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夜の海で美少女ギャルをナンパしたら、お持ち帰りできちゃった理由。  作者: あざね
第1章

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4/6

1.トーコの過去。

ここから第1章






「まさか、女の子と同棲することになるとは……幽霊、だけど」



 俺は壁に背をもたれながら、ふとキッチンにいるシャツ姿の女の子を見た。

 いうまでもなく、トーコのことなのだが。彼女は楽しげに鼻歌などを口遊みながら、余りものの総菜で朝食を作ってくれていた。

 偏見は良くないのだろうが、昨日の塩むすびや味噌汁といい、彼女は料理が得意らしい。いいや、得意というよりも好き、というべきか。



「ソータくん、苦手なものってある?」

「いや、基本的にはないよ」

「そかそか」



 時々に、こちらを振り返って声をかけてくる。

 そのたびに笑顔を向けてくれるのだが、改めて思わされた。カワイイ、と。

 もし生きていたなら、こんな美少女は芸能界入り間違いなしだろう。そうでなくても雑誌のモデルなんかにはなってるだろうし、周囲が放って置くわけがない。


 それほどの美少女が、どうして若くして命を落とすことになったのか。

 訊くべきか迷いはしたのだけど、俺は勇気を振り絞って言った。



「トーコは、さ。どうして死んだ、とか覚えてるのか?」

「いんや、まったく?」

「……まったく?」



 そんな気合いとは裏腹に、トーコはさらっとした口調で返してくる。

 しかし、自身の死の瞬間とかは記憶しないものなのだろうか。その可能性はあるかもしれないが、それにしても――。



「じゃあ、どうして幽霊に……? 未練とか、あるのか?」

「さー……? なんでだろね。アタシにはわかんないや」

「分かんないや、って……」



 まさかと思い訊いてみると、そちらの問いにも曖昧な答えが返ってきた。

 俺がついつい苦笑して頬を掻いていると、トーコは何の気なしにこう言うのだ。



「だって、記憶ないもん。アタシ」

「え……?」



 軽々と口にするには、あまりに重大な事実。

 思わず唖然としていると、彼女は朝食を運びながら語った。



「なんかねー……気付いたら、ずっとあの海を眺めてたんだよね。ボンヤリとだけど、悲しいなぁ、誰かこないかなぁ、とか考えてた気はするけど」

「そう、なの……か」

「やだなー! なんでソータくんが暗い顔してんのー?」

「いや、だって――」



 思いもしない重い境遇に、俺が声を詰まらせると。

 トーコはコロコロといつものように笑いながら、俺の唇に人差し指をあてがった。霊体特有のひんやりとした感触に自然、こちらが黙ると、少女は満面の笑みでこう言うのだ。



「いまのアタシはね、居場所も貰えて幸せなの! だから、気にしない!!」



 まるで世界中のあらゆる悲劇が過去であるかのように。

 トーコはいまが良ければ、それで良いと語った。



 その姿は陰キャボッチの自分には眩しくて、思わず憧れてしまう輝き。

 俺が黙っていると、彼女は――。



「ほら、口開けて? はい、あーん!」

「あ、あーん……あむっ」

「美味し?」

「うん」



 アレンジした総菜を箸で掴み、こちらに食べさせて――。




「やった!」




 無邪気に笑う。

 その笑顔に俺はひとまず、色々なことがどうでも良くなるのだった。




 

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※次回更新、13時ごろ予定(予約投稿

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