闘技大会 VSディアブルフォートレス
決着です。
と、とりあえず、これで1人は倒しました。この流れであとの3人も……と、思いましたが、お互いに補助魔法を掛け合って防御を高めていますね……やりにくいです。
「準備はいいわよ!」「反撃だ!」「リリアの仇!」
後衛メンバーが杖や本を構えてどんどん魔法を放ってきます。
「《ウォーターシールド》!」
「《ロックウォール》〜」
こちらもねね先輩とすかさず防御魔法をかけますが、魔法職である三人の実力に抜けられます!
「く、ぐ!闇混じりですか!結構痛いですね!」
まあ生命力高めに振ってるのでダメージは見た目ほどありません。何より……
「《ヒール》!」
「《ヒール》〜」
「む、回復役いたのか!」「影薄くてわからなかったわ!」
「ひ、ひどい……!」
ガーンとショックを受けたような表情で項垂れているブレアさん。いや、あの、エンチャントとかかけてください!ブレアさんは影薄くなんかないので!
「はいはい〜、ブレアっちはどんどんバフかけてね〜。大丈夫大丈夫、ブレアっちちゃんと役に立ってるから〜」
「ほ、ほんとに?」
「うん、というか、まじでかけてあげてみんなきつそう!」
「あわわ!《エンチャント・ディフェンス》!《エンチャント・マインド》!」
「ありがとうございます!」
よし、ダメージが減りましたね!それでも相手の方が手数が多いのが厄介ですね。それに闇が結構ダメージを受けます。弱点属性なので仕方ないですが。
「近づけさせちゃダメよ!可愛い顔してとんでもないパワーよ!」「わかってるさ!というか、鞭の方に注意しろ!鞭なのになんつう威力だよ!」
「か、可愛いだなんてそんな……」
嬉しい事言ってくれます。あの人を倒すのは最後にしましょう。
「まあ、コツがあるんだよ〜コツが〜。あとはステータスとスキルだね〜。あと照れてる場合じゃないよ〜」
コツで人の首が飛ぶのでしょうか……謎です……
「《ヒール》!ええっと、《エンチャント・アタック》!わわ、あのふたりもダメージが!《ハイ・ヒール》!」
ブレアさんは大変ですね。まあ、それが回復役の運命ですね。おまけにバフまでですし。
ねね先輩とホーネットさんは……うーん、抑えられているというより、纏わりついて邪魔してるって感じですね。というかホーネットさんが絶妙にいやらしいタイミングでパイルバンカーを打ち込んでます。それも膝に。
あ、カックンってなりました。ちなみに三回目です。
「こん、のぉ!邪魔よ羽虫に駄犬!」
「「誰が!」」
「羽虫や!」「駄犬だ!」
ねね先輩は魔法を使い手数で。ホーネットさんはタイミングよく邪魔をする。すごいコンビネーションです。
最もダメージらしいダメージは入っていないようですが。
「っ……いい加減に……」
「やばい、距離とれ!」
「あいよ!」
「しろぉおおお!」
ブゥンッ
日傘を思いっきり振り切るビヨンデッタさん。スピードではねね先輩とホーネットさんが勝っているらしく攻撃は当たっていません。しかし、逆に言えば一発でも当たると紙装甲の先輩はアウトですし、ホーネットさんも無事じゃすまないでしょう。
っと、そんな事考えてたらビヨンデッタさんが突っ込んできました!
「とりあえず、羽虫と駄犬より、そこの蜥蜴をどうにかしないとね。よくも可愛いリリアを……!」
ああ、仲間がやられて怒っていたのですね。でも怒る相手違くないですか?ねね先輩が首チョンパしたんですよ?
「それとあんた失礼な事考えてたでしょうがああああああああ!」
「やはり読心術!?」
「やああっぱりかああああああ!」
なんということでしょう。エスパーは実在したようです。あとすっごく怖いです!
「残念だけど〜、行かせないよ〜!《ロックウォール》!」
先輩が岩の壁をはります。後ろからねね先輩たちも向かっていますしこれで
「邪魔よ!」
ボゴォッ!
「なっ!」
傘の一振りで壁が砕けました!なんという攻撃力……!私よりSTR値が上ですよ絶対!
「もう!相変わらずの脳筋っぷりだね〜!」
「はあああ!」
マズイです。盾がないです。投げたので当然です。
「食らいなさい!《パワークラッシュ》!」
上段から振り下ろされる傘。
あ、これ、当たる……
「だめ!光の精霊よ!コーデリアさんを守って!」
「遅い!」
瞬間
とてつもない衝撃に顔面から倒れ、あまりの勢いに若干弾み、そのまま倒れ伏してしまいました。
「がっ!?」
痛い
痛い痛い
いや尋常じゃなく痛い!
息できない
というか立てない
これ死ぬ
死にます
というか痛覚軽減仕事してないじゃないですか設定どうなってるんですか
というか気絶もできてないって気絶耐性仕事しなくていいんですよ痛い
「トドメ!」
「させないって」「言ってるよ!」
「ちぃ!」
「こっちも援護するのよ!」「倒れてるあの子を狙え!《ダークボール》!」「言われなくても!《ファイア・アロー》!」
動ける
いや痛くて動けない
状態異常ですねこれ
全身打撲に骨折?それも状態異常カウントなんですね
HP高いから生きてますけど……全身打撲のせいで防御力とか諸々下がってますね
骨折に至っては限定的にそこが弱点ポイントだったりするっぽいです。
HP残り13って
「くっ!防御魔法じゃダメ!こひこひも防御に!」
「ああもう、ねねっち、びよっちを……あぐぅっ!」
「邪魔よ!早くそいつにトドメを!」
「くそ、精霊魔法か!邪魔だ!」「闇中心で行きなさい!弱点っぽいわ!」
「ば、バレてる!」
「ブレア今自分でばらしたぞ!」
「ああ!」
どうやらブレアさんが頑張ってくれてるようです。
いい加減、動かないとですね
《騎士道精神》の効果で、若干ですが、状態異常が緩和されてますね。
「……ぉ、ぉお、おおおお……げほっ……」
《鼓舞》を使って自己バフです。若干ですが防御や攻撃力が上がります。もちろん、味方全員が対象です。
「ぐ、あ、あああ……《グラアアアアアアア!》」
「っ!?」「まさか!」
「おいおい、立つのかよ……」
なんでねね先輩が呆れ顔なんですか。せっかく気力を振り絞って立ったのに。
「根性あるわね。まあ、もうおしまいだけど!」
あ、こい先輩抜かれていたんでした。
これ、また当たるんでしょうか?
痛そう、ですね。
死亡すれば痛みはないんでしょうか?
……
いや、死亡したくないですね。
私みなさんの盾ですし。
「……」
かちっ
あれ、なんか、変な音が
「……っぐ、あ、ぐがあああああああ!!!!!」
「きゃあ!?」
「え、うわぁ!?」
「な!ブレア!くっそ、なんだありゃ!」
「くっ、最初の《咆哮》?びっくりしたけど、それだけね。まあ、根性は認めてあげるわ。それじゃげぶぁっ!?」
あ、命中しました。というか、え、なんですかこれ?体が勝手に動きますね。
ステータスは……え、暴走状態!?
《グルアアアアアアアアアア!》
いやいや、グルアアじゃないですよ私!
というか待った待った!それはブレアさんで
ばしぃっ
ああ!ブレアさん!
「ぐ、あああっ!」
よ、よかった、死亡ではないようです。し、しかし、これは……
む!?す、ステータスがおかしいです!数値が全部2倍に……いや、STR値とかは3倍に!?なんですかこれ!?
む、スキル欄がおかしいです。全部赤色で使用不可に……あ!
げ、《逆鱗》だけが使用状態に……これの、これのせいですか!
って、今度は攻撃していた後衛の3人に……って、流石にそのまま突っ込んでは……って、防御力も3倍なんでした……
「う、うわああ!」「な、何よこれ!」「ぼ、暴走か?いやそれにしても……と、とにかく攻撃しろ!あと防御だ!固めれば行けるはずだ!」
いや、うーん、私の攻撃力の3倍ですからね。その上で槍も持ってますからね。打撃武器になってますけど。
「「《ロックウォール》!」」「《シャドーシールド》!」
盾系三枚重ね!流石にこれは……
バゴッ!バリィィン!
おぉ……岩の壁1枚と闇の盾が砕けましたね……我ながら怖いくらいの威力ですね……
というかこれいつまで続くんでしょうか……
「は、はは!い、岩壁はり続けろ!リックは攻撃だ!」「はい!《ロックウォール》!」「くらえ《ダークボール》!」
むむ、防御は岩壁で十分と思われましたか。いや、実際十分ですね。一気に全部は砕けないっぽいですし。
しかし闇属性攻撃ですか……流石に痛いですね。いや、痛み感じてないですけど。ただ全回復した上に3倍になったHPがゴリゴリ削れていきます。このまま受け続ければサックリ逝っちゃいますよ。
ピタッ
ん……?動きが止まった……?
スゥゥゥゥゥゥ……
息を大きくすって……?
グォアアアッ!!
え、これって!
「「ぶ、ブレス!?」」「ですって!?ぎゃああああ!」「ぐぁああああっ!」
……いやまあ、龍人ですし、できなくはないんでしょうけど……これって逆鱗状態だからできる感じですよね……なんか人間離れしちゃってますね。実際龍人なんで人ではないんですが……
「な、なんて攻撃力よ!」「ああ、くそ!壁が!」「ぐ、あ、ヤバっ……HPが……ぐはあ!?」
っと、瀕死の人を蹴り殺してしまいました……
……これ、私かんっぜんに悪役ですよね……
うーん、マジでいつまで続くんですかね?あ、残り時間30秒って書いてありますね。うーん、ここまで来たら残りの二人も倒しちゃってほしいですね。
頑張ってください私!
「く、《ロックうぉ》っ!?あああっ!」
しかし、私足癖悪くないですか……?また蹴り倒しましたよ。あ、槍で殴って止めですか。
ドラマとかのチンピラっぽいですね。
最後の1人は……
「ぐ、あ、うぉおおおおおお!」
おっと、突っ込んできました!これあれですよね。自爆とかですよね!
「くらえ!《フレイムバースト》!」
一瞬で炎がはじけ、火に包まれます。
「グォオオオオオオオ!」
私が雄叫びをあげ、相手を引き剥がして……あ、そのまま地面に投げつけました。まだ死亡ではないみたいですね。
っと、こっちはもう限界みたいですね。
《逆鱗》による暴走が解けて……ああ、HPが残り1に!おまけにSPもMPもすっからかんです!しかも気絶だとかいろんな状態異常まで!これもう無理です詰んでますって!
「は、はは、と、トドメ、だ……《フレイムショット》……」
っ!ま、まさか、まだ魔法が……あっ
そして、初めて私は死亡したのでした。
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side【ドレッド】
……は?
いや、なんだよそりゃ
お、おかしいだろ!なんだってんだ今のは!ぶ、ブレスだと!?
竜人でも使えねぇのを、なんであんな小娘が!?
……
こ、個人戦……ヤベェ、か……?
い、いや、所詮は雑魚だ。あの状態になる前にたおしゃあいいんだよ!
そうだ、おう、それで勝てる……かて、る……
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side【ねねねね!】
コーデリアが暴走?した結果、とりあえずはこっちが有利にはなった。なったんだが……
「よくも……よくも私の仲間を!」
うっわー、切れてるよ……ビヨは仲間意識強いからなぁ……面倒臭いんだよなぁ……仲良くなれば途端に甘くはなるんだけど。
しかしこりゃチャンスだ。コーデリアはやられたが四対一だ。ブレアは回復だから攻撃には回せないが……十分だ。
「こひこひ!本気で行くぞ!ホーネット!お前も合わせろよ!ブレアは補助を!あとお前大丈夫か!ダメージやべーだろ!」
「はいは〜い!大技連発いっくよ〜!」
「しゃあないな!ウチも大技行ったろやないかい!」
「だ、大丈夫、だよ、うん。ちょっとびっくりしただけだから。補助だね!任せて!」
よし、コーデリアにやられたのは引きずってないな。あれで怖がって動けないとかはやばい。まあ、このあとどうかまではわかんねーけど!
「舐めないでくれる駄犬。四対一でも私の方が強いわよ?」
「別に舐めてねーよ。つーか、駄犬駄犬うっせぇ。ぶった斬るぞ。」
「やってみなさいよ。その姿と武器じゃ私に傷すらつけれないわよ?」
「ほなウチのはどやろか?」
「くっ!あなたのはインパクトにさえ気をつければ……!」
「隙あり〜!《鞭技・残打》、それから《グラストラップ》!」
「くっ!速い一撃、だけど軽いわよ、こい!ってうわっ!」
「ナイスだこい!《デュアル・ファング・エッジ》!」
「チャージ中やから待ってなー。ブレアちゃん、エンチャント頼むわ!アタックで!」
「うん!《エンチャント・アタック》!」
こいがいるし、手数では勝ってる……あとは攻撃力!ホーネットの一撃にかけるしかない!
「ええい、何かしようとしてるわね!させるわけないでしょう!《リバース・ディフェンス》!」
「なにっ!」
急にスピードが上がった!?って、まずい!ホーネットが……!
「ぬぉぉお!こっちくんな!」
「うるさい羽虫!《リバース・スピード》!やああああ!」
「ちぃ!ちぃと足らんやろけど!《フルバースト》《爆裂拳》!」
傘の振り下ろしとごっついガントレットがぶつかり合う。
べご、べきべき!ガゴン!ブシュ、バシューッ!
傘が折れ、吹き飛ばされ、ガントレットの装甲が砕け、へこみ、しかし仕込まれていた鉄杭はその機構通りに飛び出している。
結果はー
「……げふぅっ……く、ぐ、ミスったわ……《リバース》が、あだに……」
「くっそ、ああ、いってぇええ!腕、これ腕逝った!力入らんし!状態異常骨折とか言うてるし!しかも装甲ベッコベコやん!ああ、これたっかいのに!」
「ふ、ふふ……お、みご……」
どさり
「や、やった……?」
「……うーん、まだ、HPは残ってるっぽいね〜」
「……よし、とどめ、刺すか。ホーネット、行くか?」
「無理。腕折れてんねんで!」
「だよなぁ!じゃあ、まあ、私じゃダメージ入んないし、こいやっちゃって。」
「あ、うん。《鞭技・首打》!」
ばしぃっ
そして
『勝負あり!勝者、深緑の群狼!』
犠牲を出しつつ、なんとか勝ちを拾えた。
「おめでとうございます!って、あ、あの、そんなに怯えないでください。吠えませんから。蹴りませんから!」
「ほ、ほんとに?ほんとに蹴らない?か、噛み付いたりしない?」
「しないですって!アレ暴走してたからですから!」
「うぅ……怖かった……」
「くぅっ……心が痛いです……!」
「あー、まああれは怖かったな。」
「せやねぇ。急に吠えるわ味方は蹴るわで。」
「うぐぅ……それに関しては、ほんとすいませんでした……」
「まあまあ、蹴っちゃったのはごめんなさいしたし、試合には勝ったからね〜。それに、戦果でいえば今回はコーデリアっちが一番稼いだわけだしね〜」
「いえ、暴走してましたし、それに一番の強敵はホーネットさんが倒したじゃないですか。」
「ほとんど偶然やけどねぇ。」
今は全員揃っての反省会中。獣人連盟と食材発掘同好会が戦ってる最中だ。
それが終われば次は槍の連中との試合が待ってるけど。
とりあえずの反省点……というかなんというか……
「コーデリアが今回はインパクトありすぎたからなぁ。」
「うぅ……」
そう、コーデリアが見せた暴走。そしてブレス。これが今掲示板で話題なのである。
というのも、β時代には使える奴はいなかったし、竜人連中はそもそもがブレスの習得は相当レベルが上がらないと習得できないとNPCたちから聞いているからだ。
それをレベル30前のプレイヤーが使ったからもう騒然。キャラクリし直すなんて言ってる奴までいる始末。
ま、作り直したところでレア種族引くまでやり直ししなきゃだから心折れるかもな。
で、まあ、反省会とは名ばかりのコーデリアとその被害者ブレアの仲直り会はどうにか仲直り成功で収まったらしい。
「ほんと、本っ当にごめんなさい……」
「う、うん、もう、もう大丈夫だよ。わたしも怖がりすぎちゃってごめんね?」
いやしかし、本っ当に怖かったなあれは。目付きが獣のそれだった。暗黒面のこひとは違った、近寄ったら食われるって感じの荒々しい怖さだった。
コーデリアは怒らせないようにしよう。うん。
「まあ、とりあえず……あと2回だ。」
「だね〜」
一番の脅威は倒した。残る二試合も勝てば、予選は確実に突破できる。
「まあ、頑張るしかないか!」
誤字脱字等ございましたらご報告お願い致します。
また感想などもお待ちしております。宜しくお願い致します!