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彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第5部 疾走するアオハル
297/301

11/4(金) 日野 苺⑦

 

 ………………


 …………


 ……




「あっそうだ、みんな先帰って! あたしいっちーと話があるから」



 みんながようやく落ち着いて、帰宅をしようと話していると七瀬ちゃんに止められた。

 話すことに心当たりがないから、怖くて体が固まってしまう。



「なっちゃん、カギ借りていい?」


「ああ。いいけど」



 知実くんがポケットから出した屋上のカギを七瀬ちゃんに投げる。



「ありがとっ♡ んじゃ行った行った〜!」



 みんなを追い出して、七瀬ちゃんはがちゃりとカギを閉めた。



「ねえ。いっちーさっき、本当の自分を出すって言ってくれたよね?」


「う、うん……」


「ふっふっふ……。んじゃ本音タイムといこうかね!」



 振り返った七瀬ちゃんは、にっこりと笑った。



「面倒だから率直に聞くけど、いっちーってもしかしてなっちゃんのこと好き?」


「っ!」



 すぐに否定をすればよかったのに、びっくりして返事に詰まってしまう。



「え、やっぱそうなんだ? そっかー」


「あ、違っ……!」



 七瀬ちゃんの顔が明らかに曇ったのは、いくら空気が読めないあたしでもすぐにわかった。


 これから本音で話していくとしても、恋愛の話は慎重にしないと。友だち関係と好きな人関係は、また別な気がする。



「好きな人できたら相談してって言ったよね」


「ご、誤解だよ。あたし知実くんに『友だちでいよう』って言われてるし」


「えっなにそれ。知らない、いつ告ったの?」


「違う、それもそういうんじゃなくて! あれ、あたしが先に言ったっけ……? と、とにかく、友だちだよねってことになったから!」


「はーーー!? なっっっっっにそれーーーー!!!」



 七瀬ちゃんは大声を出してその場にへたり込んだ。



「それさー、あたしに気を使ってるんでしょー? やだーもー最悪だよーー!」


「そんなことないからっ」


「いや、ほづみんに聞いたんだよね。何よ、あたしとデートしろって。……なめないでよ。そんな施しされて、あたしが喜ぶと思ってるの!?」



 顔を上げた七瀬ちゃんを見てゾッとする。怒りをぶつける表情。これ、前の学校のときと同じだ。

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