始まりの大陸 最初の敵はプレイヤー!?
戦闘回です。描写がわかりにくい場面もあるかもしれませんがご了承ください。
始まりの大陸にある、スタトルの街の神殿へと飛んだ私達は、まずパーティを組み、装備と持ち物の確認を始めた。
「私の装備は短剣に布の服、革のベルト、靴、だな。所持金はβ引き継ぎで600万エールだな。」
「ねねっちはお金引き継いだんだ〜。じゃあ回復アイテム系は無し〜?」
「うん、回復系は一切持ってない。恋は何引き継いだの?」
「わたしは〜、序盤で使える回復アイテム系だよ〜。初級ポーション50個、薬草100個、劣化mpポーション30個、魔力草20個、だね〜。装備は大きな葉のドレスと花弁の飾り、武器は軽い鞭だよ〜。」
「二人共さすがの金額と所持数だね……まあ、βからだしそれくらいは普通、なのかな?」
「いんや、私らβで上位陣だったからねー、その分も加味されてるっぽいかな。もっと上位がどうなってるか気になるくらいよ。」
「おふたりは上位陣だったんですね、足を引っ張らないよう気を付けないとですね!私の装備は短槍、無骨なスケイルメイル、革のベルト、革のブーツ、ですね。所持品は初級ポーションが5個、それに1000エールですね。」
「みんな装備の充実度合いが……初期装備でこの差は一体なんなの……粗末な布にボロの包帯、無骨な木の杖、所持金が3000エール、回復アイテムはなし……。」
「あー、まあコカゲは回復アイテムはしょうがないな。んでコーデリアは多分このパーティじゃメインになるだろうから足引っ張ったりはないと思うよ。むしろ恋とコカゲが心配。」
「うっ……デスヨネー……」
「あ、ひどーい、私だってテスターだよ〜?戦えるよ〜!」
「あー、コカゲの場合は序盤じゃアンデットの回復手段が少ないからであって、キャラクリのせいじゃないから。恋は前盾だったのにいきなりサポートメインになって、その上武器が鞭だからだよ。杖とか槍ならまだ感覚でどうにかなるだろうけど、鞭なんて経験ないと使えないでしょ?そういう心配よ。」
ごもっとである。回復手段をどうするか考えていなかった……吸収回復があるけど大ダメージを受けたら回復量が全然足りないだろうし……
こひちゃんとねねちゃんが言い争ってる中、回復手段どうするか、本当に役に立つか、とうじうじ考える。コーデリアがふたりをなだめ、とりあえず装備を整えることと回復アイテムの分配をすることになった。
「とりあえず前衛の私とコーデリアにポーションをメインで分配、私に20、コーデリアに15残りは恋が持つ。薬草はとりあえず恋が持っておく。劣化mpポーションは後衛の恋とコカゲが10ずつ、前衛ふたりで5個ずつ。こんなところでいいか?」
「ん〜、盾やるならコーデリアちゃんに余分目に渡した方がいいかも?」
「そうだね、私はポーションいらないし、その分コーデリアにあげちゃっていいんじゃないかな。」
「それもそうか、じゃあコーデリアは元々の分プラス20個で。んで、装備品は遠慮しないで買っちゃいな。金は私が出すから。ただし、今回限りで、これ以降は全部自分で買うか借金ね。」
「「「はーい」」」
「それじゃ、とりあえず武器屋と防具屋、プレイヤーの露店を見て回ろっか。それとも先に狩り行って素材集める?腕のいいプレイヤー捕まえてからでもいいけどね。」
「はい!一度戦闘で盾職がどんな感じかやってみたいです!今まで魔法系ばっかりだったので!」
「ん、ってことだけどほかに意見はー?ないならとりあえず周辺の草原に行こうかなって思うけど。」
「わたしも狩りかな〜?鞭になれておきたいかな〜」
「私も戦闘でどんな感じか掴んでおきたいかな。引っ掻きとか噛み付きでの攻撃がどうなるか、とかちょっと調べたい。あとは素材集めかな。装備はその後でいいよ。」
「ん、じゃあ1時間くらい狩りに行こうか。とりあえず分配だけしちゃおう。」
ポーション類を分配し、準備が整い草原へと向かう。
いよいよ、RPGの世界、冒険の始まりって感じですっごくワクワクする……!これが、ここからが、本当に新しい世界……!
全員で街から一歩踏み出し、草原へ。
サァァァ……
気持ちのいい風に髪や衣服が揺れ、目を細め、綺麗な草原を眺める。チラホラとプレイヤーらしき人がいて、戦闘していたりのんびりしているが見え、興奮は最高潮に。
「すごい……。やっぱりすごい!」
思わずすごい、と大きな声で言ってしまい、みんなにくすりと笑われてしまい、少しうつむく。しかしすぐ気を取り直し、敵を探すためみんなで歩き出す。
「このへんの敵はどんなのがいるんですか?」
「ん、βのままならブレードラビット、ダッシュボア、ラージスネーク、シュートホーク、夜ならウルフ、ブラックバット、ホーンマウス、グレイオウルだな。1番弱いのは兎と鼠、どっちも初期レベルでも苦戦しないレベル。猪と狼は群れてたりするからパーティ推奨。蛇とコウモリは奇襲が多くて鷹とフクロウは空からの攻撃だから厄介だ、ってとこかな。他にも増えてたり変わってたりするだろうから気をつけて。」
うさぎにネズミ、猪、狼、蛇にコウモリ、鷹、フクロウ、と
頭の中で敵の種類や特徴を覚え、キョロキョロとあたりを見、敵がいないか探す。
そこでスキルの《生命感知》に、こちらへ向かってくるいくつかの生命反応が引っかかる。
ねねも気配を感じたのか、ゆっくりと視線を周りに向け、嫌そうに顔をしかめる。
「……ちっ!嫌なのが来たよ、全員こっちに行こう。」
「え、でも、反応はあっちから……」
「あー、反応よく見てみ?プレイヤーなら緑、mobは赤、ノンアクティブとNPCは黄色、で、多分だけど緑だろうから。」
言われたので改めて生命感知に引っかかった反応を見てみる。確かに緑のマークが表示されている。
「あ、ほんとだ。ん、じゃあ、邪魔にならないように別のところ行こうか。」
「ちょっと違うけど、まあそんな感じかな。さ、行こう。」
全員がねねの指す方へ向きを変え、踏み出したその時、数人の走ってくる足音が聞こえてくる。
「おいおいおい、待てよぉ!んだよ、気づいてんじゃねーよクソが。大人しくしろよ、テスターさん?」
男の嫌味溢れる声が聞こえてくる。しかしねねはそれを無視して進んでいく。
どうすればいいかわからないコーデリアと私はとりあえずねねについていくが、一番後ろにいる私の方をいきなり引っ張られる。
「待てっつってんだろうが!」
「きゃっ!」
「っ!コカゲ!?」
いきなり肩を掴まれ、そのまま数人の男性プレイヤーに囲まれてしまう。え、何この状況。
「おい、その子離しな。自分が何やってるかわかってんの?」
「ようやく止まりやがった。おい、お前さんテスターだろ?この子離してほしいなら装備とアイテム、所持金全部置いていきな。武器引き継いでも金がねーからアイテムすっからかんでよ、メンバーに行き渡らねーんだよ。」
「知るか、なんでそんなことのために金渡す必要がある。とっととコカゲ離して回れ右して採取でもしてろ。」
どうやらカツアゲらしく、テスターを狙った、同じテスターの仕業らしい。テスターの筋力は私のステータスを上回っているらしく、暴れても逃げられない。
「おい、暴れんじゃねえよ!」
「お姉ちゃん!」
「みやっち、心配しないでね、大丈夫だからね。さ、早く離してくださいね?じゃないと怒りますよ?」
「はぁ?怒ったらどうなるんですかぁ?ビンタでもするってか?はっはっは!」
ハハハとテスターが笑うのにつられ仲間の男達も笑い出す。話し込んでいたため多少出遅れているため、街周辺にはあまり人がおらず、数少ないプレイヤーは面倒はゴメンだとばかりに遠回りに避けていく。
「ちょ、マジで、離せ!」
ごっ!
思わず振り上げた腕、その腕に握っていた杖が男の顔に命中する。
「がっ!?」
不意をつかれたからか拘束が緩み、さっとみんなの元へ。PKが可能なこのゲームでは今のでもダメージになるらしく、若干HPが削れるテスター。
「大丈夫?コカゲ」
「お姉ちゃん、ダメージとかない?イヤラシイこととかされてない?」
「ん、大丈夫そうね、よかった〜。さて、これは、お仕置きが必要、かな?」
みんなに心配され、落ち着きを取り戻し、恋の一言に周りの男どもに視線を向ける。
「こ、このアマ……!やりやがったな!てめえら、こいつらキルしちまえ!額は減るが金は落とす!リスポーンする時は神殿前で待っときゃいい!」
テスターが恐ろしいことを言い出す。その言葉に反応した連中が武器を構える。全員剣や斧を持ち、鎧を着ていてとても強そうだ。
「ちっ!先に装備揃えとくべきだったか……ええい、逃げるよみんな!」
ねねの叫びに弾かれたように走り出す私達。
しかし男達は私とこいよりも足が早く、すぐに囲まれてしまう。
「てめえら二人だけでも殺す。特にそこの包帯女は確実に殺す!」
テスターがこっちに殺気を向けてくる。明らかにステータスではテスターが上、しかも何度か狩りをしたのかレベルが上らしく名前も見えない。
男達はパーティ上限の5人、私たちは2人、少し離れたところに2人の4人。
どうしてこうなった……
「ええい、どうしてこうなるのよ!」
私は怒っていた。ただでさえ楽しみにし、一度は諦め、そこからチャンスをつかみ、やっとの思いで始まった冒険。それを目の前の男達は邪魔をする。
私の怒りは最高潮に達し、誰よりも早く攻撃を始めていた。
「《サンドダスト》!《ストーンバレット》!」
補助魔法を発動し、威力を若干底上げし、石の礫をテスターへと放つ。
「あぶねえ!」
いきなりの攻撃にギリギリ反応し避けるテスター。しかしそこに恋からの援護射撃が入る。
「《ストーンバレット》〜!」
「がっ!?」
むき出しの頭に命中する石の礫、さらに手に握る鞭を振り、近くに居た敵Aを思いっきり叩く恋。
「いってぇ!この、クソ女がぁ!」
叩かれた敵Aが恋に斬り掛かる。とっさに間に入り、杖で受け止める。
「ぐぅっ……!あぁっ!」
筋力で劣るため押し負ける。しかしその時には新たな援護が入る。
「お前らが悪いからな。」
ねねがつぶやき、敵Aの後ろから短剣で首を刺し、膝を蹴り跪かせ、首を斬る。
クリティカルが入ったのか男は倒れ、動かなくなる。
「んな!エイジ!」
名前を呼ぶほかの敵B、C、D。そのBに後ろから短槍で襲いかかるコーデリア。
「てやぁぁ!《槍術·三段突》!」
不意をついたアーツは1段、2段と命中するも三段目は回避される。
「くっそ、てめえら、やれ!マジで殺してやれ!」
テスターが叫び、明らかに引き継いだであろう強そうな剣を振り上げ斬りかかってくる。
しかし《サンドダスト》私のとっさの回避で肩を軽く斬られるだけで済む……え、今のでHP6割くらい持っていかれてるんだけど!?
「くぅっ!?いやいや、ダメ多すぎでしょ!」
「はっ、こいつは火属性の大剣だ!通常ダメに加えて火のダメージもあるんだよ!おめえ火が弱点だな?ははっ、てめえに勝ち目はねえよ!」
ひ、火属性持ち!?しかも私は斬撃にも弱い、これはマジでまずい!
なにか使える呪文や攻撃はないか必死で習得スキルを確認する。
その間に斧持ちの敵Bとコーデリアが、短剣持ちの敵Dとねねが、動くのが一番遅かった敵Cを触手で拘束する恋が見える。
……まって、恋が一方的すぎる……って、そんな場合じゃない!
《死霊召喚》を見るが近くにレイスがいないため使用不可になっている。これなら《死霊創造》もダメだろう、と思っていると使用可能を示す通常の黒い字で表示されている。
ダメ元で《死霊創造》の呪文、《レッサーアンデットクリエイト》を発動する。
「《レッサーアンデットクリエイト》!【レッサーレイス】【レッサーレイス】【レッサーゴースト】!」
同時には創造可能な数まで一気に使役mobを創造する。MPが一気に半分削れ、強い倦怠感に包まれる。《死霊操作·攻》を選択し、対象であるテスターを見る。
そして、自分に向かって振り下ろされる大きな剣が視界に入る。
これは、死んだ。
思わず目を閉じる。
しかし、敵の攻撃は私のすぐ隣へ落とされた。
「ぐぅっ!?の、呪いの状態異常だと?どうなってやがる!」
見れば、レイスとゴーストにまとわりつかれ、呪いによりステータスが低下した男が剣を持ち上げようと必死になっている。
え、そんなにステータス下がってるの?
テスターの大剣は要求筋力値が高いらしく、大幅に低下したと思しきステータスではぴくりとも持ち上がらない。
思わずレッサーレイス、レッサーゴーストのステータスとテスターの状態異常を確認してしまう。
【レッサーレイス】
HP (ヒットポイント) 60(+2) [62]
MP (マジックポイント) 95(+4) [99]
SP (スタミナ) 15 [15]
STR (筋力) 0 [0]
VIT (生命力) 45(+2) [45]
SIZ (体格) 15 [15]
DEX (器用さ) 55(+2) [55]
AGI (速力) 45(+3) [48]
REA (反応速度) 50(+2) [52]
INT (知力) 50(+2)[52]
MND (精神力) 50(+2) [52]
CON (集中力) 45(+2) [47]
SEN (五感)
·視覚 40(+2)[42]
·聴覚 45(+2) [47]
·嗅覚 0 [0]
·味覚 0 [0]
·触覚 0 [0]
APP (魅力値) 15[15]
LUC (幸運) 0 [0]
KAR (カルマ値) -120 [-120](MAX500〜-500)
ATK 0
DEF 0
MATK 0 (MP消費5の場合)
MDEF 0
CRI 0
《呪い》《劣化種》《創造されし魂》《物理無効》《光属性弱点》《闇魔法適性》
【レッサーゴースト】
HP (ヒットポイント) 50(+1) [51]
MP (マジックポイント) 90(+4) [94]
SP (スタミナ) 50(+1) [51]
STR (筋力) 0 [0]
VIT (生命力) 35(+1) [36]
SIZ (体格) 15 [15]
DEX (器用さ) 35(+1) [36]
AGI (速力) 75(+3) [78]
REA (反応速度) 40(+2) [42]
INT (知力) 40(+2) [42]
MND (精神力) 50(+2) [52]
CON (集中力) 30(+1) [31]
SEN (五感)
·視覚 25(+1) [26]
·聴覚 35(+1) [36]
·嗅覚 0 [0]
·味覚 0 [0]
·触覚 0 [0]
APP (魅力値) 10 [10]
LUC (幸運) 0 [0]
KAR (カルマ値) -85 [-85](MAX500〜-500)
ATK 0
DEF 0
MATK 0 (MP消費5の場合)
MDEF 0
CRI 0%
《呪い》《劣化種》《創造されし魂》《物理耐性》《光属性弱点》《闇魔法適性》
となっている。
で、テスターの状態異常だけど、《呪い·強》になっている。
おそらく3体分の呪いがかかり、効果が強くなっているんだろう。
結果武器も持てないほどにステータスが低下しているわけで。
私はにっこりと笑い、そっと男の肩に触れる。
剣を持ち上げようと必死になりながら、こちらを横目で見てくる男。
私は視線を周りに向ける。
Bはねねに踏みつけられている。プレイヤースキルで劣っていたらしく、ねねは軽傷ですんでいる。
Cは恋に拘束され、鞭の練習台になっていた。
コーデリアと戦っていたDは既におらず、とうの昔に観戦していた風である。
顔を青くし、必死で剣を持ち上げようとするも持ち上がらず、たまらず拳で殴りかかろうとするが、低下したステータスは私に劣るらしく、力を込め抑えつければ動けなくなってしまうテスター。
力んだ拍子に食い込む爪によるダメージと毒爪による毒ダメージでHPが減っていくテスター。
もがけども動けず、叫び声をあげ、謝罪を始める。
「く、あっ!す、済まなかった!悪かった!だ、だから離してくれっ!」
「って言ってるけど、どうするねね?」
「今までのはスクショに録画してるし殺っちゃっていいと思うよ。後で晒して,GMコールもするから。」
「んな!?ざけんな!何もそこまですることは……」
「迷惑行為に恐喝、脅迫。同意なしの拘束。これだけでも十分マナー違反。GMが動かなくてもほかのテスターやプレイヤーは確実に反応するでしょうね。特に生産職とテスターは繋がり深いし、アイテム販売を止めたり位はあるんじゃないかしらね?」
「な、ざ、ざっけんなよ!ただのPK行為だろうが!ゲーム内で許されてることやってなんでそこまでされなくちゃいけねえんだよ!」
「PKだったら不意打ちで攻撃すればいいところをあんたら周り囲んで金出せって言ってたじゃん。ちなみにバッチリ録画済みだから。そして今アップロード終わったわ。」
「な……」
もはや言葉もない、という態度のねね。その態度に絶望の表情を見せるテスター。今までの戦闘でレベルが上がったねねとコーデリアはテスターの名前が見えているらしく、再度スクショし、名前も掲示板に投稿しているらしい。
「さて、コカゲ、とりあえず、あんたが決めていいよ。つき出すなり、殺すなり。」
私の答えは決まっていた。
「あと五分待って。今《吸収回復》で回復中だから。回復が終わったら杖でトドメ刺すから。」
「おー、いいね、回復も経験値もいただきってか?じゃあその間周辺のmobの情報掲示板で漁ってるわ。コーデリア、こいつ抑えてて。恋はそのままそいつ縛ってて。」
「わかりました!さあ、大人しくしてくださいね。まあ、暴れても無駄ですけど。」
「りょうかーい、というわけでもうちょっと練習に付き合ってね〜。《ヒール》〜。からの《鞭術·大打ち》〜」
ピシャアッ!
「いってぇ!!」
恋はマイペースだな……
だいたい五分立つと、《吸収回復》で吸えないラインまでHPとMPを吸収し終える。若干まだ減ってるかな?
私は一度ため息を吐き、杖を構え、アーツを発動する。
「《杖術·振り下ろし》!」
ごぎっ
「ごはぁ!?」
一瞬のタメのあと、杖の重さに早さと筋力分の力の乗った振り下ろしがテスターの頭に炸裂し、テスターのHPが0になる。
経験値が入り、レベルが上がりファンファーレがなる。
一回、二回、三回……
四回なって、それ以降ファンファーレは鳴らない。どうやらだいぶレベルが上だったらしく、一気に種族レベルが5になった。職業レベル、スキルレベルも上がっており、結構美味しい。
「お、上がったなー。一気に4ってことは、あいつレベル6以上あったっぽいな。はぁー、そんだけ上げてんなら普通に稼いでいけばいいのに。」
「まあもうやっちゃったことだからね〜。さて、あなたも付き合ってくれてありがとうね〜。それじゃさよなら〜。《鞭術·大打ち》!」
ビシャァァンッ!
「ぎぃぁあ!!」
回復されず、鞭のアーツを叩き込まれ、HPが0になるC、これで全員レベルが上がり、最後のひとりが残る。
「さて、こいつはどうする?」
「そうだね〜、スキルとかの練習台になってもらう〜?」
「だったら私剣術の経験値稼ぎたいです。」
「ん、じゃあそれで行くか。コカゲは大丈夫?」
「あ、じゃあ少しだけこの人に触らせて?まだ回復し切ってないから。あと十秒くらいかな。」
「ん、いいよ。じゃあすいません、ねねさん、その人の剣とってもらっていいですか?」
「あいよ、ほれ。」
「回復終わったよ。存分に斬っちゃえ!」
「ざっけんな!クソ、クソックソックソ!マジで許さねーからな!」
「喋らないでください、《剣術·大払い》!」
大振りの一閃が敵Bの首に叩き込まれ、HPを0にする。
ようやくこの無駄な戦いも終わり、ほっと一息をつく。
「さて、ドロップの整理とスキルとかのチェックと行きますか。」
言われて気づいたが、ドロップ品がアイテムボックスに入っている。一覧を覗けばこんなものが手に入っていた。
【火竜の大剣】【鉄の小手】【魂の粉*2】
【火竜の大剣】
ATK+35 火属性 火属性ダメージ+25 装備条件 STR100以上
【鉄の小手】
DEF+10 装備条件 STR50以上
【魂の粉】
素材 創造魔法、錬金魔法、錬金術で用いる素材。生き物を殺した時低確率で入手
とんでもないドロップをしていた……
え、なんでこんなに強いのドロップしてるの!?
「私は装備できない鉄鎧系か、ハズレだな。」
「わたしは革の胸当てに青銅の剣をゲットね〜。でもどっちもいらないし、欲しいならあげるよ〜?」
「こっちは剣をそのままドロップしましたね。それ以外は何も……。お姉ちゃんはどうでした?」
「え、あ、わた、しは……あははは」
「……もしかして、あの大剣。」
ぎくっ
ねねに指摘され肩がはねる。
「おー、まじか、いいね。それ金になるぞー。欲しいやつに売ればかなり高くなるし、鍛冶で強化もできるからな。」
「いや、私は使わないけど……というかあの人たちの持ち物使いたくないし……」
「まあそうですよね……私もこの剣売っちゃうつもりですし。」
「まあそうよね〜。とりあえず戻って売って装備を整えましょうか〜?」
恋の言葉に全員でうなづき、街へと戻る。その間にほかのドロップも教え、ねねに羨ましがられ、コーデリアにすごいと褒められ、恋がそれを見てくすくす笑う、という感じになった。
出鼻はくじかれたけど、戦闘が終わってみれば、怒りも薄れ、戦いの興奮が思い出され、胸が高鳴る。
対人戦で、怖いながらも戦い、勝利する。予想とちょっと違う冒険の始まりだけど、魔法も使え、満足していた。
ふと思い出した。創造したアンデットたちはどうなったのか。周りを見て……見つけた。
真後ろに、まるで背後霊のように動くの3体の死霊。
「え、ちょ、き、消えないの!?」
流石に驚き、声に出してしまう。
「ん?あ、気づいてなかったの?気づいてそのままなのかと思ってた。消せないのそれ?」
「お姉ちゃんはおっちょこちょいですね……邪魔ならいっそ経験値に……」
「いや、レベル5以上のやつのステータスをレベル1以下にする死霊だ、下手に攻撃すると返り討ちじゃね?」
「えっと〜、召喚時の呪文項目とかに消し方とか書いてない〜?」
そう言われ急いで確認する。見れば、憑依、または送還が選べるらしい。送還だと、素材を回収でき、憑依だと、自分以外に見えなくなり、自身のステータスの底上げをしてくれるらしい。
とりあえず送還を選択し、レッサーレイス、レッサーゴーストを一体ずつ素材に戻す。
が、何も残らない。
いや、よく見ると劣化mpポーションが減っている。
つまり、劣化mpポーションを使用して創造していたらしい。結構素材重いな……
残る一体はどうするか悩むが、劣化とはいえmpポーションはもったいないので送還する。mpポーションも元の数になり、ようやく準備を終え、始まりの街へと戻っていくのであった。
Playername《Kokage》性別 ♀ 種族 マミー 職業《縛霊術師》種族Lv5 職業レベル3
HP (ヒットポイント) 182(+32) [214]
MP (マジックポイント) 150(+30) [180]
SP (スタミナ) 82(+12) [94]
STR (筋力) 65(+12) [77]
VIT (生命力) 100(+20) [120]
SIZ (体格) 17 [17]
DEX (器用さ) 50(+8)(+6) [64]
AGI (速力) 55(+8) [63]
REA (反応速度) 45(+8) [53]
INT (知力) 80(+4)(+9) [93]
MND (精神力) 70(+8)(+9) [87]
CON (集中力) 55(+4)(+6) [65]
SEN (五感)
·視覚 40(+4) [44]
·聴覚 35(+4) [39]
·嗅覚 25(+4) [29]
·味覚 40(+4) [44]
·触覚 40(+8) [48]
APP (魅力値) 60(+4)(-3) [61]
LUC (幸運) 10(+2) [12]
KAR (カルマ値) -50(-8)(-6) [-64](MAX500〜-500)
ATK 7
DEF 13
MATK 9 (MP消費5の場合)
MDEF 15
CRI 7%
・職業スキル
《死霊使役》Lv2《死霊召喚》Lv2《死霊創造》Lv2
《死霊強化》Lv2《屍操作術》Lv2《杖適性》Lv2
·種族バッドスキル
《火属性弱点》Lv3《光属性弱点》Lv10《斬撃被ダメージ増加》Lv2
《回復魔法ダメージ化》Lv5
《神聖域内常時ステータス大低下》Lv50(MAX)
《屍人》Lv3《死霊》Lv2《印象値低下》Lv2《飢餓状態》Lv2
《渇水状態》Lv2
·種族グッドスキル
《乾燥ダメージ無効》Lv1《水属性耐性》Lv1《夜目》Lv5《乾燥域内ステータス微上昇》Lv2《日光下行動可能》Lv10(MAX)《呼吸不要》《睡眠不要》《精神攻撃耐性》Lv3《痛覚鈍化》Lv3《生命感知》Lv2
・初期選択スキル
《闇魔法適性》《土魔法適性》Lv2
《引っ掻き》Lv2《噛み付き》Lv1《吸収回復》Lv2《呪い》Lv2
《杖術》Lv2《毒爪》Lv1《布装備作成》Lv1《木工》Lv1《眷属化》Lv1《気配遮断》Lv1《瘴気》Lv1《乾燥》Lv1
・習得魔法
·最下級土魔法 《ストーンバレット》《サンドダスト》
NEW 《ストーンボム》消費MP10
石の礫を爆発させる。爆発範囲は半径1m石との距離は25mまで。
NEW 《サンドウォール》消費MP8
砂で壁を作る。耐久値は5。発動範囲は10m以内。
·最下級闇魔法 《ダークショット》《ブラックミスト》
・装備
·weapon 無骨な木の杖 ATK+4
·protection 粗末な布、ボロの包帯 def+2,+1
・習得アーツ、魔法
《死霊操作·攻》《死霊操作·防》《サモニング·レイス》《レッサー·アンデットクリエイト》《屍操作·動》《杖術·払い》《杖術·振り下ろし》《眷属化·極低》
NEW 創造可能mob【レッサーワイト】消費MP20
取得スキルポイント 11