
「あ、初めまして。コーデリアと申します。宜しくお願いします!」
「ほう、嬢ちゃんが。ふーむ……」
頭の先からつま先までじっと梢を見つめ、何度か頷けばニカッと笑って。
「よし、どんな鎧がいい?今鱗鎧だけどここに来たってことは金属鎧がいいんだろ?騎士系武者系オリジナルにフルヘルム、ビキニアーマーなんてのもある。リクエストがあるならなんでも言ってくれ!」
すごい勢いで、それも大声で話すのですごく圧力を感じる。梢が完全に気圧されてる……
「え、えっと、盾と槍、剣を使う予定なので邪魔にならないような鎧が……あ、そ、それでいて機動力もある方がいいかな、なんて……」
「だったらこの鎧がいいな。盾と槍を使う前提で各関節可動部を鎖を編み込んだものにして取り回しと軽量化を図ってるんだ。兜は角が生えてるから額あてがいいか?腰周りは剣をさすだろうから腰当も最低限がいいな。槍は背中に背負う感じがいいか?それとも腰か盾にさす?靴も鉄靴がいいか?いや、機動力を損なわないようにするならブーツタイプで側面と底に金属を使って蹴りの威力をあげつつ防御力はそれなりでいいか。あと手甲部分は皮使って握りを優先してそれから首元は」
す、すごい勢いだ……梢は話に割り込むことすらできず
「あ……じゃあ、その、さっき言った条件でお願いします……」
とぼそっとつぶやき放心していた。
「相変わらずだなカーティス……すまんなコーデリア、自分で作ってみたかったろ?」
「あ、いえ、あまり詳しくないですし、こういうのは作る人に任せるのが一番かなって……」
そんな会話を続けるふたりを尻目に、鎧を準備し、時たま叩いたり、関節を動かしたりしてと、確認作業を行うカーティスさん。
十五分ほどして、梢に話しかける。
「おっと、嬢ちゃん。希望の色とか形は無いかい?あとは追加効果も。とりあえずはこんな感じなんだけど。」
そう言って指さす先には、兜がない、肘、肩の部分にチェーンが編まれ、胸、背中を覆う金属プレート、前腕、二の腕を覆う手甲。手の甲に金属板がついたグローブ、腰当も編まれたチェーンに、側面に金属板、靴はブーツっぽい形で、太もも、膝は覆わない動きやすそうな鎧が立ててあった。
「わ、すごい、もうできたんですか!?」
「サイズとかちょっと調整するだけだし、あとはさっき言った色と形だな。あとは着てちょっと動いてくれ。」
少し考え、一度来てみることにした梢。カーティスさんに手伝ってもらいながら鎧を纏っていく。
おぉ……
柔らかな曲線を帯びた胸当ては動きを阻害している様子もなく、肩、肘も曲げ伸ばしに支障はない。腰をひねっても自然に動き、足をあげても重さは感じないようだ。
「凄いです!そんなに重くもないですし、動きやすくてとってもいいと思います!」
私から見ても問題はなさそうに見える。
しかし、鎧かっこいいな……それに比べ私は布に包帯……
「問題ないならよかった!色はこっから選んでくれてもいいしそっちが指定してくれてもいい。形は極端じゃなければ多少いじれる。効果はとりあえず希望を言ってくれりゃつけれる分はつけていくよ。」
カタログのようなものには色がいくつもあり、その中から選ぶようだ。
梢は全身を青みがかった黒にし、チェーン部分はそのまま銀に、靴底とグローブは真っ黒に、とお願いしていた。
「形は問題ないんですが……こう、細工ってできますか?胸のところに龍っぽい模様とか欲しいなって思いまして……」
「ん、あんまり難しくなけりゃすぐにできるぞ。こういう感じでいいか?」
珠を持った龍の手のようなマークが右胸のあたりに描かれる。
「わぁ、これ、かっこいいです!これでお願いします!オレンジでこの部分だけ色変えたりできますか?」
「できるぞー、んで、追加効果の方はどうだ?」
「そうですね……腕に器用値補正、足によろけるのを防ぐような効果、胸当てに体力強化、と言ったところですかね?」
「ん……腕と胸はそのまま行ける。足の方は……よろけ防止とかはないから踏ん張りをつけるかな。これでいいか?」
「はい、大丈夫です!」
これで梢の防具が決まった。最終調整をし、そのまま来ていくことに決まった。
「ありがとうございました!」
「いいってことよ。こっちも商売だ、今後ともよろしくしてくれ!」
「よし、んじゃ支払いだな。いくらだ?」
「んー、今回は一からじゃないし、加工費もそんなにかかってないから……追加効果込みで45万だ!」
「よっし買った!」
「おーう、ん、確かに代金受け取ったぜ。」
取引も終わり、正式に鎧が梢のものとなる。
ちなみに鎧のステータスはこんな感じだ。
【混合鋼の鎧+7】 耐久値100/100
DEF +32(+7)
装備条件 STR70以上
《器用値補正·微》《生命力強化·微》《踏ん張り》
うん、桁が違うね……ちなみに上下すべてを揃えて装備してこの数値で、分けてきた場合はもちろん数値が低下する。
序盤でこのレベルの装備は正直いって強すぎるのではないだろうか……まあもう買っちゃったしあとには引けないけど。
改めてお礼を言い、外へ出る。
「次はどこへ行くんですか?武器屋ですか?」
「そうだね。そっちの知り合いにも声かけてるし、とりあえず顔出しするか。」
「じゃあ二手に分かれる〜?金属組とそれ以外で〜。」
「それでいいな。こひこひはコカゲと満千香の店に行ってくれ。連絡はこひこひ頼むぞ。」
「は〜い、行ってくるね〜。」
「あ、え、あ、行ってくるね!」
先に歩いていく恋を追いかけ二人と別れ満千香さんのお店へと向かう。
「あ、もしも〜し、こひこひだよ〜。うん、うん、そう、今そっち向かってる〜。うん、杖と鞭。あるかな〜?ほんと?よかった〜。じゃあすぐ行くから待っててね〜」
「お店にいるって?えっと、みちちかさんだっけ?」
「うん、待ってくれるって〜。鞭も杖も扱ってるから大丈夫だよ〜って。」
「具体的には何やさんなの?」
「えっと、魔物素材、魔石、鉱石、木材とかまあ、色々扱って武器とか道具を作ってる何でも屋さんかな〜?」
「雑貨屋さんみたいな感じ?」
「あ、そうだね〜。そんな感じ〜。質も性能も高いんだけど、専門にしてる人に比べると劣っちゃうんだよね。でも、顔が広くていろんなものを作ってくれるから結構お世話になってたんだ〜。」
「へぇ、βの時から利用してたんだ。」
「うん、生産職の護衛をした時に仲良くなってね〜。」
護衛なんかやってたんだ。ふむ、そういうプレイヤー同士の依頼の出し合いもあるのか
「あ、ここだね〜。」
その言葉に前を見れば、可愛いアクセサリーや小物の棚、奥のケースにはいくつもの武器、さらに壁には見本用と思われる武器がいくつもかかっている。
「本当になんでもありそうだね。」
「何でもはないですけど、かなりの数はありますですよ。」
「あ、久しぶり〜」
おっと、この優しげな和服が似合いそうな人が満千香さんかな?
「お久しぶりなのですよ、そしてそちらの人は初めましてなのですよ。生産職の満千香ですよ、よろしくお願いしますのですよ。」
「あ、私はコカゲって言います。宜しくお願いします!」
お互いに頭を下げ挨拶をする。
「それで、杖と鞭が欲しいとのことですが、どういった素材か、効果か、など注文はありますですか?」
あ、武器にも効果をつけれるんだった、考えてなかった……
「わたしは〜、射程を伸ばす効果が欲しいかな。素材は軽くて丈夫なのがいいな〜。」
「え、あ、私は、うーん……」
「とりあえず中の装備の説明をしますね?こひこひの条件だとこれかこれがいいですかね?」
白っぽい茶色の鞭と、黒が強い茶色の鞭がこひこひに手渡される。
「あ、ありがと〜。じゃあちょっと裏で試していい?」
「いいですよ、試した感想を聞かせてくださいね。」
「は〜い。」
恋は私を置いて鞭を試しに行ってしまった……
「え、置いてくの!?」
「あぁ、大丈夫なのですよ、しっかり説明させていただきますので。」
「は、はぁ……」
しばらく素材の効果、加工での頑丈さ、魔石を嵌めた時の効果などを1通り教えて貰った。
杖術に向いた木材は硬さとしなやかさを兼ね備え、なおかつ真っ直ぐな木材。魔法の補助に向いた木材は頑丈でなくともよく、魔力伝達効果などがあるものが向いているらしい。
杖に魔石を嵌めることで魔法の補助効果を高めたり、杖そのものに魔法を発動させることが可能になるらしい。
ただ、少なくとも死霊やアンデット補助になる魔石はまだないらしい……
「杖術に使いつつ、魔石を使う、って言うのはできないんですか?」
「できなくないですが、この店では難しいですね……魔石を使わなければいいんですけど……魔石は魔石で耐久値が設けられていますですので……」
うーん……今回は、魔法補助用の杖にするかな……闇属性補助の魔石にMP最大値をあげてくれる木材、魔法攻撃力がアップする加工方法でお願いしよう。
「それでしたらすぐにできますですね。二時間後、取りに来ていただけるならその間は自由にしていただいて結構ですし。」
「わかりました、それじゃあそれでお願いします。」
「満千香ちゃーん、こっちの黒い鞭に決めた〜。これに射程延長つけて〜。」
「わかりました、そちらはすぐに出来ますですのですぐお渡ししますね。」
「あ、待って、お金今ないからこかげっちの受け取りの時でいいよ〜。それまでに、攻撃力とか少しあげてほしいんだ〜。」
「わかりました、加工しておきますね。とりあえず料金としては25万といったところですね。」
「ん、わかった〜。じゃあ、お願いね、また後でね〜。」
これで武器の方も注文は終わった。時間もいい頃合で、ディレスさんのお店で防具を受け取りに行って、微調整をしてればいい具合に時間も潰せそう。
恋とふたりでディレスさんのお店へ向かう。中に入れば、一足先に戻っていた音子と梢と合流する。
「お、戻ったか。どうだった?」
「わたしは既製品の強化依頼を〜」
「私は1から加工を頼んできた。杖術用と魔術補助用との併用は難しいって言われたから魔術補助で頼んできた。」
「私は剣と槍、盾を買ってきました!」
おぉ、見れば槍を背負い、左手に盾を持っている。
「私は剣と短剣。序盤じゃ十分な攻撃力で満足してるわ。」
音子は両手で1本ずつ剣を持つのか、双剣じゃなくて剣と短剣って言うのはなにか狙いがあるのかな?
ちなみに武器ステータスはこんな感じ。
【魔芯鋼のショートソード+5】耐久値100/100
ATK +18(+5)
MATK +4(+2)
装備制限 STR45以上 DEX50以上
《クリティカル率上昇·微》《攻撃速度上昇·微》
【幅広の短剣+5】装備制限80/80(+20)
weapon +12(+5)
装備制限 STR40以上 DEX45以上
《武器耐久値上昇》《毒》
【魔芯鋼の大盾+6】耐久値160/160
ATK/DEF +6(+6)/+20(+6)
MATK/M DEF +3(+3)/+12(+3)
装備制限 STR60以上
《防御範囲拡大》《収納》
【魔芯鋼の槍+3】耐久値120/120
ATK +18(+3)
MATK +8(+1)
装備制限 STR55以上
《魔法電動·火属性》《MP吸収·極微》
【鋼のショートソード+8】耐久値100/100
ATK +16(+8) STR45以上 DEX50以上
《斬れ味上昇·微》
うん、私の杖はなんだったのかと言いたくなる装備だ。ま、まあ初期装備だし仕方が無い……
「揃ってるな、んじゃあ装備を渡していくぞ。」
っと、ディレスさんが装備品を持ってきてくれた。どんな防御力になったかな、ちょっとワクワクする。
「まずは鎧のお前さんだ。中に着るやつだから鎧脱ぎな。サイズはあってるはずだけどきついとこあったら教えろ。」
「あ、はい!」
ちょっと緊張した様子で服を受け取る梢。ディレスさんが試着室を教え、そこで着替えるようだ。
数分後、梢が出てくる。
「ど、どうでしょう……?」
「おー、すごく似合ってるじゃん。いいね。」
「コーデリアっち可愛いよ〜!」
「うん、とっても可愛い。街の中はその格好で十分じゃない?」
うん、とっても似合っていて可愛い。シンプルなデザインのインナーにスラリとしたズボン、動きやすさとデザインが両立したとても出来のいい服だとわかる。
「サイズは問題ないな?んじゃ鎧きてみろ。それで動きを見ろ。ちなみにインナーとズボン、ベルト、靴下はそれぞれ防御力はあるが補助効果はない。」
「防御力があるだけで十分です!ありがとうございます!早速鎧きてみますね。」
恋に手伝ってもらって再び鎧を着る梢。軽く体を動かすが、どこも違和感なく動いているように見える。
「問題ないです!しかし、この防御力は一体……」
「仮にも服飾系の生産をしてるんだ。ただの布にも防御力をつけるだけなら問題ない。」
そんなに防御力があるんだろうか?
梢に頼みみんなで見せてもらうと音子と私が軽くふいた。
「ぶっ!?な、なんですかこの防御力!」
「ちょ、本気出しすぎ!これ絶対高いだろ!払わねーぞ!?」
「心配するな、それは安くで済んでいる。上下一式で10kもかかっていない。スキルでの効果がうまい具合に出ただけで元の効果はそんなに高くないだろう?」
それはそうなのかもだけど……
【シンプルインナー・クラシックグレー +10】 耐久値40/40
DEF +3(+10)
【シンプルパンツ・ダークブルー+10】耐久値50/50
DEF +4(+10)
【プレーンベルト・ブラウン+8】耐久値30/30
DEF +2(+8)
【ブーツソックス・ブラック+4】耐久値20/20
DEF +2(+4)
この数値はやりすぎな気がする……
合計の防御力が鎧を超えてしまっている。何この高性能な服……
この人やり始めると徹底的にやっちゃうタイプの人だったか……
やりきったのになぜ文句を言うんだって顔してるし
「ま、まあ、これならほかの防具も問題ないでしょう……次よろしく。」
「ああ、次はこひこひのドレスだな。これだ。」
「ありがと〜」
さっきと同じ流れで着替えてくる恋。すぐに出てきたと思えば緑肌に映える薄紅のドレスがとても綺麗で一瞬目を奪われてしまう。
「ふむ、想像以上に似合っているな。作ったかいがあった。」
「こんな良いものありがと〜!綺麗なだけじゃなくてすっごく強いし、大満足だよ〜!」
ドレスのステータスはこんな感じである。
【薄紅染めのドレス·紫陽花刺繍+8】耐久値80/80
DEF +10(+8) APP+10
MDEF +10(+5)
装備制限 DEX80以上 SIZ20
《火属性ダメージ軽減》《火属性耐性》
この職人、もはや自重なしである。
「……こっちは値段上がってそうだな……」
「こっちは180kと言ったところだな。まあ、これは最初の予定よりは高くついたな。」
「だからなんで値上げしてんだよ……!」
「まあ最後まで見てからその辺は話そう。」
そう言って音子に渡される装備一式。
「……とりあえず装備するわ。」
腕当てを嵌め、胸当てを着込み、ベルトを通しブーツを履く。
軽く手を握り、剣を握り、抜いて感覚を確かめ始める。足首もしっかりと回し動かしてみるが、問題はないようだ。
「ふむ、ブーツの底もいい感じに硬いし手甲もいい硬さ。そして安定の仕事しすぎ……これコカゲの分別で計算したでしょ……」
装備のステータスはこうだ
【なめし革の腕当て・甲百足の手甲+8】(両腕)耐久値100/100
DEF +14(+8) 手甲部分+20(+4)
装備制限 STR40以上 DEX60以上 体格14以下
《筋力値上昇·微》《拳ダメージ追加·弱》
【なめし革の胸当て・中厚+8】耐久値120/120
DEF +18(+8)
装備制限 STR45以上 体格14以下
《ダメージ軽減·微》《斬撃属性ダメージ軽減·微》
【革ベルト・二重巻仕様+6】耐久値80/80
DEF +6(+6)
装備制限 STR30以上
《アイテム使用時効果上昇·極微》《アイテムポーチ·小》
【加工革のブーツ・重骨底+6】耐久値80/80
DEF +8(+8) 底部分 weapon+6(+3)
《蹴りダメージ追加·弱》《ダッシュ補正·バランス》
これもっとあとになって装備するものの気がするんだけど……
と言うかこれだけど60万くらい使いそうなんですけど!
「……これでいくらだ?」
「甲殻と骨が10K、残りが400kだな。」
「予算使い切っちゃったよ!?何してんの!?」
「そう喚くな。そっちのマミーの方は無料でいい。」
え、なんで?
「いや実はな、インナーを作ってる最中にただの布に防御力を付与できるか検証したらあんな防御力の服ができた。そのおかげで経験値が入りスキルと職業のレベルが上がってな。このステータスはレベルアップによる結果なんだ。」
「なんと……ちなみにいくつレベルが?」
「さっきの俺のスキルレベルは3、職業レベルは3で、今はスキルレベルが5、職業レベルが4になった。」
「てことはその技術の発見が経験値高めな技術だったわけだ。」
「ああ、そのおかげで新技術やレシピも増えて満足した。だから計算上600K以内のお前達三人分の代金をもらい、150k分は無料にしてやる。」
なんと……これは喜んでいいのかな……?
「無論手は抜いていない。十分納得のいくレベルに仕上がっている。」
「ならいいけど……全く、いきなり値段変えたりするなよ。ちゃんと相談すりゃ払うか削るか選ぶのに。」
「すまんすまん、つい熱が入ってな。さて、待たせたがこれがお前の装備だ。装備してみてくれ。」
「あ、はい!」
装備を受け取り試着室へ。
……包帯解くの面倒だな……
包帯を解き終わり、布を取り払えば綺麗な薄黄色の布を纏い、灰色がかった包帯を巻き付けていく。
……なんか自然と巻けてしまうあたりそのへんはサポートされてるんだなぁと変なことを考え、巻終える。
靴を履き、最後に黒いローブを羽織ってみんなの前へ
「……どう?」
「うわ、一気に死霊の親玉っぽくなったな、似合ってるけど悪役っぽい。」
「ネクロマンサーとかのイメージかな〜?でもにあってるよ〜。」
「お姉ちゃんちょっとエッチです……」
「ふむ、アンデットっぽくはないが雰囲気は出てる。なかなかいい感じだな。」
ちょっと嬉しくない褒め方されてる……そして……
「コーデリア……エッチって……」
「だって……布巻いただけにローブってなんか変態っぽくて……」
「……ローブの前までしっかり閉めておくわ……」
とりあえず装備のステータスを見てみる。
【土染めの布+8】耐久値60/60
DEF +6(+8)
装備制限 種族·マミー系
《火属性ダメージ軽減·極微》
【灰の包帯+10】耐久値60/60
DEF +6(+10)
MDEF +8(+8)
装備制限 種族·マミー系
《火属性ダメージ軽減·微》《MP上限上昇·小》
【暗がりのローブ+8】耐久値100/100
DEF +8(+8)
MDEF +12(+6)
《闇属性魔法強化·小》《夜間隠蔽効果·中》
おお、全体的に防御力が上がっていてとても安心感がある。おまけにアンデットの時間の夜だと隠蔽効果がつくのは大きい。
「ありがとうございます!こんないい装備……大事にしますね!」
「おう。もし壊れたり強化が必要になったら素材持ち込みで引き受ける。」
「ん、これで防具は揃ったな?んじゃあとは二人の武器待ちか。」
「そうだね〜。もういい時間かな?とりあえず向かっちゃおうか〜。」
「そうだね、そろそろいいと思うよ。」
「ん、世話になったな。また頼らせてもらうよ。」
「おう、いつでも来い。」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました、私はあまり貢献できそうにないですがね……」
「ありがとうね〜、またね〜」
全員で外へ出て、満千香さんのお店へ向かう。そこで装備を受け取り代金を支払い、ステータスを見てみる。
【獣魔の鞭+4】耐久値80/80
ATK +12(+4)
MATK +6(+2)
装備制限 DEX65以上
《射程延長·小》《獣型追加ダメージ·弱》
【暗石の魔術杖+4】耐久値90/90
ATK +12(+4)
MATK +10(+2)
装備制限 MND65以上
《闇属性補助·弱》《MP上限上昇·微》《魔法攻撃力上昇·微》
これも初期装備と比べるまでもなく強い装備だ。
お金を払ってくれた音子と生産職の皆さんに感謝だ。
「んー、だいぶ時間を使ったなぁ。ま、こっちでまだ四時間しかいないし、向こうじゃまだ一時間半もたってないのか。」
このgloでは向こうの一時間はこっちでの三時間となっている。そのため、かなり長い時間このgloの世界にいることが出来る。
「とりあえず今度こそ狩り、その後は街の観光でもする?」
「そうだね〜。早く試してみたいね〜。」
全員一致で狩りに行くことが決まり、改めて草原へ向かい歩いていく。
これで本当に本当の冒険が始まる。新しい武具に防具、こんないいものをもらったんだ、全力で頑張らないと。
気持ちも新たに、2度目のスタートを踏み出した!
Playername《Kokage》性別 ♀ 種族 マミー 職業《縛霊術師》種族Lv5 職業レベル3
HP (ヒットポイント) 214 [214]
MP (マジックポイント) 180 [180](+27)(+27)
SP (スタミナ) 94 [94]
STR (筋力) 77 [77]
VIT (生命力) 120 [120]
SIZ (体格) 17 [17]
DEX (器用さ) 64 [64]
AGI (速力) 63(+) [63]
REA (反応速度) 53 [53]
INT (知力) 93 [93]
MND (精神力) 87 [87]
CON (集中力) 65 [65]
SEN (五感)
·視覚 44 [44]
·聴覚 39 [39]
·嗅覚 29 [29]
·味覚 44 [44]
·触覚 48 [48]
APP (魅力値) 61 [61]
LUC (幸運) 12 [12]
KAR (カルマ値) -64 [-64](MAX500〜-500)
ATK 7
DEF 13
MATK 9 (MP消費5の場合)
MDEF 15
CRI 7%
・職業スキル
《死霊使役》Lv2《死霊召喚》Lv2《死霊創造》Lv2
《死霊強化》Lv2《屍操作術》Lv2《杖適性》Lv2
·種族バッドスキル
《火属性弱点》Lv無《光属性弱点》Lv無《斬撃被ダメージ増加》Lv無
《回復魔法ダメージ化》Lv5
《神聖域内常時ステータス大低下》Lv無
《屍人》Lv3《死霊》Lv2《印象値低下》Lv無《飢餓状態》Lv無
《渇水状態》Lv無
·種族グッドスキル
《乾燥ダメージ無効》Lv無《水属性耐性》Lv1《夜目》Lv5《乾燥域内ステータス微上昇》Lv2《日光下行動可能》Lv10(MAX)《呼吸不要》Lv無《睡眠不要》Lv無《精神攻撃耐性》Lv3《痛覚鈍化》Lv3《生命感知》Lv2
・初期選択スキル
《闇魔法適性》《土魔法適性》Lv2
《引っ掻き》Lv2《噛み付き》Lv1《吸収回復》Lv2《呪い》Lv2
《杖術》Lv2《毒爪》Lv1《布装備作成》Lv1《木工》Lv1《眷属化》Lv1《気配遮断》Lv1《瘴気》Lv1《乾燥》Lv1
・習得魔法
·最下級土魔法 《ストーンバレット》《サンドダスト》
NEW 《ストーンボム》消費MP10
石の礫を爆発させる。爆発範囲は半径1m石との距離は25mまで。
NEW 《サンドウォール》消費MP8
砂で壁を作る。耐久値は5。発動範囲は10m以内。
·最下級闇魔法 《ダークショット》《ブラックミスト》
・装備
·weapon
・【暗石の魔術杖+4】耐久値90/90
ATK +12(+4)
MATK +10(+2)
装備制限 MND65以上
《闇属性補助·弱》《MP上限上昇·小》《魔法攻撃力上昇·微》
·protection
・【土染めの布+8】耐久値60/60
DEF +6(+8)
装備制限 種族·マミー系
《火属性ダメージ軽減·極微》
・【灰の包帯+10】耐久値60/60
DEF +6(+10)
MDEF +8(+8)
装備制限 種族·マミー系
《火属性ダメージ軽減·微》《MP上限上昇·小》
・【暗がりのローブ+8】耐久値100/100
DEF +8(+8)
MDEF +12(+6)
《闇属性魔法強化·小》《夜間隠蔽効果·中》
・習得アーツ、魔法
《死霊操作·攻》《死霊操作·防》《サモニング·レイス》《レッサー·アンデットクリエイト》《屍操作·動》《杖術·払い》《杖術·振り下ろし》《眷属化·極低》
NEW 創造可能mob【レッサーワイト】消費MP20
取得スキルポイント 11