表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第5部 疾走するアオハル
261/301

10/25(火) 日野 苺①

「じゃあお弁当、音和ちゃんに届けてくるね」


「本当ごめんな、ありがとう」


「ううん!」



 学校に着いたら知実くんからお弁当を受け取って、3階へと向かった。


 音和ちゃんもう来てるかな……と教室をのぞいてみると、仲の悪かった女の子たちの席で、頭をなでられているところだった。


 音和ちゃんって、すごいなぁ……。


 あっけにとられていると、女の子たちがこっちに気づいた。


 なのでにっこり微笑みながら小さく手を振る。



「あ、日野さん……」



 気づいた音和ちゃんが入り口まで来てくれたから、持っていたお弁当箱を差し出した。やっぱり全然元気ない。



「今日はお昼どうする? 虎蛇なら女子しかいないよ?」


「ん……。クラスで食べよかな」


「そっか。もし来たかったらいつでもおいでね」



 帰ろうとすると、「待って」と音和ちゃんに呼び止められた。



「……知ちゃん、どーかな?」



 泣きそうになりながら、探るように瞳を覗き込まれる。



「うん、やっぱりちょっと元気はないかな。可愛い誰かさんのせいでっ」



 不安げな音和ちゃんのほっぺをぷにぷにとつつくと、かわいらしく身をよじらせた。



「大丈夫だよ、待ってるから。心の準備ができたら、また一緒に登校しようね?」


「……うん。ありがと。でももうちょっとだけ時間ほしい。……また可愛がってくれるかな」



 その言い方が可愛くて、つい、笑ってしまう。



「当たり前だよ! あたし、音和ちゃんにちょっと嫉妬してるんだよ? 音和ちゃんはきっと、ずっと、知実くんにとって代わりのいない唯一無二の存在なんだろうなって」


「うん……」


「うちも弟妹いるでしょ。血がつながってる家族の絆って強いなって思うんだけど、音和ちゃんは血がつながっていなくても、そういう特別な人なんじゃないかなって感じるよ」



 よしよしと頭を撫でて、背中を押した。



「はい、じゃあまた。お友だちとも仲良くするんだよー!」


「ありがと……」



 手を振って送り、奥で怪訝そうにしていた女の子たちにもにっこりと微笑んで、今度こそ教室をあとにした。





 教室に戻って、知実くんに音和ちゃんの様子を話す。


 すると眉をしかめて泣きそうになったあと、速攻メッセージを送っていたからなんて送ったのか聞くと



「超かわいがります」



 とだけ書かれた画面を見せてくれて笑ってしまった。


 最高だよ、知実くん!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ