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彼女たちを守るために俺は死ぬことにした  作者: うんちん丸
第4部 お姫様に寵愛を
188/301

9/20(火) 穂積音和②


 ………………


 …………


 ……




 自動販売機にお金を入れ、少し悩んでから烏龍茶を買う。


 ちょっと最近サボってたら、二の腕がぷにってきた気がする。ダイエットしなきゃ……。


 でも育ち盛りの女子高生だし、超お腹すくんだよね。愛する彼氏への思いで乗り切るしかねーな。



 パックにストローをさして飲みながら歩いて戻っていると、放課後の誰もいない校舎と食堂をつなぐ道を、うつむいてるけど目立つ女子生徒が正面から歩いてきた。


 細く薄暗い道ですれ違うために少しよけようと壁側に寄る。すると、バッと伸びてきた腕に肩を掴まれ、そのまま思いっきり壁に押し付けられた。


 悲鳴を上げる間もなく、頭が恐怖に支配される。


 二人の体は重なるように密着していた。あたしの顔の隣にその人の頭。息遣いまで、繊細に聞こえてくる。



「あなたって、人を殺そうとした自覚、あるの?」



 耳元でささやくような声。物騒だし意味わかんないし、何度も首を横に振った。



「いじめられる側は、ときに本気で死を覚悟するよ。そういう子がいじめる側を殺したいほど追いつめられるのもよくある話だけど、殺されなくてよかったね」



 あっ、穂積のこと……!?



「あの、あれはいじめじゃ。ちょっといじわるしただけで。それに死ぬって大げさ……」


「へー、いじわるかぁ。……っふふ、あははははははは!」



 高笑いのあと、凍てつくような重い声が耳に突き刺さる。



「ふざけないで。あなたがやったのはいじめ(・・・)だよ! ひとつ間違えれば相手の心も人生も狂わせるいじめ(・・・)だっ!! ……でも、許してもらったんだ? よかったね。 死 人 が 出 な く て よかったね」


「ひっ!!」



 体が硬直する。

 この人の言葉……。たぶん、身近でいじめを経験してる……。


 ふっと肩から手が離れた。あたしは壁から動けずに、去っていくその女子の後ろ姿を息を殺して見送る。


 ……なにあれ。超ホラーなんだけど。

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