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憑きモノ王子とダークな騎士団  作者: 漆之黒褐
第1章 『憑きモノ王子の旅立ち』
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第14話 奥義

『いざ、尋常に』


『「勝負!」』


 その次の瞬間。

 リースの身体にジーザスの拳が突き刺さっていた。


 間違う筈が無い。

 この痛みは――本物。


 それに気が付き、俺は敗北を悟った。

 この第二の人生の終わりを受け入れた。


『(ありがとな、ゴザル。最後に良い夢が見れた)』




 雷の 時越え旅で 死する生

 欲満たぬとて 悔いも残らぬ


 滝川一騎 時世の句




『(何を言っておるのだ?! 早く回復せよっ!!)』


 忘れていた。

 俺には起死回生の一手が。


 奥義、カオスヒール!


「ば、馬鹿な……」


 逆転、一発。

 瀕死の状態から全回復したリースの攻撃が決まり、ジーザスが倒れる。

 騙し討ち万歳。

 チート最強。




[ケイがレベルアップしました!]


★名前 リース...(憑依:慶)

★種族 混沌の民  ★性別 男性

★職業 格闘士見習いLv22(21アップ)


★基礎ステータス

 STR 13(7アップ)  VIT 5(3アップ)

 AGI 11(6アップ)  DEX 9(5アップ)

 INT 2 (1アップ)  MND 3(2アップ)

 CHR 41(14アップ) LUK 1 (+1)


★所持スキル

 格闘術(10)  拳撃(3)  脚撃(1)  回避(4)  受け流し(4)


★所持法術

 カオスヒール(1)


★所持職業一覧

 ロードLv25  動物使い見習いLv11  剥取士見習いLv5  格闘士見習いLv22  処刑人見習いLv1




 レベルアップ万歳。

 新規スキル取得万歳。

 やはり世界は俺を中心に回っている。


 それにしても、CHRだけやたらとあがる。

 リースの魅力は世界トップクラスとみた。


『(吃驚させるな。死ぬかと思ったぞ)』


『(悪い。ゴザルの戦いがあまりに凄すぎて、綺麗サッパリ頭から消えていた)』


『(左様か。まぁ結果が良ければ全て良しで御座るな)』


『(だな)』


 慶……もとい、ゴザルとは何だか気が合いそうだった。


『(あとはカズキ殿に任せても良いかな?)』


『(引き受けた。ゆっくり休んでくれ)』


『(かたじけない)』


「(この身体は僕の身体です!)」


『『(お?)』』


 リースに身体の主導権を奪われた。

 カオスヒールを使った事で、リースの意識も全快してしまったらしい。

 短い期間でカオスヒールを2度使ったので、MP切れで精神的には辛い状態にあったが。


「(これ以上、カズキ達の好きにはさせません!)」


 そんな気合いでリースは推し通してきた。


「大丈夫ですか? えっと……」


 そして真っ先にしたのはディーネへの気遣いだった。

 リースも男という事か。


「(カズキ、名前。あと、説明)」


 リースの心の声がちょっと怖い。

 大幅カットでリースにディーネとの経緯を説明。


「ディーネ、助けに入ってくれてありがとうございます」


「? 礼など不要だ。借りを返すために私が勝手にやったことだ」


 ディーネが訝しんでいた。

 まぁそうだろう。

 俺とリースでは口調も雰囲気もまるで違う。

 何しろ別人なのだから。


『(口だけハイジャック)』


「(あ、こら。また……)」


 俺も日々成長している。

 部分支配など容易い事。

 こんな事もあろうかと、口・喉・肺の3箇所は優先して練習していた。


『ふっ、借りが増えたな。これで3つ」


 指を3本立てる。

 四肢は比較的操り易いので、初日に部分支配成功済。


「勝手に増やすな。借りは2つだ」


『いや、3つだな。俺のファーストキスを強引に奪った罪の分がある』


「なななななっ! あ、あああああ、あああ、あれ、あれあれれ、あれ、あれはっ!!」


 キスの件を持ち出した、クールな美人が一転してあわわし始めた。


「(え? 僕、ファーストキスじゃありませんけど?)」


『(外野、五月蝿い。というか、その年で俺より進んでいるのか……)』


「(が、外野って……)」


 絶句するリース。

 地味にショックを受けている俺。

 詳細を聞くのが怖い。


 そう言えばディーネと口吻を交わしたというのに、リースからはまるで動揺が伝わってこなかった。

 あったのはちょっとした驚きだけ。

 詳細を聞くのが怖い。

 本当に、どこまで進んでいるのか……。


『とりあえず、落ち着け。そして俺の物になれ』


「それは断る」


 俺の決死の告白は再び玉砕。

 今度は告白というより命令だったが。

 ジーザスの言葉に支配されていたから、もしかしたらと思ったのだが。

 奴隷の制約が俺にも適応されると信じたのだが。

 人生、そんなに甘くない。


 しかもディーネは素に戻ってしまった。

 ピュアだったり、クールだったり。

 面白い性格をしている。

 ますます手元に置いておきたくなった。


「兎に角、借りは2つだ。良いな?」


『はいはい。分かった分かった』


「「はい」は一回だ」


 頭を鷲掴みにされ、首筋にナイフを当てられ脅された。

 顔がまだ赤いのでディーネの混乱は継続中。

 頭がミシミシいっている。

 痛い。


 もうここではやる事がないからだろう。

 ディーネが身を翻し、森の中へと颯爽と消えていく。

 無駄に格好良かった。


 ――脳内地図を確認。

 青い点がリースを中心に物凄い勢いで半円を描く。

 そしてリースの背後にピタッと。


 ……。


 90度、方向転換してみる。

 青い点も90度移動した。

 そんなに後ろを取るのが好きなのか……。


 森の中に静寂が訪れた。


『(ようやく落ち着いて話せるな)』


「(……先にレオン達を弔ってあげたいのですが)」


『(勝手に殺してやるな。まだ生きてるぞ?)』


「(え?)」


 どうやらリースはレオン達が殺されたものと思っていたらしい。

 直接確認した訳でもないのに。

 何気に酷いリースだった。


 リースにも見える様に、俺の脳内地図を視界に表示させる。

 レオン達のを示す点は地図上に表示されていた。

 ちょっと薄めの青。

 それ以外にも、赤い点が地図上には盛り沢山。


 【鑑定】スキルもそうだが、俺の持っているスキルは俺が使用許可を出していないとリース達は使えない。

 許可を出していても、リース達が使おうと思わなければ当然発動しない。

 逆に、許可を出していなくとも、俺は自由にリース達にその効果を見せる事が出来る。


 地獄の沙汰も金次第。

 スキルの沙汰は俺次第。

 優越感。


『(次のチャンスはいつになるか分からない。互いの事を知るには今しかないだろう)』


「(そうですね)」


『(……まぁ良かろう)』


 首尾良く、3人目の同意も得られた。

 ならば、ここが攻め時。


『(まずは自己紹介を頼めるか? 未だだんまりの、4人目の(ヽヽヽヽ)誰かさん)』


 そう問いかけた瞬間。

 リースのともゴザルのとも違う驚きの感情が、俺の中に流れ込んできた。





リースはディーネをじっとみつめている。


デ「?」

リ「(ようやくまともな人が現れてくれた……)」

K「(む、失礼な。拙者はまともで御座るよ)」


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