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夜の海で美少女ギャルをナンパしたら、お持ち帰りできちゃった理由。  作者: あざね
オープニング

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3/6

2.これから、ずーっといっしょ!

ここまででオープニングです(*'▽')





「気付いてなかったん? アタシ、知ってるものかと思ったよ」

「ゆ、幽霊……ってマジですか!? いや、でも足ある……」

「幽霊の考え方古すぎっしょ、ウケる」



 あまりの事態に俺が壁際に逃げると、燈子さんはそれを見て笑う。

 彼シャツ状態の女の子がいるという状況以上に、幽霊であると自己紹介されたことへの混乱が強かった。いいや、そもそも幽霊というのも冗談ではないのか。

 それこそ、これだけハッキリ見えるのもおかしな話だった。

 俺にはお世辞にも、霊感的なものはないのに。


 ――と、考えていたその時だ。



「もしもーし? 夏海ちゃーん、いま何時だと思ってるのー?」

「あ、あ……上木、さん……?」



 ノックの一つもなく、四十代ほどの男性が無遠慮に入ってきたのは。

 顎には無精ひげ、ややこけた頬に黒縁の眼鏡。顔立ちは整っているのだが、ボサボサの白髪交じりの髪などを見て分かる通り、自分のことにはとんと無頓着な彼の名前は上木という。

 このアパートの管理人、すなわち大家さんだった。ポロシャツにダメージ入りすぎのジーンズを履いた彼は、掛け時計を指さしながら言う。



「もう十一時よ、十一時。まったく、一人でなにやってんの」

「え、あ……いや、なにも。え――」



 それに対して、俺は弁明しようとして。

 しかし、そこで気付くのだった。



「もしかして上木さん、見えないんですか?」――と。



 俺はボンヤリとしている燈子さんを見ながら、そう訊ねた。

 すると上木さんは、ポリポリと頬を掻きながら答える。



「ん……だから、なに言ってんの?」

「……ひぇ」



 思わず短い悲鳴が出た。

 そしてまた燈子さんの方を見ると、そこには何故かピースをしている彼女が俺のシャツを着ながらピースをしている。

 その状況からようやく、



「マ、マジかよ……」



 俺はナンパした美少女が、幽霊であることを認めざるを得なくなったのだ。







「だから、最初から言ってるっしょ? アタシ、幽霊って」

「……いや、普通は信じないよ。こんなにフレンドリーな幽霊」



 上木さんを適当な弁明で返してから。

 俺は改めて、状況をしっかり判断するために燈子さんと話し合っていた。そして分かったのは、彼女は本物の幽霊であること。何故か俺以外に見えないのは、



「まさかそっちから、アタシに居場所をくれるとは思わなかったよ!」

「おおう……」



 彼女が憑いているのはこの部屋と、俺自身であるからとのこと。

 曰く幽霊にはいくつか種類があるらしく、燈子さんはもともと海岸周辺の地域を移動している浮遊霊だった。それに対して俺は声をかけた上、自分のところにこないか、と誘ったのだ。

 それによって、晴れて燈子さんは居場所を得たのだ、という。

 俗にいう地縛霊とも少し違うと思うが、そもそも幽霊のことに詳しくないから何とも言い難かった。



「それで、燈子さん――」

「あ、そういや! ソータくん、その他人行儀な言い方やめてね!」

「…………え?」



 その他にも、色々と確かめたいことはある。

 だから俺はさらに追及しようと名前を呼んだのだが、そこで彼女はこう言った。



「アタシのことは、これからトーコ、でいいから!」

「ト、トーコ……?」

「そそ。だってアタシら、これから――」



 まるで新婚夫婦がするような、初々しい雰囲気で。




「キミがここ離れるまで、ずーっといっしょ、なんだからさ」――と。




 俺の鼻っ面をツンと突いて、トーコはそう笑うのだった。







「ん、あ……朝、か?」



 翌朝、俺はいつもより早めに目が覚めた。

 どうやら昨夜は、日付が変わる前に眠ってしまったらしい。日差しが俺の瞼をくすぐったことで、今までにない清々しい朝を迎えていた。

 それでも、今日もバイトのシフトはない。

 だったらもう少し、寝ていても――。



「すぅ、すぅ……」

「…………」



 問題ないだろう、そう考えて身体の向きを変えた時だった。

 何やら俺の腕を枕にしている女の子が、水着姿のまま寝息を立てているのに気付いたのは。恐る恐る視線を下方へ向けると、そこにいたのは――。



「ふにゅ……あ、おはよ。ソータくん」



 ――夢じゃなかった。

 いまさっきまで、考えないようにしていた。

 だが目の前にいるほぼ裸体の美少女の名前を俺は、しっかりと憶えている。



「お、おはよ……トーコ」

「……ん!」



 こちらが名前を呼ぶと、彼女は嬉しそうに首に腕を絡めてきた。

 すると、発育のよろしい身体が急接近して……。




「あれ……ソータくん?」





 俺の意識はまた、そこで眠りにつくのだった。




 

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