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彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第4部 お姫様に寵愛を
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9/20(火) 部田凛々子①

「白鳥ってすました顔してるけど、水の中では超絶バタ足らしいよ」


「ふうん」


「『能ある鷹は爪を隠す』も同じ意味だけど、暗に、鳥には裏があるって話なのかな!?」


「『鳴かない猫鼠捕る』も同義だけど」


「そこネズミじゃなくて鳥でも良かったよねー? そしたら整合性取れたじゃん、なんでネズミにしたんだ!?」


「いちいち慣用句にキレられても。つか、忙しいんだから無駄口は謹んでくれない?」



 なぜ俺が無駄口を叩いているかというと、そうしないと精神的にちょっと限界だからです。



「失礼します。3Bですがー」


「予算は変わらない。それに文句があるならクラスの文化祭実行委員を通しなさい」


「通したって変えないだろが!」


「だからって、あんたが来てあたしが頷くと思ったのならとんだ間抜けね」


「テメー!!」


「はいはいすみませーん。うちおさわり禁止なんで、ありがとうございました!!!」


「はあ!?!?」



 ……と、先ほどから



予算上げろ勢が怒鳴り込む

 ↓

凛々姉が却下する

 ↓

イカル

 ↓

お引き取り願う←俺の役目!



 というのが何件か続き、心がすさんでいるのです。

 俺の心の清浄機どこー?



 音和の盗難騒ぎは勘違いだったという報告が教師、生徒会に共有され、今日から晴れて、虎蛇の活動が再開できるようになった。


 本人からも昼休みに「解決。」と報告があって胸をなでおろしたばかりだったけれど、俺たちに休む暇はない。


 今日は他メンバーは買い出しや外回りの仕事で、部屋には凛々姉と俺の二人きり♡というドッキドキなシチュエーション(ある意味)も重なり、よりテンションはおかしめだった。



「姉さん、去年よりも予算絞ってるとか聞きましたぜい」


「はじめから予算出してたら、無駄遣いや金額間違えでオーバーする可能性がある。ギリギリまで絞って、最終的に足が出たところで補填すればいい」


「姉さん策士っすね……!」


「もちろんたっぷりと恩を着せるけどね」


「あ、やっぱり黒い方だった」



 正義の味方とは程遠い人だしな。まあそんなわけで……。



「おい! 予算が去年と違うんだが!!」



 今度は部活動が来た……。


 凛々姉も考えがあってだろうけど、全校生徒の虎蛇へのヘイトゲージ、そろそろオーバーしないか心配だ。

 文化祭はみんなで作るからなあ。協力してもらえなくなると、結果全員が困るのだ。



「凛々姉、たまには飴も与えてやってください」


「ハッカ味でもいいかしら」


「ドロップス缶でがっかりする味、ぶっちぎり1位のやつとかどんな苦行よ!」


「あら、あたしは好きよ。なんならハッカだけの缶を買うこともあるわ」


「そんなつらい缶ある!?」


「つらいなんて失礼ね。ちなみにドロップス缶には『サクラドロップス』と『サクラ式ドロップス』と2種類あるけれど、これらは別会社だから間違えないように」


「え……それ裁判沙汰じゃん。有名なアニメ映画に出てるのはどっちなんだろ」


「もちろん『サクラ式ドロップス』だけど」


「もちろんなの!? 別に国民の共通認識じゃなくない!? ……姉さん無駄にドロップスに詳しいな、ここ飴部にするか」


「飴部ねえ。ムチのほうが得意なんだけど」


「そうだ、そういう話だった」



 二人だとたまにこんな無駄知識披露会して遊んでくれるから好きなんだけど、凛々姉のこのお茶目さ、あまり周知されてないからもったいないと思う。


 考え方を変えれば、俺だけが知ってる凛々姉……? って、そういうのはもういいんだって。やめやめ。

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