決闘 1
少々無理矢理だったりするご都合展開ですがご了承ください。
ブックマーク数が1400件近く……とても嬉しいです!更新が遅いのが心苦しいです……
苦手な科目に苦戦し、思わず約束の時間ギリギリまで教科書とにらめっこしてしまった。私がこんなに勉強熱心だったなんて知らなかったよ……
で、急いでログインしてみれば全員集合済み。
「っと、ごめんね、遅れたかな?」
「ギリギリセーフだ。寝てた?」
「いや、テストに向けてね……ちょっと集中しすぎてた。」
「あ〜、もうそんな時期だね〜」
「テスト……うぅ、考えたくないよ……」
「ブレアさんも近いんですか?」
「うん……しかもわたし、成績良くないんだよね……」
私も一部がひどいので憂鬱な気分はすごく理解できる。
「うんうん頷いてるがコカゲ理数以外トップじゃん。」
「裏切り者!」
「うぇっ!?いや、裏切り者って……成績も別にトップじゃ……」
「成績って言えばこい先輩がすごいです。学年五位圏内をキープされてて」
「記憶力には自信があるからね〜」
「私は普通だ。強いていえば化学が苦手だ……あと歴史は興味が全く持てない」
「わたしは数学と英語……日本人なんだから日本語だけ覚えておけばいいんだよ……」
「って、こんな話してる場合じゃねぇな。さっさと草原と森越えないと。」
現在リアルでは九時ちょっと過ぎ、ゲーム内は一時過ぎ。携帯食で空腹を紛らわし、第三の街を目指す。まあ、私は食べないけど。
テントをしまい出発する。今回も二つのパーティに別れての行軍、メンバーも同じだ。
「草原は出てくるmobに追加でboss近森の主の下位互換、アースベアが出てくる。あとランダムで各雑魚mobのレアが混じり出す。兎と鼠は経験値が美味しいけど逃げ足が早い、猪ならまあやれる。蛇は問題ないと思う。だけど飛行系は難易度がかなり上がる。狼はレアが混じった群れだとかなりやばい。今のレベルだとムカ……ピートくん頼みだ。」
レアmobか……レアなアイテムとかも出てくるのかな?
早く新スキルも試したいし、第三の街ではアンデットだからと忌避されるのかの確認もしたい。ダメだったら……まあその時はその時か。
β時代では草原二時間、森三時間前後だったとのこと。森の入口に小さな集落があり、エルフなどの亜人種、人族など、いくつかの種族が案内のようなことを行っていたらしい。
それなのに森に住んでいいのかと思ったが、β時代に森の木にツリーハウスを作った人がいたらしく、正式に土地を開墾すれば問題ないらしい。集落も第三の街に行くいくつかのルート以外はほとんどノータッチらしい。
今回はまず集落でログアウト、明日森を攻める予定だ。今日一気に行ければよかったのだが、色々なことを考慮したらこうなったのもしょうがないだろう。
集落は街とは違い、いわゆるセーフティーエリアであるだけで、宿泊施設はないので、テントなどを事前に準備しておく必要がある。警戒はすべきらしいが……ピートくんを出しっぱなしにしておけば問題ないだろう。
眷属を出したままのログアウトでも問題ないことは前回で確認済み(単純に忘れてログアウトして、戻ってきたら普通に居たので大丈夫なのだろうと結論を出した。)ピートくんは飲食不要なアンデットだし、封印状態じゃなくても問題がないんだろう。このへんの敵に苦戦するとも思えないし。
ただ、クリエイトmobはダメだった。憑依状態のは問題なかったが、召喚していたmob達は素材に戻っていた。(一部は消費されてたけど……)
そのへんも確認しないとな、などと考えながら、あるいは説明を聞きながら、もはやルーチンワークとかした兎掴みで地味に経験値を稼ぐ。
「いやほんと……《気配遮断》やばいな……」
「だね〜、兎さんがいっぱいだよ〜」
「うぅ、可愛そうだけど、これも経験値のためだから……」
あまりにも私が兎を狩るせいで一時的に私以外のみんなでパーティを組んで時々見かける猪やらを狩っている。私はとりあえずは兎で充分なので観戦にとどめているけど。
「ピートくんは行っちゃダメだよ?」
「ピギュアッ」
明らかにオーバーキルだからね。あ、奥に熊もいる。まあ、あの4人なら問題ないね。
「《エンチャント・ディフェンス》!《エンチャント・アタック》!」
「《ハードシールド》!」
「《鞭術・大打ち》〜」
「《剣技・ワイドスラッシュ》!」
もはや蹂躙である。いっそ熊が可哀想なほどだ。
「あ、スキルレベルアップしてる。」
まあ、焦る必要ないし、私はのんびり行きますよ。
しばらく私は観戦しながらついて行き、みんなは見敵必殺みたいな勢いで出会う敵全てを屠って行った。そして……
「やべっ!剣の耐久が!?」
「え、あ……あ、ああっ!た、盾の耐久値が半分切ってる!」
「あ〜……わたしの鞭も耐久値が〜……」
「わ、わたしは直接攻撃はしないから大丈夫だけど……前衛のみんなは消耗激しそうだね。」
何やら整備不良が発覚していた。私の杖も耐久値が結構削れてる……って、防具もそこそこ削れてる。気づいてよかった……って、そう言えば、私靴の作成も依頼したはず……完全に忘れてたけど。
「……集落って、鍛冶屋とかってあるの?」
「ない、と思うけど……そもそもプレイヤーメイドの装備だ……特にこひこひとコカゲの防具はディレスじゃないと厳しいと……」
これは……多分ピートくんとの戦闘の結果だろう。あの時は急すぎてそのへんのこと完全に忘れてたし。
「こりゃ一旦戻るか連絡つけて来てもらうかしないとか……でも来るわけないしなぁ……」
みんな悩み始めてしまい歩みも止まってしまう。どうしたものか……
「金属系だけなら《鍛冶》スキルで回復できるかもですが……まだレベルが初期レベルのままですし……」
「わたしの《裁縫》もまだレベル1だよ〜……」
私の《木工》だってレベル1だ。あとは定番の《錬金》での回復だけど……
「魔石がないから《錬金》で回復はできないね……」
そもそもそこまでレベルが上がってないが。
《錬金》の上位スキル《錬金術》では耐久値を回復するアーツが存在するのだけど、それには魔石が必要で、魔石を持つ敵が出るのは第三の街の周辺か、特定のクエスト。もしくは別の大陸に行く必要がある。
《錬金》でも耐久値回復アーツはあるけど、これも魔石が必要で、しかも回復値はほんの少し。現在は控えにいらっしゃる今後の活躍に期待されるスキルだ。
「と、とりあえず、まずは集落に行ったほうがいいんじゃないかな?そこでそのディレスさん?って人と連絡とってみればいいし、最悪戦闘を避けて一気に行くってのもいいんじゃないかな?」
ブレアさんのこの一言で、とりあえずは先へ進むことへ。後衛組は魔法攻撃がメインなので問題ないが、盾役のコーデリアに、斥候剣士のねねねね!にはちょっとキツイかも知れない。
「コカゲ、《生命感知》全力で頼むわ。戦闘は全部避ける方針で。」
「わかったよ、ピートくんはちょっと戻っててね。」
「ピギュィァ!」
《眷属封印》でアクセサリーに戻し、全員でパーティを組む。ステータスが下がるけど、憑依ブーストで打ち消す。
「それじゃ先導するね。」
「「「……」」」
「なぜナチュラルに前に出るんだ……」
なんか変な目で見られてる気がするけどきっと気のせいだよね。
それからちょっと時間がかかったけど、なんとか戦闘にまで発展せずに集落にたどり着くことが出来た。
道中ちょっとしつこい猪や感知範囲に入った瞬間に逃げ出す兎とかがいたけど、あれがレアmobだったのかな?
「はー、やっとついた……」
「予想よりは大きめな集落ですね。人が結構います。」
「テスト時よりも大きくなってるね〜。」
「ドワーフにエルフにケモミミ……正しくファンタジーだよ!」
ブレアさんもエルフだしうちのパーティはだいぶファンタジーだよ。人外ばっかだし。
「ドワーフがいるなら鍛冶師が居るかもですね。」
「とりあえずは宿に泊まれるかだ。例の件があるし。」
そういう訳で宿を探す。が
「満員?」
「ええ、はい……サウルドの街へ行くにはこの森を抜ける必要があるのですが、皆様が一気に押し寄せたせいで宿泊施設が足りず、案内もままならないほどで……」
このゲームには流通があり、人口があり、住人は考え、生きている。
そのためこうした想定外に陥ることがある。ほかの大陸でもなにか大変なことが起きてるらしい、なんて情報も掲示板には載ってた。
「集落の敷地でしたら安全ですので、そちらにテントなどで野宿をお願いしております。代わりに、野宿の方には食事をお安く提供しております。」
ポーションなどは第二の街があるおかげで問題ないらしいが、逆に食料関係がちょっと危ないらしい。とりあえずは自給自足が出来ているのでしばらくは大丈夫とのことだけど、だがこれがこのまま続くとまずいらしい。
で、鍛冶屋はと言うと……
「すまねぇな、ここじゃ回復はもう無理だ。人が多すぎて魔石も切らしちまった。2、3日したら素材やら買い付けに行くが……」
とのこと。
プレイヤーが一気に押しかけたせいで規模が大きいとはいえ集落レベルのここでは追いつかない、というのが現状らしい。
「どうしますか?幸い普段あまり使わない槍の方はまだ耐久値はそこそこありますけど……」
「わたしたち後衛組は魔法があるからいいけど〜……」
「うーん、一旦引き返すにしてもだなぁ……仕方がない、戦闘を全力で避けて一気に行くか。」
「あれ、でも、ボス戦は?」
「第三の街までは一度開放されたボスは挑戦しなくても問題ないし、何度も挑戦できる。だから今回は後回し。第三の街には神殿があるから、第一の街にはいつでも飛べるし。」
「でも、案内はどうするの〜順番待ち、すごいよ〜?」
「そうだね、これじゃそれこそ何日か待たなきゃなんじゃないかな?」
「案内がなくても行けないことは無い。地図を買えれば方角さえ抑えておけばたどり着ける。時間はかかるけど。」
結局、今回は自分たちで森を突っ切ることに決まり、移動は明日やることに。
ちょっと短いが、明日もあるからと今日はログアウトすることに。したのだが
「ねえ君たち。」
「あん?」
なんで喧嘩腰なのねねは……
「よかったら俺たちとパーティ組まない?」
「次の街行くために待ってたんだけど、人多すぎてだるいからさ。」
そこにいたのは二人の男性。片方はチャラそうな印象を受けるがかっこいい容姿のプレイヤー。もう一人は黒髪黒目と、珍しいほとんどキャラをいじっていない様子のプレイヤー。こっちは普通?
「いや、私らフルパーティだから。」
「いやほら、二組に別れてさ、そっちの方が効率いいし、人数多い方が楽しいじゃん。」
「んじゃあんたら二人と私ら五人の二手に別れればいい。効率を考えてスタート位置も時間もばらばらがいいな。」
「いやいや、ほら、女の子ばっかりじゃ危ないだろう?君らもどうかな?俺たちと、さ?」
「わたしは遠慮します〜」
「私もいいですね、五人で十分ですし、問題ないです。」
「わ、私も、このままでいいかな……」
「と言うわけだ」
待って私まだ何も言ってないけど。
「おい、いいじゃねぇかよ!」
「そうだよ、パーティ組まなくても、一緒に行こうよ。」
「俺なんか種族レベル28だぜ?こっちは25、な、つえーだろ?」
「あー、だったら尚更いいよ。私らの最高レベル40超だから。」
それピートくんだよね?
「はぁ!?いやいや、おかしーだろ!なんでそんなレベルなのに第三の街すら行ってねえんだよ!」
「そうだよ、嘘をつくにしてももうちょっとましな嘘をつきなよ。流石に怒られても仕方ないよ?」
うわぁ、めんどくさいなぁ……
さっきからブレアさんやこひこひの胸元をチラチラ見てるし……
胸元……
別に見られたくなんかないし……
「うぅ……」
「とりあえずお姉ちゃんもなんとかする努力を見せてよ……振りでもいいから。」
はっ、非常な現実に打ちひしがられてる場合じゃない。
「んもー、面倒臭いなぁ。ねね、これ周りに言ったら助けてくれないの?」
チラチラこっち見てる視線はあるし、助けを呼べばきてくれそうなものだけど。
「んー……ただのナンパだし、無視すりゃいいんだけど……」
「おいおい、無視とかひでぇーなぁ。いいじゃねぇかよ、ちょっとパーティ組んで移動するだけじゃん。」
「メリットが無いじゃんか。」
「だから、俺たち強いって。俺は違うけど、こいつはテスターだぜ?かなりやるぞ?」
「テスターだったらうちも二人いますよ。」
「え、そうなんだ?なら尚更一緒がいいな。情報交換とかしたいし。」
む、これは……
「(これって、ねねとこいがテスターだって知っててきたんじゃない?)」
「(そうかも〜。多分寄生というか、おこぼれに預かりたいんじゃないかな〜?)」
こいに耳打ちし、確認する。こいもそうだろうと思っているらしく、面倒くさそうにちょっと顔を顰めている。
「いいじゃねえかよ、テスター同士の情報交換。お互いの利益になる。ほら、メリットができたじゃねーか!」
「私らが持つ情報と同じ価値の情報を持っているとは思えないし、情報交換なら掲示板で十分。パーティを組む理由にはならないし、何よりこっちはフルメンバー。そっちの方がレベルが高かろうとこっちの方がパーティ単位では強い。」
「おいおい、そこまで言うんならレベル教えろよ。こっちは教えたしよ。」
「教える必要は無いと思うけど?勝手に言っただけだし。本当かどうかもわかんないし。」
「んだと!ガキのくせに調子乗ってんじゃねぇぞ?」
「まあ落ち着け……(ごにょ……)」
何やら耳打ちしている黒髪さん。
と、チャラそうな人がにやりと笑う。
「じゃあこれでどうだ?決闘しようじゃねーか!」
「は?」
「俺とお前らの誰かが戦って、お前らが勝ったら俺らは諦める。俺らが勝ったらパーティ組んで街へ行く。どうだ?」
「は?受けるわけないだろそんなの。」
「そうです。受ける理由も必要もありません。」
「おいおい、レベル40超のつよーいやつが居るんだろ?だったら問題ねーじゃねーか。」
何を言ってるのかな……もういっそピートくんで不意打ち……いやダメだ。絶対面倒なことになる……
「待てよ……」
と、何やら考え始めるねね。
「ちょっと相談する。」
「おういいぜ?待っててやるよ。」
ねねがこちらへ振り返り小声で話し出す。
「(この決闘、受けようと思う。)」
「(え!?受けるんですか!でも、どうして……?)」
「(条件を追加する。アイツらの有り金とか装備とか、な。)」
「(でもこっちに賭けれる物ってあるっけ?)」
あ、ピートくんの情報とかかな?
「(ムカ……ピートくんの情報だな。はっきり言ってこれだけでも満足するだろう。あっちの黒髪はまじで情報狙いに来てる。誰かにムカd……ピートくんのこと知られたかもしれん。)」
「(なるほど……でも、それだけだといささかこちらの方が勝った時の旨みが少ないのでは?)」
妹が黒いよ……
「(まあまあ、考えがある。周りはプレイヤーで溢れてる。言っても五、六十ってところか?まあ、それだけ居ればちょっとした騒ぎには十分な人数だ。)」
騒ぎ?
「(賭けだよ。賭け。トトカルチョで盛り上げるんだ。)」
「(えっと、それがなんの得になるのかな?)」
「(まあそのへんは後でだ。こい、連絡とってくれ。ドラッカンあたりだと盛り上がる。)」
「(りょ〜か〜い)」
ドラッカンさん?て人に連絡とってどうするんだろう?というか、それ以前に。
「(結局、誰が戦うの?)」
「(あー、それ決めないと。)」
「(とりあえずはこの条件を飲ませましょう。あと、武器の耐久がまずいねね先輩とこい先輩は厳しい気が……)」
「そうだな……とりあえず話してくるわ。おい、そこの2人組。」
「やっと決まったか?おせーよ。」
ねねが条件を話している間に誰が戦うか話し合う。
「んー、やっぱり私でしょうか?槍なら大丈夫ですし、鎧もまだ平気ですし。」
「わたしはパスかな……後衛だし……わたしとしてはねねさんかコーデリアちゃんがいいと思うよ。」
「んー、私はねねかなぁ。」
「わたしは〜コカゲっちかな〜?」
「「「え?」」」
なんで私?そりゃ魔法職だし、耐久値そんなに関係ないけど。
「《眷属召喚》にアンデットさんたちがいるしね〜。一対一なら複数呼べるコカゲっちのスキルは有利かな〜って」
「なるほど……」
「確かに……それに前衛みたいに前でも戦えるし……」
「私は後衛なんだけど?」
「「「え?」」」
「なんでそこでハモる……」
前に出てるのは回復のためなのに。
「おーい、条件通った、ただ、追加で戦うヤツ指名された。」
「え、誰?」
まさか私じゃないだろう
「えっと、コカゲだ。」
ん?
「ん?」
え、なんで私?
「多分鑑定持ちだな。レベルが一番低いコカゲを狙われたってわけだ。」
「え、私が一番低いの?」
「私は種族26職業15だ。」
「私は種族22で、職業は16ですね。」
「わたしは〜えっと、種族が31で、職業が17だよ〜」
「わ、わたしは種族24の職業14だよ。」
私が一番低い……だと……!?
「というか待ってこいのレベル高すぎない!?」
「頑張ったの〜」
「頑張ったら上がるのでしょうか……」
「こいつはほら、徹夜だ。」
「「「あー」」」
予想以上差をつけられてた……コーデリアよりも、プレイ時間が一番短いコーデリアよりもレベルが低いなんて……
「流石レア種族。経験値ブーストすごいな。」
こ、ここでレアリティの差だと……!?そうだよ、相手のレベル結構高いし、私アンデットでかなり弱いよ!
「……うぅ、みんな、ごめんね勝てなくて……」
「なんで最初から負けてるんだよ……」
いやいや、こんなの無理でしょ……勝てっこないって。
「mobならまだしもプレイヤーとなんて……」
ああ、なんでまたプレイヤーなんかと……
「コカゲ。」
「……何……?」
「ムk……ピートくん、使ってもいい。というか、盛大に広めちまえ。」
「……え?いや、ダメでしょ!」
貴重な情報だし。
「負けると思うくらいなら思いっきりやっちまえ。」
「でも……」
「私は勝てると思うけどな。」
「いや、でも……」
「まあ、不安ならピートくん使えばいい。ま、それで負けたらそん時はそん時だ。」
「い、いや、ピートくん使えば流石に……」
「今のコカゲなら負けそうだな。」
む
「普段負けず嫌いで、最初テスターに襲われた時も勝てたのに、今は弱腰だし。」
「それは……」
みんなに迷惑が……
「いつもならここで勝ってやるくらい言いそうなのに。」
そりゃまあ、普通のゲームなら言ってるね。たいてい勝てないけど。
「レベル差くらい覆せるだろ?」
確かに……テスターとやった時は勝てた。
「コカゲ、今お前はあいつらに馬鹿にされてんだぞ?」
そうだ。レベルが低いからと侮られている。
「悔しいだろう?」
「もちろん」
反射的に答えていた。
杖を握り、スキルを確認し、敵を見る。
「お、ヤル気になったか?じゃあ、やろうぜ?」
決闘の申請が届く。
デスマッチ一歩手前、HPが十分の一になるか、降参を宣下するかの基本設定。
アイテムなし、それ以外の制限は一切ない。
相手は、竜人かな?パッと見はわかんない。蛇の獣人かもしれない。
武器は長剣。鎧は皮鎧。
私は木の杖に布と包帯とローブ
正直厳しいし、何より前衛と後衛。普通ありえないだろう……
でも
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「よっしゃ行くぜ!」
「……」
杖を構えた。
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