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決闘 1 解決?

ちょっとエグいシーンなどがあります。ちょっと注意です。

 さて杖を構えたはいいけどどうするか……


 実際やるとなったら冷静になってしまった。ああ、ねねにのせられてしまった……


 目の前の敵は宣言通りなら10近くレベル差がある。ふーむ、剣構えてこっち見てる……って来た!?


「ぼさっとしてんなよ!《剣技・サイドスラッシュ》!」


「うわっ……!」


 とっさに避けるも杖をついてたせいで右腕に剣を受けてしまう。


 うわ、半分くらい持っていかれた!でもこの距離なら……!


 杖を手放し、そのまま右手で相手の腕を掴み、思いっきり爪を立てる。


「なんの真似だ?悪あがき……うぉ!?」


 《毒爪》で微毒になり、《引っ掻き》《握力強化・小》でさらにダメージが。ついでに《呪い》《瘴気》のどっちかが効いたらしく《呪い・弱》にかかったようだ。あ、忘れずに《吸収回復》で回復しておく。おぉ、一気には吸えないけど、それでも五パーセントくらいは回復した。


「離しやがれ!」


 っと、相手の方が筋力が強いからか、すぐ振りほどかれる。まあ毒にも呪いにもかけたし出だしはいいかな。


 あと、なんか人が増えてきてる。本当に賭けでも始まったのかな?


「くそっ、スキルか、めんどくせえの使ってんじゃねぇ、か!」


 今度はアーツではなく切り込んでくる……って、武器がない!


「ああもう!」


 《サンドウォール》を使って壁を作るべきなんだろうけど詠唱が間に合わない。ならば!


「憑依解除!」


 斬られる寸前で私に憑依してたレッサーたちを解放する。


「ぬわっ!?」


 咄嗟だったから剣は受けたけど、それでも相手も驚いたせいかそこまで大きなダメージじゃない。それでもHPが三割り切ったけど。


「死霊系!?どっから湧き出た!」


 剣を振って追い払おうとするチャラ男(名前聞き忘れてた)。だけどレッサーゴーストにレッサーレイスは物理は効かないのだ!


 あれ、これ、なんか悪役っぽくない私?


「よっと!《ダークミスト》《サンドダスト》」


 死霊たちに気を取られてる隙に杖を回収し魔法を使う。それとさっき思ったことは気のせいだ。うん。


「ちっ!くらえ、《ファイヤーボール》!」


 っと、そうこうしてたらレッサーゴーストに魔法が命中……って、火属性はまずい!主に私が!


「なんだよ雑魚じゃねーか!焦らせんなよ!」


 直撃を受けて消えていくレッサーゴースト。ああ、貴重な素材が……


 っと、慌てて残った二体も焼かれる前に私の元へ呼ぶ。ついでに憑依!


「《レッサー・アンデットクリエイト》!【レッサーゴースト】!」


 さらについでに憑依限界である3体になるように創造して憑依。若干ステータスが上がるだけだが、その若干が今はありがたい。


「変わったスキルだが関係ねぇ。アンデットなら炎で燃えちまえ!《ファイヤーボール》!」


 毒を警戒してか魔法を打ってくる。でもこっちは後衛。魔法なら負けないよ。


 あと、なんか周りも『変わったスキル』のあたりから視線がちょっと変わった気がする。


「《サンドウォール》!からの《ストーンバレット》!」


 距離があるなら時間もある!命中率を下げるミストにダストをかけたおかげか綺麗に壁に命中する火の玉。砂の壁はすぐに砂に戻ってしまうが問題ない。


「ちっ!うぜえ!」


 石礫くらいじゃ流石にダメージにもならないのか防御もせずに走ってくるチャラ男。だけどそれは悪手ですよ?


「《ホール》!」


 新しくゲットした魔法、《ホール》。言ってしまえば穴掘り魔法。だけどその効果は絶大だ。


「はっ!?ごっふぁ!」


 距離とってくれてたおかげで詠唱する余裕があり、なおかつ相手が突っ込んでくるなんて、いい的でしかない。


 まあ、穴はまだ三十センチくらいだからHPを削りきるほどではないだろうけど。


 あ、周りから笑い声が聞こえる。


「この、くそっ!」


 あ、怒ってる。顔も若干赤い。照れてもいるっぽい?いや、顔面強打かな?


「喰らえ!《パワースラッシュ》!」


 剣が強く輝き、上段からの振り下ろし。当たったらまあまず間違いなくHPが消える。でも。


「流石にそれくらいは避けれるかな。」


 うちのパーティの斥候はスピードアタッカーだからね。見慣れてるんだよ。


 え?初撃は受けた?あれはほら、考え事してたから。


 とにかくそんな大ぶりじゃ当たらない。必殺の一撃かもだけど、動く相手じゃ意味は無いでしょ。


「《レッサー・アンデットクリエイト》!【レッサーワイト】【レッサーゴースト】【レッサーゴースト】!」


 MPがほとんど無くなる。だけど私には回復手段があるから問題ない。それに数だけなら四対一だからね。


「くそっ、雑魚でもこんだけいるとうぜぇ!」


「雑魚?そんなことないと思うよ。」


 レッサー種だからまあ弱いけど。でも私の《死霊強化》でそこそこ強化されてるからね。


「《ダークミスト》」


 これで魔法は使えなくなった。MPが足りない……後でたっぷりと吸収しよう。


「《死霊操作・攻》!」


 一斉に闇属性の魔法を放つ死霊たち。まあ、三体同時程度だし、そこまで期待はしてない。


「は、効かねぇよ!」


 魔防が高いのか、効いてない様子で突っ込んでくる。


「《杖術・構え》『物見』」


 《杖術》のアーツ、《構え》、ほとんど使ったことなかったけど、ちょっと気持ち悪い……勝手に体が動き、腕を前に突き出し、杖を縦に持ってつき、姿勢が真っ直ぐになる。


「俺と打ち合うってか?いいぜ、その杖ごとぶった切ってやる!」


「《棒術・弾き》」


 《杖術》で得たのになぜか棒術なアーツで弾く。動きは最小限に、杖を傾けたり、杖を突き出したりして突きを弾く。


 結構使い勝手がいいな、このアーツ。SPもそんなに消費しないし。


 何度か打ち合えば、多少は慣れる。アーツだけでなく、自分でも剣を弾くように杖を振るう。


 ついでに死霊たちも散発的に魔法で攻撃してくれている。効いてないっぽいけど。


「っしゃあ!」


 鋭い突きが放たれるが、しっかり目で追える。これも《構え》の効果かな?とにかく杖で弾く、む、強い。でも受け流せる。っと、掴めそうなとこに腕。


 突きの動作は突き出した手を戻さないと攻撃できない。だからその引き戻す手を掴む。そしていつものが発動する。


「ぐっ!?また毒か!」


 また毒にかかってくれたらしい。あと、さっきよりも力が弱い。呪いもかかってるなこれ。


「逃がさない!《死霊操作・補助》!」


 しっかりと腕を掴む。それだけじゃ負けるだろうから、死霊たちに接触させる。補助は魔法やスキルなどの状態異常なんかを起こすために行動してくれる。《呪い》もちだから意外と効果があるのだ。


 私は魔法を警戒しつつ、掴んだ手を離さないように脇に抱くように抑え、杖で相手を殴る。


「んぐっ!くそ、離せ!」


 ダメージはほとんど入ってないようだが、拘束から抜け出せないようだ。呪いでステータスが下がってるんだろう。


「ふっ!」


 何度も殴る。腕で守られてるせいで頭には当たらないし、いくら弱くなってるとはいえ、格上だ。なかなかうまくダメージが入らない。まあ、とりあえず拘束はできてるのでよしとする。これなら勝てるかも


「この……調子乗んな!」


 いきなり叫んだかと思えば腹に衝撃。痛い……


「うぐっ!」


「ったく、手加減してやりゃ調子乗りやがって……」


 相手を見る。足を突き出した感じ……ああ、蹴られたのか。


 後、なんだ手加減って。


 HPは|《吸収回復》(おやくそく)で吸ったからそこそこ回復してる。MPも四割弱ある。


「あー、毒はウゼェし、なんか呪いとか受けてるし。めんどくせぇなお前。」


「そんな事言われても。後衛だし。補助とか頑張ってるんですよ。」


「お前見てぇな後衛はいねぇよ!」


 失敬な。どこから見てもしっかり後衛じゃないか。


「とにかく、面倒だからさっさと終わらすぞ。」


「長期戦の方が私としてはありがたいんですけど。」


 毒とか呪いとか吸収とかのおかげで。


「てめえに合わせる理由がねぇ!とっとと負けちまえっての!」


 そう言いながら切りかかってくる。私は蹴られて地面に転がったままだ。


「終わりだぁ!《パワースラッシュ》!」


 思いっきり振り下ろされる剣。それをしっかりと見ながら


「えいっ」


 懐から何かを投げつける。


「んぐっ!?が、ぐ、なんだ!」


 さっきみたいな憑依解除を警戒してたのかすぐに動きが止まり、顔の何かを剥がそうとする。しかしなかなか剥がれない。


 その顔に張り付いたまま離れないそれは


 ぞぶり……


 チャラ男の顔にその鋭い前歯・・・を突き立てた。


「ぎぃぃぃっ!?」


 うわー、思ったより鋭かったんだ、あの前歯……


 私が投げたのは《屍体創造》で創り出した【レッサーゾンビ・ラビット】。魂の粉でなく兎の骨や歯や皮が素材と素材が多め。ただしMPは少なく、物理的な攻撃力はそれなりのもの。


 防具なしの顔面ならかなり食らうはず。現に大ダメージぽいし。


 普通にゾンビができるのかなーと思ったらアニマルゾンビができました。理由は素材らしいです。


 まあ、そこは置いておいて


 立ち上がって杖を構える。なんか手加減がどうとか言ってたけど馬鹿なんだろうか?


「まあいいや。《杖術・振り下ろし》!」


 力のこもった振り下ろしを相手の顔に振り下ろす。その頃には兎ゾンビも別の所を齧ってる。というか削いでいってる。


 まだHPが残ってるっぽいので何度も振り下ろす。


 なんか周りが一気に静かになったけど気にしない。


 レベルが高いというのは本当だったらしく、結局十回ほど振り下ろすことに。その間は兎ゾンビが何度も齧ってた。


 頭に当てまくったせいか気絶でもしてたらしく、最後は抵抗すらなく終わった。


 終わってみたら呆気なかった。


 ウィンドウに映る勝利の文字も、倒してやったという意識もない。結局最後まで手を抜かれてたりと、気分は最悪だ。


 あとなんか周りも静かだし。


「勝ったよ。」


 気分は最悪だけど


「お、おう、お疲れ。だ、大丈夫か?」


「平気、ちょっと頭にきただけ。」


 決闘申し込んでおいて手を抜いてたりとか、本当に信じられない。


 ねねたちが若干オロオロしてるし、周りの観客だろうか?も、なんかやばいものでも見る目でこっち見てるけどなんなんだろう?


「まあ、大丈夫ならいいんだけど……」


「ん、で、勝ったし、報酬とかほら。」


「ああ、そうだな。おい!こっちは勝った。周りが証人だ!約束のもの置いてけよ!」


「はあ、ふざけんな!こんなの……」


「お前は黙れ。ああ、これが俺らの所持金だ。金の管理は全部俺がやってる。嘘じゃない。二人合わせて100万ちょっとだ。」


 ねねが受け取り、ステータスウィンドウで確認している。


「それと装備だが……せめて防具は許してくれ。防具もなければ移動もできない……」


「知らん。稼げ。」


「な!ふざけん……」


「お前は黙ってろ!」


「な、なんだよ……」


「俺の装備だけでいいか?」


「だめだ、条件だ。しっかり受け取る。」


「……わかった。お前も全部渡せ!」


「くそっ……なんなんだよ、マジで……」


 一瞬でインナーだけになり、装備を全部外した二人組。


「……確かに、受け取った。まあ、これに懲りたら絡んでくるなよ。」


「二度とかかわらないさ……」


「くそ、ふざけんな!なんで俺よりレベルが低いヤツに……」


「黙れって言っただろ!とにかく、第一の街に戻るぞ……」


「次会ったら……」


「いい加減にしろ!こいつにもしっかり言い聞かせておくよ……」


「おう、まあ、掲示板とか大変だろうが頑張れ。」


「……君がそれを言うのか……はぁ、これから金策かぁ……」


 まあ、とりあえずは条件通り受け取るものも受け取ったし、良かったかな?


 周りもなんかざわざわし出したし、とりあえずどっか別のところに行きたい。


「おい、ねねねね!」


 と思ったらお客さん。正直勘弁して欲しいんだけど……まあ、私に用事じゃないっぽいからいいけど。


「お、ドラッカン。ゲーム内じゃテスト以来だな。」


 大柄な男の人と、その後にはパーティめんバーらしき人もいる。


「おう!じゃねえ、なんだこれは。」


「決闘とそれに合わせた盛り上げ?まあ、晒し上げよりちょっと穏便に済ませた。普通に呼んでも来ないだろうしな。」


「たまたま近くにいたから来たんだよ。じゃなきゃ来ねぇよ。」


「しっかり賭けてたくせに。」


「そりゃそうだ。賭けやってるなら賭けるのが当然だろう。」


「えっとー……」


「「ん?」」


「そろそろ、その、紹介していただけると……」


「あ、忘れてた。」


 それから軽い自己紹介をした。


 相手はドラッカンさんといい、こちらもテスターで、ねねねね!とも仲がいいらしい。


 あと、掲示板とかでも書き込んでる結構有名な人らしい。


 で、ドラッカンさんのパーティメンバーは3人。


 後衛で純魔法使いのバーバラさん。盾役のはいりさん。そしてアタッカーのドラッカンさんの計3人のパーティだ。


 ねねがこの人を呼んだ理由は影響力と顔の広さを求めてのことらしく、いよいよの時は掲示板からの呼びかけをしてもらうつもりらしい。


 ちなみに賭けをした理由はドラッカンさんがギャンブル好きだから。相手のチャラ男さんもそこそこ有名だったらしく、意外と盛り上がっていたそうだ。掲示板で実況みたいなこともやってたらしい。


「しかし驚いたぞ。初心者が勝てるような相手じゃないはずなんだが……おまけにアンデットが……」


「おい、失礼だぞはいり、わりぃな、こいつ効率とかそういうの気にするタイプだから。」


「あ、いえ、別に。」


 気にしてない。というか別のことを考えていたのでそもそも聞いてなかった。


「うちのコカゲが負けるわけないだろ。」


「いや普通勝てないからな?同じ種族なら十くらいの差はどうってことないが、違う種族だとかなりの差だからな。」


 あー、それはわかる。アンデットとヒューマンとじゃ比べるでもないくらいステータスには差がある。その分スキルの差があるけど。


「私としてはまあ、勝つだろうなって確信があったしな。まあ、ちょっと予想がハズレはしたけど。」


 多分ピートくんのことだ。使っちゃえって言ってたし。私はピートくん使えば負けかなーって思ったし、何より手加減とか言ってたし。


 あー、思い出したらまたなんかイライラしてきた。


「お姉ちゃん大丈夫……?」


 おっと、顔に出てた……というか私は解りやすいらしいから気をつけないと……


「大丈夫大丈夫、ちょっと考え事してただけ。」


「ならいいけど……」


「あー、しかしなんだ?そっちのマミーの嬢ちゃんは、色々有名になりそうだな。」


「有名?」


 なんで?


 きょとんとしてるとこいが


「実況板でね〜、スクショとか、色々ね〜」


「待ってそれマナー違反でしょ!」


 勝手に撮るなよ!


「それについては俺が管理人に伝えて削除させた。ただまあ、結構な数見られただろうから……」


 うぁあああああ……なんてことを……


「そいつは運営に報告済み。流石になんか対処される。運営もそれくらいは動いてくれる。」


 それでも、流石に恥ずかしい……


 なんてうじうじしてたらポーンと間抜けな電子音。メールが届いたっぽい。


【運営より】

『報告が御座いましたのでご連絡をさせて頂きました。許可のない状態でのスクリーンショットの撮影、及び投稿の報告、通報を受けたので対処をさせていただきました。


 規約違反のプレイヤーの一部装備、アイテム、所持金をプレイヤーKokageさんに送ります。受け取りはウィンドウの画面から受け取りを選択してください。なお、対象の規約違反されたプレイヤーは厳重注意を受け、次の違法行為でアカウントの消去を実行します。


 これからも良きゲームライフをお送りください。』


 とのこと。あ、受け取りボックスに本当にアイテムがある……まあ、後でいいや。


 このことをみんなに伝えると驚いていた。


「えらく対応が早いな……鬼畜運営なのに。」


「プレイヤーの精神面に攻撃してくるような内容のゲームなのになんでそんなところだけ……いやまあ、そこら辺すら何も言ってこないんじゃ流石に訴訟モノだけど。」


 まあ現状でもされておかしくないけど、なんて意見も出てた。まあ、貰えるものはしっかり頂いておこう。幾らかにはなるだろうし。


「取り敢えずもう私はログアウトしたい……」


 時間もいいし、何よりイライラがやばい。なんかもう色々ありすぎてやばい。語彙がやばいしかないくらいにやばい。


 私はみんなに断りを入れ、結局全員でテントを準備しログアウトした。


 ああ、テストも近いし、憂鬱だ……

誤字脱字等ございましたらご報告お願い致します。

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