9/22(木) 部田凛々子②
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「こんにちは。問題を起こし祭実行委員会のみなさ〜ん!」
俺たちから言えば、問題を持ち込み会の会長なんだけどな、あんた。
高笑いしながら、ちびっこツインテールが虎蛇に入って来る。今日は隣に顔の濃い書記の鈴見だけついていた。
「あっ♡ チュン子ちゃん♡♡ 次期生徒会でお待ちしてるわ♡ あたしが推すね♡」
「間に合ってます」
「見てわからない? 忙しいんだけど」
重めのキャラの来室で、凛々姉がだいぶ切れそうだ。
「聞いたわよ。ゴンドラ、使用禁止にしたんですって?」
虎蛇の全員に緊張が走った。
「どうしてあんたがそれを」
凛々姉もさすがに作業の手を止めて、生徒会長の吉崎を呆れたように見やる。
「生徒会は諜報が利いていてね。先ほど職員室に行ったら、先生が詰められて困っていたから助言してきてあげたわ」
「勝手なことを……。口を出さないようにと約束したはずだけど」
「ええ。でもあなた方を見ていると、どうしても無能だと思わざるを得なくて」
あ、凛々姉のこめかみに血管浮いてる。
「いいじゃなーい、ゴンドラ? 華やかになって! 使わないとサビつく一方よ。試運転だけでもさせてあげて、決めればいいでしょ?」
「あなた、一体なにを」
「何もしてないわ。ただ助言をしただけ。許可印を押したのは教師よ」
「……え?」
俺は無言で立ち上がって吉崎の肩を掴んだ。そのままくるっと180度回して、入り口に立っていた鈴見に押し付ける。
「無能だって? あんたらが引っ掻き回してるから、問題がややこしくなるんだろ!」
「あらぁ♡」
「クラスの文化祭実行委員決めに不穏を持ち込んだだけじゃなく、虎蛇に忍びこんだり、凛々姉の邪魔をしたり……! 絶対にお前らの悪事を白日の下に引っ張り出してやる」
「ええ、都合が悪ければ全てあたしたちのせいにするってこと?」
「チュン太ありがとう、もういいよ」
凛々姉が制する。
「……本当に時間がなくて、構っていられないの。帰って」
「……はあ。失礼つかまつる」
吉崎の代わりに鈴見が返事をすると、ドアを閉めてすんなりと帰って行った。
「ふん、侵入の話を出したら慌てて帰りやがって。あいつら……」
虎蛇がざわついていた。振り返ると、凛々姉が机に突っ伏して倒れていた。