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彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第4部 お姫様に寵愛を
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9/29(木) 野中貴臣①

「運搬ありがとう、なっちゃんとノナカ!」


「いーえっ! 頑張ってね!」


「サンキュ! しかしなっちゃんはともかく、ノナカが真面目に働いてるのが不思議だ……」


「アラヤダ奥さん聞きました? アタシのカラダじゃ物足りないってことかしら?」


「お前のカラダは俺だけのものだって言ったろ? あ、んじゃ回収のときまた呼んで〜」


「う、うん。ありがとう……(急に素に戻るんだ!?)」



 野中の背中を押して、体育館を後にする。


 朝から運搬系の手伝いを二人で組んでやっていた。人をまとめるような仕事もあるけど、文化祭実行委員のやりたそうな顔している人に任せておいた。


 最高の天気の下で、力仕事はかなり体力を持って行かれる。休みなしだった俺たちは、さすがに休憩を挟むことにした。



「野中、ちょっと手が空いたし、飲み物でも買わん?」


「賛成〜!」


「人少なければいいんだけどな。屋上でのんびりする時間もないし」


「食堂は今人いないんじゃね」


「天才っ!!!」



 自販機で飲み物を買って食堂に入ると狙い通り、見事にスカスカだった。そして座ったとたん、二人とも机に突っ伏して(しかばね)る。



「ははは〜。野中、平気ー?」


「いや〜〜〜〜〜これは体力が有り余ると言われるDK(男子高校生)でも、HPゴリッゴリに削られるやつ!」



 でもさっきの子も言ってたけど、野中がこんな面倒なことを手伝ってくれてるのが嬉しい。なによりも、俺のやりたいことに協力してくれてるのがたまらなくこそばゆい。



「こっちは腕がパンパンマンだよ〜」


「わはは。それでも俺は、なっちゃんとの時間が増えてうれしいけど」


「あー、それ女子に言われたいやつな!」



 改めて、一緒にいてくれてありがとうな。



「でもお前こそ、ここ最近ずっと帰り遅かったみたいだけど大丈夫か?」



 野中がのそりと起き上がった。俺は表情を見られないように、机に頭をつけたまま別方向を向く。



「ちゃんと寝てるし大丈夫よ〜」


「体調は?」


「平気平気〜。ありがとう」



 正直、ここ数日ヤバいときが何度かあった。夜もベッドに倒れこみ、即寝てしまうことも多い。


 でもあと2日だけなんだ。なんとか体に頑張ってもらわないと。


 俺、この日のために学校来ていたから。ここでダウンしたら死んでも死に切れんし、マジで世の中を呪ってやる。



「そういえば、音和の演劇は観に行ってやらんの?」


「今日はまだヘルプで呼ばれるだろうし、明日行こうぜ〜」


「あいつ演技とかできるのかよ」


「寝てるだけだって」


「は? どんな劇!?」



 白雪姫っす。

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