9/28(水) 部田凛々子④
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「サチおばちゃん、知ちゃんまだ帰ってないの?」
「まあ音和ちゃんこんばんは。そうなのよ、大丈夫かしら……。音和ちゃんは知になにか用事?」
「うん、ちょっと」
「知、学校で変なところはないかしら」
「え、いつも変だけど?」
「……普通ってことよね。ありがとう。よかったら上で待っていてね」
「? はーい」
知ちゃんに聞きたいことがあってカフェに来た。明日でもいいんだけど、帰れてるか心配で見にきたのもある。
サチおばちゃんどうしたんだろ。なんか疲れてるっぽいけど、日野さんのお手伝いがないから?
不思議に思いながらリビングへとあがる。ひとりで待ってるなら、劇の台本持って来ればよかった。ひまだし漫画でも借りよっかなあ。
普段、ひとりではほとんど入らない知ちゃんの部屋のドアを開けた。勝手に入っても超怒ったりしないけど。あんまり嬉しくはなさそうだから、入らないようにしてる。
本棚からゆるそうな漫画を選び、数冊抱えた。
部屋を出ようとして、枕元のチェストが半分開いて、薬が出ているのが気になった。
いつもの頭痛の薬かな。
片付けてあげようと薬をなんとなく見て、違和感を覚える。
それは、わたしの知らない薬。しかもたくさん種類がある。
偏頭痛と貧血でこんなに薬飲む? それに貧血長いよね。だってもう何カ月も続いてる……。
知ちゃんのことは、誰よりもわかってるつもりだった。でも、これは知らない。パパにも聞いてない。
心がすごくもわもわして、気持ち悪い。




