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コカゲの受難

今回、不快に思われる内容がありますが、ご了承ください。


また、少々短めです。

 《気配遮断》でそばを通っても気づかれないので、《握力強化·小》《毒爪》《呪い》《引っ掻き》《瘴気》でもはや凶器とかした手で頭や首を掴む。さらにそこに《吸収回復》でHPやMPを吸収しておく。そして手の中に残った死体を《解体》でばらし、ドロップと解体で手に入るアイテムをしっかりとインベントリに収めていく。


 たまに解体せずに死体を残し《眷属化》や《屍操作》で動かしレベルを上げる。


 現在私達はパーティを組んで第三の街へ向かっている途中である。まあまずは第二の街だけど。


 昨日のボス戦を終えたあと、一度ログアウトし、普通に学校に行き、そして放課後家に帰りすぐログインし、今に至る。ゲーム内では午後七時を回ったくらい。暗くてある意味狩り日和である。


 ブレアさんの種族の関係上、私がパーティに入るとステータスにマイナス補正がかかるので私とねねねね!とが組み、こひこひ、コーデリア、そしてブレアさんの3人の2パーティに分かれている。


 ついでにピートくんを召喚、レッサーレイス、レッサーゴースト、レッサーワイトをクリエイト、そしてレッサーゴースト2体とレッサーレイスを憑依させている。私ひとりでフルメンバーだけど、クリエイト系のmobはパーティメンバーとしては扱われないらしい。眷属とはまた違うようだ。


 互いの連携も見たいところだけど今は移動が優先される。


 え?兎狩ってるって?これは道中に拾ってるだけだからノーカウント。


 実際時間はかからない。足元にいる兎をむんずと掴む。それだけだから。【魂の粉】も結構ドロップしたおかげでレイスとゴーストはクリエイトできる。ただ、まだレッサーミストの素材がわからない。ほんと何が必要なんだろう?ちなみにワイトは【骨】系アイテムと【魂の粉】だった。


「見事なもんだなぁ……」


「ん?まあ、《気配遮断》のおかげで兎なら気づかないからねー」


 兎だけでなく、猪、レベルによっては蛇にも気づかれない。森みたいな遮蔽物が多い場所になれば索敵範囲の広い鷹にも見つからない。


「私もとるかな。盗賊というか、斥候系のキャラになってるし。」


「いいんじゃない?正直後衛に必要なスキルか、って言われるとむしろ斥候みたいな特殊な前衛の方が必要だと思うよ。」


「ん、だよな。じゃあとるか。」


「え、足りるの?」


 確かポイント10ポイントのそこそこお高いスキルだったはず……


「ムカd「ピギィッ!」……ピートくん倒した時のレベルアップで潤ったからなー。コカゲみたいに一気にスキル取らないから、普通。」


 うぐ、たしかに、スキルポイントがいっぱいだったから一気にとっちゃったけど……やっぱり少しは残しておくべきだったかな?


「ま、でも、コカゲのやりたい様にやるのが一番だよ。」


「ん……ありがと」


 そうやってしばらく進めばピートくんと出会った森に到着する。まあまっすぐ進むだけだけど。光源が必要になるが、ブレアさんが光魔法持ってるおかげで問題ない。私は《夜目》も持っているし万全だ。


「よし、まずは森を抜けて、そっからはまた草原だ。」


 第一の街のフィールドは草原と森、その森の外側は第二の街のフィールドだ。


「ボスはどうするんですか?」


「倒していくか?正直過剰戦力だぞ?」


「まあ、いいんじゃないかな〜?パーティ二つに分かれてるから共闘でペナルティーかかっちゃうけど〜」


「あー、このボスワンパーティか。まあ、そんなに酷いペナルティーないだろうしやっちゃうか。」


「わ、私も頑張るよ!」


「ちなみにどんなボスなのかな?」


「ここのボスは変わってなければ近森の主って名前の熊だな。物理攻撃が高くて魔法に対する耐性が少しある。一応、唯一魔法を使ってくるボスだな。」


 おぉ、ついに魔法を使うボス!って、ピートくんが一応土魔法使ってたんだった。


「とりあえず、やっちゃおっか〜」



 30分後、森を抜け、草原へと出る。ボス戦?ピートくんの《巻き付き》で拘束して袋叩きでした。何度かボスにヒールかけてスキルのレベル上げしようとしたけど格下だからか上がらなかった。あ、《眷属化》は失敗しました。


 なので《屍操作》で死体を操ろう、と思ったんだけど……


「よっと、解体するぞー。」


「あ、お願いします」


「分配は後でね〜」


「コカゲも手伝ってくれ。流石にでかい。」


「あ、うん」


 という感じですっかり忘れてた。まあ、その分ドロップが増えるけど。


 草原はプレイヤーがちらほらいて、モンスターは猪が表に出てきて、鷹が空を飛んでいるのが見えるようになったくらい。レベルは多少上がってるっぽいけど正直あんまり変わらない。


「第二の街はこの草原の先にある。んで、第三の街はそこの森の何倍も深い森が間にあって、そこを抜けることで行ける。森の難易度はこの草原の3倍くらい。ボスに至っては近森の主の10倍くらい強い。」


 それってバランスどうなの?


「ただ、第三の街は大きな街で、装備やらが一気に充実し出す。だから森でしっかりレベル上げりゃ問題ない。」


「そんなに充実してるんですか?」


 たしかに、第一の街では凄腕職人さんたちのおかげでかなりいい装備をゲット出来たわけだし。そんなに差が出るとは思えないんだけど。


「私らはあいつらが引き継いだアイテム、第三の街までで入手できるやつで、それも予算とレベルを考えて作ったからな。単純に第三の街では私らのレベルが上がることと、設備の向上、素材の安定のおかげでかなり充実してくるんだ。」


「第二の街は逆にポーション関係が充実してるんだよ〜」


「「なるほど」」


「ちなみに第三の街は鉱石がとれる岩場と山、食材が取れる山と川と森、第四、第五の街に続く街道のある大きな山と平原に囲まれてる。まあ、豊かな自然とそれをもとにした発展をしてる街だ。序盤の街最大にして最難関の街でもある。」


「ほえー……」


「な、なんだか凄そうですね……」


「βだと第三の街までだったから、もっと大きな街もあるとは思うけどね〜」


 ちなみに今までの会話は歩きながら行われており、遭遇する敵は自動砲台とかした死霊たちとピートくんによって殲滅されていた。ピートくんは地面からの奇襲に限定させているが、はっきり言ってオーバーキルだ。


 無論、ただ喋ってるだけでなく、その都度モンスターも倒している。


 ねねねね!は《投擲》と《風魔法適正》を駆使し確実にダメージを与えている。


 コーデリアはピートくんたちがうち漏らした敵の攻撃を防ぎ、たまにカウンターをぶつけている。


 こひこひは触肢も含めた鞭(触肢って鞭に入るのかな?)で範囲内の敵を叩きのめしていた。


 ブレアさんはその都度で攻撃力をあげてたり防御力をあげてたり、正しく支援職の行動をしていた。


 私はみんなが作り出す死体を解体し、《眷属化》をかけたり《屍操作》で数分動かし改めて解体する、といったことをしていた。戦闘に貢献?死霊たちとピートくんが頑張ってるので問題ない!


 そんなこんなで歩いていけば第二の街。戦闘の時間も入れて第一の街からだいたい4時間ちょっと?草原から森を抜けるまでがだいたい二時間だから、結構遠い、かな?もうすっかり真っ暗だ。まあ、移動に集中すればもっと短い時間でこれそうだったけど。


「とりあえずここで休憩と消耗品の補充。ログアウトするなら早めに頼む。」


 と、いうわけで再びログアウト。七時前でちょうど食事時。ラッキー!今日のご飯はカレーだ!


「都子、梢、ゲームばっかりはダメだぞ?ちゃんと宿題や勉強もして、しっかり寝るんだぞ?」


「大丈夫だよ、課題は学校で済ませたし、テストはバッチリ、問題ないしね。」


 嘘です見栄を張りましたごめんなさい。あ、課題はちゃんと済ませたよ?


「私は第三の街まで行くのきついかも……明日も朝練だし、夏休み入ったら合宿と試合が……」


「あ、そっか。じゃあ、それ連絡して今日は切り上げとく?」


 そのへんは友人達、学生のため聞いてくれるだろう。いよいよの時は《伐採》が必要な私がねねあたりと先に行っちゃえばアイテムは問題ないかもだし。


「ん……じゃあ、先輩に連絡お願いできる?」


「ん、今言っとくね。」


 お母さんから食事中よと注意を受けつつ手早く梢の事情を伝える。


『リョーカイ、今日は二の街で解散。あとは各自自由。明日は時間をずらして九時集合で。』


 梢にも伝え、色々済ませてもう一度だけログインする。ゲームだけあって、なおかつ冒険者なんか相手にしているからか、そこそこ遅い時間でもほとんどのお店は開いているようだ。


「あの、すいませーん」


 薬屋さんは留守かな?開いてるけど……


「ああ、すまんね。ちょっと裏にいたものだから。」


「あ、いえ、大丈夫です。」


 出てきたのは人が良さげなおじさんだ。プレイヤーかと思ったが《生命感知》によれば黄色、つまりNPCだ。


「えっと、MPを回復するポーションってありますか?」


「ああ、ある……って、な、なんでアンデットがここに!?」


 うわ、時間差……えっと、どうしよう、普通に神殿の時みたいな反応でいいのかな……


「あ、えと。私は、理性ある屍人で……」


「アンデットには変わらないじゃないか!出ていけ!攻撃しないだけでもありがたいと思え!」


 えー……第一の街じゃこんなことなかったのに……一体どうして……って、これ、まずくない?ログアウトは適当な場所で固まってしたけど……宿とか泊まれないんじゃ……


「早く出ていけ!浄化するぞ!」


 すっごい怒られるのでとぼとぼ店を出る。と、ばったりねねねね!に遭遇する。


「あれ?どした?なんか元気ないけど……?」


「それが……」


 私はさっきのことをねねねね!に伝える。するとねねねね!から、こう、殺気的なものが……


「ちょっと店主殺ってくる。その後運営に質問を……」


「いや、殺しちゃダメだよ!?落ち着いて、ね?」


 ねねねね!の肩を抑え引き止める。


「コカゲがそういうなら……」


「とりあえず今は店主さんより宿に入れるのかが重要だよ……」


「テストの時は何も無かったんだが……うーん。この街の宿は小さいからな……野宿の方が早いかもしれないな。」


 とにかく宿にいく。一度全員集合して宿屋へ。


「すいません。宿泊、一泊で、食事も頼む。5人だけど大丈夫です?」


「はいはい、5名様……っと、ちょっとお待ちを……」


 奥に引っ込む受付さん。なんだかえらい人っぽい人が出てきたけど……


「5名、とのことですが。」


「はい、ここにいる5人で宿泊をお願いしたいんだけど」


「……ここにいらっしゃるのは4名様だけです。あとは一体アンデットがいますが、誰かの使役獣か何か、でしょうか?」


「この子は種族として認められた屍人族で、理性ある屍人だが?」


「アンデットには変わりないのでは?そちらのアルラウネですか?彼女達は比較的人族と交流がありますが、死体と仲良くするなど」


「おい」


 ねねから殺気が発せられる。他のみんなも怒っているのがわかる。


「ふざけるなよ?5名、1泊、食事付き。問題は無いはずだが?」


「お怒りになられてもお断りさせていただきます。4名様は問題なく泊まれます。そこのアンデットは」


「ふっ!」


 店主の首に宛てがわれる剣。


「ちょ、ねねっ!」


「……なんの真似ですかな?」


「客を侮辱するのがお前達の仕事か?ならお前ら捕まえて憲兵に事情話せば侮辱罪あたりでしょっぴいてもらえそうだ。」


「アンデットはアンデット。死体に提供する部屋もサービスもない。なぜそれで侮辱になるのかわかりませんな。今ここで私が助けを求めれば捕まるのはあなた達でしょうな。」


 ねねねね!からの殺気がすごいし、宿屋の店主?も平然としてるのがすごい。みんなもすごい怒ってるし……


「ね、ねね、いいよ。私ほら、睡眠も食事も必要ないし、適当に野宿しておくよ……」


 私のせいでみんなに迷惑かけるのは嫌なので早々に引き下がる……のだが。


「ああ、出ていくのか。ちゃんと街から出ていけよ?お前みたいなのがいると怖くて夜も眠れんからな。」


 しっしっと、手を振る店主。


 ぶちっ


 あ、まずい


「ねね!暗黒面!」


「げっ!?落ち着けこひっ!」


「先輩ストップ、ストップです!」


「ふふふふふふふ」


 コーデリアとねねねね!とでこひこひを抑える。暗黒面が解放されてるこひこひは容赦と躊躇が無くなるので落ち着かせないとどうなるかわからないのだ。


「おい、恋、ここでキレてこいつボコッたり殺しちまったらコカゲが悲しむぞ!」


「……でも……」


「こいちゃん、大丈夫、大丈夫だからね?ほら、私気にしてないし。みんな心配してくれてすっごい嬉しいし」


「……ん……わかった……」


 こひこひから力が抜け、今にも振るわれそうだった触肢と鞭が下ろされる。


「ふん、茶番は終わったか?とにかくアンデットは」


「黙ってろクズ、こんな宿に払う金はねぇ。私らはよそに行く。この宿のことはきっちり他の奴にも伝えておく。」


 それだけ言うと出ていくねねねね!。みんなもあとについて出ていく。私も宿から出ようとした時。後ろから


「ふんっ、アンデットを泊めなかったことで評判が落ちるわけないだろう。捕まるのはお前らだ。」


 と聞こえた。


 正直どうなのかわからない。悪いのはこっちだったら、ねねたちが犯罪者とかに……


「まずは宿か野宿用のテントを買う。あとは運営に連絡だな。流石にこれはゲームでもひどすぎる。アンデットを選んだプレイヤーにデメリットしかない。」


「ですね……流石にお姉ちゃんが可哀想すぎです……」


「え、えっと……げ、元気だしてね、コカゲさん……」


「あ、ありがとう、ブレアさん。私は大丈夫だよ」


 そして街を周り宿泊施設を尋ねるがどこもアンデットお断り。大体の施設は使用不可。憲兵の詰め所で事情話してもアンデットである私が悪い、とのこと。幸い罪には問われなかったが、もし私が迷惑行為を一回でもすれば捕縛ではなく討伐される、とのこと。


「……えっと、私適当に外で野宿してくるよ……」


「いや、だったら私らも野宿する。とりあえずこのことを掲示板に載せて、運営に抗議のメール送っておく。くっそ、第一の街じゃこんなこと……」


 ブレアさんが一応小さなテントを持っているらしく、もう一つ小さめのを買い、寝袋を人数分買う。(私は買えないのでお金だけ出しただけだけど)


 草原に出て水辺に近いところでテントを立て、野宿の準備をする。


「ごめんねみんな、私のせいで……」


「いやいや、コカゲのせいじゃない。これは正直予想外すぎた。悪いのは運営だ。」


 テキパキとテントを立てるねね。


「そうだよ〜、気に、気にしなくっていいからね?」


 優しく頭を撫でてくれるこい。


「まったく、あの店主は……憲兵も動かないってことはやっぱりそういう世界観なんでしょうか……」


 深く考えてくれる梢。


「え、えと、わたしは出来ること少ないけど、助けが必要な時は頑張るよ!」


 励ましてくれるブレアさん。


 みんないい人だ……


「うん……みんなありがとう!」


 それからしばらく雑談をし、今日はそこで解散となった。


 早く第三の街に行きたいな。


誤字脱字等ございましたらご報告お願いします。


時間に齟齬があったので修正しました。


朝の九時→午後七時

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