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彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第4部 お姫様に寵愛を
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9/30(金) 穂積音和③

 今日も基本は野中と組んで、サポートまわりをした。


 13時、昼飯のために虎蛇に戻ると、凛々姉と詩織先輩のペアが待機していた。


 ちなみに七瀬といちごは、「ウチら陽キャコンビが対人系は引き受けるよー!」と、いろんなところで司会やら司会補佐、一般客の誘導などで飛び回っていて、今日は朝以来、会えていない。


 音和は劇が終わってから、本部に戻って番をすることになっている。



 虎蛇で昼食をとったら、14時の演劇に合わせて野中と凛々姉を連れて体育館へ向かうことにした。本部を無人にできないため、詩織先輩がひとりでお留守番だ。


 その代わり、音和と留守番をバトンタッチしたあと、一緒にクラス展示を回る約束をした。



 3人で体育館まで歩いて行くと、入り口前でうろうろしている、不審なおじさんを発見。



「おじさーん、どーもどーも!」


「あっ、知くん」



 凛々姉と野中が、誰だと俺に説明を求めるような視線をよこす。



「音和の父」


「初めまして。音和がお世話になっています」



 おじさんはぺこりぺこりと何度も頭を下げる。凛々姉も同じくおじぎする。



「部田凛々子です。こちらこそ、虎蛇会では助けてもらっています」


「野中です! お義父さんって呼んでもいいですか!?」


「やめろ、父はそういうタイプじゃない!」



 (ひざまづ)く野中の首根っこを掴む。こいつは本当に目が離せないな!



「もうすぐ上演時間なんで、おじさんも一緒に入ろうぜ! 保護者席は別だと思うけど」


「うん、ありがとう」



 緊張しているのか動きがぎこちない。こういうところ、音和とそっくりだよなー。


 おじさんを保護者席に案内したあと、案の定席はガラガラで座り放題だったから、俺たちは一番前に陣取った。


 それが運の尽きってやつだったな。



「「おっとっわっちゃーーーん、がっんっばっ!!!」」


「って、寝てるだけじゃね?」


「眠ってる姿もステキヨー!」



 音和の登場シーンに、全力で声援を送る。会場からはくすくすと笑いが聞こえてきた。



『ああかわいそうな白雪姫。最後に口付けをさせてくれないだろうか……』


「いよっ!!」

「待ってました!!」



 応 援 が 盛 り 上 が っ て 参 り ま し た !



「王子! 男前っ!」

「中村屋ッ!!」

「ぎゃーす!」

「ぎゃーす!」



『ええ〜〜、や、やりづら〜〜〜』



 王子がおろおろ取り乱しはじめると、むくり。と、キスもしていないのに白雪姫が起き上がる。



『誰かそこのバカたれどもをつまみ出せ』



「ったく、お前ら調子に乗りすぎだぞ。立て!」



 いつの間にか目の前に現れた教師に連行され、野中ともども追い出されてしまった。


 まあキスシーン(未遂)までは見れたから満足ってことで。

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