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ピートくんのお披露目 急

更新が遅くなり申し訳ありません。書きだめもほとんど出来ておらず今日は2本しか投稿できません。今月中にもう1話出せるといいなと思ってはいます。



 さて、とりあえずの買取額だけど、予想以上のお金にはなった。これで依頼達成の分を含めれば2倍から3倍になるらしい。買取自体はすぐ済んだのでまたしばらく暇になってしまう。


 あ、ギルマスはどっかに連れていかれてました。


 マユナさんが何か言いたそうな聞きたそうな雰囲気でチラチラこっちを見るのでなんですかと声をかける。


「えっと……この度はうちの代表たちが迷惑をかけてしまい申し訳ありません……」


「あー……まぁ……うん」


「……ギルマスは、ギガス・センチピートに仲間を殺されていることもあって、その、冷静ではいられなかったんですよ。」


 へぇ、まあ、ピートくん強いもんね。


「おまけに、最近はギルドを利用する異界の旅人のみなさんの態度や利用状況が悪いこともあって、同じ旅人であるコカゲさんについ強く当たってるんだと思います。それに、その……アンデットやモンスターを差別的な目で見る人も少なからずはいますので……」


「第二の街とかですねー。」


「はい……」


「まあ、ここ数日で慣れちゃいました……というか、面倒でどうでもよくなりました。」


 真面目に相手するとゲーム進められないし。


「それは……ん、そういう事態にならないよう、ギルドが動くべきなんですけどね。」


「それについてはまあ、マユナさんが悪いわけじゃないですしね。ただ、今回は明らかに疑われ過ぎてる気がするんですけど。」


「代理のベスさんですね……彼女は、実の所そこまでコカゲさんを疑ってないんですよ。たぶん、ですけど。」


 めっちゃ疑われてるからここにいるんですけど……


「言い方があれなんでしょうがないんですけどね……ベスさんは、いわゆる裏方……まあ、諜報だとか、そういう裏の面の仕事をする人でして。今回の件はおそらく調査を兼ねているのだと思います。ただまあ、やりすぎではありますが。」


「ふむ、面倒な……はっきり言って迷惑だし今すぐ暴れて逃げたい気分。」


 ピートくんと一緒ならまあどうにかなるだろうし。


「絶対にやらないでくださいよ?私もまだ死にたくないですし、何よりまず関係ない人まで犠牲になっちゃいそうですし。」


 失礼な、ピートくんは傷つけちゃいけない人の区別くらいつきますよ。たぶん。


「まあ、みんなを呼んだんでしませんけどね。それで、その代理さんとギルマスさんはどこに?」


 連絡を取り、査定を済ませてだいたい十五分。査定に10分もかからなかったし、ディレスさんもねねたちもそろそろ来ると思う。


「あ、あの2人なら奥で資料の準備と、ベスさんがギルマスに説教をしている最中かと。」


「あー、なんかやってたね。私ほっておいて。」


「あ、うー、すいません。」


「まあ、さっきも言ったようにマユナさんのせいじゃないんで。」


 っとと、コールだ。断りを入れてコールを受けるとディレスさん。


「もしもし」


『ああ俺だ、ギルドの中でいいのか?』


「はい、そうです。あ、ねねたちいませんか?そろそろだと思うんですけど。」


『ああ、ちょうど合流した。このまま全員で入ればいいのか?』


「はい、多分いいです。後で移動になるかもですけど、とりあえず中までお願いします。」


 わかった、と短く言って切られる通信。とほとんど同時に部屋に入ってくる複数人の足音……って結構多いな。


「コカゲ!大丈夫か!」


「お姉ちゃん、大丈夫?」


「イヤー、何やら面倒事とのこと。新情報でも見つかりましたかね?」


「依頼人を引き取りに来たぞ。全く、仕事の邪魔をされるのは好かんのだが。」


 ねねたちパーティメンバーにディレスさん。それにいつかの淀屋橋さんに、知らない人が6人、計12人が私の側に。


 そのメンツを見て顔を青くするマユナさん。


 え、なんで顔を青くするの?


「で、どうすればいいんだ?そこの受付嬢が面倒事か?」


 ちゃき……


「ねね、とりあえず手荒なことはダメだから。こいも暗黒面出かかってるから。ディレスさん、わざわざすみません。彼女ではないですから睨まないであげてください。あと淀屋橋さんはどこで手に入れたのか知りませんがカメラで撮影しないで下さいウザイです。」


 とりあえず……すごく、面倒臭そうです。


「あ、え、えっと、失礼ですが、淀屋橋様、ディレス様、こひこひ様、ヨルク様、で、お間違いないでしょうか……?」


「おう、というか、お前さんとも何度かやり取りしたはずだぞ?」


「そうですね、私、淀屋橋でございます!」


「は〜い、こひこひですよ〜?」


「……そうだケド?」


 んー?なんかどんどん顔色が悪くなっていってる。大丈夫かな?


「し、新人最高位ランク昇格者が4人も……しかもひとりはランクCって……」


 え、ランクCがいるの?


「あ、すいません。私この度ランクBに昇格、ヨルクさんは今回の依頼でCに昇格しています。」


「そこのコカゲはまだだけどうちらも私とコーデリアはランクE、ブレアはFになったぞ。」


「ラララランクB!?」


「ウチらはようやっとランクDやねー。イヤー、よどやんにくっついて正解やったわー」


「もしかして私以外ギルドランクってこまめにあげてた?」


 思わず聞いてしまう。


「え?そりゃまあ、この世界じゃ冒険者はランクが重要なステータスだしな。あんまり依頼は受けてないけど、まあ常設の依頼とかで稼いでたらちょくちょくと。」


「素材の換金なんかもありますしね。って、まさかお姉ちゃん……?」


「あ、あはは……」


「あはは〜、コカゲっちらしいね〜」


 ぬおぉぉ!私だけ、私だけなのかっ!寂しいじゃないか!そして誘ってよ!いや、まあ、時間帯合わない時はソロで狩りしてたけど!兎とか!


「それにさっき襲ってきたやつ引き渡したらそれの評価でランクも上がったしね。だから私とコーデリアはランクがひとつ高い。」


「え、それ私の評価は?」


「流石に証言ありで証拠ありだったから手続き済ませれば評価点は入るって。」


 ほ、よかった……これで評価ももらえないんじゃ死にぞんだよ……アイロスさんの命には変えられないけどさ。


 って、マユナさんがいつの間にかいない。と思ったらギルマスたち連れて戻ってきた。こころなしかギルマスが痩せてるように見えるけどきっと装備を身につけてないからだろう。


「あなた達がこの子のお仲間?それに約束してた職人に、おまけの人達?」


「おう、私、この龍人、花人、ホーリーエルフがパーティだ。」


「お前さんとは初めましてだな。防具、主に布や皮系の装備を扱っているディレスだ。」


「そしておまけこと淀屋橋一行です!宜しくお願いします!」


「ええ、宜s……まった、種族と名前を、全員言ってもらっていいかしら?」


「ん?まあいいや。私はねねねね!、種族は銀犬(シルバードッグ)だ。」


 とねねが言えば


「わたしは〜花人(アルラウネ)のこひこひです〜」


 とこひこひに続き


「私は龍人(ロン・レーン)、コーデリアです。」


「わ、わたしはホーリーエルフのアン・ブレアです!」


「俺はヒューマン、ディレスだ。」


 とどんどん自己紹介がされていく。ディレスさんヒューマンだったんだ。


「私淀屋橋、と申します。種族はヒューマンです。以後お見知りおきを。」


「……ヨルク・エシケー。機人族。」


「……俺、鳥人、鷹系。名前、ホーク……」


 お、この人達は知らない人だ。淀屋橋さんのパーティメンバーかな?キジン族って奇人変人の奇人じゃないよね……?仮面被ってるんだけど……

 鷹の人は。うん、黒くて暗い。


「リャンはリャンヨ、種族はヒューマン、ヨロシクネ。」


 こっちの人も初めて見るな。なんかカンフーっぽい服装してる。


「ディーンと申します。種族はエルフ。宜しくお願いします。」


 この人は、エルフって種族の補正かかなりの美形。淀屋橋さんもかなりのイケメンだけどこっちはなんというか綺麗だ。


「俺はギャログ。ドワーフだ。」


 お、おぉぉ!これもまたファンタジーの定番!ザ、ドワーフって感じ!ヒゲもじゃな上に背も低くって腕が太い。うーん、絵に描いたようなドワーフだね。


「ウチはホーネット言います。種族は人蟲、無難に蜂、しかも戦闘特化のオオスズメバチ!よろしゅうね!」


 この人は最初から最後まで気になっていたのだ。人蟲。そう、蟲だ。しかもただの蟲じゃない。人蟲なのだ。それも外見がほぼ完璧な蜂なのである!


 蜂を無理の無い範囲で人形に整え、それでいて昆虫らしいフォルムと特徴を取り入れた完璧な蟲人間。むしろ二足歩行できる蜂って感じだ。


 モンスター系や亜人系のアバター作成の際、色々いじることができる要素の中でも、特に際どいのが人外度である。私はほとんど生身の人間と変わらないくらい低くしてるけど、この人外度が高ければ高いほど、人の外見から外れていくのだ。


 この人の場合、おそらく最大値の90%に設定しているのだろう。かろうじて人型ってレベルである。


「……最近売り出し中の冒険者……しかもごく稀にしか出てこない龍人や花人……さらに過去最速でランクBに到達した人物まで……」


 何やらぶつぶつ言ってるベスさん。とりあえず早く進めてほしいんだけど。


「ねえ、自己紹介させるために呼んだんじゃないんでしょ?とっとと要件済ませてくれる?」


「あ、ええ、ごめんなさいね。呼びつけた理由は、このコカゲちゃんが眷属にしてる魔怪蟲ことギガス・センチピートについてなのだけれど。」


「ピートくんがどうかしたんですか?」


「ぴ、ピートくん?」


「ギガス・センチピートの名前だ。というか、それでなんで私らが呼ばれなくちゃいけないわけ?」


「ええと、そのピートくん?は、近森の奥に住んでた個体よね?」


「そうですね。私とお姉ちゃん……コカゲと一緒に遭遇しました。」


「え、パーティメンバー全員でじゃないの?」


「最初は2人で狩りを行ってたんですよ。レベルとかあげるために。」


「それでどんどん奥まで行って、《生命感知》に反応が出て、どこだって探してたら地面から飛び出してきて襲われて。」


 いやぁ、あれは怖かった。第一声がコーデリアはきゃあって女の子らしい悲鳴のところ私はぎゃあって叫んでたんだよなぁ。内心キモいって連呼もしてたし。


「それで私がピートくんに飛ばされて気絶してて、その間なんとかお姉ちゃんが粘ってくれてたんだよね。」


「って言ってもダメージ受けて魔法撃って回復して、とかしかしてないけどね。」


「しばらくは二人で戦って、連絡しておいたおふたり、ねね先輩とこい先輩が新しくメンバーになったブレアさんと一緒に来てくださって。それでも時間はかかりましたけどなんとか倒せて。」


「あれは本当に焦った。明らかのレベル足りてない上に物理魔法共に高くて防御も厚い。今思うとよく勝てたな私達。」


「なんか途中から魔法が効きにくくなって〜物理攻撃が効くようになってからは、意外と行けてたような〜」


「いや、あの、最後、ピートくんのHPが3割を切ってからはほとんどこひこひさんがやってたような……」


「え、違うよ〜みんなのおかげだよ〜」


 触手で張り付いて攻撃できない位置で鞭を叩きつけまくってたくせに何を言ってるのかなこの人は。


「……あア、あのムカデか。ワタシも見たゾ。たまたま狩りをしてるところで目撃した。邪魔しちゃ悪いト思って途中で帰ったガ。」


「え、見てたんですか!?」


「まあ、フルメンバーになった時にハその場をハナレタし、レベル的に無理だろうと思ってタシネ。」


 ああ、まあ、普通そう思うよね。


「……つまり、本当に5人だけで倒したの?」


「ワタシは倒す場面は見てナイガ5人集まってたとこは見たゾ。」


「そもそもうちら5人でパーティ組んでるし上限だからな。これ以上人呼んでもペナルティがかかる。ああ、でも、コカゲがアンデットクリエイトでモンスターを出して援護はしてくれてたし、そのへん含めると頭数は8かな?」


「そ、そう……ふむ……」


「なんだ?そのへん疑ってるのか?」


「うん、なんかピートくん、称号にもあったように結構な被害を出してた魔蟲らしくて。それに加えて私がギルドランクが最低のGだから嘘ついてるんじゃーとか、本当の討伐者は別にいて死体を横取りしたんじゃって言われてね。」


「ほう……」


「へぇ……」


「ああ!2人とも、落ち着いて、落ち着いて!ここで暴れたら確実にアウトですから!」


 相変わらず血の気が多いなぁ……ブレアさんはオロオロしてる。可愛い。


「ふーむ、まあここまで矛盾もないし、戦っていたのは確実っぽいし……でも実力が絶対に足りないと思うのよね。どうやって倒したか、がね。さっきの話だとそこの花人がトドメを指したって話だけど。」


「わたし〜?うん、ラストアタックはわたしだったよ〜」


「うーん……」


 うなり始めるベスさん。そういえばギルマスは……?


 あ、いた……けどなんか生気がないね。多分こってり絞られたせいだね。


 と、ずっと黙ってた淀屋橋さんとディレスさんが同時に動いた。


「興味深いお話ですが、このままでは平行線ですね。」


「だな。俺は依頼や仕事がある、それはここにいる全員がそうだろう。」


「はい、ですので簡単に嘘かどうか調べる方法を提示します!」


「俺からもそういうのを調べる方法をひとつ知ってるから教えよう。ま、淀屋橋と同じ内容かもしれんが。」


「嘘かどうかを調べる……?もしかして、精霊魔法?」


「その通り!」


「それだな。」


 精霊魔法?それがなんで嘘かどうかを発見するのに役立つの?


「精霊魔法って……簡単に言うけど、嘘かどうかを見抜く、正確には感情の表層、怒りや焦り、喜びなんかを読み取る能力を持つ精霊は、タダでさえレアな精霊魔法の中でも特に珍しいのよ?そんな簡単に……」


「私、精神属性の精霊を使役しておりますよ。」


「……なるほど、この場にいるエルフが使える、というわけね。確かディーン、だったわね?」


「はい、ディーンと申します。種族は先程述べていたようにエルフです。精霊魔法を習得済みです。まだ練度が低いので1体しか使役できませんが、十分かと思いますが。」


「……いいわ、まずは私で試してちょうだい、それで真偽を確かめるわ。」


「かしこまりました。それでは……エクィ」


 すぅー、と染み出すように、ディーンさんの肩に現れる光。ゆっくりと形が作られ、小さな人のようなものが現れる。


「まぁ……人型なんて……上位精霊じゃない。」


「私が契約している中でもエクィが一番の精霊です。彼女が精神属性の精霊です。能力は本物ですよ。」


「そこは試してからよ。とりあえず嘘かどうかだし、はいかいいえで答えられる質問をしてちょうだい。」


 それから十個ほどの質問を経て、精霊……えき?エク?とにかく、そんな名前の精霊さんが本物であるとわかり、精霊さん嘘発見器に私たち5人がかけられる。


 まあ結果は言わずもがなで。


「これで嘘じゃないってわかってもらえましたか……?」


「ええそうね、嘘じゃないわ……ごめんなさいね。時間を取らせてしまって。」


「そんな言い方はないんじゃないですか?もっとしっかり謝っていただきたいんですけど。」


「……なーんかあなた相手だとしっかり謝るとか、したくないのよね?第一印象がお互い最悪だからかしら?それにあなたも攻撃的だし。」


「そりゃそうでしょう。あらぬ疑いかけられて喧嘩ふっかけられてさらに拘束。攻撃的にならない理由がどこにあるんです?」


「ふんっ、どうせ仲間におんぶに抱っこなんじゃないの?なぁんか、イマイチ信用出来ないのよねぇ。なんでかしら。こう……泣かせたいのよね。」


「それがあなたの本性ですか?最低ですね。ここのギルドやめてそっちの人と仲良く暮らしてればいいんじゃないですか?」


「あら、私がここにいるのは私以外に纏めることができる人材がいないから。私はそこのひと(ギルマス)と共にこの街トップの実力を持ってるのよ。それだけ経験があるからこそ、そのアンテナにあなたは引っかかるのよ。だいたい何よその格好。包帯にローブって。変態なんじゃないの?あ、アンデットだし羞恥心がないのかしら?」


「こ……んの……実力者?何言ってんの?ピートくん倒せないで逆ギレするようなヤツと同程度の実力なんてたかが知れてるっつうの!そんな程度のくせにトップ?周りのみんなが迷惑だよ。マユナさんがどんだけ頭下げてたと思ってるの?アンタみたいなのがトップじゃ下も大変だよほんと、それにギルドは種族差別NG、今の発言、ここにいる全員がしっかり聞いたからな!」


 何故か私とベス……いや、この女と口論が始まる。それはもう本気で切れた。落ち着いてると自分では思ってたけど想像以上にフラストレーションが溜まっていたらしく、ついつい熱くなってしまった。


 そしてそれを収めたのはまたしても淀屋橋さんとディレスさん。


 ぱんぱんっ!


「「っ……!」」


「イヤー、聞くに耐えませんね。コカゲさん、落ち着きましょう?もう終わったことですから、ほら深呼吸深呼吸。」


「そうだぞコカゲ。というか早く終わらせてくれ。俺は仕事があるんだ。」


「うぐ……ごめんなさい……」


 くそ、あの女が勝ち誇った顔でこっち見てやがる……!


「それにこの女もギルドマスターももう終わりだ。」


「……は?何?」


「周りをよく見た方がいいですよ?」


「え?な、あなた達、何をしているの?仕事をしなさい仕事を。」


「代理……ギルドマスターがずっと大人しかった理由はこれです。」


「は?何、これ?えっと…………………………え……」


「ええっと、私が読み上げますね。『冒険者ギルドスタトル支部ギルドマスター、及びギルドマスター代理、ワイフェ・ルイドス、ベス・ルイドス。ギルド本部に1週間以内に参られたし。本日を持ち、両名をギルドマスター、ギルドマスター代理の役職から解く。 スタトル支部には別のものを置く。これは決定事項である。変更は一切認められない。以上。』とのことです。」


 な、なんか知らないうちにどんどん進んでいる……マユナさんが読み上げてくださった内容は、要約すればお前クビだから、とりあえず本社まで来い。ってことでいいのかな?


「……えっ……」


「あ、続きがありますね。『追伸、ギルドマスター、ギルドマスター代理であった際の契約、誓約等消費されていないものは速やかに処理するべし。本件は両名の最後の仕事である。完遂せよ。なお、この件に関して監査官からの情報及び監視があることを明記する。冒険者ギルド本部本部長より。』だそうです。ええっと、お疲れ様でした……?」


「う、うそ……」


「嘘じゃないですよー?監査官て私のことですし。」


「はっ!?」


 淀屋橋さんがなんかとんでもないこと言い始めたんですけど……。


「俺は監査官じゃないがギルドの態度やらが気になってな。職員に質問したり色々してるうちに淀屋橋と合流してな。まあなんだ。一職人として不当な扱いは困るわけでな。色々報告させてもらった。」


「結果お2人はまあ色々裏が……ってほどではないですが。ちょっとした不正や情報の隠蔽。報告義務の一部放棄や、先ほどの差別発言なども含め報告させていただいた次第です。あ、これ、別のギルドからの依頼なんで。別に私はギルドのメンバーじゃありませんのであしからず。」


 ゆっくりと座り込むベス。うん、ここまでの事態は想像しておらず正直理解が追いついてません。とりあえず私にとって悪い事じゃないので問題ないけど。


「とりあえず今日明日中に完遂させなきゃいけない仕事と、契約事は終わらせてくださいね。あ、確かコカゲさんになんでもひとつ言うことを聞くと約束もしていましたね。それももちろんちゃんと守ってもらいますよ。で、コカゲさんはどんなことを要求するつもりで?」


「え、あ、ええっと、と、土地が欲しいなぁって言おうと思ってて。」


「ほほう。具体的に言えますか?」


「ヘリドシヘトス大森林の中部表層の土地、だけど……まだ伐採や測量も終わってないし……」


「ではそちらは代理の権限でギルドから依頼を出させますね。欲しい範囲を伐採していただけばそこがコカゲさんの土地となりますよ。しかしそれだけでいいんですか?土地であれば伐採後は自分の所有物扱いですが。」


「あ、じゃあ、逆に土地は頑張るんでいえ、家立ててください。もちろん家具とか全部込みで。」


「ふむ……どれぐらいの大きさをイメージしておいでで?」


「え、うーん、どうするみんな?」


「とりあえず十人くらい住める家でいいんじゃないか?そんなに大きいギルドにする気もないし……。設備とかはあとから追加できるのか?」


「今のプレイヤーでは無理ですが、進めていけばできなくもないでしょうね。そういった特殊なアイテムが出てくる可能性もありますし。」


「それじゃあその形で。家具も十人分ずつ必要だな。うん。」


 こうして私達は土地と建物を手に入れたのであった。






「それでコカゲさん。」


「あ、はい、なんですか?」


「ギガス・センチピートって、なんですか?」


「……あ、あはは……」


「あはははは」


「「……」」


 こうしてピートくんのお披露目は無事?に終わったのでした。

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