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6/17(金) 野中貴臣①
「じゃあカタちゃん!」
「カタ?」
「おー、そう呼ぶことにする! オメーとはもうダチだからな!」
「んじゃ君は……トモミちゃん?」
「俺は、ちゃんじゃねーだろっ!」
「あははは! トモミちゃんは女っぽいな!」
「なんだよ、うっせーな!」
「わはは! おもしろいやつー!」
「じゃあカタちゃん、あの岩まで競争なー!!」
「よーいどん!」
「あっ、待てずりー!!」
子どものころの話だ。
それは音和がいなかったある夏のこと。
海で知り合った男の子と毎日のように遊んでいた。
音和が戻ってきたと同時に消えたアイツは、もしかしたら。夏に帰ってきた幽霊だったのかもしれない。
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