闘技大会開始! コーデリア視点。
ほぼ説明会です。解りにくいところがあるかもしれませんが雰囲気で流しちゃってください(笑)
今日は皆が待ちに待っているイベント初日です。そう、皆楽しみにしていました。
なのにお姉ちゃん、風邪を引いてしまってログインすらできません。テストも受けてないので1週間くらいはゲームができないんじゃないでしょうか?
せっかくあのギルドの件から1週間、テスト勉強頑張ってたのに……
私もお姉ちゃんに付き合ってテスト勉強していたし、gloもお休みしてたので、おふたりに比べて成長しきれてません。
というかテストそっちのけでゲームしてたのに一切心配してない2人がおかしいんですよ。
「じゃあやっぱりコカゲは来れないのか……」
「はい、テスト勉強に力が入っていてそこそこ遅くまで起きてたので多分そのせいで……」
「あっちゃぁ〜……じゃあ、コカゲっちの分も頑張らないとだね〜」
「わたしも頑張るよ!」
「ま、ウチはぼちぼちで行くよ。とりあえずは闘技大会頑張らんと。」
「そうだな……コカゲがいないおかげ……って言い方もどうかと思うけど、とにかく丁度五人になったからな……団体は目指せ優勝だな。」
「個人戦はちょっと厳しそうですか?」
「うーん、こひこひはともかく、ワタシはきついな。ブレアは参加してないし。コーデリアはレベルがなぁ……1週間のうちに何度か来てくれてたらまだワンチャンあっただろうけど。」
「ウチは参加はするけど、お試しやしなぁー。正直勝てる気せぇへんもん。」
恋先輩はまあ妥当でしょうけど、音子先輩でもきつそうですか……
「まあ大会が始まるまでこっちの世界では三時間弱あるし、とりあえず連携とかの調整しておこうか。」
「はい!」
そういうわけで、久々のオリドヘシトス大森林です。ここはいろんな種類の魔獣がいるので連携を確認するにはもってこいです。ただ、対人戦の訓練には程遠いですけど。
まあ、対人戦と言っても私達は人型で亜人系といってもモンスターよりですから、各々の普段のやり方でどうにかなるんじゃないでしょうか?私は盾で守り、恋先輩が魔法と鞭、ブレアさんが補助、音子先輩が遊撃。ホーネットさんが……って、そう言えば。
「そういえば、ホーネットさんの武器とか、役割ってどんな感じなんですか?」
ホーネットさんがパーティに入ったのは知っていましたけど、一緒に戦ったこともスキル構成なんかも知らないんでした。
「あ、言ってなかったな。ホーネットは遊撃に近い前衛アタッカーだな。まあ、一度戦闘を見ればわかるよ。」
「期待しててやー。」
ニッと悪い笑みを浮かべるホーネットさん。いえ、蟲成分多めの顔なのでそのように見えるってだけなんですけど……
第三の街からちょっとした平原を抜け、オリドヘシトス大森林の表層につき、隊列を組みます。
先頭に音子先輩、続いて私、その後に恋先輩とブレアさん。ホーネットさんはなんと飛ぶことができ、上空から周囲の警戒をしてくれています。
いいですね、私も飛んでみたいです。レベルが上がったら飛べますかね?
しかし、あの装備は一体どうやったら手に入ったんでしょうか……
それから一時間、最終的な調整も終えてゆったりと過ごしていきます。もっとも、周りの参加するであろうプレイヤーの人たちが結構ピリピリしていて落ち着きませんけど。
そうこうしているうちに時間です。遅れないように会場に向かいます。と言っても、受付をしたギルド前なんですけどね。闘技場みたいなのはないんですかね?
と思っていましたが、第三の街のギルドの反対側に闘技場があるそうなのです。多分アップデートで追加されたんでしょう。私達が最初に来た時にはなかったはずですし。
五分前ですけど、ギルド前には沢山の人がいます。数百人と言ったところでしょうか?こうも人が集まると流石に圧迫感があります。
「時間になるな。」「早くしてくれ」「もうそろそろだ」
皆さんやっぱりそわそわしてます。かくいう私も早くして欲しい気持ちでいっぱいです。
「忙しないなぁ、もっとのんびり行こうや」
まあ、一部例外的な人もいますが……
「えー、参加者の皆さんは揃っていますかね?えー、揃っているという前提でお話をさせていただきます!」
あ、ギルドの職員さんがなにか説明を始めました。とたんに静かになるあたり、よほど皆さん集中している様子です。
「これより転移を用いて皆様を会場である闘技場へとお送りしますので、少々窮屈ですが、そのまま皆さん中央へと寄ってください!」
言われるがままに中央へと寄っていく。
「それでは行きます!3、2、1、転移!」
転移の声とともに展開される巨大な魔法陣。その魔法陣がすぐに光りだし、目も開けられないほどに輝き、程なくして
「さあ、皆様着きました!ここが我がサルドの街が誇る大闘技場です!」
という声。
目を開けてみれば、既に沢山の方々観客席についていて、歓声が上がっています。耳を思わず塞いじゃいそうになるくらいの大きさです。
「これから開会式が行われますが、基本的に自由にしていただいて構いません。ただし、闘技場から出ていくのはやめてくださいね。参加者が退出してしまう場合、降参として処理されます!試合開始などは開会式などの諸々が終わったあとですのでもうしばらくお待ちを!」
まだ試合は始まらないんですね。まあ、ルールとか、トーナメント表みたいなのもまだ発表されていませんからね。
『あー、あー、テストテスト……問題ないな。』
お、何やらマイクのようなもので喋っている方がいますね。開会式が始まるんでしょうか?
『んんっ、皆様、この度はgrand life online第一回公式イベントに参加いただき、誠にありがとうございます!』
『今回開会宣言、及び大会管理、イベント管理を任されました、管理AIのクート・レンスイと申します!』
『そして俺がバンワース・ゾイだ。』
『そしてこのお2人のまとめ役!glo運営所属増谷と申します!皆様はじめまして!』
なんと、運営の人まで出てきてるんだ。
あ、周りのプレイヤーさんたちが口々に運営への文句を言ってる。というか音子先輩が叫んでる。正直私も文句は言いたい。でも我慢だ。どうせ聞いてくれないってわかってますし。
『あはは、いやぁ元気があっていいですねー!あ、運営への苦情は運営に宛てて送ってください!私はあくまでも関係者ってだけですので!』
『いやまあ、旅人の皆様がこれだけ言うような対応しかできてないわけですしね。そこは我々の上の人間として素直に謝ってくださいよ。』
『だが断る!あいたぁっ!?』
『まったく……これではいつまでたっても始められないので進めさせてもらう。馬鹿は俺が後でもう何発か殴っておくのでこの場は怒りを抑えてくれ。』
バンワースさんの一言でとりあえず静かになる。
『まずは開会宣言だ、今日より旅人方の世界で数え1週間、イベントを開催する!まずは前段階として闘技大会を、開催する!』
ワァァァァアアアア!!!っと、大きな歓声が響く。周りのプレイヤーも雄叫びをあげている人がいる。
『それではルール説明、と行きたいところだが……』
『僕が説明するね!まずはルールの前に、掲示板でも話題になってる特別サーバーの説明をするよ!』
クートくんが元気よくそう叫ぶ。
『旅人のみんなの世界の時間で午後1時から午後7時まで、計6時間限定で、特別サーバーへと一時的に切り替えるよ!そのサーバーでは、通常、一時間で三時間分のところをなんと6倍の18時間に伸ばす!の予定だったんだけど、色々やってたらもっと伸ばすことに成功したんだ!だから今回は1時間でなんと二十四時間分の時間が流れるんだ!』
『つまり6時間で6日間、こちらの世界で過ごすことが出来るわけだ。』
『そしてあと四十分ちょいで説明やらを終わらせないといけないわけだ!あ、参加するって言って遅刻してる人は1時より五分前までに来ないと失格だから気をつけてね!』
『五分前行動は基本だな。』
『さて、特別サーバーの説明は簡単にだけど終わりだよ!あ、特別サーバーではこっちの世界内で寝ればちゃんと脳も睡眠が取れるから心配しないで!』
なんと、1時間で二十四時間も過ごせるんですか!それは嬉しいですね。というか、そう言うのはもっと前から通知が欲しいです。掲示板では何故か情報が流れてたらしいですけど。
『さてさて、特別サーバーについて、もう一点だけ補足しておくと、全フィールドが対応している!つまり外で狩りをしていても一時間二十四時間なわけだ!』
『というか、部分的に時間の流れを変えることが間に合わなかった。』
『おお、ぶっちゃけたねバンワース君!まあそうなんですけどね!』
それは……かなり、参加していないプレイヤーも有利じゃないでしょうか?レベル上げ的な意味で。実際、6日この世界で過ごせばやりようによってはそこそこレベルを挙げられるはずです。
『まあ、気づいてる人もいるだろうからチャチャッというけど、この六時間の間、習得できる経験値は通常の3分の1にまで一時的に落としてあるよ!』
『明日からのイベントで経験値ボーナスがあるからな、それでも6分の1じゃないだけマシだと思ってくれ。初心者を蔑ろにしたい訳では無いが、優遇しすぎてもつまらんからな。』
観客席からは賛否両論の声が上がっているものの、比較的多くはない、ですかね?まあ、極端に差をつけすぎると色々問題でしょうし。
ただまあ、そういうところを気にするくらいなら運営はもっとプレイヤーの声に耳を傾けるべきだとも思いますが。
『さて、サーバーに関しては以上だよ!次は団体戦についてだ!』
『う、うーん、い、いきなり殴るなんて酷いじゃないですか!まったく、私が何をしたって……ごふぅっ!?』
『おっとぉ知らないおじさんが乱入してきたけどもういないから安心してね!さ、気を取り直して団体戦の説明だよ!』
いまクートくんが目にもとまらぬ速さで正確に顎を打ち抜いたように見えましたが……いなくなったのなら気のせいですね。
『まずは、これを見てくれー!』
そう言って指さす先には大きなモニターが。正確には何かの魔法なのか、半透明な板が浮いていて、そこに何かが映し出されています。
『見てくれたらわかると思うけど、五角形が十個並んでいるよね?そう、今回の闘技大会は、みんな平等に戦う機会を儲けようと思うんだ!ということで少々変則的だけど、まずは予選表を作ったよ!』
『五角形はそれぞれブロックのことだな。上列の右から、Aブロック、Bブロックとなっている。本大会はAブロックからJブロックまでの10ブロックで勝ち抜いた十組が本戦に出場できるという形にした。』
『各ブロックで旅人のみんなは1組4回戦うわけだ!最も勝利数が多いパーティが本戦に出られるわけだけど、それだと同数が出て来ちゃう。』
『そこで簡単なポイント制度を設ける。と言っても、観客の中からランダムに選ばれた人にポイント五点満点でその試合の参加パーティを評価してもらう。もちろん試合を行う両パーティを評価してもらう。』
『選ばれるのは10人!つまり最高で50ポイントが入るわけだ!これはあくまでも勝利数が同じになった時に重要視されるポイントだからね、一つのパーティが四勝した時点でそのパーティは本戦出場は決定だ!』
『ポイントでも同値だった場合はそこで再戦してもらうかもしれない。まあ、滅多にないとは思うが……』
『んで、10組が決まったらだけど、改めてトーナメントを組むわけだけど。10組だと、奇数組と奇数組になっちゃうよね。』
『そこで先ほどのポイント制度が活用される。』
『まあ言ってしまえば戦績が同じならポイントの評価で試合回数が決まっちゃうんだ!どうしても数の関係上一試合多く戦わないといけない組が出るんだ!ごめんね!』
まあ、奇数で分かれてしまうならそうなっても仕方がないですね。納得出来ない人もいるでしょうが、仕方が無いですね。
『十組のトーナメント表は全部のブロック代表が決まってから発表するからもうちょっと待ってねー。』
『組み分けまではポイント制度が使われるが、組み分けが終わったらポイントは関係なくなる。また、ポイント制度がなくなる代わりに、闘技場で、ギルド主催のトトカルチョを行う予定だ。』
『じゃんじゃんお金賭けてじゃんじゃん儲けよう!』
トトカルチョ……ふむ、一攫千金のチャンス、ですかね?懐が寒いので少しあやかりたいところではありますね。
『さて、トーナメントの説明の次はルールの説明だよ!』
『と言っても、大したルールではない。まずは基本のルールだが、デスマッチ制度で行う。』
『ライフが全損するまで続くよ!もちろん、メンバー全員のライフが、だよ!』
『また、降参宣言があった場合、宣言した方が敗北だ。』
『まあ当然だよね!』
『次に回復、蘇生だが、アイテムによる回復は可能だが、持ち込みを制限させてもらう。1パーティにつきHPを回復するものを10、MPを回復するものを5、複合系を5、状態異常を回復するものはどの種類のものを含んでいようと全部で10、蘇生薬は1つ、計26までだ。』
『これ以外のステータスアップ系のお薬なんかは使用禁止だよ!ちなみに、持ち込み制限はシステム管理だからごまかせないよ!』
『そして旅人自身のスキルや魔法での回復等だが、これらは一切の制限を行わない。』
『回復役の人が過労死しそうだね!頑張れ!』
『あとは制限されているものは無いな。強いて言うならば降参宣言を行ったプレイヤーへの追い討ち、煽り行為などだろうか。武器の性能や改造は不正にはならない。』
『そういった武具防具を揃えるのも実力だからね!』
『あとは従魔や召喚獣だが、パーティ最大人数である五人を超えることは出来ない。』
『さらに言うと、参加登録してある従魔くんや召喚獣くん以外の子を呼ぶのも禁止だよ!最初から召喚状態で参加してね!』
『クリエイト系での創造は今回は許可されていないことを忘れていたな。事前に参加登録されていて、創造してある状態ならば問題は無いが。』
これは……お姉ちゃんには厳しかったんじゃないでしょうか?
『ただし、個人戦においてはこの縛りは一切なくなる。』
『うん、個人戦は全てのスキル、呪文、能力を評価する場だからね!創造、召喚なんでもありだ!』
個人戦だったらもしかしたら……ってところですか……しかし、そうなるとクリエイト系のスキルを持っている人が有利な気もしますね……まあ、相性しだいでしょうけど。
『基本的なところはこれくらいかな?』
『そうだな……制限時間を忘れていたな。制限時間は予選一試合1時間。本戦は2時間の予定だ。予選は同時に二試合行える。ルールに関してはこれくらいだろう。ちなみに不正があった場合は即座に退場してもらった上でペナルティが課せられる。』
『ペナルティの内容は秘密だよ!』
普通にしていればペナルティは関係ないですけど、少々怖いですね……
『それじゃあ個人戦のトーナメントについてだよ!』
『個人戦に関しては、参加締切をすぎても希望者が多かった。そのため急遽参加人数を増やしたのだ。』
『締め切り後に参加希望を出した中からランダムで14人を選出し、試合に組み込んだよ!』
『つまり個人戦には64人の参加者がいる。これを8組に分けて勝ち抜き戦を行ってもらう。』
『こっちは人数調整したから均等になるよ!』
『そして各ブロックで勝ち抜いた8名での勝ち抜き戦を行う。』
『この割り振りもランダムで行うよ!』
『とまあ、こっちは単純な勝ち抜き戦だな。説明は以上、か?』
『あ、個人戦は午後からで、試合時間は団体戦と同じ、予選1時間、本戦2時間で行う予定だよ!』
『まあ、こんなところか。質問などは個人で行ってほしい。今からは団体の各ブロック分けを発表しなければならないからな。』
そう言ってモニターを指さすバンワースさん。その指すほうを見ればランダムでパーティ名が表記されていく。
私達のパーティ名は特に考えておらず、どうしようとなり、少々イタイけど、パーティリーダーである音子先輩と、最高レベルの恋先輩の種族やらイメージから考え、深緑の群狼となった。ちなみにギルド名は改めてしっかり考えるそうだ。
『さあさあ、まずはAブロック出揃った!パーティ名はglo探検隊……』
どんどんと埋まっていくブロック、そして、ついに
『続いてDブロックだよ!パーティ名は戦槍の騎士団、食材発掘同好会、深緑の群狼、獣人連盟第二軍、ディアブルフォートレスの5組だ!』
私達は、Dブロック、今日は試合はないけど、明日の一番の試合だそうです。
「ふむ、悪くない。結構いいとこ取れたね。」
「でも〜、ディアブルフォートレスって〜……」
「ああ、あいつのパーティだろうな。正直参ったよ。一番やりにくいのと当たった。」
何やら先輩達が話してますが、私には聞こえませんでした。
とりあえず、私のやることは一つです。
「皆の盾として、絶対に抜かせないようにしないと……!」
そうして、私達の第一日目は始まったのでした。
その頃コカゲは
「ハックション!……うぁー……あだまいだい……のどがぁ……」
ある意味アンデットと化していた。