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夜の海で美少女ギャルをナンパしたら、お持ち帰りできちゃった理由。  作者: あざね
第1章

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3.鬩ぎ合い。






 一方その頃、アパートに残った燈子。

 彼女は部屋の中を掃除しながら、爽汰が出しっぱなしにしている雑誌の類に目を通していた。霊体であるとはいえど、同年代ほどの男の子が何に興味を持っているかは気になるもの。

 そんなわけで、まずはいかにもグラビア雑誌というものを開いた。



「ふぅん……? 案外、キレイ系よりも可愛い系の方が好きなのかな」



 そして躊躇うことなく、水着姿の女性たちを観察する。

 爽汰の趣味かどうかは分からないが、そこに載っているのは愛らしい容姿の女の子が多かった。とはいえども、たった一つの証拠だけで決めつけるのは良くない。

 そう考えた燈子は雑誌を棚に並べ、ふとあることに気付くのだった。



「ん……板張りの裏に、スペースがある?」



 それというのも、一見して何の変哲もない本棚。

 だが、しっかり観察してみると奥行きに違和感があった。どうやら意図的にスペースを作って、何かを隠しているようだ。鋭い勘でそのことを察した彼女は、小さく意地悪な笑みを浮かべて突破を試みる。


 そうやって格闘すること数分。

 もとより強固でもない牙城はものの見事に崩され、中に隠された秘宝が露わになった。それらもまた書物のようだが、何やら先ほどまでと毛色が違う。



「ほほぉ……!」



 燈子はそれを開き、内容を確認して思わず声を上げた。

 そして今度は、先ほどよりも大きく小悪魔的な笑みを浮かべる。



「これはいっそ、期待に応えた方がいいよねぇ……?」



 彼女はそう呟くと、おもむろに爽汰のワイシャツを脱ぎ始めるのだった。







 まだまだ暑さの残る頃合い。

 自転車で買い出しに行くだけでも、大量の汗が噴き出してきた。これはアパートに戻ったら、ささっとシャワーでも浴びた方が良いだろう。俺はそう考えながら愛車を指定の位置に止めて、鍵をかけた。そしていつものように、自分の部屋へ向かった。



「………………」



 そこでふと鍵を開ける手が止まる。

 考えてみれば、中にはトーコさんがいるのだ。滅多なことはないかもしれないが、念のためにノックをするべきだろうか。

 そこまで思考を巡らせて、俺は仕方なしに彼女へ確認を取ることにした。



「ただいまー、トーコさーん? 入るよー?」



 そして、コンコンと聞こえるように。

 返事は特になかったが、これで何かあっても自分に非はないだろう。そう思うことにして、俺は鍵を開けてドアノブに手をかけ中に入った。

 その瞬間だ。




「おかえりなさいませ、ご主人様っ!」




 そこになぜか、エプロン姿のトーコさんがいたのは。

 満面の笑みを浮かべる彼女は、若干前かがみになりながら上目遣いにこちらを見てくる。そんな姿勢になってようやく気付いたのだが、いまの彼女は――。



「ちょ、なんてカッコして……!?」



 いつも着ている水着すら脱いだうえに、エプロンを羽織っている……!

 要するに男のロマンたる『アレ』なのだが、たわわな二つの果実を内に寄せて強調する姿は想像以上の衝撃があった。昨日までの『水着があるし』という前提が取り払われることで、最大級の衝撃で脳天を殴られたようなダメージがあった。

 この状況は何なのか。

 俺はその理由を必死に考え、ふと部屋の奥にある本棚を見た。



「ま、まさか……見たのか!?」



 そして、すべてを察する。

 つまるところ彼女は、俺の秘蔵コレクションを盗み見てからかっているのだ。そういうことならば、こちらにも考えがある。悪戯をするということは、やり返される覚悟があるということ。

 俺は一つ呼吸を整えてから、



「……あー、ごほん。メイドなら、ご主人様の命令は絶対だよな」

「えぇ、もちろんです! 何なりとお申し付けくださいっ!」



 そう言質を取る。

 どうやら彼女はまだ、こちらの策略に気付いていないらしい。

 そのことを確かめてから俺は、もう一つ咳払いをしてトーコに告げるのだった。




「それじゃあ、シャワーで背中を流してもらおうかな?」

「……ふえ?」




 すると彼女は、キョトンとした顔になる。

 そして自分の置かれている状況を察するまで数秒の間を空けてから、



「や、ややややややや、だ……駄目だと思うなぁ、それはっ!?」



 途端に顔を真っ赤にして、後ずさりするのだった。

 そこにはもう、先ほどまでのからかうような表情はない。むしろ追い込まれたネズミのように狼狽えて、耳までほんのりと朱に染めていた。

 どうやら彼女、不意打ちに弱いらしい。


 しかし、これは罰なのだ。

 他人の趣味を覗き見したのだから、それ相応の反撃はあって然るべき。そう考えた俺はトドメに荷物を置いてから、上着を脱ぎつつ脱衣所へ向かう。

 そして、こう言い残すのだった。



「今回は俺の勝ち、だね」――と。




 いつもやられっぱなしでは、俺もさすがに立つ瀬がない。

 だが今回に限っては男としての面目躍如、といったところだった。




「それじゃ、俺はシャワー浴びるから」

「………………」




 ――そんなわけで。

 俺は赤面して立ち尽くすトーコを放置して、風呂場へ向かったのだった。



 


こんな人生が良かったなぁ←こら

※次回更新、2025年11月8日19時ごろ予定。

→明日へ延期m(__)m


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