闘技大会 午後の部
長いこと更新が止まって申し訳ありません。
現在誠意執筆中です。今月中にイベント消費でこるよう頑張ります!
ジオさんと別れ、集合場所へ向かいます。道中気になる露店なんかがいくつもありましたが我慢です。
あ、先輩達もういますね。
「すいません、遅くなりました。」
「いや、まだ時間になってないから。ウチらはここで飯食ってたし。」
「それは勿体ないですね。面白い露店がいっぱいでしたよ。」
「興味が無いわけじゃないんだけどな。ぜってー悪ノリしたような装備とかあるだろうし。」
「あるやろなぁ。ま、ウチの装備ほど浪漫溢れる武器はないやろうけどな!」
ドヤ顔で自慢のパイルバンカーを掲げるホーネットさん。実際、このクラスの浪漫武器は私の見た範囲にはありませんでした。
「ま、そのへんは、闘技大会に出てる間は基本は参加出来ないかな?」
「せやなぁ。まあ、ウチは飲み食いできればそれで満足やし。」
「お前は食いすぎだっつぅの。」
「ゲームん中でくらいめいっぱい食いたいやんか。」
「そうですよね。甘いものとかいっっっっっっぱい食べたいですよね!」
私も思わず同意してしまいます。ゲームの中ではカロリーを気にしなくていいのです。なんと素晴らしいことでしょうか!
「……そういえば、コーデリアは太りやすい体質だったなぁ……」
「ふぐぅっ!?」
「ああ!コーデリアちゃんが言葉のナイフに吹っ飛ばされた!」
あまりの言葉の切れ味と威力に思わず後ろに倒れてしまいました。
酷い先輩です。
「うぅぅぅ……だいたいずるいんですよ……ねね先輩はどんだけ食べても可愛らしいままですしこい先輩はすべて胸と身長に行きますし……お姉ちゃんは異常なほど太らないですし……」
「こひとコカゲと一緒にすんな。ありゃ異常だ。コカゲは特にだ。なんでケーキワンホール食ってケロッとしてるんだ……」
「ウチには無理やそんな自殺行為……一気にお腹周りが……」
「ホーネットさんもですか……?」
「ああそうや……ウチら、頑張ろう。な?」
「はい、ホーネットさん……お互い、頑張りましょう……!」
その日、私は改めて敵を確認し、また同時に新たな仲間を手に入れたのでした。
『あー、あー……テステス……よし、今度は私が進行しますからね?次は殴らないでくださいよ?』
『状況によるな。』
『それよりマイク入ったままですからね?とっとと始めてくださいな。』
『ぐぬぬ』
実際にぐぬぬなんて言う人いるんですね。
『はぁ……全く、成長しすぎですよ……ま、とりあえずは気を取り直して……えー、皆様、長らくお待たせ致しましたぁ!これより大闘技大会午後の部、個人戦の、始まり、っでーーーーすっ!』
ウォオオオオ
一気に会場が沸きます。しかし、あの運営の人……マスタニさん?でしたっけ。キャラが変わりすぎでは……殴られたとか言ってましたが……
『まあ説明は事前にまとめて行っているので今からするのは再確認なんですけどね!』
『あとは個人戦参加者のブロック分けだね。八ブロックあるからサクサク行くよー!』
『ではルールのおさらいをバンワースくん、やってくれたま……あ、いえ、ごめんなさい、バンワースさんお願いします。』
無言で構えていた拳を解くバンワースさん。さすがの気迫ですね。こっちまでビリビリときます。
『ふん……ルールのおさらいと言っても説明してあるから皆理解していると思う。ま、それでもしなければいけないらしいからさせてもらう。ルールは単純。個人の持つ全てを出し切り戦う。これだけだ。』
『補足するなら制限時間が一時間で回復アイテムが団体戦の時と同じ数ってとこかな?召喚創造もOKだよ!』
『ありがとうございます2人とも!ではでは、いよいよ運命のブロック分けですね!』
『はいはーい!みんなは上のモニターっぽいものにちゅうもーく!時間もちょこーっと押してるしどんどん行くよ!じゃあバンワースくん、振り分けを読み上げちゃって!』
『……はぁ……あーでは、Aブロックからだ!』
バンワースさん、お疲れ様です。
『……飛翔する蟹。以上八名がAブロックだ。続いてBブロック!コーデリア。ドレッド。リーアム。ヨルク・エシケー。……』
むむ……私はBブロックですか。しかも初戦……相手は……んー?何か、名前に見覚えが……はて……?まあ、気のせいでしょう。しかし、ヨルクさんもいるんですね。あの人、かなりお強いはずですし……勝つことが出来れば、戦うことになるかもですね。もちろん、負ける気はありませんけど。
『……以上八名がCブロックだ!続いてDブロック!くりす。ねねねね!。レイモンド。ブリオ。ロゼッタ。リャン。ホーネット。白い悪魔。以上八名がDブロックだ。』
「おっと、まさかのだなぁ。」
「そうやねぇ。」
なんと、ねね先輩とホーネットさんが同じブロックになってしまいました。
まあ、仕方が無いとはいえ、少し残念ですね。バラけた方が予選突破の確率が上がるんですけど。
『最後にHブロックだ。ナオキ。シュガー。ニョルニル。こひこひ。アドラー。MASAMUNE。ペペロンチーノ。モーニング☆ミスト。以上八名がHブロック。そして、モニターにも出ているように、呼ばれた順にトーナメント表に名前が載っている。』
『つまり、呼ばれた順で試合があるってことだよ!』
『さて、我々の役目はここで終わりました!さあ、主役であるみなさん!戦いの準備をお願いします!』
こい先輩は最終ブロックでした。ふーむ、うまい具合に分かれたので、誰かしら本戦には進めるんじゃないでしょうか?
もっとも、こい先輩は心配の必要すらないでしょうが。
私の相手であるドレッドですが、ねね先輩が思い出してくれました。お姉ちゃんを傷つけたあのふざけたβテスターです。
「……直に手を下すチャンスですね。」
私は降って湧いたチャンスにぎゅっと手を握ったのでした。
「ふーむ。最初のブロックには誰もいねーか……んじゃ、今日はもうほとんど自由行動かな。」
「だね〜。まあ、見てたいなら見ててもいいんだろうけどね〜。色々参考にもなるし〜、手の内も見れるし〜。」
「ウチはパスやなぁ。宿戻って寝てるわ。出番来るまで暇んなったし。まあ、午前中には団体戦があるけど。」
「う、うん、わたしは参加してないけど、ちゃんと応援してるよ!もちろん、団体戦ではわたしも頑張るよ!」
ふんす!と鼻息も荒くブレアさんが言います。可愛いです。
「私は……そうですね、少し知り合いに会いに行きます。」
ジオさんに鍛冶を教わりたいのです。割と楽しみだったりしています。
「ん、りょーかい。んじゃあ、自由行動で。あ、コーデリアは時間とか気を配っておけよ?もしかしたらBブロックの試合が回ってくる可能性もあるし。」
む、そうでした。私の試合順はそれなりに早い方でした。
「はい、わかりました。程々にします。」
そして私達は一度解散したのでした。
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side【ドレッド】
くくっ……
ついに、ついにきたぜ……!
復讐の第一歩がよぉ!
思えばあいつらに出会ってから、俺のゲーム内での活動は踏んだり蹴ったりだ。
装備の中でも序盤じゃ最強クラスの剣を奪われるし。
仲間はびびったり晒されるのを怖がって逃げ出す始末。
生産やってる連中からはいい顔されねーし買取も足元見るやつまでいやがる。
NPCどもも態度が悪ぃ。プレイヤー様をなんだと思ってんだ。
ようやく装備整えて街を出ればガキに殺されるし金はなくなる。
ああくっそ……思い出したら余計に腹が立ってきたぜ……!
だが、このムカつきを、この怒りを!
ようやく!
ぶつけられる!
こいつで、あのメスドラゴンをぶっ殺してやる!
「おい、お前!」
「あ"ぁ"っ"!?」
「街中で剣を抜いてニヤついて……怪しいな。ちょっと詰所まで来てもらおうか!」
「はっ?あ、ヤバっ」
その日、掲示板に騎士に連行されるプレイヤーの姿が載せられたのであった……
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さて、結局Aブロックの試合がそこそこ長引いたので私の番が回ってくることはありませんでした。
おかげで《鍛冶》のレベルが3になったので全然いいのですが。
これで簡単になら耐久値も回復させられます。森に入る前のような失敗はなくなりました。
っとと、そろそろ時間ですね。イベント二日目……正確には初日なんですが、私達からすると既に睡眠も挟んでいるため二日目なんですよね。現実だと数時間も経っていないというんですから驚きです。
「お待たせしました。」
「お、おはよ。気合十分って感じだな。」
「はい!」
鍛冶が思った以上に楽しかったのです。そのおかげかテンションが自分でもわかるくらい高いです。
「ふぁあ……おはよ〜ねねっち、コーデリアっち。」
「あ、おはようございます。」
「おう、おはよう。ったく、シャキッとしろよ。」
「あう、たーたーくーなー……」
「さっさと起きろ。まあまだ時間はあるけどさ……」
寝ぼけているこい先輩、すごい注目されています。というかねね先輩胸を叩いてはダメです。周りの、特に男性の視線が!
私は二人の前に立って視線から守ります。
「は、はぁっ……はぁっ……セ、セーフ……」
「あ、おはようございます。大丈夫ですよ、まだ時間前です。」
「よ、よかったぁ……」
ブレアさんも朝が弱いのでしょうか?しかし、この人もなんというか脇が甘いというか……とりあえずブレアさんも私の後ろに隠します。
「あとはホーネットだけか。大丈夫かね?」
「流石に大丈夫だと思いますが……コールかメールでもしておきますか?」
「……んー、そうだな。メールだけ送っておいてくれ。」
「わかりました。」
起きてくださーい、とメールを送ります。ダメだったらコールしてみればいいでしょう。
っと、どうやら必要なかったようです。
「おっはー、んむ?メール?あぁ、信用ないなぁ。ウチかて流石にこない大事な時に遅刻なんてせえへんよ〜」
「あはは、すいません。」
「しょうがないだろう?お前結構いい加減じゃん。」
「いやいや、これでもリアルで時間厳守なんやで?信用してくれてもええやんか。なあコーデリアちゅわぁん」
「きゃっ!い、いきなり抱きつかないでくださいよ。」
「ええやんか減るもんやなし。あー、でも、かったい……鎧かったい……女の子の柔らかさがない……」
「何言ってるんですか!というか、視線が、周りの視線が〜!」
「ゼェゼェ……」
「うぅ……ガチで殴らんでもええやんかぁ……ちょこーっとやりすぎただけやん……」
「なんというか触り方とかに危機感を覚えて……その、すいません。」
「うぐぐ、今度からもうちょっとスキンシップを……」
「ほう、じゃあ私ともスキンシップしようか……?」
「え、何、自分そっちなん?え、うちノーマルやから流石にちょっと……」
「虫は願い下げだゴラァ!」
「な、虫やと!失礼やろ!ウチは人蟲や!虫と一緒にすなぁ!」
ああ、朝からとっても元気です……
しかしこのままだとガチになりそうですね……
「ふ、二人共!け、喧嘩はダメだ、よ……?」
「「……」」
……勇気を出して注意をしたまではいいけど途中で怖くなって涙目になって言葉が尻すぼみになっていく……なんでしょうか、この可愛い生き物は。
「うん、うん、大丈夫やでー、じゃれとっただけやから。ほら、泣かんでええんよ?な?」
「大丈夫だから泣くな。ほら、会場行こう、そこで作戦会議しよう。」
あの2人が骨抜きになっていますね……ん?な、あ、あれは……
ニヤリ
は、背後で、ブレアさんの背後でこい先輩が笑っている……!暗黒面……暗黒面が見えている……!
ま、まさか、ブレアさんのあの涙は偽物……?
ど、どうしましょう……ここに二人目の暗黒面を持つ女性が……!
なんてことをやっているうちに時間が迫ってきました。今日の相手は先輩方曰くβトップランカーの実力者率いるパーティ、ディアブルフォートレスです。
実際試合は凄かったです。私が五人いたって勝てそうにないです。
でも、勝ちます。勝たなければ本戦にすら行けないでしょう。
先輩方がピリピリしているのが見て取れます。かく言う私も緊張しています。
ブレアさんに至っては割と本気で震えています。その隣のホーネットさんは欠伸してますけど。
あの図太さは見習いたいですね。
『さあ、時間になったね!どんどん行こうか!参加者のみんなは早速試合を始めちゃおう!』
クートくんの軽い宣言とともに会場に降ります。
あれが、ビヨンデッタさんですか……
あれは確かに驚異的です。びっくりするぐらいのなだらかさです。たしかにあれは硬いでしょう。人並み以下のお姉ちゃん以上の絶壁ぶりです。
ギンッ
っ!?
す、すっごい睨まれました!ま、まさか心を読まれた……!?い、いや、そんなはずありません。そんなはずは……無いですよね?
「おいコーデリア……なんかビヨがすっごい睨んでるんだが……いや、こいも睨まれてるけど……なんかしたのかお前……?」
「いえ、初対面ですけど……しかし、硬い、とは正しくですね。お姉ちゃん以上とは驚異的ですね。」
「…………………………………………ああ、うん、コーデリア。ビヨンデッタに狙われるわこりゃ……」
先輩が何か言いますがあまりの迫力と無乳っぷりに慄いている私には聞き取れませんでした。
盾を手に取り位置につきます。今回はオフェンス重視ということで、ブレアさん以外が突撃の姿勢という偏った陣形です。
じゃあ何故盾を持っているか、というのは、まあ、なんだかんだ一番レベルが高いからなんですよね。もちろん、メインは槍ですけど。
対するディアブルフォートレスの皆さんですが……前回同様、ビヨンデッタさん以外が後方に固まっています。
今回もビヨンデッタさん一人で決めるつもり……なんですかね?
それは、なんとも……むかつきますね。
『それでは試合……開始!』
審判の言葉と同時に叫びます!
「グルゥァアアアアア!」
スキル《咆哮》はスタン効果があるスキル。しかし、相手は格上。後方の4人もスタンした様子がありません。
まあ、想像通りです。が、やっぱり厳しい戦いになりそうです。
「ふんっ……《ハーデン》《ハーデンガーダー》《はいぷろ……》おっと!」
「流石に強化終わるまでまたねーよ!」
「相変わらずの様子ね。もっとも、サイズはだいぶ縮んだようですけど。」
「うるせぇ!《スラッシュ》!」
「効きませんわ!……っ!?」
ガゴン!プシューッ!
「ウチのは効いたか?うーん、微妙そうやね。」
「ビヨンデッタ様を援護するわよ!《えんちゃん……》くっ!?」
ベッチィ!
「流石にダメかなぁ〜。《鞭術・首打ち》!」
「うぐ!鞭のくせになんて威力なの!?」
「《ロックアロー》!」
ねね先輩に飛んでいく石の矢に気づき、カバーに入ります。
「守ります!《カバー》!」
ガガガッ
う、結構重い!
「ありがと〜。あ、コーデリアっちも攻めていいよ〜」
「はい!」
私は走り出します。盾の縁を持って。
盾を持ったままではメインの槍が使えないので、どうにかならないか、と思っていたところに、新たなアーツと、スキルの組み合わせを思いつきました。もっとも牽制用の技で威力は全然ありませんけど。
「《スピニングシールド》!」
私は《投擲》を意識しながら盾を投げます。フリスビーの要領で盾が飛んでいきます。
「盾を投げた!?」
意表を突くにはもってこいかもですね。ただ、狙った人物にはなんの痛痒も与えられませんでしたが。
でもいいんです。ようやく槍を振るえるのですから。
「槍使いか……全員防御を固めるわよ!」
後衛4人の代表でしょうか?全員が防御魔法やエンチャントで防御を上げていくのがわかります。
ねね先輩とホーネットさんはビヨンデッタさんを逃がさないと言わんばかりに攻撃してますが、攻撃力不足でダメージが入ってるふうには見えませんね。
まあ私があの輪に加わっても同じでしょうし、まずは後衛の人を叩きましょう。
「ハァァァアアア!」
気合を込めて、叫び、走ります。そして
「《ファイアベーン》!」
「んなっ!?」
火属性中級魔法を放ちます。
「ぐぁああ!」「きゃああ!」「クソッ!やられた!」
ふふん、今回は忘れませんでした。私は学習するのです!
「続けていきますよ!《アクアバレット》!」
「槍で突っ込んできて魔法攻撃とか!」「やってくれるじゃない!」
「前回は緊張で忘れてましたからね!でも今回は!」
水の弾丸を撃ちまくります。もっとも威力は低いので防御を抜けてダメージを与えられてはいないようですけど。
「でもレベルが低いようね!」「それじゃわたし達には届かないわ!」
「でしょうね。」
そんなことはわかっています。
ですので。
「でやああっ!」
ブォオン!ごっ
「がっ!?」「んなっ!?リリア!」
「吹っ飛んでください!」
単純に槍でぶん殴り、そのまま殴り飛ばしました。
「なんつう馬鹿力だ!?」「人が浮いたぞ!」「ああ!まずい!」
ビュォッ!バシッ
「きゃあああああああ!」
「ナイスだよ〜!」
「……」
いや、だからなんで鞭で人の首が飛ぶんですか……?
誤字脱字等ございましたらご報告宜しくお願い致します。
また感想などもお待ちしております!宜しくお願いします!