6/8
ぐるぐるぽんち機
この詩は、台所シリーズ 台所でせかいをかえる
第39話 間奏詩 『ぐるぐるぽんちき』です。
台所シリーズ 台所でせかいをかえる
第39話 間奏詩 『ぐるぐるぽんちき』
『ぐるぐるぽんちき』
妙蓮寺コーポラスの信号機を、
ぐるぐるぽんちき──と呼ぶことにした。
どうして、もっと早く、
この「ぐるぐるぽんちき」を認識しなかったのだろう。
とにかく、私は、かつての自分に向き合ったとき、
この“ぐるぐるぽんちき”の存在を知った。
生まれながらに、性能のいいぐるぐるぽんちきを内蔵している人がいる。
すべてのことを石橋をたたいて渡る人、
その逆で、即断即決で進む人。
ぐるぐるぽんちきがないと、
きっと、事故ばかり起きて、生きにくい。
妙蓮寺の信号──赤、黄色、青。
綱島街道。渡らずにいれば、それは江戸から続く道。
右に行けば小学校のグラウンド、
左に行けばおばあちゃんち。
背後には、3LDKの部屋とライティングデスク。
その前にある、小さな三畳ほどの公園。
信号を渡れば、妙蓮寺。
あのとき、私はぐるぐるぽんちきして、
結局いつも、妙蓮寺駅に向かった。
あれがぐるぐるぽんちきだと知っていれば、
あのときの私を、くすっと笑えたのに。
ぐるぐるぽんちき。
最高だ。




